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3章 学園中等部~
3-21 一応始末もしないといけないのだが
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‥‥‥エルスタン帝国、王城前。
城門前に用意された馬車にて僕らは今、見送りをしていた。
「‥‥‥それで、皇帝陛下に一応叱られたんですね?」
「ええ、そうね。今回の騒動の原因を辿っていくと…‥‥わたしにも当たるものね」
馬車に乗りつつも、僕の問いかけに対して答えてくれるアリス皇女。
彼女は今、元居た留学先へ向かうことになっているのだが、本来であればもう少し後になるはずだった。
けれども、今回あった騒動の大本を見るのであれば‥‥‥ハクロが僕を離れていたことで、その離れていた理由がなにやら皇女様がいたからこそ、疎外感を感じていたこともあるらしい。
ゆえに、この騒動の未然に防げた策としては僕とハクロが一緒であればと言うのもあるが、それができずに大ごとになってしまった。
結果としては、帝国に対して害となりそうな者たちの排除が出来たのだが…‥‥‥それでも、起きたことには変わりない。
そんなわけで、この騒動の後始末を付けつつも、自身の行動がどう及ぼすのかと言う事を把握していなかった責任もあるという事で皇帝からの説教も受け、皇女様は留学先へ直ぐに戻されるらしい。
追加で間諜たちも護衛も増やし、念には念を押して身の安全なども確保するそうだが‥‥‥‥ついでに、他の留学中の皇子たちも護衛の増加を考えているそうである。
何にしても、皇女様の行動ひとつで起きた騒動ともいえるけど、一応は帝国を狙っていた害虫を駆除する結果ともなり、これで甘い処置らしい。
「結果は良けれども、わたしがやらかしたようなものだし…‥‥大人しく、留学先へ戻る事に致しますわね。ああ、気になったらぜひ、遊びに来てもいいですわよ」
「機会があれば、そうしたいかも」
【キュル、私の元いた場所、その近くのダンジョンの可能性、あるからね】
皇女様が元々いた留学先にあったダンジョンの特徴から、どうやらハクロがかつていた場所にも近いらしい。
もしもそのダンジョンがハクロの生まれ故郷だとすれば、あの森にいたわけなども説明が付くのだが、まだ確定ではない。
なので、いつかは行ってみたい場所なので、予定をちょっと考えたい。
まぁ、やるとしたら夏季休暇あたりか…‥‥でも今年は、領の方にも研究所にも向かうし、日程調整が大変そうである。そこは色々と相談あるのみか。
「それよりも、ハクロ、貴女の体は大丈夫なの?」
【大丈夫、もう綺麗、すっきり!】
皇女の問いかけに対して、ポーズをとってアピールするハクロ。
あの害虫たちによる拘束の跡があったが、しっかり養生したので健康状態は戻っている。
しいていうのであれば、ごたごたしていたので毛並みが少々乱れていたが‥‥‥‥それでもしっかりとブラッシングをし終え、しっかりと綺麗に整っていた。
「ふふふ、良かった…‥‥わたしのせいでこの騒動が起きたと思ったら、心苦しかったもの」
【んー、大丈夫。私、気にしないよ。やったの全部、悪い人たち。全員しっかり、制裁したし、これで解決だよ】
「そうね‥‥ええ、解決したのよね」
ハクロの言葉に対して答える皇女だが…‥‥実は、全部解決したという訳では無かったりする。
と言うのも、そもそもの話なのだが、ハクロを捕らえるほどの戦闘員なども用意していた害虫たちがどうやってあのような地下空間を作ったのかなどの謎がある。
いや、一応魔道具を使用して作り上げたというのもあるのだが、その魔道具の入手ルートがわからない。
それに、使用していた鎖や枷なども詳しく調べると、本来であれば重罪人を拘束するために国が扱うレベルの代物なのに、それをあんな害虫たちは普通は手に入れられないそうだ。
なので、何かしらの協力者だとかいないのかと言う話にもなったが、生憎その情報は手に入らなかった。
害虫たちを国が尋問したのだが、ろくな情報が入らず、むしろいつの間にか手に入っていたかのような認識があり、何かの細工がなされていた可能性もある。
