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力の差
#63 たまにはこう、のんびりとデス
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SIDEポチ
【うぼあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!】
悲鳴を上げ、涙を滝のように流し、今、ポチは死に物狂いの全速力で走っていた。
【あの糞爺、完全に殺す気満々じゃねぇかぁぁぁぁあ!!】
怒りの声があふれ出るが、それでも立ち止まることはできず、必死に走り抜けていく。
そう、今ポチはあるモノに追いかけられていた。
【ギュベェェェェェェ!!】
奇声をあげ、そして後方から津波のごとく、地上に大きな毒の波を作り上げて進んでくるのは、フェンリルと同格の神獣とされる、巨大な蒼い大蛇「ヨルムンガンド」。
いや、正確に言えば並みを作り上げているというよりも、自身の尻尾の先を加えて円状になり、転がっているついでに纏っていると考えれば良いだろう。
文字通り火の車、いや、炎が毒水に変わった水車といった方が正しいのかもしれない。
とはいえ、そんな生易しい表現で済むものではないとポチは知っている。
その毒水は、ありとあらゆる生物にとって効果があるもので、触れるだけでも焼け爛れる危険性があるのだ。
【さぁさぁさぁさぁさぁ!!かかってこいやぁぁぁぁぁ!!】
【できるかこの大馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
そのヨルムンガンドの言葉に、フェンリルは必死になって言い返す中、少し離れた高台には、二頭の神獣がいた。
【よーし、いけいけいけ!!そのまま大馬鹿者を潰しても良いぞ!!】
【いや、あれ仮にもそちらの娘婿だよね?あっしの息子に潰させても良いのか?】
【別にどうでもいい!!】
片方は、真紅のフェンリル『ヴァルハラ』。
そして、呆れたように言うのは、現在ポチを追いかけているヨルムンガンドの親である、より大きなヨルムンガンドの『グラタン』であった。
神獣同士、たまに会い、そして修行のために戦う事があり、ある場所で戦闘することがある。
現在彼らがいるところは人間が来れるような場所ではないために、存分に戦闘が出来る。
ゆえに今回、ヴァルハラはポチを鍛え直す裏で抹殺も少々含むついでとして、神獣のヨルムンガンドを誘ったのであった。
【孫や娘は大事だが、あの泥棒猫もとい情けない同族がここでくたばれば、そこまでという事だからのぅ】
【まぁ、あっしの方から見ても確かにあれは情けないねぇ……】
ヴァルハラの言葉に、グラタンはその様子を見て、何も擁護することができずに、むしろ呆れる様な声を出す。
神獣というのは、人間が勝手に定義づけたようなものではあるが、どのようなものなのかグラタンは知っていた。
主にモンスターの中でも知能が高くなり、そして崇拝されるような類‥‥‥大雑把に言ってしまえばそうなるのだ。
とは言え、一応「神」の字がついているゆえか、力そのものは圧倒的であり、その威厳などはきちんと保たれた方が良いとグラタンは思っていた。
だがしかし、同じ神獣の中でも、あのポチというフェンリルだけは情けなさすぎるというか、本当に今真横にいるヴァルハラと同族なのかと疑いたくなるレベルである。
【とは言え、あっしの息子の最近編み出した『地獄毒車』に追いつかれずに逃げ延びている脚力はすさまじいなぁ。本気を出せばかなりの力量がありそうなのに…‥‥情けなさしかにじみ出ないとはねぇ】
ふぅっと溜息を吐き、他人ながらもその情けなさに憐憫をグラタンは抱くのであった。
【‥‥‥っと、それはそうとして、あれは放置するとしてだが、今日ここに呼んだのはただあの情けなさすぎ神獣を亡き者げふんげふん、鍛え上げるためという訳ではないだろう?】
【ああ、そうだ。‥‥‥一応言っておくが、言い直す必要はないぞ】
【そうかいそうかい】
話を一旦ポチから切り離すとして、グラタンはヴァルハラに問いかける。
【何か話があるというならば聞くが、一体何があったんだい?】
【では、話そうかのぅ…‥‥あの植物野郎の本体?いや、子供?どういうべきかはややこしいが、『その者であってその者ではない』のが、ハルディアの森にいた】
【あの植物野郎?…‥‥‥んんん?いや、ちょっと待てよ?え?そちらが言っているのはもしやあっしも知っているやつ?】
【ああ、そうだ】
その言葉に、グラタンは驚愕のあまり顎が外れそうなほど開いた口がふさがらなかった。
