拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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良からぬ企みは、なぜこうも生み出されるのか

#343 元々の元凶というか、何もしていない人なのデス

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SIDEシアン

‥‥‥元第1王子兼亡き怪物ムーラッシュ。

 討伐したのは良いとはいえ、元々のこの騒動の根幹を辿るのであれば‥‥‥‥



「‥‥‥やっぱり、最高責任者が責任を取らないとだめだよね」
「ひ、ひぃいいいいいいいい!!」

 現在、ディングルア王国の王城内にて、情けない悲鳴を上げて僕らに土下座をしているのは、この国の国王ボルムッシュ。

 王太子夫妻には警備とかの面でもあるとは言え、ミスティアの姉夫妻でもあるし、特に咎めるようなことはない。

 だがしかし、この国王に関して言えば、咎める事しかないのである。

「もともと人体実験していたやばい奴を、本来なら資金とかも徹底的に凍結して、放逐するか、あるいは飼い殺ししつつ研究させないようにするなどの手段がとれたはずなのに、甘い処分で生き残らせ、隙を作ったのはどこの人ですかね?」
「うぐぅ!!」
「性根を入れ替えるかもしれなかったけれども、監視の目を簡単に欺かれていて、むしろいらんことの方をどんどん高めさせてしまったのも、どこの誰でしょうかね?」
「ぐぐぅ!!」
「ついでに、他国からの国賓‥‥‥さらに自分で言うのもなんだけど、魔王の家族へ手を出そうとした時に、あんたはどこにいたのだろうかね?」
「ひぐぅ!!」

 一つ一つ、丁寧に問題点を連ねて行けば、土下座したままうめき声を上げていく。

 国同士の関係性としては、できればミスティアのボラーン王国と、このディングルア王国の仲は良好なままにしておきたい。

 けれどもね、流石にあのでっかい怪物を持ちだされた時点で隠すことも、箝口令を敷くこともできず、人の口には戸が立てられない状態になっているんだよ。

 となれば、何処かで落とし前を付けてもらう必要性があるわけで…‥‥


「本当に申し訳なかった、中立の立場の魔王殿とやら!!だが、わたしはあの時は国民の非難に力を注いで…‥‥」
「父上、言うのもなんですが、全部バレてますよ」
「ええ、シスターズが行動を把握済みデス。有事の際に、王族の避難も確かに重要と言えば重要なのですが、この城の場合であれば、先ず次期王である王太子夫妻の方が最優先されマス。ですが‥‥‥」
「どうも、姉さま方よりも早く、逃亡したと聞いていますわよ。彼女達からだけではなく、他の衛兵や侍女などの使用人の方々からも証人がいましたわ」
【私たちが避難するよりも早く、見事に逃亡していたと聞きますよ】

 ごまかそうとしたのか、立ち上がり、脂汗を書きながら弁解する国王であるのだが、生憎僕らにその手の嘘は通用しなかった。

 というか、シスターズの監視だけじゃなくて、他の城内の使用人とかにもばっちりみられていたようである。

【ふみゅ~?あのおじちゃん、ダメな人~?】
「みー?ダメダメ人間?」
「二人とも、その言葉はちょっと違うにょ。こういう場だと‥‥‥そうね、為政者の器じゃなかった人なにょ。一国を治めつつ、行事が無かった人ともいえるにょ」

 ハクロの背中に乗っている娘たちがそう口にし、純真無垢な子供の言葉にぐさっと言う高官がはっきり聞こえるほど、心が刺される国王。

 あれは結構効くだろうな…‥‥何しろ、僕等の場合は先に逃げられた部分での感情的な面があるけど、子どもの場合無邪気にかつ的確に指摘できるからなぁ。

 なんというか、こちらが言うよりもより一層精神攻撃ができている娘たちの将来が末恐ろしい。それでも、可愛い娘たちなのは間違いないけどね。

「何にしてもだ、迷惑料なども含めた賠償金を支払ってもらいたいが…‥‥ここでがっぽりとると、今後の関係とかも悪化することを考えると、国民の生活に負担がかかるような真似はしたくはない」
「そこでなのですが‥‥‥当初予定された金額よりも大幅に減額しつつ、ある条件を父上に課すことになりました。魔王に攻め滅ぼされるよりも、はるかにましですよね?」

 王太子、割と父親である国王に容赦ない。

 まぁ、仲のいい王太子夫妻には見えたが、そう言えば家族仲に関しての国王の話とかは無かったからなぁ‥‥‥元王子がああなってしまった原因に、教育などで間違えた可能性もあるし、王族としての自覚を彼はしっかりと持っているのだろう。

「魔王激怒させ、滅ぼされた愚王として後世の歴史に残したくないのであれば…‥‥王位を譲り渡してください。あなたの治世は、もう終わりなのです」
「ぬ、ぬぐぐぐぐぐ‥‥‥‥」

 王太子に正面に立たれて言われ、国王は何も言えなくなる。

 そもそも騒動の元凶が国王にあるならば、責任を取って隠居してもらうのが手であろう。

 賠償金なども、王が変わる事で大幅に減らすし、国同士の仲を悪くしたくはないこちらの想いもある。

…‥‥まぁ、ただの隠居をしてもらうつもりはないけどね。


「‥‥‥ぐぅ、わかった、ならば隠居し、お前に次期王の座を譲り渡そう、これからは、後宮の方で静かな‥」
「いえ、父上には隠居後、やってもらうべきことがあります。隠居して、城の奥で悠々自適に過ごさせるわけがありません」
「なんだと?」