そのため、まだ残る不安もあるのだが…‥‥それでも、こんな騒動が合った以上、当分起こらないと思いたい。
考えていても切りがないし、難しい話しは大人たちへ任せようかな‥‥‥‥僕らはまだ学生だしね。
そんなこともありつつ、もう間もなく皇女様は出国する時間。
転生者同士であったということで惜しみつつも、永遠の別れではないので見送りもそろそろ終えるのだが、少しだけハクロと二人だけで話したいと言ったので、一旦僕はその場を離れることにした。
何を話したいのかはわからないが、女の子同士の会話でもあるのかな…‥‥?まぁ、細かい事は気にしないでいいかな。
【‥‥‥キュル、アルス、離れたけど、話って何?】
「ええ、ちょっとあるのだけれども…‥‥その前にまず、改めてお詫びさせてもらうわね。彼との時間を奪うような真似をしてごめんなさいね。わたしは単純に、転生者同士としての共感もあった嬉しさと‥‥‥貴女の気持ちを分かっていたから、あんなことをしてたのよ」
【…‥‥どういうこと?】
皇女の言葉にハクロは首を傾げつつ、その話を聞いた。
‥‥‥皇女の転生前は、介護AI。ゆえに、人の心に寄り添っての介護を行う存在であり、ある程度心の機微に対して感覚的に理解できているらしい。
そして転生した今でもわずかながらのその感覚があり、記憶が戻った今は心に関しての興味がより向上したそうだ。
とはいえ、心と言うのは測る手法は多々あれども、調べても人によって見解が異なったりして、細かい調査が案外難しいもの。
なので今回は、ハクロの動きから見てアルスに対しての愛情を感じ取り、その愛に関しての気持ちを見たくて、アルスと話し合ったりすることでハクロの変化を確認し、どの様に動くのかという観察をしていたようだ。
だがしかし、今世の皇女と言う自分が確立していても、記憶を思い出したせいで前世のAIとしての自分が出てきてしまい、やや心の掴み方が分かりにくくなり、ハクロの寂しさを考慮しかねていたそうだ。
なので、今回の騒動が起きてしまったということで、申し訳なく思っていたようである。
「悪気はなかったのだが‥‥‥結果として、非常につらい思いもさせてしまったことを謝りたい」
【…‥‥うん、でも、謝らなくても良いよ。私、そこまで気にしないもの】
アリス皇女の謝罪に対して、ハクロはそう答えた。
確かに、皇女によって自分が寂しい思いをしたり、攫われて非常に強い不安を抱くなど、精神的な痛みを受けただろう。
けれども、それとは別に知ったものもあるのだ。
【だって、アルスが助けに来てくれたもの。私のモフモフ目当てとかじゃなくて…‥‥家族として、ね】
救助され、アルスに再び会えた時が本当に嬉しかった。
それだけ彼の存在が自分の中で大きくなっていたのが分かったが‥‥‥‥そこに不安が無いわけでもなかった。
なぜなら自分はモンスターであり、人間であるアルスとは違う存在。
いくら近い姿を得ようとも、何処かで自分を避ける部分があるのではないか、やはり人間といたほうがいいのではないかと言うような小さな不安を抱いていたのだが…‥‥敵陣の中に乗り込んでまで、自分を助けに来てくれたアルスの想いに、改めて心を打たれたのだ。
赤の他人でもなく、大事な家族として。
拒絶されても、否定されても、避けられていることもなく、本当に自分を心配して。
…‥‥そう思うと、心が温かくなり、アルスに対しての想いを再認識できたので、皇女の行いを許すことができたのであった。
【‥‥‥でも、ちょっと残念なのは、まだ『家族』名義。もうちょっと、ないのかな‥‥‥】
「‥‥‥いえ、それだけではないとは思うのよね」
少しだけ残念そうな顔をしたハクロに対して、皇女は口を開く。
「だってね、アルスは‥‥‥貴女が攫われたと聞いたときから、本当に必死になって動いていたのよ。本当なら間諜たちなどに任せておけばいいのだけど、自分から積極的に動いて、出向き…‥‥それだけ、ハクロ、貴女を思っていたのが良く分かったわ」
まだまだ足りないところがあるとは言え、それでもその動きを見ればどれだけ相手の事を想っているのかが良く分かる。
ハクロの想いは恋となっているが、アルスの方はまだ足りない…‥‥けれども、それが恋となる時がいつか来るだろう。
