拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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力の差

#60 どこかで見ているものなのデス

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SIDEシアン

‥‥‥首都内の観光だが、なかなか面白い。

「森では見ないものとか、都市でも見ないような珍しいものがあるなぁ」
【でも、資金的に大丈夫ですかね?】
「現状、問題は無いデス。ただ、もうそろそろ財布のひもを締めるべきでしょウ」
「そっか」

 普段ため込んでいる分、こういう時に散財しやすい。

 とは言え、一応生活費でもあるため、できるだけ支出を減らしたいのだ。

 なお、購入した道具や食料類などは、すべてワゼのメイド服のポケットにしまわれているために、現状手ぶらで済んでいたりする。

 こういう時に、本当にありがたいというか、便利というか、某猫ロボのポケットを求めたくなる気持ちが分かるなぁ‥‥‥ああ、ワゼを作った人が誰なのかは分からないが、この機能を付けてくれたことには感謝したい。

 でも、たまにやり過ぎてしまうところを抑える様な、制御装置的なものを付けてくれなかったところは、ハリセンなどで思いっきり叩いてやりたい。いらぬ犠牲者が増えるからね‥‥‥




 何にしても、これ以上の支出を防ぐために、まずは一旦休憩することにした。

 丁度お昼時なので、何処かの飲食店にでも入りたいところなのだが…‥‥ここで一つ、問題があった。

「ハクロも入れそうな店って、案外少ないな‥‥‥」

 カテゴリー的には、ハクロはモンスターでもあり、使い魔とされている。

 でも、使い魔も入れるお店があるかと言えば、案外少ないのだ。

 
 というのも、使い魔によっては色々と面倒な事もあるらしい。

 スライムであれば扉に挟まってヌルヌルになって、掃除が大変になったり、蛇であれば別の鳥の使い魔を食べようと動きかけたり、とりあえず問題ごとが起きたときに対処が大変なんだとか。

 そのために、飲食店では使い魔お断りの店もあるので、ハクロも使い魔なので入店ができないのである。

 ワゼの場合は‥‥‥まぁ、うん、彼女はメイドゴーレムなので特に問題ないようだ。

 ただ、中には「メイド厳禁」という店もあったが…‥‥何があったのだろうか?



 何にしても、色々と探してみた結果、使い魔も入れる飲食店を僕らは見つけ出し、そこで昼食をとることにした。

 
「さてと、何を頼もうかな‥‥?」

 メニューを見てみれば他種多様な‥‥‥‥あれ?

【‥…麺類ばかりですね】
「なにこれ、パスタ専門店?」

 まさかの麺類型の料理オンリーの店であった。しまった、看板をよく見ておけばよかった…‥‥まぁ、食べられるなら良いか。

 それに、おそらくというか、ほぼ確実に僕と同じような前世持ちでもいたのか、似たようなメニューがある。

 うどん、ラーメン、スパゲッティ、ナポリタン、そば、つけ麺……いや、麺類に偏り過ぎていないだろうか?

 何にしても、食べられるのであれば問題はあるまい。

「じゃあ、そばにでもしようかな」
【えっと、私は…‥‥そうですね、スパゲッティにいたしましょう】
「飲食の必要性は特にないですが、味の研究はしておきたいですし、ラーメンにしますカネ」

 とりあえず注文をし、すぐに料理が運ばれてきた。

‥‥‥が、料理名は同じでも、完全に同じものとは限らなかったようだ。

 ちょっと色合いが違うというか、緑色の側に、黒いスパゲッティ、チャーシューモドキみたいなのがねぇ……でも、黒いスパゲッティてイカ墨もあるからないわけでもなかったかな?

 何にしても、ぐぅと鳴らす腹の音もあるので僕らは食した。

「ん、中々おいしいな」

 ずぞぞっとすする‥‥‥というよりも、音が出せないようになっているのかつるつるとするのど越しである。

 どちらかと言えばうどんに近いような、細麺にしただけのような気もするが、これはこれでおいしい。

【なんかカリカリとした食感ですね?焦げているという訳でもなさそうなのに、なんでしょうか?】

 一方、ハクロの頼んだスパゲッティの方は、どうやら食感が不思議なことになっているらしい。

 首をかしげつつも、不味くはないようだ。焦げて黒くなったとかでもなさそうだけど、カリカリって何があるんだろうか?


「ふむ、ちょっと油があるようですが、それでもなかなか良いバランスデス。しかし、ちょっと茹ですぎてまスネ・・・・・・」

 ワゼの方もおいしいことはおいしいらしいが、麺の硬さがお気に召さないようである。

 何にしても、色々と味わうのであった。



――――――――――――――――――――――
SIDE国王

‥‥たまには公務をサボって、城下街に出ても悪くはなかったようだ。

 このボラーン王国の国王は、心の底からそう思った。

 政務を少々放り出し、変装して街中に紛れ込み、小腹が空いたので適当な店に入り込んでみれば、そこには美しき美女がいたのだ。


 ずるずるとパスタをそそっているようだが、それでもその顔は美しい。

 いや、顔どころか体自体も美しく、生ける秘宝といってもいいだろう。


 惜しむらくは、人ではなくモンスターであるという事であろうか…‥‥。

(‥‥ん?)

