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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~

ver.2.6-60 新職業の、風が吹く

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>『バッドデビルズの骨』がドロップしました。
>『静寂の灰』がドロップしました。
>『ヤミガラスの羽』がドロップしました。



―――――

「‥‥‥反撃したのはいいけれども、大量にドロップしたなぁ」
【シャゲシャゲェ】

 船上に散らばった、襲撃者たちの残骸を集めつつ、ドロップ品を僕らは整理していた。
 騒いでしまったからこそ、黙らせるためにモンスターたちが出て来たようだが、僕らが全力で相手をすれば、見事に反撃が成功してしまった。

 黙らせに来たのではなく、黙らせられるために…‥‥いや、何か言いにくいな。



 とにもかくにも、騒ぐと不味いという事が分かったので、音のあまり出ない攻撃を心掛けたおかげかようやく襲撃もやんだようだ。毒ガスを大量散布するなど、奇襲戦法の中でこちらが音を出さないようにする手段はそれなりにあったからね。


「とりあえずここまで静かになったのは良いとして、ここからどうしようか」

 船上のドロップアイテムも拾い終え、ひとまず今後の方針を考える。
 裏魔界にいる状況なので、目標としてはここからの脱出だが、どの様にして出るのかは不明。単純に考えるなら門を発見してそこから出るのかもしれないが、裏魔界へ突入した際にかなり滅茶苦茶な入り方をしたので、来た道を戻ってもない可能性がある。

 と言うか、ここの運営のことだからそう簡単に戻れないようにしているかもしれない。そっちの方がかなりあり得るだろう。
 そうなると、単純に戻るわけにもいかず…‥‥門を捜すために、この裏魔界の世界を静かに進んで探索しないといけないだろうなぁ。

「まず、突き刺さっているこの現状をどうしようか」
【オォン】

 現状、魔導船が断崖絶壁に突き刺さっている状態なので、ここからどうやって移動するかが一番の問題である。
 船はまだ気絶状態で動く様子も見えないし、崖を登ろうにもちょっと難しい。

【あ、でもどうにかなるかもしれまセン】
「ロロ、本当?」

 ここでふと、ロロが何かを思い出したかのようにポンッと手を打って口に出した。

【こんなこともあろうかと、魔導船に逆噴射装置と落下時の緊急装置を付けていたのデス】
「後者はまだわかるけど、前者の意味は?」
【本当は、ネットで見た某宇宙戦艦兵器を付けたかったんですよね…‥‥技術的な問題で無理だったので、仕方がなくバックが出来る程度の噴射装置になったのデス】

‥‥‥某宇宙戦艦搭載って、それ装備したら結構危ないやつなのではなかろうか。あれも確かに後進する手段に使われた時があったけれども、その分凄まじい威力だった気がする。

 まぁそんなことはさておき、バックする装置が幸いついているので、崖から抜け出すことは可能らしい。そしてついでに、万が一飛行能力が突然失われた時に備えて作っていた落下用の装置もあるらしいので、その二つを併用すればこの崖に刺さっている状況を変えられるようだ。

 問題としては、無事に軟着陸出来た後、どう進むかだが…‥‥結構深い崖のようだし、何が出てもおかしくはない。

「落ちた際に大きな音が出て、周囲のモンスターを引きよせかねないけれどね」
【そのあたりも考え、静かに落ちるように願いましょウ】

 一応全員に意見を聞き、賛成多数となって実行することになった。
 なお、反対意見としてはウッドマリーンズの数体が、落下場所が悪かったら船体が真っ二つになるどころかぶっ壊れる危険性を上げてきたが、このままいても仕方がないという事で落ち着いてもらった。

【それではやりましょウ。皆さま、衝撃に備えてくだサイ】

 ロロの言葉と共に、全員マストや床にしがみついたり張り付く。

【逆噴射砲、発射!!】
ボウ、ドムッツ!!

 スイッチを入れると同時に、前方部で爆発が起きて断崖絶壁から一気に後方へ吹き飛ぶ。
 続けてバランスを取るために、後方部分の噴射装置は残り少なくなっていた混合爆裂薬を燃焼させて小爆発を起こし、水平になるように保ちつつ落下し始める。

【第二艦橋、一時切り離しマス!代わりに船底部着地ブースター作動!!】

 流石に邪魔になるのか、切り離し可能な第ニ艦橋が先に地面に落とされ、艦橋があった場所から爆風が噴き上げ、船を持ち上げる。
 とはいえ流石に重量がそれなりにあるので完全に押し上げることはできなかったが、それでもゆっくりと着陸をするには十分だったようで、難なくそのまま船は谷底に着陸した。

シュドドドドドドドォォォォ…‥‥ォォォォ、ズン

 ゆっくりと着陸し、黙々と土煙が舞い上がる。

【ふぅ、無事に済みましたネ。第二艦橋は‥‥‥良し、着陸地点にあったので、再接続できまシタ。収納し、このまま陸上走破形態へ移行させマス】
「え?そんなことできたっけ?」
【できるように改造してマスヨ。空海だけではなく、陸地も対応可能なように仕込んでおいたのですからネ】

 どこからともなくレバーがせりあがり、ロロがグイっと引くと、ガゴンっと音がした。

 何が起きたのかと下を覗き込んでみると、船に巨大なキャタピラが装着されていたのであった。


【さぁ、このまま探索に動きましょウ。ああ、船底は装甲を厚めにしていますので、何かにぶつかっても問答無用で進めマス】
「でも船は気絶中だから、動けないんじゃ?混合爆裂薬も空っぽだしね」
【そこは大丈夫デス。きちんとペダルをこいで動かせるようにしていますからネ】
「でもこの面子で、こげたっけ?」

‥‥‥可能と言えば可能か。蛇馬蛸(烏賊?)な面子もいるが、基本的に二本足で歩く面々もいるので、無理もないはず。
 でも、この大きさの船をこいで動かすのは非常に疲れそうだ。

 何にしても、今の状況を好転させるためにも、動き続けるしかなさそうであった‥‥‥‥

【それとサボり防止のためにペダル式だけじゃなくて、ルームランナー形式タイプも用意しておきまシタ】
【シャゲェ!?】
【バルゥ!?】
【ギャベィ!?】

…‥‥なお、全員で動かさないと、ちょっときついようだ。古典的な方法で動かすにしても、もうちょっとこう工夫してほしかったなぁ。
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