拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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寒さ到来面倒事も到来するな

#185 何かとわからないこともあるのデス

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SIDEシアン

……氷塊の中から現れた、謎の少女。

 自身の体を見て叫んでいるところから見ると、何やら訳ありらしい。


「どうちて!?どうちて!?何でわたしの体小っちゃくなっているにょ!?」

 驚きつつ、ややたどたどしい発音。

 なんか、幼児っぽいような話し方だが…‥‥口ぶりから察するに、本来は違うのだろうか?


【えっと、その……話を聞いても良いでしょうか?】

 なんとか混乱も落ち着いてきた頃合いを見計らい、ハクロはそう話しかけた。

「うわっ!?え!?あ…‥‥周囲に人が、いたにょ‥‥」

 僕らには気が付いていなかったようで、今の問いかけで認識したらしい。

 ぐるっと見渡し、何かを考えこむようなそぶりを見せ‥‥‥

「‥‥‥ふわああああ!!やってしまっちゃよーーーー!!」

 顔を手で覆い隠し、その場に座り込むのであった。












「‥‥‥えっと、さっきの失態は、できれば忘れて欲しいにょ」
「あー、うん」

 羞恥心を抱いたようで、復活してもなんかぶるぶる震える青い少女。

 例えるのであれば、盛大な失敗をやらかしたというような雰囲気を纏っているようだが、なんとか復活した精神力は良いとは思う。

「こほん、とりあえじゅ、気を取りなおちて…‥‥互に情報を交換したほうがよいかみょ?」
「まぁ、そうしたほうが良いかも?こっちとしても、何者なのか把握できていないしね」

 とにもかくにも、雰囲気的にも落ち着かせたところで、互いに情報を交換することにした。


「では、まずは自己紹介からするにょ!わたしは、本当であればもっとこう、ぼーんできゅっとして、すりゃりんっとした体の‥‥‥えっと、あれ?名前が思い出せないにょ‥‥‥あれぇ?」
「…‥‥ツッコミどころはあると思うけど、名前が思い出せないの?」
「そうにゃの。元の体の状態とかは覚えているのに………‥‥あれれ?」

 何やら様子がおかしい。

「‥‥‥フム?ちょっと診せてもらいましょうカ?」
「ん?ワゼ、わかるの?」
「ちょっとは、データにありそうなものですので、なんとかなるカト。それで名無しの貴女、ちょっと診察して良いでしょうカ?」
「え?別にいいにょ」

 とりあえずワゼが何やら彼女を調べ、分析し終えた。


「…‥‥あー‥‥‥これ、ちょっと面倒な感じの方デス」

 分析結果が出たのか、ワゼが額に手を当て、そう口にした。

「面倒な感じというと?」
「専門外ですが…‥‥データ上と照らし合わせると、この結果は呪いの類デス」
【呪い?】

……なんというか、あまり聞きなれない単語。

 されども、そう馬鹿にはできない言葉。

 この世界には魔法があるが、その一種に呪いと呼ばれる類のもあるらしい。

 正確に言うのであれば、もっと違うものらしいが、その話は置いておくとして、とにもかくにもこの少女にはその呪いとやらがあるらしい。

「私でも正確には出せませんが、3つはありますネ。『幼少弱体化』、『記憶封印』、3つ目が‥‥‥んー、これは分析できまセン」

 ワゼが分析できないというだけで、3つ目の呪いとやらがやばそうな気はする。

 まぁ、今回影響を呼ぼしているのは前者の二つらしい。

「その呪いのせいで、わたしは自分がわからないにょ!?」
「そうなりますネ」

 少女の言葉に、ワゼはそう返答した。

「記憶はある程度残っているようですが、『記憶封印』で肝心な部分を、そして『幼少弱体化』のせいで一時的な若返り状態と推測できマス。3つ目は不明ですが…‥‥まぁ、ろくでもないものなのは確かデス」
「なるほど…‥‥解呪とかはできないかな?」
「無理デス。専門外ですし、この手の専門家を呼ぶのであれば、数日はかかりマス」