【‥‥‥うわぁ‥‥‥まさか、それが…‥‥ん?でも待てよ?おかしくないか?】
【何がだ?】
【そちらの言ったことが本当ならば、別物だろうと本物だろうとややこしかろうと、そいつは森に収まるような奴じゃなかったはずだろ?あっしも知っているが、確か普通は神獣並みの力を持った化け物で、そして人々を喰らい、そのうえ神獣もモンスターも関係なく、生きとし生けるものすべてを喰らいつくすのでは……】
【それがおかしなことにだ、あの植物はそうなってはいない。むしろ、無害化されておった】
【はぁっ!?】
グラタンは驚愕の声を上げる。
【いやいやいやいや!!おかしいだろう!!】
グラタンは知っている。
その話題の相手は、どう考えても無害化されるような代物ではないということを。
むしろどうやってするのかすらも分からずに、大昔にひどい目に遭ったことだってあるのだ。
【おかしいとはいえ、それが現実に起きている。だがしかし、その原因となるものならばわかった】
【どういうことだ?あんなもんを制御できそうなものは…‥‥あ】
ヴァルハラの言葉にグラタンは首を傾げ、しばし考え他の地に、ある考えが浮かんだ。
【まさかとは思うが‥‥‥「アレ」か?いや、だが流石に‥‥‥】
【残念ながらというべきか、それとも偶然というべきか…‥‥お前の考えた者であろう】
【…‥‥】
信じられない表情をするグラタン。
だが、嘘を目の前のヴァルハラが言うはずもない。
【‥‥‥なんにせよ、今代のアレは害ある存在ではあるまい】
【いや、でも、またあっしたちが色々と大変なことになるような事態はないよな?】
【流石に無いとは思う。かなり昔に出たやつとは、容姿も中身もまるで異なるし、今代は世界征服などとばかげたことを考える可能性は0だ】
【それならいい…‥‥のか?】
【それは分からん。だが、気になるのであれば探れば良い】
そこで話を切り上げ、ヴァルハラはポチたちの方に目を移した。
【ちっ、まだあの馬鹿者は追いつかれていないか…‥‥ここは参戦し、自ら潰さねばな】
【いやちょっと待て、まだいろいろと気になる事が‥‥‥】
グラタンはまだ話を続けたかったが、ヴァルハラがポチの鍛え上げに参加するために走って行ってしまい、続けることができなかった。
【‥‥‥気になるが、直接見に行けないな】
ボソっとつぶやき、考えるグラタン。
ヨルムンガンドゆえに、毒の水を精製してしまい、迂闊に森へ出向けないのだ。
【しかし気になりもするし、そもそも本当に大丈夫なのか…‥‥待てよ?】
そこでふと、グラタンはある案を思いついた。
【何も自分で見に行かなくとも良いな。報告させつつ、うまいこと行けば争いごとも回避した状態で友好関係を築き上げられるかもしれぬ】
思い立ったが吉日、とはグラタンの大昔の友人が言っていた言葉。
その言葉通り、グラタンは独自に動いてみることにしたのであった‥‥‥‥
【ぎゃぁぁぁぁぁあ!!絶望が追加されたぁぁぁ!!】
【情けない悲鳴を上げるな!!】
聞こえてきた悲鳴を、聞かなかったことにしつつ……
――――――――――――――――――
SIDEシアン
ポチの修行のせいで、2週間ほどの移動制限がかかったので、今、僕らは家に籠っていた。
ミニワゼシスターズも稼働テスト中として、今はまだワゼのコントロール下に置いているそうだが、問題が無ければ勝手に稼働させても良いらしい。
というか、勝手に動けるものなのだろうか?
「ええ、一応思考回路は私と同じようなものにしてますので、自立稼働は可能デス。あと3日ほどはまだ決められたことをしますが、それ以降は各自ご主人様のために動くようになっておりマス」
「そう言うものなのか」
ゴーレムについてはまだ良く分からない。
というか、そもそもワゼの構造自体がなぁ…‥‥本当に謎多きメイドである。
「色々と知りたいのであれば、こちらをどうゾ」
「ん?」
そう言ってワゼに手渡されたのは、一冊の本である。
「この間行った首都の書店にて、ミニワゼたちを作るための参考に購入した書籍デス」
「えっと、『誰でもわかるゴーレム製造方法~初心者編~』か」
著者はフィン…‥‥いや、効いたこともない名前だが、どうやらゴーレム業界なる処では有名人だとか。
この国のある大陸とは異なる、もっと別の国のとある錬金術師と呼ばれる職の人だったらしい。
中身を読んでみればわかりやすく書かれているが、案外こういう人がワゼとか作ったとかだったりして。
「でも結構面白いなぁ…‥‥って、あれ?」
よく見てみれば、端の方に創刊号と書かれていた。
「『付録:毎月の部品をくみ上げて作る、あなただけのゴーレム』か‥‥‥こんなのもあるのか」
ちょっと前世に似たような類があったが、こんな事を考え付く人がいたのだろうか?