 そこでふと、国王はあることに気が付く。

 国を担う王だけに、色々と能力を高くしておかねばならぬと思い、目も鼻も耳も密かに鍛えていたのだが、美女の近くにある人物たち見えたのだ。

 それも、国王にとってはものすごく見覚えのある者たちと言うか‥‥‥‥






「‥‥‥で、お前たちは何を思ってストーキングをしていたというのだ?魔導士長、騎士団長」
「そ、それはですね陛下」
「何やら人心を乱すような女性がいると聞き、調査をしていたのです」

 店から出て、国王はすぐその人物たち…‥‥魔導士長と騎士団長の肩をつかみ、路地裏に連れ込んで事情を聴いた。

 普段は仲が悪いこの二人ではあったが、どうやら女性の話題であれば一時休戦する用で、気になって調査をしていたというのだ。

「騎士団長…‥‥お主は確か、妻子がいたであろう?魔導士長も、最近婚約者が出来たというのに、身を亡ぼす気か?」
「それは申し訳ございません」
「我々はただ、国の害にならないかどうかを見て調査をしていただけなのです」


 平身低頭な二人を見て、国王は溜息を吐く。

 普段は優秀なくせに、いがみ合ったり、こうやって組み合わせると何故こうも情けなくなるのだろうか?

 まぁ、それでも国のためを思って動いてくれるのであれば、一応大丈夫だと思いたいが…‥‥


「では、この場で端的に報告するが良い」
「はっ!」
「では、させていただきます!!」

 かくかくしがじかと報告を受け、国王は内容を理解した。

 いわく、あの美女は数日前にこの首都内に現れ、噂になっていたそうである。

 それで、どんな人物なのか彼らは興味を持ち、自ら調査していたのだとか。

「その結果、美女の方はアラクネで有り、とある魔法屋の使い魔という事が判明しました」
「そのうえ、その魔法屋なのですが、魔力量や魔法の規模が、我が魔導師団の者たちよりも格上な事も分かってしまいました」
「‥‥‥なんだと?」

 魔導士長のしたその報告に、国王は眉をひそめる。

 魔導士長は少々アホだが、それでも実力はあり、その部下である魔導士たちも優秀な精鋭部隊でもあるのだ。

 それなのに、それだけの実力の主がそう断言するという事は、下手するとその魔法屋とやらはこの国の魔導師団よりも力量が高いという事になるのだ。

「ですが、詳細は未だに不明。一応、国に対しては害をなすような者たちではなそうですが」
「このプライド馬鹿がこういうのが珍しいので、警戒して観察していたのです」
「おいこら、プライド馬鹿ってどういう事だ?筋肉ダルマ衛門」
「何だその返し方は?誰が筋肉ダルマだこのむっつり魔法馬鹿」
「「‥‥‥‥」」

 互いににらみ合い、今にもぶつかり合いそうな空気と化す。

「やめよ二人とも‥‥‥‥」

 その毎度おなじみのような喧嘩の一歩手前の様子に、国王は頭を抱えつつも静止させるのであった。


「とにもかくにも、あの美女の方は置いておくとして、その魔法屋の主とやらが非常に怪しいというのか?」
「都市アルバスの方から着た魔法屋のようですが、素性が良くつかめません」
「また、もう一人いるのですが…‥‥その魔法屋にメイドが常にいるようなのです。ただし、人ではなく‥‥‥どうやらゴーレムです」
「なるほど…‥‥何やら色々とありそうだ」

 報告を聞き終え、国王はしばし考える。

 何者なのか非常に気になる処なのだが、迂闊に手出しをすれば不味そうな予感もするのだ。

「よし、この間任務を果たしてもらったばかりだが、二人に命じよう。騎士団長及び魔導士長よ、その魔法屋の素性とやらを調査するのだ。ただし、まずそうであればむやみに踏み込んではいけぬ」
「はっ、了解いたしました」
「では、その任務を承ります」

 ひとまずは任務として、その気になる者たちの調査を国王は行わせるのであった。

「‥‥‥あー、ついでにもう一つ。あの美女についての情報も探っておけ。いや、正確に言えばその周辺に出る者たちの素性の方をな」
「それはどういう事でしょうか?」
「あの美しさ、国王の立場からしても手に入れたいが、使い魔なのでそう簡単にはいかぬだろうし、高嶺の花という事で諦めることはできる。だがしかし、それでも手に入れようと擦るような馬鹿が出るだろうし、現時点でその主の魔法屋の実力も高いと分かっているのであれば、むやみに争いが起きても困る。事前に防ぐように動け」


…‥‥国王の勘としては、これから先面倒ごとがある予感がした。

 特に、あの謎の美女に関しては、周囲で色々と起きてしまうだろうと。

 この際だから、馬鹿共を一掃して掃除してしまう方が良さそうだとも考え、念のためのその周辺も調べておくように命じておくのであった。


 そして、その考えは当たっていたことを国王は知り、色々と手を回すことができた。

 だがしかし、国王はまだ知らない。

 勝手に政務を抜け出して、サボった罰として、王城にて王妃がびしんばしんと鞭を振るって練習していることを。

 ついでに側妃たちも仲良く参加して、こちらではハリセンを練習していることを。

 その事を知るのは、王城へ戻った後であり、王城内に悲鳴が響くのであった…‥‥‥


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