転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波

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4章 中等部後期~高等部~

4-14 企みというのは良くも悪くも関係なく

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‥‥‥高等部の授業となると、将来のことを考えてのものが多くなっている。

 例に挙げるのであれば、次期当主と確定している子息たちが必須として受ける中に、領地経営に関することとして作物の不作や豊作の条件や、天候による人の出入りの変化、領地が隣接している際の領民たちの間で起きるトラブルの解決法などを学べる授業があるという事か。

 とは言え、全てが一人で解決しろとかそう言うことは無く、相談したい時はできるように、どの様な人に聞くのが良いのかというアドバイスを貰うべき相手を探る方法など、協力し合うためのものもある。

 そんな中で、貴族家として大抵の場合あることで‥‥‥今回の授業は行われていた。


「といっても、婚約者がいるなら婚約者同士、いないならいない同士での過ごし方か…‥‥」
【仲の良さ、領民に伝わり、士気に関わりやすい。だから、どう振舞うのか考えたりするために、必要だって】

 こちら側は相手がいるグループで行われているが、あちらこちらで婚約者がいる貴族子息たちは思い思いに過ごし合っているようである。

 政略的な意味合いが合ってもなくても、将来的に夫婦として結ばれるのであれば、ある程度の仲の良さがある方が動きやすく、最悪過ぎるとそれこそ領内の大きなトラブルのきっかけになりかねないので、仲を深める授業として扱われているようだ。

 まぁ、その過ごし方は各々の自主性に任せられているようなので、よく言えば自由に過ごしやすく、悪く言えば手を抜いているとも言えるが…‥‥まぁ、当人たちにとってやりやすいのであればそれで良いのではないか。

 あちらのペアでは茶会を開き、そちらのペアではダンスを踊り、はたまた向こうのペアは全力で殴り合っている。

 一部おかしいような気がしなくもないが、それぞれが互いに楽しめるようにとおもって動いているようなので、問題はないと思いたい。

‥‥‥なお、婚約者がいない組に関しては別室の方で色々とあるらしいが…‥‥なんとなくそこから不穏なというか、入り込んではいけないような気配がするのはどうなのか。なんかたまーに女子じゃなくて男子の悲鳴が聞こえるけど…‥‥うん、覗き込まないほうが良いだろう。



 とにもかくにも、自主性に任せて仲良く過ごすだけならば、結構楽な授業でもある。

「とりあえず、ブラッシングでもしようか?」
【キュル♪お願い、アルス♪】

 シンプルに、彼女が喜ぶことをすれば良いからね。

 そう言う訳で、お手軽に彼女のブラッシングをしてあげることにした。

 蜘蛛の体のふわもこな部分はもちろんのこと、彼女のさらさらとしている髪をとくのも忘れない。

 櫛を動かせばすすっと動かし、丁寧に毛の下を刺激し、心地よさを味合わせる。

【キュルルゥ♪心地良くて幸せ♪】

 嬉しそうに鳴きつつ、僕に身を任せてブラッシングされるハクロ。

 髪は早く終わるけれども、この蜘蛛部分が中々やりがいがあり、丁寧にやればやるほど毛の質も向上し、後で寝転がった際により良い感触を味合わせてくれるのでしっかりとやりこむ。

 やればやるぶん、こちらに返ってくるものも大きいし、彼女が幸せそうなら僕の方も嬉しい。

 それに、こうやってブラッシングをすればより深く彼女と触れ合えているような気にもなるのだ。

【んー、でも私ばかり、受けるのも何かこう、授業の趣旨とズレている気がするかも】

 っと、もふもこを楽しんでいる中で、ふとハクロがそうつぶやいた。

 流されるままにされているようだが、どうやらこのブラッシングで受ける心地よさを考えると、僕の方に来る利益は少なく、互に仲良くはできるけれどもバランスが良くないような気がするのだとか。

「なら、どうすればいい?」
【えっと‥‥‥私、アルスにブラッシングされている。だったら私が、アルスにブラッシングできればいいけど‥‥‥できないよね?】
「出来ないね」
【だったら、マッサージする。所長お婆ちゃんに前に聞いて、人が喜ぶものの一つとして聞いたことがあるの!】