「だからね、心配しなくてもいいのよ。彼はいつの日か、しっかりと自覚して、貴女と一緒の想いを抱くわ。ああ、でもその前に彼を狙う人が心を攫いかねないけど…‥‥そうならないように、しっかりと心をはぐくんでいってね」
【‥‥‥はい!】
皇女の言葉に頷くハクロ。
今はまだ、家族の名義で良いだろう。
もっと将来、アルスの想いの方が育ち、自分と同じような想いを抱けるようになるその時は来るだろうし、その時までにしっかりとアルスを自分のもとに置ければいい話し。
今回の事で、確実にとはいかないだろうけれども…‥‥それでも、アルスが大事なのは変わらない。
【私、何時か、アルスのお嫁さんになりたい。そのためにも、アルスとの仲、もっと深める】
「ええ、その想いをしっかりとさせればいいわよ。けれども、ただ蓄えるだけではなく、本当にじっくりと向き合って…‥‥ゆっくりと、焦らずに育みなさい」
ハクロの想いを聞き、アドバイスをする皇女。
元AIだけに、どの様なアドバイスが良いのかもわかっており、今後も相談に乗ってあげる事を約束する。
恋に関しての話などは、本当は正妃様辺りが一番の適任者だろうが…‥‥許してくれたのはいいけれども、せめてものお詫びとして、彼女との相談に積極的に乗ることにする。
「それじゃまたね、ハクロ。どんな手紙もいつでも受け取るし、できる限り返してあげるわ」
【うん、また会いましょう、皇女様。私、相談一杯するよ】
寂しい思いもさせられたけれども、アルスとの想いを再認識するいい機会を作ってくれた相手。
何かとあったが、それでもここに友情が出来たと言ってもいいだろう。
そして、皇女が馬車に乗って向かうのを見届け、ハクロはアルスの元へと戻るのであった…‥‥
【アルスー!!それじゃ、部屋へ帰ろ!私の背中にのって、びゅーんっといこー!】
「そうしようか。それじゃ、お願いするよハクロ」
【うん!!】
…‥‥想いはまだ、未熟なれども花開く時が来るだろう。
そしてその時が来るまで、今はこの時間を楽しみ合いつつ、ゆっくりと過ごせばいい。
焦ることは無い。彼が好きなのは変わらないし、彼が想ってくれているのも分かるのだから。
そう思うと、何となくニコニコと笑うハクロであった…‥‥‥
城門前に用意された馬車にて僕らは今、見送りをしていた。
「‥‥‥それで、皇帝陛下に一応叱られたんですね?」
「ええ、そうね。今回の騒動の原因を辿っていくと…‥‥わたしにも当たるものね」
馬車に乗りつつも、僕の問いかけに対して答えてくれるアリス皇女。
彼女は今、元居た留学先へ向かうことになっているのだが、本来であればもう少し後になるはずだった。
けれども、今回あった騒動の大本を見るのであれば‥‥‥ハクロが僕を離れていたことで、その離れていた理由がなにやら皇女様がいたからこそ、疎外感を感じていたこともあるらしい。
ゆえに、この騒動の未然に防げた策としては僕とハクロが一緒であればと言うのもあるが、それができずに大ごとになってしまった。
結果としては、帝国に対して害となりそうな者たちの排除が出来たのだが…‥‥‥それでも、起きたことには変わりない。
そんなわけで、この騒動の後始末を付けつつも、自身の行動がどう及ぼすのかと言う事を把握していなかった責任もあるという事で皇帝からの説教も受け、皇女様は留学先へ直ぐに戻されるらしい。
追加で間諜たちも護衛も増やし、念には念を押して身の安全なども確保するそうだが‥‥‥‥ついでに、他の留学中の皇子たちも護衛の増加を考えているそうである。
何にしても、皇女様の行動ひとつで起きた騒動ともいえるけど、一応は帝国を狙っていた害虫を駆除する結果ともなり、これで甘い処置らしい。
「結果は良けれども、わたしがやらかしたようなものだし…‥‥大人しく、留学先へ戻る事に致しますわね。ああ、気になったらぜひ、遊びに来てもいいですわよ」
「機会があれば、そうしたいかも」
【キュル、私の元いた場所、その近くのダンジョンの可能性、あるからね】
皇女様が元々いた留学先にあったダンジョンの特徴から、どうやらハクロがかつていた場所にも近いらしい。
もしもそのダンジョンがハクロの生まれ故郷だとすれば、あの森にいたわけなども説明が付くのだが、まだ確定ではない。