 ワゼでも解呪できないのか…‥‥いや、その専門家の伝手がありそうなところには驚くけどね。

「そんにゃぁ‥‥‥わたし、なんでこうなっているにょ……」

 ワゼから告げられたその言葉に、ずぅんっと落ち込む少女。


「ああ、今気が付いたにょ。何かやっていたことは覚えているのに…‥‥思い出そうとしても内容が全然浮かばないにょ……」

 つまり、やっている感じはすれども、詳細は思い出せないようなもの。

 例えるのであれば、何かをやろうとして準備をして、いざやろうとしたところでそもそも何をするのかを忘れているような感じなのだろうか?…‥‥もっとうまい言い方もありそうかも。




 とにもかくにもこの少女、自信満々に自己紹介をしようとしたところで速攻でくじかれた。

 自分が誰なのか分かっているはずなのに、全然思い出せないってのは辛そうだ。


「うーん、ワゼでも分からない?」
「わかりませんネ。データ上では、いくつかの種族がヒットしますが…‥‥特定するには、時間がかかりマス」
 
 全体的に青色な少女だけに、その特徴からせめてその種族とか分かりそうかなと思ったのだが、ワゼいわく逆にかすめるものがあり過ぎて特定できないようだ。

「まぁ、解呪が可能な方を呼んで、来てもらった方が早いデス」
「宛はあるよね?」
「ええ、ありマス」

 まずは、その呪いとやらをどうにかしないと話が進まない。

 よって、とりあえずはその解呪が可能な人を呼ぶことにした。


「でも、それだと来るまでの間、どうする?」
「‥‥‥にょ、宛はないにょ」

 まだ自分が何者なのか分からない状況に落ち込んでいるのか、両手を地に付けてうなだれる少女。

……なんというか、放っては置けないな、これ。



【‥‥‥あの、シアン。彼女の呪いが解けて、正体が分かるまでうちにおきませんか?】
「ハクロが言わずとも、ちょっと思っていたよ」

 何にしても、ひとまずは少女の正体が分かるまで、僕らの家に彼女を居候させることにしたのであった。

 彼女自身の意志を聞くと、それで良いそうだしね。

……でもまだ、ショックから立ち直ってないなぁ。自己の喪失って、けっこう深いのだろうか‥‥‥?


―――――――――――――――――
SIDEワゼ

「‥‥‥中々厄介デス」

 少女を一時的に居候させることが決定され、念のためにワゼは他に彼女に何かないか分析を行った。

 だが、その結果は思わしくない。


 種族を特定し様にも、似ているものがあるし、異なる物もあるので特定しづらい。

 それに、少女にかかっている呪いとやらも中々の曲者で、彼女の情報を覆い隠しているようになっていて
、詳細が不明なのだ。

「氷塊内にいて無事だから、耐性はあるようですが‥‥‥‥こう、妙なものがありますネ」

 ただでさえ、雪で動きが制限される今の時期。

 そんなかで、彼女のような少女が一人で氷塊にいたというのも、おかしな話ではある。


「気が付いたらいて、寝て、凍ったという供述も得ましたが…‥‥参考になりまセン」

 シンプル過ぎて分かりにくい。

 こういうはっきりしないものは、すっきりしないのだ。


「…‥‥まぁ、呪いを解く宛はありますし、まずはそちらの到着を待ちましょうカ」

 専門外とは言え、解呪可能そうな相手ならばワゼには心当たりがあった。


……まぁ、その相手をここへ呼ぶのも、またひと騒動置きそうだが…‥‥仕方があるまい。

「もしかすると、あの人の方が分かる可能性もありますからネ。しかし、先日私情で尋ねたばかりなのに、こうも続けてなのは…‥‥流石に申し訳ないデス」

 ひとまずは対価なども考えつつ、一時的な居候も増えたので、一旦昼食などの量を増やすために動き始めるのであった。


……なお、フェンリル一家にも温かいスープをごちそうしたのは言うまでもない。

 そして、この場にいなかったポチは、一人寂しく無我の境地に達していたのであった………
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