スローライフは、この手で掴み取りたい!! ~でも騒動は、押しかけて来るらしい~

志位斗 茂家波

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第1章:幼少期~少年期前編

25話 お聞きするなら、早いうちに

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SIDEエル

‥‥‥移動時間なども考慮し、エルたちは国王からの謝罪の件に関して、夏季休暇時に行うことにした。
 そんなに時間を継悪必要もないので、王都見学も休みの一環として組み込もうと計画を立て、時間を確認しある程度の移動時間やその後の過ごし方について決定する。
 そして、準備を終えてゆったりと余裕を得られた頃合いで、学校の夏季休暇…前世で言う所の、夏休みが到来した。

 休み自体はひと月半ほどの長いものになるということで、移動時間なども考慮しつつも生徒たちは帰省のための馬車に乗り込んだりしている。
 そんな中で、僕等は謝罪の件でしっかりと受けるために、ゴルスリア王国の王都行きの馬車に乗ることになった。終わった後も、王都から故郷行きの馬車が出ているらしいから、特に問題もないだろう。

 王都へ向かう馬車というだけあって、田舎に向かって生徒たちを持ってくる馬車に比べ、さらに大人数が乗れる大型かつ速度もかなり早く、王都まで約4時間ほどで到着できるそうだ。引いている馬、モンスターじゃないらしいけれども、よりマッチョな馬になっているから、迫力もセットである。
 そんな大牽引力の馬車には、同じように休みになった王都の方に実家や別荘がある貴族の子息なども同乗しているようなのだが…そんな中で、ちくちくとした視線が刺さっていることに、気が付いていた。

 理由は単純明快である。僕の側にハクロとカトレアが一緒に乗っているからだ。
 馬車に並走すること可能らしいが、大型の馬車ゆえに乗りやすかったのでハクロたちも搭乗したのである、モンスターだけど、そのあたりの融通が利くのは他の馬車と変わらないらしく、むしろやらかす帰属に比べたら美しい女性の彼女達の方がはるかに良いらしい。

「食べ物や衣服をこれでもかと限界まで詰め込もうとする輩に比べれば、モンスターの一体や二体の方がましなんですよねぇ…重量オーバーでぶっ壊しかけない人たちに比べれば、美しい女性たちを乗せたほうが選択として誰もが選びますので‥‥」
「うわぁ…」

 切実な公共馬車事情、ちょっと見たかもしれない。そこまでやらかすのならば自費で用意した馬車とかを利用すればいいのにと思うが、壊れても高級な馬車よりも公共の安い馬車の方がまだ修理費も弁消費も安く済むからという思考でやらかす人もいるというのだ。
 そんなことするならば、法律とかで取り締まったり規制や補償などもできればいいが…まだまだ、世の中理想論が実現するには難しい面もあるようだ。

 そんな事はさておき、モンスターな相手とは言え、彼女達は見麗しい美女たちと言っても良いような見た目をしており、たった一人の少年の両脇に侍らされているような状態というのは、他人にとって面白くない光景なのだろう。
 怨嗟や嫉妬の視線がかなり存在しているらしく、ぶつぶつとつぶやくような人も出ていて、正直かなり視線が痛いし恐怖感もある。別の馬車に乗ることも選択肢にあるが、そっちも同じようなものなのだろうな‥‥うん、出来るだけ気にしない方が良いのかもしれない。していたらきりもないし、これも運命だと諦めればいい。
 視線がサクサクするのは、もう入学式の時点で慣れているので、同じものだと考えて無視を決め込む。


 ちなみに、同乗しているハクロやカトレアは、そんな僕に向けられれう視線とは違うものを浴びているようだが、気にしている様子はない。
 ハクロは糸で編み物をしており、カトレアは木製の馬車にちょっとだけ木の椅子部分を同化させており、ゆったりとくつろいでいる様子だ。
 
 視線を集めつつも関係もない馬車はゆったりと先へ進み、のんびりとした時間が流れていく。
 流石に数日間の道のりと比べて、数時間のこの道のりならばそんなに大したことはないだろう‥‥‥



