拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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力の差

#61 風格とはこうあるべきものなのデス

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SIDEシアン

‥‥‥首都ボラーンでの依頼を終え、都市アルバスへシアンたちは戻って来た。

 魔法ギルドにて依頼達成の報告をし、達成報酬としては当初予定していた金貨20枚を貰う予定であったが‥‥‥

「首都の冒険者ギルドの方から、模擬戦を利用する形で馬鹿の排除もやった事ということで、追加の金貨20枚、更にどういう訳か匿名で10枚届き、合計金貨50枚の報酬だ」
「金貨50枚ですか‥‥‥うわぁ」
【物凄い大金ですよこれ…‥‥首都で使った分が戻ってきましたよ】
「むしろ、おつりも含めてますネ」

 ギルドの執務室にて、ギルド長から直々に報酬をもらい、僕らはその報酬の多さに目を丸くしていた。

「ところで、その匿名というのは?」
「それは分からない。一応検査してみたが、贋金でもなく、毒も何もない、ただの金貨である。まぁ、そう悪いものではなさそうだがな」
「ふむ…‥‥本当にそのようデス。害となるような物質もありませんし、本当に純粋な金のようデス」

 ワゼのお墨付きも得て、安全な金である事を確認し、僕らはその報酬を受け取った。

 にしても、予定以上の大金とはなぁ‥‥‥‥ちょっと大金の保持は怖いし、後で預けたりした方が良いだろう。

 とにもかくにも、ハルディアの森の自宅へ帰るために、停留所で待機していたポチの下へ向かい、馬車に乗って帰宅することにした。






 そしていつも通り、ハルディアの森の前にまで来たのだが‥‥‥‥そこでふと、ポチがつぶやいた。

【ぬ?…‥‥げっ、まだいるのか】
「ン?どうしたんだポチ?」

 馬車の速度が落ち、何処かポチが嫌そうな声でつぶやく。

 冷や汗が流れているようで、怯えているような…‥‥フェンリルが怯える様なものってあっただろうか?

 いや、案外いたわ。ワゼにポチの奥さんのロイヤル…‥‥でも、その二人でもないようだ。


 とりあえず、いつも以上にポチが警戒し、僕らの家に到着した。

 ここでポチとは分かれ、彼は巣へ戻るはずである。

【でもなぁ…‥‥こう、嫌な予感と言うか、行きたくないな】

 だが、ポチは馬車から外され、自由になっても足踏みをしてその場から動こうとはしなかった。


‥‥‥あ、そうか。

 そこでふと、僕は思い出した。

 首都へ向かう前に、ポチ自身が話していたことを。




【…‥‥帰って来たかぁ!!ポルネリア=チルデドロスぅぅぅぅぅぅぅ!!】

 突如として、森全体に響き渡り、物凄い怒声が突き抜けた。

 その大声に僕らは耳を抑えつつ、ポチの方を見てみると真っ青になっていた。

【ひぃっ!!い、今の声は!!】

 そう言えば、ポチのフルネームってポルネリア=チルデドロスだったっけ?と考えている間に、ポチはその場から逃亡しようと駆けだしたが、それは無しえなかった。


 なぜならば、その行く手に大きな巨体が立ちふさがったからだ。

 実にポチの3倍、いや、10倍以上の巨体で有り燃え盛るような真紅の毛並みを持った、大きなフェンリル。

 どうやらその真紅のフェンリルこそが、ロイヤルさんの方の祖父‥‥‥‥

【な、なぜこうも素早くうご、】
【その前にまずは挨拶せんか、この大馬鹿者がぁぁぁぁぁ!!】

 ポチが言い終わる前に、その真紅のフェンリルは前足を振り上げ…‥‥


ズッシィィィィッィィン!!
【ギャァァァァァァァァァァァァぁ!!】

 たったの一撃で、ポチを叩き伏せ、その力で地中に埋めたのであった。

 






【‥‥‥この馬鹿が返ってきた気配を察し、ここへ来たのだが、ついぶちっと潰してもうた。怖がらせたようで、済まなかったのぅ】
「いえ、別に大丈夫なのですが…‥‥その、ポチが頭だけしか出ていない状態なのですが、良いのでしょうか?」
【その程度ならば、問題はないのぅ。この馬鹿はそうたやすく息絶えぬタフさがあるし、存分に叩けるからのぅ】

 そう言うと、その真紅のフェンリル…‥‥もとい、フェンリル一家のロイヤルの方の祖父、ヴァルハラ=チルデドロスさんは、ポチを再度ぷちっと踏みつけ、より強く地中へ埋めた。


…‥‥話によれば、先日のアンデッドの件で、神獣たちの方でもその話が広がっており、都市アルバスはこの森に近く、ロイヤルさんの身と孫を心配したヴァルハラさんは、わざわざ全速力でこの森へやって来たそうである。