なので、いつかは行ってみたい場所なので、予定をちょっと考えたい。
まぁ、やるとしたら夏季休暇あたりか…‥‥でも今年は、領の方にも研究所にも向かうし、日程調整が大変そうである。そこは色々と相談あるのみか。
「それよりも、ハクロ、貴女の体は大丈夫なの?」
【大丈夫、もう綺麗、すっきり!】
皇女の問いかけに対して、ポーズをとってアピールするハクロ。
あの害虫たちによる拘束の跡があったが、しっかり養生したので健康状態は戻っている。
しいていうのであれば、ごたごたしていたので毛並みが少々乱れていたが‥‥‥‥それでもしっかりとブラッシングをし終え、しっかりと綺麗に整っていた。
「ふふふ、良かった…‥‥わたしのせいでこの騒動が起きたと思ったら、心苦しかったもの」
【んー、大丈夫。私、気にしないよ。やったの全部、悪い人たち。全員しっかり、制裁したし、これで解決だよ】
「そうね‥‥ええ、解決したのよね」
ハクロの言葉に対して答える皇女だが…‥‥実は、全部解決したという訳では無かったりする。
と言うのも、そもそもの話なのだが、ハクロを捕らえるほどの戦闘員なども用意していた害虫たちがどうやってあのような地下空間を作ったのかなどの謎がある。
いや、一応魔道具を使用して作り上げたというのもあるのだが、その魔道具の入手ルートがわからない。
それに、使用していた鎖や枷なども詳しく調べると、本来であれば重罪人を拘束するために国が扱うレベルの代物なのに、それをあんな害虫たちは普通は手に入れられないそうだ。
なので、何かしらの協力者だとかいないのかと言う話にもなったが、生憎その情報は手に入らなかった。
害虫たちを国が尋問したのだが、ろくな情報が入らず、むしろいつの間にか手に入っていたかのような認識があり、何かの細工がなされていた可能性もある。
そのため、まだ残る不安もあるのだが…‥‥それでも、こんな騒動が合った以上、当分起こらないと思いたい。
考えていても切りがないし、難しい話しは大人たちへ任せようかな‥‥‥‥僕らはまだ学生だしね。
そんなこともありつつ、もう間もなく皇女様は出国する時間。
転生者同士であったということで惜しみつつも、永遠の別れではないので見送りもそろそろ終えるのだが、少しだけハクロと二人だけで話したいと言ったので、一旦僕はその場を離れることにした。
何を話したいのかはわからないが、女の子同士の会話でもあるのかな…‥‥?まぁ、細かい事は気にしないでいいかな。
【‥‥‥キュル、アルス、離れたけど、話って何?】
「ええ、ちょっとあるのだけれども…‥‥その前にまず、改めてお詫びさせてもらうわね。彼との時間を奪うような真似をしてごめんなさいね。わたしは単純に、転生者同士としての共感もあった嬉しさと‥‥‥貴女の気持ちを分かっていたから、あんなことをしてたのよ」
【…‥‥どういうこと?】
皇女の言葉にハクロは首を傾げつつ、その話を聞いた。
‥‥‥皇女の転生前は、介護AI。ゆえに、人の心に寄り添っての介護を行う存在であり、ある程度心の機微に対して感覚的に理解できているらしい。
そして転生した今でもわずかながらのその感覚があり、記憶が戻った今は心に関しての興味がより向上したそうだ。
とはいえ、心と言うのは測る手法は多々あれども、調べても人によって見解が異なったりして、細かい調査が案外難しいもの。
なので今回は、ハクロの動きから見てアルスに対しての愛情を感じ取り、その愛に関しての気持ちを見たくて、アルスと話し合ったりすることでハクロの変化を確認し、どの様に動くのかという観察をしていたようだ。
だがしかし、今世の皇女と言う自分が確立していても、記憶を思い出したせいで前世のAIとしての自分が出てきてしまい、やや心の掴み方が分かりにくくなり、ハクロの寂しさを考慮しかねていたそうだ。
なので、今回の騒動が起きてしまったということで、申し訳なく思っていたようである。
「悪気はなかったのだが‥‥‥結果として、非常につらい思いもさせてしまったことを謝りたい」
【…‥‥うん、でも、謝らなくても良いよ。私、そこまで気にしないもの】
アリス皇女の謝罪に対して、ハクロはそう答えた。
