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力の差
#54 着々と出るのデス
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SIDEシアン
……色々とフルボッコな目に遭われた盗賊たちを引き渡し、ある程度の懸賞金を得た後に、僕らはボラーン王国の首都、「ボラーン」内へ入った。
周囲を城壁のような立派な壁で覆われ、そうやすやすと万が一のような事があっても大丈夫そうな頑丈な造りである。
まだ日は出ているが、時間的には夕暮頃なので今日はこのまま宿へ向かい、明日の朝にはこの都市の冒険者ギルドへ向かうのだ。
その際には、きちんと魔法ギルドから来た手続きの紙なども持っていき、依頼をこなすのである。
「とは言え、宿屋は指定されたとはいえ、魔法ギルドが代金を肩代わりしてくれるから、実質ただ飯のような物か」
「予約されずみですので、非常に楽デス」
【まぁ、とりあえず宿が楽しみですよ】
首都前にある停留所から一旦馬車を折り、僕らは指定された宿へ向けて歩き出す。
ボンブルビーさんは馬車の手入れなどから、同じ宿には止まらないようだけどね。まぁ、別に良いか。あの人はあの人で、人のいいお爺さんと言う感じもしたし、馬車の乗り心地も悪くなかったからね。
「っと、あそこに見えるのは、もしかしてこの国の王城かな?」
「首都だけあって、色々活気も良さそうデス。依頼が済みましたら、ここで買い物をしても良いかもしれまセン」
首都という事もあり、どうやらこの国の重要人物たちが滞在しているらしい王城とやらが目に入った。
建築様式は西洋の城と言う風だが、ちょっと東洋風のも混じっているような気もする。
そう言えば、この国ってどういう人が治めているんだろうか…‥‥愚王とかでは無さそうかな?
何にせよ、僕らは宿へ向かうのであった‥‥‥
―――――――――――――――
SIDE首都住民
……その日、首都以内の住民たちは、いつものざわめきを残しつつ、ある存在に目を奪われていた。
暑くなってきた今日この頃、夕暮時になればだいぶ涼しくなり、快適になってくる。
ゆえに、昼間に出にくかった分、そのストレスを発散しようとして‥‥‥偶然にも、その姿を見かけたのだ。
それは、首都内ではそう見る事がない存在。
下半身が蜘蛛である事から、人ではないと分かり、ネックレスにある石から、誰かの使い魔である証明がなされる。
それは人ではなく、モンスター……アラクネだ。
だがしかし、その姿は噂に聞くような通常のアラクネとは異なり‥‥‥一言で表すのであれば、美しかった。
風になびく白い姿は清楚さを醸し出し、豊満な胸は母性を感じさせる。
その隣にいるらしいメイドと、その主の者と会話しているようだが、時折見せる笑顔などの表情の変化は、まさに宝石と言ってもいいだろう。
いや、むしろ伝え聞くアラクネは冷酷で、残虐と言うのもあったのだが…‥‥今、都市の者たちが見ている彼女はそれとはまったく異なっていた。
優しそうな雰囲気を纏い、それでいて庇護欲をそそられるかのような‥‥‥
それはもう、まさに首都に舞い降りた天使とでもいうべきなのか、それとも種を越えた美をもたらす女神とも言うべきなのだろうか。
何にせよ、その姿を見て、目を奪われるものは多かった。
中には膝をつき、涙を流し、感激するものまでもが現れていたが、皆の共通する意識として不審に思われないようにという心が芽生え、密かに気が付かれないように隠しとおした。
……モンスターであろうとも、人であろうとも、美しいというのは種族を越えて存在するのだと、この日、首都の住人たちは学んだ。
それと同時に、良からぬ企みを持ち始める者も出てきたのだが…‥‥それを阻止しようという者たちも同時に出て、抗争が始まってしまうのは、もう少し後の話である。
