拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
58 / 459
力の差

#55 さぁ、依頼を始めるのデス

しおりを挟む
SIDEシアン

 首都に到着した翌日、宿から出て、魔法ギルドからの馬車の御者をしつつ、依頼の確認作業時に要る人らしいボンブルビーさんと合流し冒険者ギルドへ僕らは向かった。

 依頼内容としては、アンデッド集合体モンスターの恐怖を教えるために、爆散させた魔法の威力を直接叩き込むようなことである。

 まぁ、単純明快に言えば模擬戦でもして、直接身体に教えてあげると言った方が良いのだろうか?

【その言い方だと、少し語弊がありませんかね?】
「うん、そう言われるとそうかもしれないけれどね」

 何にせよ、とりあえずは首都内の冒険者ギルドに僕らは到着し、中に入った。


 魔法ギルドとは異なり、こちらは荒くれ者と言うか、どうみても魔法屋とは異なる人が多い。

 大きな刀を持つ者もいれば、守るための大きな盾や鎧を装備する物、動きやすさ重視か弓矢で軽装、挙句の果てには酔いつぶれて素っ裸…‥‥いや、これは関係ないただの酔っぱらいか。あれ?でも今朝だよね?

 がやがやとそれなりに賑わっていたが‥‥‥僕らが入った時に、視線が集まった。


「おい、なんか新しい奴が来たのか?」
「おお?どれどれ、まだ若造じゃねぇ……ん?」
「ちょっと待て、あの後ろにいるのってアラクネじゃないか?」
「使い魔の証となるものを付けているが‥‥‥なんだあれは」

 色々とざわめかれ、ささやかれているうような気もするが、何にしても無視しつつ、とりあえずは依頼の事をやらなければいけないので、受付に僕らは向かった。


「すいません、都市アルバスの魔法ギルドから依頼を受けた魔法屋ですが」
「え?あ、少々お待ちください。確認致します」

 受付嬢に問いかけると、すぐに手続きを始めた。

 書類の山からある書類を抜き取り、確認作業を行っていく。

 念のために、魔法ギルドからの依頼についてのものや、必要な印などが押された書簡なども出し、正式な依頼の下に行われているという確認が行われた。


「‥‥‥では、確かに確認いたしました。魔法屋シアン及びその使い魔のハクロさん、メイドのワゼさんですね。ええ、ではまずはギルド長の下へ案内したしますので、ついてきてください。あ、ボンブルビーさんは確認のためにいてもらっただけですので、あとは自由です」

 そう言われ、ボンブルビーさんは軽く会釈をして、一旦この場を離れる。

 そして僕らは、この首都ボラーンの冒険者ギルドのギルド長の下へ案内された。






「‥‥‥ようこそ、魔法ギルドから来た魔法屋シアン殿とその仲間たち。我輩はここのギルド長のデルタリアンであります」

 案内された客室にいたのは、この首都のギルド長、デルタリアンさん。

 どうやら右目に眼帯を覆っている隻眼戦士のようだが、纏う雰囲気は真面目なようだ。

 いや、何と言うかかなり強い風格を漂わせている、歴戦の戦士とでも言った方が良いかもしれない。

 とりあえずは、まずは確認作業を行うことにした。




「‥‥‥ええ、では僕らが来た理由は、ここの冒険者の一部の馬鹿に、きちんと理解させるというような内容で良いんですよね?」
「ああ、そうであります。情けないというべきか、この首都はまだ安全な方にあるせいか、どうも心身がたるむ馬鹿が出るのでありますよ。たまに訓練も施すのでありますが…‥」

 はぁっ、と溜息を吐く様子からして、相当精神的に疲れているらしい。

「しかもそいつらこそが、割と真面目に始末をやらないので、アンデッド系の発生が少々上がりそうで……そろそろ除籍でもさせてしまおうとか考えていたのでありますが、これを最後通牒にしてやりたいのであります」
「なるほど‥‥‥この機会に、ついでとしてもう後がないと教え込むのデスカ」
「そういう事であります」


 元々、この依頼は都市アルバスであった化け物騒動で、アンデッドの恐ろしさをきちんと伝えるためのもの。

 処分方法などの講習会もあるのに参加せず、軽く見ているような者たちに叩き込むことなのだが、ついでに処分すべきかしないべきかの判断基準にもしようと思ったらしい。

 少々依頼内容ではその部分はなかったのだが、追加の報酬がもらえる事を確認し、問題が無い事にした。

「一応聞きますが、あなた方は冒険者登録はしていないのでありますか?」
「ええ、していません。魔法屋としての方が性に合いますし、冒険者のように討伐なども特にできませんので…」
「なるほど‥‥‥ちょっと残念でありますな。まだ対戦すらもしていませんが、我輩はこれでも人を見る目はかなりある方ゆえに、この時点でもうだいぶ強者であることがうかがえるのでありますが‥‥‥うーむ、人材を育成した方が良いでありますか」