確かに、皇女によって自分が寂しい思いをしたり、攫われて非常に強い不安を抱くなど、精神的な痛みを受けただろう。
けれども、それとは別に知ったものもあるのだ。
【だって、アルスが助けに来てくれたもの。私のモフモフ目当てとかじゃなくて…‥‥家族として、ね】
救助され、アルスに再び会えた時が本当に嬉しかった。
それだけ彼の存在が自分の中で大きくなっていたのが分かったが‥‥‥‥そこに不安が無いわけでもなかった。
なぜなら自分はモンスターであり、人間であるアルスとは違う存在。
いくら近い姿を得ようとも、何処かで自分を避ける部分があるのではないか、やはり人間といたほうがいいのではないかと言うような小さな不安を抱いていたのだが…‥‥敵陣の中に乗り込んでまで、自分を助けに来てくれたアルスの想いに、改めて心を打たれたのだ。
赤の他人でもなく、大事な家族として。
拒絶されても、否定されても、避けられていることもなく、本当に自分を心配して。
…‥‥そう思うと、心が温かくなり、アルスに対しての想いを再認識できたので、皇女の行いを許すことができたのであった。
【‥‥‥でも、ちょっと残念なのは、まだ『家族』名義。もうちょっと、ないのかな‥‥‥】
「‥‥‥いえ、それだけではないとは思うのよね」
少しだけ残念そうな顔をしたハクロに対して、皇女は口を開く。
「だってね、アルスは‥‥‥貴女が攫われたと聞いたときから、本当に必死になって動いていたのよ。本当なら間諜たちなどに任せておけばいいのだけど、自分から積極的に動いて、出向き…‥‥それだけ、ハクロ、貴女を思っていたのが良く分かったわ」
まだまだ足りないところがあるとは言え、それでもその動きを見ればどれだけ相手の事を想っているのかが良く分かる。
ハクロの想いは恋となっているが、アルスの方はまだ足りない…‥‥けれども、それが恋となる時がいつか来るだろう。
「だからね、心配しなくてもいいのよ。彼はいつの日か、しっかりと自覚して、貴女と一緒の想いを抱くわ。ああ、でもその前に彼を狙う人が心を攫いかねないけど…‥‥そうならないように、しっかりと心をはぐくんでいってね」
【‥‥‥はい!】
皇女の言葉に頷くハクロ。
今はまだ、家族の名義で良いだろう。
もっと将来、アルスの想いの方が育ち、自分と同じような想いを抱けるようになるその時は来るだろうし、その時までにしっかりとアルスを自分のもとに置ければいい話し。
今回の事で、確実にとはいかないだろうけれども…‥‥それでも、アルスが大事なのは変わらない。
【私、何時か、アルスのお嫁さんになりたい。そのためにも、アルスとの仲、もっと深める】
「ええ、その想いをしっかりとさせればいいわよ。けれども、ただ蓄えるだけではなく、本当にじっくりと向き合って…‥‥ゆっくりと、焦らずに育みなさい」
ハクロの想いを聞き、アドバイスをする皇女。
元AIだけに、どの様なアドバイスが良いのかもわかっており、今後も相談に乗ってあげる事を約束する。
恋に関しての話などは、本当は正妃様辺りが一番の適任者だろうが…‥‥許してくれたのはいいけれども、せめてものお詫びとして、彼女との相談に積極的に乗ることにする。
「それじゃまたね、ハクロ。どんな手紙もいつでも受け取るし、できる限り返してあげるわ」
【うん、また会いましょう、皇女様。私、相談一杯するよ】
寂しい思いもさせられたけれども、アルスとの想いを再認識するいい機会を作ってくれた相手。
何かとあったが、それでもここに友情が出来たと言ってもいいだろう。
そして、皇女が馬車に乗って向かうのを見届け、ハクロはアルスの元へと戻るのであった…‥‥
【アルスー!!それじゃ、部屋へ帰ろ!私の背中にのって、びゅーんっといこー!】
「そうしようか。それじゃ、お願いするよハクロ」
【うん!!】
…‥‥想いはまだ、未熟なれども花開く時が来るだろう。
そしてその時が来るまで、今はこの時間を楽しみ合いつつ、ゆっくりと過ごせばいい。
焦ることは無い。彼が好きなのは変わらないし、彼が想ってくれているのも分かるのだから。
そう思うと、何となくニコニコと笑うハクロであった…‥‥‥
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