 孫たちやロイヤルさんの元気な姿、森に張られている結界の異常の無さなどを確認し、安心はできた。

 だがしかし、こういう時に限ってフェンリル一家の長であるはずのポチが、いないことに激怒していたそうである。

【一応、ロイヤルの方からポルネリアをお主たちが馬車の馬代わりにし、用事で離れていた事は知っておった。だがな、先に聞いておきたいのだが…‥‥その用事において、1~2日ほどはこやつが自由になれるときはなかったのか?】
「いえ、一応自由にできる時はありましたよ」
「ええ、数日ほどはできたはずデス」
【なるほどなぁ…‥‥確認はとれた。つまり、自由な時が出来ていたのに、森に戻らずに外でお前は遊び惚けていたというわけか?ポルネリア、いや、大馬鹿野郎よ】
【えっと、その、いや…‥‥】

 ヴァルハラさんの問いかけに、ポチはだらだらと物凄い冷や汗をかく。

 逃げようにも体は埋まっており、逃げることができない。


【妻子を守らず、外で遊び惚けるとは何たる愚かさか…‥‥ああ、また叩き直さねばいけないのかのぅ?】
【そ、それだけはご勘弁を!!】

 必死に弁解し始め、何とか逃れようとポチはあがき続ける。

 だがしかし、その様子はフェンリルという威厳を一気に失いまくり、もはや情けない獣にしか見えない。

 逆に、真紅のフェンリルであるヴァルハラさんの方が圧倒的に強者と言うか、フェンリルとしての風格・威厳・威圧感・強者感等々、溢れさせているだろう。





‥‥‥そして数分後、話は付き……いや、先に精神的に潰されたポチは気絶した状態で、埋められたのに無理やり地面から引っこ抜かれた。

【はぁっ…‥‥なぜこうも情けないのか、頭が痛いのぅ】

 溜息を吐くヴァルハラさん。

 ポチを咥え、上に放り投げ、その体を背中に乗せる。

【よっと……では、この馬鹿者を鍛え直すとしよう。そうだな、大体2週間もあれば十分だろうか?その期間、そちらはこの馬鹿者が使えぬが…‥‥大丈夫だろうか?】
「いえ、全然問題ありません」
「2週間程度なら十分大丈夫デス」
【依存しすぎてもいませんし、どうぞお好きにしてください】

 満場一致で、ポチはそのままヴァルハラさんによって森の奥へ運ばれてしまうのであった。


「‥‥‥ねぇワゼ、ハクロ。2週間後、ポチが無事でいられるかちょっと賭けてみる?」
「いえ、やめておきましょう。既に未来が視えていマス」
【ええ、私たちにできるとすれば、ご冥福を祈るだけですね…‥‥】

 何にせよ、僕らにできることはない。

 ただ、ポチの命が失われないことを願うだけであった‥‥‥‥いやまぁ、流石に亡くなりはしないかもしれないが、その可能性が高そうに見えたもん。

 しかし、ヴァルハラさんってポチやロイヤルさん以上に大きかったなぁ…‥‥あの毛並み、触ったらすごいモフッとしていそうだ。

 というか、本当に同じフェンリルなのか気になるところである。


 とにもかくにも、首都でのお土産などを整理すべく、家に僕らは入るのであった。


―――――――――――――――――
SIDEヴァルハラ=チルデドロス

‥‥‥背中にポチを担ぎながらも、ヴァルハラはこの森にある巣へ向かっていた。

 ポチを鍛え直す前に、一度きちんと孫たちにこのポチの姿を見せて、教訓にしてもらわねばならないと考えているのである。

 孫は大事だが、このポチのように情けなくならないようにと、反面教師としての素材として利用する気満々であった。



 そんな中で、ふとヴァルハラは考える。

 ポチを捕縛する際に見た、あの家の住人。その中でも一人、気になる者がいたのだ。

 

 メイドもアラクネも関係ない。気になったのは、その主…‥‥シアンという人物である。

【あの者がそうか……】

 先日、孫たちとの遊びの中で色々あってあの家へ向かい、そこにいたとある知り合いに出くわした。

 そして、その知り合いの受けている影響などから、ある可能性が頭の中に浮かんでいたのだが‥‥‥直接対峙してみて、ほぼ確定となった。

【‥‥‥まさか、孫たちの代でなるとはなぁ】


 ヴァルハラはまだ若いように見えて、実はかなりの高齢である。

 それでも、昔の事は鮮明に覚えており、どのような事になっていたのかもわかっているのだ。


 とは言え、今はまだその片鱗をあの者は見せていない。

 けれども、いつかは必ず見せるであろう。

【とは言え、悪しき者でもないし、大丈夫だろう】


‥‥‥前の時の者は・・・・・・ダメであった。

 あれは完全に邪悪な存在と化し、世界の敵となり、そして滅された。

 だが、今代は‥‥‥‥多分、大丈夫なはずである。

 穏やかであり、平穏を望み、悪しき者になる気配もない。

 とは言え、下手に歪められぬように、ヴァルハラ以外の神獣たちにも話しておくべきかと考えつつ、巣へ戻るのであった‥‥‥‥
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