できるゴーレムは、20分の1スケールタコ型ゴーレム。どこに需要があるゴーレムだ?
あ、ルンバのようなお掃除機能付き?それならちょっと便利…‥‥いや、ワゼがいるから意味ないな。
「ええ、どうやらそうデス。ただし、著者のフィンさんが直接監修したのは120年ほど前のもので、これは復刻版だそうデス」
「120年前でこれか!?」
「ハイ」
「とはいえ、元々あった国は既に滅び、正確には遺跡などから発掘し、面白そうだからパクってみたと、編集長のコラムにありマス。不完全ゆえに、6%しか再現できないそうデス」
「それいちばんやっちゃダメな奴じゃないか!?」
不完全というのならば、それはそれで色々とダメなような気がする。
しかし、120年ほど前にこんなものを発行する国があったのか‥‥‥‥滅んでいなければ、ちょっと興味があって観光に行きたかった国かもね。
時間の流れの残酷さを味わいつつ、面白いので読みふけってみるのであった。
「ところでハクロは?」
【ミニワゼたち用の衣服を作ってもらってマス。改善点が見つかったので、協力してもらっているのデス】
同意の上でなら問題はないが…‥‥強制している様子もないし、大丈夫か。
チュドォォォォン!!
【きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?なんで衣服が爆発したんですかぁぁぁぁぁ!?】
「…‥‥おい、ワゼ」
「あ、そう言えば護身用に軽めの爆薬を付けたままでシタ」
……前言撤回。全然大丈夫じゃなかった。
とりあえず、手当のためにも僕は彼女の部屋へ向かうのであった。
【うぼあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!】
悲鳴を上げ、涙を滝のように流し、今、ポチは死に物狂いの全速力で走っていた。
【あの糞爺、完全に殺す気満々じゃねぇかぁぁぁぁあ!!】
怒りの声があふれ出るが、それでも立ち止まることはできず、必死に走り抜けていく。
そう、今ポチはあるモノに追いかけられていた。
【ギュベェェェェェェ!!】
奇声をあげ、そして後方から津波のごとく、地上に大きな毒の波を作り上げて進んでくるのは、フェンリルと同格の神獣とされる、巨大な蒼い大蛇「ヨルムンガンド」。
いや、正確に言えば並みを作り上げているというよりも、自身の尻尾の先を加えて円状になり、転がっているついでに纏っていると考えれば良いだろう。
文字通り火の車、いや、炎が毒水に変わった水車といった方が正しいのかもしれない。
とはいえ、そんな生易しい表現で済むものではないとポチは知っている。
その毒水は、ありとあらゆる生物にとって効果があるもので、触れるだけでも焼け爛れる危険性があるのだ。
【さぁさぁさぁさぁさぁ!!かかってこいやぁぁぁぁぁ!!】
【できるかこの大馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
そのヨルムンガンドの言葉に、フェンリルは必死になって言い返す中、少し離れた高台には、二頭の神獣がいた。
【よーし、いけいけいけ!!そのまま大馬鹿者を潰しても良いぞ!!】
【いや、あれ仮にもそちらの娘婿だよね?あっしの息子に潰させても良いのか?】
【別にどうでもいい!!】
片方は、真紅のフェンリル『ヴァルハラ』。
そして、呆れたように言うのは、現在ポチを追いかけているヨルムンガンドの親である、より大きなヨルムンガンドの『グラタン』であった。
神獣同士、たまに会い、そして修行のために戦う事があり、ある場所で戦闘することがある。
現在彼らがいるところは人間が来れるような場所ではないために、存分に戦闘が出来る。
ゆえに今回、ヴァルハラはポチを鍛え直す裏で抹殺も少々含むついでとして、神獣のヨルムンガンドを誘ったのであった。
【孫や娘は大事だが、あの泥棒猫もとい情けない同族がここでくたばれば、そこまでという事だからのぅ】
【まぁ、あっしの方から見ても確かにあれは情けないねぇ……】
ヴァルハラの言葉に、グラタンはその様子を見て、何も擁護することができずに、むしろ呆れる様な声を出す。