 ブラッシングをいったん中断し、僕をそっと自分の蜘蛛の背中に乗せるハクロ。

 体が結構柔らかいので捻りつつ、器用に糸を利用して人の腕の形のようにする。

「って、なんかすごいわきわきとした動きのような‥‥‥‥ハクロ、そのマッサージって大丈夫なやつ?」
【大丈夫!所長お婆ちゃんから教わったし、ついでに弟たちにも聞いておいたの!】

 話によれば所長に原型を教えてもらいつつ、彼女の弟たちでもあるベイドゥに頼み込み、マッサージの技術を密かに身に着けていたらしい。

 署長だけなら凄い不安しかなかったが…‥‥まぁ、ベイドゥのほうからも教わっているのであれば安心かもしれない。あっちはあっちで執事をしているからどこでマッサージの技術を得たのかという疑問があるが‥‥‥大丈夫だろう。

「それじゃ、頼むよハクロ」
【任せて!】

 自信満々にそう告げるハクロに、僕は身を任せる。

 彼女のブラッシングしたてな背中の上で、のんびりとマッサージを味合わせてもらうのであった‥‥‥‥










「…‥‥それで報告では、やった後に動けなくなっていたと」
「そうでございます。仲の睦まじい様子が確認されつつ、隙なんぞ一切ありませんでしたが、想像以上にほぐされたせいで立ち上がれていませんでした」

…‥‥それから数日後、とある屋敷の中で話し合う者たちがいた。

「ああ、羨ましいというか、何と言うか。美女に好かれて尽くされているような光景でありまして、その立場に立ちたくなりましたな。とは言え、仕事なので調べてみましたが…‥‥狙うのは諦めたほうがよろしいかと思われます」
「ふむ‥‥‥他に動く輩もいるのだが、狙っているものが多すぎるのは不味いな。なら、しばらくの間は観察に留めておけ」
「御意」

 彼らはアルスたちを狙う集団の一部。

 慎重派かつまだ多少は良心があるものたちでもあり、報告を聞いて考えこんでいるようだ。

「‥‥‥観察だけで、良いとは話が分かる方だ」

 報告を終え、命じられたことを遂行しようとそのものは動きつつ、そうつぶやく。

 今回の報告では、かなり穏やかでちょっと笑いが誘えそうなものを選んだが…‥‥どうやらこれで雇い主の一人の良心を刺激して、狙う気を半減させることに成功したようである。

「とは言え、まだまだ諦めの悪い者たちがいるが‥‥‥‥それはそれで、根回しができるだろうなぁ」

 命じられている立場だが、その命令に対してこなしつつも、どことなく妨害をしている者達。

 そう、彼らは元々雇い主である者たちの命令を遂行するだけで良いと思っていたのだが…‥‥観察するうちに平和な光景に取り込まれ、ファンクラブ側へ寝返ったのだ。

 そのため、今すぐにでもすべての害ある輩に対して一気に攻める事もできたが、それでもまだ多少はまともな部類もいる。

 そのため、まともになれそうならそちらへ軌道修正するようにして無駄な血を流さないように動くことにしたのだ。

「流れたのを聞いて、悲しむのも良くないしなぁ…‥‥これで12人目の危険人物リストから除外できたとして…‥‥まだまだ、腐った馬鹿は多いか」

 チェックリストを作成し、チェックを入れつつ現状を見て溜息を吐く。

 けれども、少しづつ減らし、本格的にヤヴァイ馬鹿がどうにもならないのであれば…‥‥武力行使も辞さない覚悟はできている。

「とりあえず、今はまだ平和的に、協力してやっていくかぁ…‥‥」

 本来はそれぞれ蹴落とすべき者たちかもしれないが、何処かで耳にされてハクロが悲しむようなことはあってほしくはない。

 他人であり、どこの誰とも知らない相手であったとしても、それでも嫌な話しになりかねないので、聞かせないように動くのである。

「さてさて、問題児の方も減って来たが…‥‥それでもまだ多くあるのは大変だ」

 そうつぶやきつつもやりがいはあり、絶対にこなして見せるという想いに動かされ、その場から去って別の場所へ赴く者たち。

 争いばかりであった地ではあったが、どうやら今、その争いに終止符を打とうとしているのであった…‥‥

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