今はただ、一目だけでも見る事が出来た、その幸運に彼らは感謝するのであった‥‥‥‥
……色々とフルボッコな目に遭われた盗賊たちを引き渡し、ある程度の懸賞金を得た後に、僕らはボラーン王国の首都、「ボラーン」内へ入った。
周囲を城壁のような立派な壁で覆われ、そうやすやすと万が一のような事があっても大丈夫そうな頑丈な造りである。
まだ日は出ているが、時間的には夕暮頃なので今日はこのまま宿へ向かい、明日の朝にはこの都市の冒険者ギルドへ向かうのだ。
その際には、きちんと魔法ギルドから来た手続きの紙なども持っていき、依頼をこなすのである。
「とは言え、宿屋は指定されたとはいえ、魔法ギルドが代金を肩代わりしてくれるから、実質ただ飯のような物か」
「予約されずみですので、非常に楽デス」
【まぁ、とりあえず宿が楽しみですよ】
首都前にある停留所から一旦馬車を折り、僕らは指定された宿へ向けて歩き出す。
ボンブルビーさんは馬車の手入れなどから、同じ宿には止まらないようだけどね。まぁ、別に良いか。あの人はあの人で、人のいいお爺さんと言う感じもしたし、馬車の乗り心地も悪くなかったからね。
「っと、あそこに見えるのは、もしかしてこの国の王城かな?」
「首都だけあって、色々活気も良さそうデス。依頼が済みましたら、ここで買い物をしても良いかもしれまセン」
首都という事もあり、どうやらこの国の重要人物たちが滞在しているらしい王城とやらが目に入った。
建築様式は西洋の城と言う風だが、ちょっと東洋風のも混じっているような気もする。
そう言えば、この国ってどういう人が治めているんだろうか…‥‥愚王とかでは無さそうかな?
何にせよ、僕らは宿へ向かうのであった‥‥‥
―――――――――――――――
SIDE首都住民
……その日、首都以内の住民たちは、いつものざわめきを残しつつ、ある存在に目を奪われていた。
暑くなってきた今日この頃、夕暮時になればだいぶ涼しくなり、快適になってくる。
ゆえに、昼間に出にくかった分、そのストレスを発散しようとして‥‥‥偶然にも、その姿を見かけたのだ。
それは、首都内ではそう見る事がない存在。
下半身が蜘蛛である事から、人ではないと分かり、ネックレスにある石から、誰かの使い魔である証明がなされる。
それは人ではなく、モンスター……アラクネだ。
だがしかし、その姿は噂に聞くような通常のアラクネとは異なり‥‥‥一言で表すのであれば、美しかった。
風になびく白い姿は清楚さを醸し出し、豊満な胸は母性を感じさせる。
その隣にいるらしいメイドと、その主の者と会話しているようだが、時折見せる笑顔などの表情の変化は、まさに宝石と言ってもいいだろう。
いや、むしろ伝え聞くアラクネは冷酷で、残虐と言うのもあったのだが…‥‥今、都市の者たちが見ている彼女はそれとはまったく異なっていた。
優しそうな雰囲気を纏い、それでいて庇護欲をそそられるかのような‥‥‥
それはもう、まさに首都に舞い降りた天使とでもいうべきなのか、それとも種を越えた美をもたらす女神とも言うべきなのだろうか。
何にせよ、その姿を見て、目を奪われるものは多かった。
中には膝をつき、涙を流し、感激するものまでもが現れていたが、皆の共通する意識として不審に思われないようにという心が芽生え、密かに気が付かれないように隠しとおした。
……モンスターであろうとも、人であろうとも、美しいというのは種族を越えて存在するのだと、この日、首都の住人たちは学んだ。
それと同時に、良からぬ企みを持ち始める者も出てきたのだが…‥‥それを阻止しようという者たちも同時に出て、抗争が始まってしまうのは、もう少し後の話である。
今はただ、一目だけでも見る事が出来た、その幸運に彼らは感謝するのであった‥‥‥‥
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