神獣というのは、人間が勝手に定義づけたようなものではあるが、どのようなものなのかグラタンは知っていた。
主にモンスターの中でも知能が高くなり、そして崇拝されるような類‥‥‥大雑把に言ってしまえばそうなるのだ。
とは言え、一応「神」の字がついているゆえか、力そのものは圧倒的であり、その威厳などはきちんと保たれた方が良いとグラタンは思っていた。
だがしかし、同じ神獣の中でも、あのポチというフェンリルだけは情けなさすぎるというか、本当に今真横にいるヴァルハラと同族なのかと疑いたくなるレベルである。
【とは言え、あっしの息子の最近編み出した『地獄毒車』に追いつかれずに逃げ延びている脚力はすさまじいなぁ。本気を出せばかなりの力量がありそうなのに…‥‥情けなさしかにじみ出ないとはねぇ】
ふぅっと溜息を吐き、他人ながらもその情けなさに憐憫をグラタンは抱くのであった。
【‥‥‥っと、それはそうとして、あれは放置するとしてだが、今日ここに呼んだのはただあの情けなさすぎ神獣を亡き者げふんげふん、鍛え上げるためという訳ではないだろう?】
【ああ、そうだ。‥‥‥一応言っておくが、言い直す必要はないぞ】
【そうかいそうかい】
話を一旦ポチから切り離すとして、グラタンはヴァルハラに問いかける。
【何か話があるというならば聞くが、一体何があったんだい?】
【では、話そうかのぅ…‥‥あの植物野郎の本体?いや、子供?どういうべきかはややこしいが、『その者であってその者ではない』のが、ハルディアの森にいた】
【あの植物野郎?…‥‥‥んんん?いや、ちょっと待てよ?え?そちらが言っているのはもしやあっしも知っているやつ?】
【ああ、そうだ】
その言葉に、グラタンは驚愕のあまり顎が外れそうなほど開いた口がふさがらなかった。
【‥‥‥うわぁ‥‥‥まさか、それが…‥‥ん?でも待てよ?おかしくないか?】
【何がだ?】
【そちらの言ったことが本当ならば、別物だろうと本物だろうとややこしかろうと、そいつは森に収まるような奴じゃなかったはずだろ?あっしも知っているが、確か普通は神獣並みの力を持った化け物で、そして人々を喰らい、そのうえ神獣もモンスターも関係なく、生きとし生けるものすべてを喰らいつくすのでは……】
【それがおかしなことにだ、あの植物はそうなってはいない。むしろ、無害化されておった】
【はぁっ!?】
グラタンは驚愕の声を上げる。
【いやいやいやいや!!おかしいだろう!!】
グラタンは知っている。
その話題の相手は、どう考えても無害化されるような代物ではないということを。
むしろどうやってするのかすらも分からずに、大昔にひどい目に遭ったことだってあるのだ。
【おかしいとはいえ、それが現実に起きている。だがしかし、その原因となるものならばわかった】
【どういうことだ?あんなもんを制御できそうなものは…‥‥あ】
ヴァルハラの言葉にグラタンは首を傾げ、しばし考え他の地に、ある考えが浮かんだ。
【まさかとは思うが‥‥‥「アレ」か?いや、だが流石に‥‥‥】
【残念ながらというべきか、それとも偶然というべきか…‥‥お前の考えた者であろう】
【…‥‥】
信じられない表情をするグラタン。
だが、嘘を目の前のヴァルハラが言うはずもない。
【‥‥‥なんにせよ、今代のアレは害ある存在ではあるまい】
【いや、でも、またあっしたちが色々と大変なことになるような事態はないよな?】
【流石に無いとは思う。かなり昔に出たやつとは、容姿も中身もまるで異なるし、今代は世界征服などとばかげたことを考える可能性は0だ】
【それならいい…‥‥のか?】
【それは分からん。だが、気になるのであれば探れば良い】
そこで話を切り上げ、ヴァルハラはポチたちの方に目を移した。
【ちっ、まだあの馬鹿者は追いつかれていないか…‥‥ここは参戦し、自ら潰さねばな】
【いやちょっと待て、まだいろいろと気になる事が‥‥‥】
グラタンはまだ話を続けたかったが、ヴァルハラがポチの鍛え上げに参加するために走って行ってしまい、続けることができなかった。
【‥‥‥気になるが、直接見に行けないな】
ボソっとつぶやき、考えるグラタン。