…と、思っていた時もありました。

「オギョォォォォォォォォス!」

 大きな咆哮をあげ、ゴリラのドラミングのように胸元を叩き、前に立ちふさがるのは巨大な一つ目の狂人のモンスター。
 どう見ても依然遭遇した盗賊とかよりも、襲撃してくる相手がパワーアップしまくっていた。

「今度は『サイクロプス』かよ!?」
「でっかい目玉の巨人ですよ!1」
「凄い、でかい、ツルピカ眩しい」

―――――――――――――――
『サイクロプス』
人肌に近い色合いを持つつつ、単眼の巨大な人型をしたモンスター。
別名「一つ目のツルピカ巨人」とも呼ばれており、目玉から放たれる怪光線よりも太陽や月の光を頭頂部で反射して周囲を目くらましして攻撃をしてくるところが恐れられている。
気性が荒く、巨体を生かした攻撃も多く、相手の攻撃を目くらましで潰した後に力ずくで押さえつける能筋禿怪巨人でもあるが、その気性の荒さゆえに、本来は複数で発生するらしいが、群れる前に共食いを行い、大抵一体で行動する運命を持つ。
個体差が大きく、身長も3~15メートルと差が大きく、大きければ大きいほど動きが鈍い代わりに力が強くなる傾向にある。
―――――――――――――――

 無茶苦茶な巨人というか、ごり押しよりも目くらましを多用するらしく、卑怯な筋肉ダルマとも呼ばれることもあるらしい。
 だがしかし、大きくなればなる分、急所もよりはっきりと、攻撃をした時の効果が出やすいようだ。


「でっかい目、これ効くかな?」
「あ、デッポンズの実か」

 前世で言う所のミカン…それをより巨大化させてスイカサイズになったものを、カトレアがすぐに生やす。
 甘酸っぱいが揉みこむとより甘みを増すデッポンズだが、それをやると酸っぱい成分が皮に収束するらしく、揉みこんで皮をむき、用意する。
 そしてたっぷりと酸っぱい汁気が貯まったところで、ハクロが糸で結び、ぶん回してサイクロプスへ投げつけた。

「えーい!」

 糸によってある程度軌道を操作し、デッポンズの皮が見事にサイクロプスの顔面で炸裂する。
 たっぷり汁が貯まった皮はすぐにその内部にあった汁を放出し、その眼球に降りかかった。

ジュワァァァァア!1
「オギョワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

‥‥‥ミカンの皮の汁や、玉ねぎなどで眼に刺激を喰らい、辛い目に遭うことはあるだろう。
 だがしかし、デッポンズはそれらよりもはるかに刺激成分が非常に強く、なおかつサイクロプスの目玉も巨大に発達しており、物凄く効果てきめんだった。
 むしろ、効果抜群過ぎたようで、目の部分を抑えて悶え苦しむもそうやすやすと収まることもない。

 そのまましばし暴れ続けて数分後、そのショックだけで息を引き取ってしまうのであった‥‥‥


「…ふぅ、サイクロプスなどの単眼モンスター、目で逝く話、聞いておいてよかった」
「私達モンスターって、普通はこんなに脆くはないはずなんですけれどね…弱点を突かれるだけであっけなく逝ってしまうとは、なんか儚いです」

 モンスターの世界は弱肉強食なところもあり、種族も違うだろう。
 けれども、同じモンスターなのにこの攻撃だけで大地に沈んだ巨人に、彼女達は思わず同情したようであった‥‥襲われたからやった側だけど、あの悲惨な最後は人であっても同情するな。


 ちなみに、単眼のモンスターの撃退方法としては最適解ではないらしい。
 本来は距離感がおかしいらしいので、その隙を狙うらしいが…うん、まぁ、こっちも間違ってない攻撃手段だし、深く気にしないでおこう。サイクロプスよ、哀れだからせめて安らかに眠りたまえ…
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