転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波

文字の大きさ
218 / 229
6章 卒業、未来へ向けて

6-9 対策もしておきつつ定番も

しおりを挟む
――――晴れやかな青空のもと、この日の領内にいた人々の顔は明るい笑顔に包まれていた。

 それもそうだろう。本日はようやく、待ちに待った挙式が行われているのだから。


 領内に作られた、まるで神殿のように荘厳な教会の鐘の音が鳴り響き式が行われていることが遠くからでも分かるだろう。

 その鳴り響くたびに周囲の草花が生き生きと輝き合い、空には小雨も降っていないのに虹がかかり、大空には火の鳥や龍が舞い踊り、幻想的な光景が広がっていく。

‥‥‥出席者の数名ほどが、縮みにくいから自ら演出として自主参加した結果だという事実はさておき、この日の主役の新郎新婦の姿が現れて来た。


「…‥‥緊張より、やりすぎちゃった感じがあるおかげで、リラックスできているよね」
「キュルル、これはこれで、面白いからありかも♪」

 互いに微笑み合い、軽く言い合うもそれでもやはり、まだ少し緊張して硬くなっている部分はあるだろう。でも、人生で幸せな日にしたい思いは同じであり、次第に硬さは失せていく。

 新郎の身を、胸元に薔薇、白いタキシードで着飾り、新婦の身体は白さを越えて神々しさを持つウェディングドレスで着飾られつつも、それぞれ衣服に着られるようなことは無く、きちんと着こなしてバージンロードをそろって歩むたびに、そばには花々が咲き誇ってゆき、美しい歌声が響き渡り始める。

 噴水が沸き上がり、宝石のようなキラキラとした光が舞い踊り、それに合わせるかのように盛り上がりを見せ、何処かの神経由でわざわざこの日のために呼ばれた銀髪の神父の前に立ち、誓いを行う。

「‥‥‥それでは二人とも、誓いの言葉を」
「私達は、ずっと共に歩み」
「いかなる時も、どの様な苦労があろうとも」
「互いを支え合い、共に進み」
「幸せを溢れる程つかみ取って」
「「愛を誓いあいます」」

 互いの言葉と共に、誓いが真のものであると認証され、指輪の交換とキスが行われる。

 短いようで、純粋な想いの交わし合いは人々の目にしっかりと記録され、語り継がれていくだろう。

 いや、人ならざる者たちも出席しているのだが、新婦がそもそも人ではないので、誰もその事には気にせず、その方面でも幸せな話しとして広がりを見せていく。

‥‥‥この日、領民全員に祝われながら、アルスとハクロは名実ともに正式な夫婦となるのであった。












「…‥‥ああ、良い式だったが、色々とあったなぁ」
「というか、出席者の一部に、彼女の親戚筋だという方々が出たのは驚いたのだが‥‥‥そこはもう、誰も気にしていなかったな」

 そして深夜、領内のとある一件家にてファンクラブの者たちは集まっていた。

 今夜は初夜でもあるから覗き見たくもあるが、大事な時間だから見ずに、ここで話し合う。

 今の話題としては、本日の挙式内で様々な大物が出たことが中心となっていた。

「確か、東方の国で守護神として崇められるようなものや、秘境にて目撃されつつも得る事のできないもの、多くの富とと宝をもたらすとされるものに、永遠の命を与えるのではないかといわれるようなもの‥‥‥神話というかまゆつばものの話に出るような、凄まじい者たちばかりだった気がするのだが」
「そもそも、ハクロちゃんの親戚筋という時点で、誰一人としてまともじゃないのかも」
「悪い意味ではないが、それでも何をどうしたらそうなるんだと言う様なのが多かったよなぁ‥‥‥」

 下手すれば、親戚一同だけでも世界を征服できかねないような力を持つ者たち。

 けれども皆、そんな事は考えていないようなので安心はできるのだけれども、それでもその人脈を知った者たちから警戒されたり、狙われる可能性が無いわけでもない。

 だが、それで生活が脅かされるようなことになってはいけないと、ファンクラブの者たちは思う。

「非常に苦労をして、ようやく得た幸せな関係だ。脅かすような者たちが出ないように、これまで以上にしっかりしなければな」
「彼らに、いっその事国でも起こしてみてはと言う様なものもでるだろうが、大抵はその流れに乗って自身の欲を満たそうとする輩もいるから警戒しなければ」
「そうだ。純粋に輝く笑顔を、この闇の世界に光をもたらす太陽を、失わせてはいけないのだ」

 うんうんと頷き合い、彼らはより一層ファンクラブとして動こうと決意する。

 夫婦になってしまい、手の届かぬ存在に‥‥‥いや、前からそうであったとしても、もはや女神に等しい存在に対して、敬いの心を持ち守り抜くことを約束し合う。

 一組の夫婦の登場と共に、同時に出来上がった強固な想いの壁は、世界を越えて繋がり合うのであった‥‥‥‥


「‥‥‥ところで、挙式内の演出とかも十分凄すぎたよな」
「あれどうなっているの?何か魔道具が使用されたって訳でもないし、あの神父のほうも見たことが無いのだけれども、かなりの実力者というか何かが違っているのにそれでもこなしていたのがすごいんだけど」
「聞いた話だと、神々の人脈で呼ばれたとかなんとか…‥‥妖精王や精霊王に神龍とか、物語として語り継がれるような類が、実は出席者たちの中に紛れていたらしい」
「それだけのとんでもない者たちに祝われた場合、本当にどうなるんだろうか‥‥‥」


‥‥‥世界がつながるどころではなさそうではあったが、気にしないほうが良いだろう。

 するのであれば、それだけの祝福を受けた場合の今後の幸せがどうなるのかだが‥‥‥そこはもう、本当に神のみぞ知ることである‥‥‥

しおりを挟む
感想 574

あなたにおすすめの小説

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...