ヨルムンガンドゆえに、毒の水を精製してしまい、迂闊に森へ出向けないのだ。
【しかし気になりもするし、そもそも本当に大丈夫なのか…‥‥待てよ?】
そこでふと、グラタンはある案を思いついた。
【何も自分で見に行かなくとも良いな。報告させつつ、うまいこと行けば争いごとも回避した状態で友好関係を築き上げられるかもしれぬ】
思い立ったが吉日、とはグラタンの大昔の友人が言っていた言葉。
その言葉通り、グラタンは独自に動いてみることにしたのであった‥‥‥‥
【ぎゃぁぁぁぁぁあ!!絶望が追加されたぁぁぁ!!】
【情けない悲鳴を上げるな!!】
聞こえてきた悲鳴を、聞かなかったことにしつつ……
――――――――――――――――――
SIDEシアン
ポチの修行のせいで、2週間ほどの移動制限がかかったので、今、僕らは家に籠っていた。
ミニワゼシスターズも稼働テスト中として、今はまだワゼのコントロール下に置いているそうだが、問題が無ければ勝手に稼働させても良いらしい。
というか、勝手に動けるものなのだろうか?
「ええ、一応思考回路は私と同じようなものにしてますので、自立稼働は可能デス。あと3日ほどはまだ決められたことをしますが、それ以降は各自ご主人様のために動くようになっておりマス」
「そう言うものなのか」
ゴーレムについてはまだ良く分からない。
というか、そもそもワゼの構造自体がなぁ…‥‥本当に謎多きメイドである。
「色々と知りたいのであれば、こちらをどうゾ」
「ん?」
そう言ってワゼに手渡されたのは、一冊の本である。
「この間行った首都の書店にて、ミニワゼたちを作るための参考に購入した書籍デス」
「えっと、『誰でもわかるゴーレム製造方法~初心者編~』か」
著者はフィン…‥‥いや、効いたこともない名前だが、どうやらゴーレム業界なる処では有名人だとか。
この国のある大陸とは異なる、もっと別の国のとある錬金術師と呼ばれる職の人だったらしい。
中身を読んでみればわかりやすく書かれているが、案外こういう人がワゼとか作ったとかだったりして。
「でも結構面白いなぁ…‥‥って、あれ?」
よく見てみれば、端の方に創刊号と書かれていた。
「『付録:毎月の部品をくみ上げて作る、あなただけのゴーレム』か‥‥‥こんなのもあるのか」
ちょっと前世に似たような類があったが、こんな事を考え付く人がいたのだろうか?
できるゴーレムは、20分の1スケールタコ型ゴーレム。どこに需要があるゴーレムだ?
あ、ルンバのようなお掃除機能付き?それならちょっと便利…‥‥いや、ワゼがいるから意味ないな。
「ええ、どうやらそうデス。ただし、著者のフィンさんが直接監修したのは120年ほど前のもので、これは復刻版だそうデス」
「120年前でこれか!?」
「ハイ」
「とはいえ、元々あった国は既に滅び、正確には遺跡などから発掘し、面白そうだからパクってみたと、編集長のコラムにありマス。不完全ゆえに、6%しか再現できないそうデス」
「それいちばんやっちゃダメな奴じゃないか!?」
不完全というのならば、それはそれで色々とダメなような気がする。
しかし、120年ほど前にこんなものを発行する国があったのか‥‥‥‥滅んでいなければ、ちょっと興味があって観光に行きたかった国かもね。
時間の流れの残酷さを味わいつつ、面白いので読みふけってみるのであった。
「ところでハクロは?」
【ミニワゼたち用の衣服を作ってもらってマス。改善点が見つかったので、協力してもらっているのデス】
同意の上でなら問題はないが…‥‥強制している様子もないし、大丈夫か。
チュドォォォォン!!
【きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?なんで衣服が爆発したんですかぁぁぁぁぁ!?】
「…‥‥おい、ワゼ」
「あ、そう言えば護身用に軽めの爆薬を付けたままでシタ」
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とりあえず、手当のためにも僕は彼女の部屋へ向かうのであった。
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