 この国の王族の場合、隠居した後も城に滞在し、長期にわたって居座り続けるらしい。

 細々と、つつましく生活する国王の方が多かったようだが‥‥‥今の国王、色々と調べて見たところ、歴代よりもやや浪費癖があるようで、場合によってはまた面倒ごとの種になりかねない。

 ならばどうするのか、という話になるのだが…‥‥ちょうどいいところはあった。

「兄上‥‥‥今は無き、元第1王子が収めていた領地。あそこを治める人がいませんからね。父上にはそこを治めてもらいます」
「馬鹿な!!ならば死後、どうすればいいのだ!!この歳で、領地経営しても跡取りは」
「他から養子を貰えば良いでしょう。まぁ、辺境の領地ゆえに、この王城よりも不便が多いでしょうが…‥それでも、まだ処分としては甘い方なのです」

 まぁ、確かに甘いと言えば甘いだろう。

 魔王の家族に手を出した元凶を一番、未然に防止できたはずの立場なのにできておらず、そもそも元凶を放置し続けたという罪がある。

 根が悪い人ではないにしても、「何もしていなかった」というのが悪いのだ。


 親という立場上、情があったのかもしれないが、切り捨てる必要性があったのにしなかった。

 国民の避難や王太子夫妻の避難が優先なのに、我先にと逃走した。

 他にも色々あるだろうが…‥‥上げるときりがないだろうしなぁ…‥‥あとはもう、あれだ。面倒くさいの一言で済ませよう。

 僕らは元々、ミスティアの姉の懐妊祝いに来たのであって、ストレスをために来たわけでもない。

 この国で本来あれを片付けるべきであったかもしれないが、僕らが手を出したのもあるからね。

 そもそも、狙ってきた原因を丁寧に聞けば材料にだとか…‥‥ああ、考えるとやっぱりイラついてくるから、掃除を徹底させておくか。

「ついでにだが、元々あのものが暴走した理由として『賢者の石』とやらの再現方法があった書物に関しても、焼却処分をした方が良い。あれがあるからこそ、また同じような事を引き起こしかけないからな」

 それに、調べたところ、神聖国の方にあるという召喚陣も隠されていたと聞くしね。

 と言っても、既に壊れているが‥‥‥いや、ワゼたちが壊したわけでもない。

 どうも、神聖国内のもの同様の機能を持っていたようだが、元から使い捨ての意味もあったのか、そこまで耐久力が無かったらしい。

 それでもかなりの犠牲者たちが材料にされ、出来損ないの賢者の石にすらなり得なかった山があったし、そちらもそちらで処分してもらわないとな。

「そもそも、その話しを持ってきたのが誰なのか気になるが‥‥‥もう二度と、同じようなことが起きないように、徹底的にしてくれ」
「わかった、必ずそうしよう」

 そう言い終え、この場での話し合いは終わったのであった…‥‥



―――――――――――――――――
SIDEワゼ

「…‥‥にしても、召喚陣ですカ」

 色々騒動があったとはいえ、もう少しだけ観光することになりつつ、既に帰国の準備をし始める中で、ワゼはぽつりとそうつぶやいた。

 賢者の石の生成方法の一つとして、愚者の肉体を利用した生成方法が書かれた書物。

 その書物の著者も気になるのだが、問題はそこではなく、その材料を解決するための召喚陣を用意した者もである。

 

‥‥‥シスターズ経由で、素早く通信を取り、神聖国の方にいる預言者に問い合わせて見たところ、どうやらその召喚陣は過去に別件で改造した違う効果のものを外部へ出したことがあるそうなのだが、オリジナルのものとほぼ同じ召喚陣は、門外不出ともいえ、外部へ流出しないようにしていたらしい。

 それなのに、ほとんどオリジナルと同等の機能がある召喚陣が、この国にあるのはおかしな話。

 かつて錬金術で栄えた国だけに、作る事もそれ程難しくなかったのだろうが…‥‥その作るための手法が、どういうものだったのかが謎なのだ。

 技術を持ち、同じような発想を持つ人が世界に何人もいたとしても、ほとんど同じものができるとは限らない。

 できたとしても相当低い確率であり、召喚陣がこの国へ置かれたというのも、物凄く低いはずなのだ。

 いや、辛うじてその確率にあたったと考える事もできるが…‥‥不自然すぎる。

「情報では、第3者の存在ですカ‥‥‥」

 襲撃してきた錬金術師、および元第1王子の仲間たちであった者たちを丁寧に尋問拷問にかけ、色々と聞いてみると、どうも誰かの介入があって、その召喚陣は設置されたらしい。

 材料に悩んでいるところで、手を差し伸べられ、与えられたとも言うが…‥‥問題は、その誰かに関しての情報が抜け落ちているのだ。


 ある者は背が高い人物だったとも言い、またある者は女性だったとも言い、またある者は好々爺っぽかったなど、全員の意見が一致していない。

 容姿に関しての偽装でもかけていたのかもしれないが‥‥‥そうなると、その人物が何者なのかという問題が、浮き彫りになってくるのである。

「…‥‥ツェーン、裏ギルドの方で情報は入りましたカ?」
『こちらツェーン。‥‥‥残念ながら、該当なしデース。姿を偽る者は過去に色々あるようですが、むしろ多すぎて特定できてないデース』
「そうですカ」

 王国の裏ギルドの方にいるツェーンの方で、情報を集めて見たが、むしろ似たような特徴の人物は多かったらしい。

 一部には、いつぞやかの悪魔グズゥエルゼに関係していた情報もあったが、それとも違う別件のようだ。

「厄介ですネ。まぁ、関わってくれない方が良いのですガ‥‥‥‥」

 どうにもこうにも、恐ろしく面倒そうな問題が、今回の件で浮上してしまったようであり、ワゼは溜息を吐くのであった‥‥‥‥
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