 何にせよ、諸々の確認作業を終えたので、いよいよ依頼内容である力を見せる時となる。

「ひとまずは、1時間以内にその対象である冒険者たちをこちらで集めるのであります。そして、そこで模擬戦を行ってもらい、きちんと力を分からせるようにしてほしいのであります」
「もし、それで集まらないものがいた場合は?」
「この時点で、時間の規定を守れないとして冒険者登録を除籍であります」

 意外に厳しいが、そこまでしないといけない職業でもあるのだろうか。

 とりあえずは、模擬戦に備えて、僕らは準備を始めるのであった。


―――――――――――――――――
SIDE冒険者ギルド内の者達

 シアンたちがギルド長と会話している丁度の頃、ギルド内の冒険者たちは、シアンたちを見たことで話し合っていた。

「おい、あんな冒険者はいなかったはずだよな?しかも、あんな美女を連れてとは‥‥‥どうなっていやがるんだ?」
「そういえば、以前にアンデッド系の何とやらという話があって、それで真面目にやらないやつらがいるから、ギルド長が対処するような話があったが…‥‥とすれば、あいつらがそうなのか?」
「そうだろうな。しかし、使い魔の証を付けていたとはいえ、アラクネを連れているとは…‥‥驚愕としか言いようがないというか、羨ましいというべきか、それとも妬むべきなのだろうか」

「あれ?でも待てよ?」
「どうしたよ?」
「アラクネと言えば、確か以前にここのギルドのある冒険者パーティが討伐依頼を受けていなかったか?」
「ああ、アラクネの群れの討伐だったか」

 ふと、ある冒険者出した疑問に、他の冒険者たちが答える。

「そう言えば、あのパーティって確か帰還後に解散したよな」
「結構強かったはずだが‥‥‥なんでだ?」
「確かリーダーの奴がアラクネの惨殺を楽しんでいたが、一体のアラクネが余りにも美しくて、自分のものにしようと考えてしまったのが原因らしいよ」
「惨殺って‥‥‥あの美しさを見たら、倫理的に非道すぎるとは思えるが・・・・・もしや、その美しいアラクネが、案外さっきのやつか?」
「可能性がないとは言い切れないな。何しろそのリーダーがものにしようと思っていたところで、メンバーもどうやら同様の事を考え、誰が自分の者にしてやろうという事で争って、その間に逃げられたという話だしね」

 色欲で狂い、パーティそのものが解散されることがあったようだ。

「となると、その逃げたアラクネがさっきの奴の可能性を考えると…‥‥不味くないか?」
「ああ、何しろその解散したうちの一人、リーダーの奴がまだこの首都に残っていたはずだからな。独占欲が強く、しかもこの件で解散し、ソロになってからは非常に素行不良となったやつだ。確かもう、剥奪されそうになっているとか……」
「‥‥‥そこから逆恨みをぶつける、もしくは手に入らなかった憎しみでやらかす可能性が見えるよな」

 その一言に、その場に居た冒険者たちは静まり返る。

 まだその件の奴はその場に居なかったが、もし来たとして、あのアラクネと接触した場合…‥‥どう考えても非常に面倒なもめごとが起きる事が目に見えたからだ。

「‥‥‥これで滅茶苦茶になって、あの美女が来なくなる可能性もあるよな」
「ああ、このむさくるしいギルド内に現れた美女だ。使い魔となっているようだし、また来るとは思えない」
「けれども、生きている限りは再度めぐり逢い、目に収める機会はあるだろう」
「そうであるのならば、失われないように動いた方が良いんじゃないか?」
「「「「「…‥‥ああ、そうしよう」」」」」

 この日、普段はバラバラな冒険者ギルド内の冒険者たちの心は一つになった。

 そして行動を各自開始しようとしたところで……その恐れていた事態が起きそうになる事を知る。

 ならば、どうすればいいのか。

 それならば、守るために、そしてついでにまた来てくれるようにすればいい。


 とにもかくにも、美しき白百合のような美女を目に収めつつ、再び巡り合うかもしれない機会を失わないために、一丸となって動き出すのであった…‥‥
しおりを挟む
感想 1,076

あなたにおすすめの小説

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

処理中です...