拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
359 / 459
良からぬ企みは、なぜこうも生み出されるのか

#337 起さないようにデス

しおりを挟む
SIDEワゼ

‥‥‥深夜、ディングルア王国では、誰もが寝静まっていた。

 シアンたちも客用に用意された王城の一室で眠っており、やや広めのベッドで仲良く一緒に入っていた。

 ロール、ヒルド、オルトリンデも入り込めるような、キングサイズよりも大きいベッドではあるが…‥‥それでも、快眠できているので誰もツッコミを入れることは無かった。


「‥‥‥ン」

 シアンたちのベッドのそばで、ワゼは周囲の警戒を怠らずにいたのだが、ふとある気配を感知した。


コロン、コロン‥‥‥ぶっしゅぅぅぅ……

 何かが投げ込まれ、ガスのような物が放出される。

 既に眠っている相手に対して意味のない睡眠ガスかと思いきや、センサーで軽く分析したところちょっと不味い物。

「掃除機、作動」

 音もなく、静かに右腕を変形させ、そのガスを彼女は吸引し始める。

 起こさないように注意を払いつつ、ガスそのものを留めずに、窓を開けてそちらへ放出されるようにしておく。

 
 作動していた掃除機が、ある程度ガスを吸引し、外部へ放出したところで、彼女はすぐに変形部位を切り離した。

 それと同時に、右腕の状態に戻った腕は床に落ち、直ぐに硬直し、動かなくなる。

「‥‥‥ゴーレム殺しともいえるような、特殊なガスですカ」

 そう、そのガスはどうやら、ゴーレムにだけ効果のある、やや石化に近いような作用もある物らしいと、分析結果に出た。

 かつては錬金術で繁栄していた国でもあり、あの禁書庫の蔵書を元にすれば、なんとか作れないと思われる特殊なガス。

 機能を停止させ、硬直させて動けなくする作用があり、効果が及ぶ前に切り離した判断は正しかったようである。

「少々、不味いですネ」

 シスターズへ素早く通信を取り、ワゼはすぐに動き始める。

 ガスそのものはシアンたちへ害を及ぼすものにはならないが、どうも相手の狙いは自分。

 そう思い、狭い場所では不利だと思い、月明りのある城の中庭の方へ、彼女は移動した。


「‥‥‥探知、17名。ガス及び強制停止道具など‥‥‥ですカ」


 広い中庭に出たところで、ぐるりと囲む気配を感知する。

 姿は見えないが、センサーから得られる情報では、姿を隠すような道具を使っているらしいが‥‥整備不良なのか、それともそこまでの技術がないだけか、隠しきれていないようである。

 隠蔽の道具を使っても、その道具をうまく扱えていなかったり、道具そのものが機能をほぼ無くしているような状態なので、バレバレすぎる。


 
 相手側から叫ぶなどの行為もなく、既にワゼを捕えるための作戦を展開しているのだろう。

「これでも私、ご主人様のメイドですが、その意味をあなた方は分かっていますカ?」

 軽く問いかけてみるが、誰も返答がなく、分かっていないだけか、あるいはその事を百も承知か。


ポイポイ!!

 数秒後、様々な道具が投げつけられ、周囲一帯をガスなどが覆っていく。

 中にはワゼの動力に関して独自の考えをもっているのか、各自でゴーレムの停止方法を利用しているものもいるようだが、ここまで堂々とした奇襲に対しては、既に対策を練ることができていた。

「まだ実験段階ですが、ちょっと魔法の真似事でも致しましょウ」


 メイドゴーレムである彼女は、シアンの魔力を受けて動いてはいるものの、魔法を使う訳ではない。

 れっきとした錬金術、科学などの技術を利用して、火炎放射や電撃などを放つことができるだけである。

 けれども、進んだ科学は魔法とも大差ない。



「『ショックウェーブ』!」

 そうワゼが告げると、彼女の周囲に波紋が産まれる。

 水面に水滴を落とした波のように、空間そのものに光の波紋が生まれ、周囲へ広がり、ガスをその場から払いのけ、消失させる。

 そして残った波紋は、周囲を囲む者たちへ直撃し…‥‥

「「「「「うげぶ!?」」」」」
「「「げそっぷ!?」」」
「「「「「「ごるぶっばぁ!?」」」」」」

 距離によって違いはあれども皆痙攣し、その場に倒れ込んだ。

 特殊な電磁波によるガスを誘導して払いのけ、そのついでにたっぷり流した電撃を混ぜ込んだ攻撃。

 広範囲無差別専用の技であり、安全性に少々難があるので実験しづらかったが、今は都合が良かった。


「さて、まだ残ってますネ」
 
 かろうじて避けて、数名残っているようだが、問題ない。


だんだんだんっ!!

 ガスによる攻撃は無意味だと判断したのか、遠距離攻撃を仕掛けてきたようで、こちらもゴーレム関係を停止させるような道具なのは間違いないだろう。

 だが、その攻撃をワゼは全て避け、発射方向に相手がいる事を確認し、パチンコを構える。

「こちらの方が、なにげに精度が高いデス」

 そうつぶやきながら、狙いを定めて装填した球を発車する。

 それらは全て飛んでいき、狙った相手の口の中へお届けし…‥‥

「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」」」

‥‥‥先ほどの、絶叫を上げた者たちよりも酷い断末魔が上がりまくった。

「…‥‥こちらの方が威力が高いのは納得できまセン」

 本日、ディングルア王国へ訪れたついでに、王太子の体の脅威に驚きつつ、残されていた料理を少々拝借し、作り出したもの。

 進んだ錬金・科学的な攻撃よりも、原始的な攻撃の方が効果が高いことに、彼女は納得いかずに不満そうにつぶやくのであった。


「あ、縛り上げてしっかりとらえ上げようとしたのですが…‥‥この方々、完全に逝ってしまわれまシタ。どうしましょう、コレ」

…‥‥原材料をちょっと固めただけのものなのに、完全に逝かれてしまった。

 珍しく、ちょっとした失敗をしたようでもあった‥‥‥‥
しおりを挟む
感想 1,076

あなたにおすすめの小説

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...