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第2章:少年期後編~青年期へ
72話 とりあえず、責任しっかりと
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SIDEタマモ
…一夜明け、タマモはギルドに訪れていた。
本日はランクアップの確認のために来ているのだが、エルは本日授業のため、日中の子の時間にギルドに訪れることはできなかった。
いや、そもそも昨晩の時間制限ありきの中でそうとやったので無理をさせるわけにもいかないだろ言う満場一致の意見で、彼女が代表として向かうことにしたのだ。
放課後の時間を待って向かうのもありだが、こういうのは早めに済ました方が良いだろうと思い、やってきたが…正直なところ、昨晩の余韻が肉体にちょっと残っていた。
動けないことはなかったのだが、そのせいで、色気というか、妖艶さが出ていたので道行く人たちが振り向いたりして、中には彼氏が振り向いたので金的をくらわす彼女の人がいたのは気にしないでおこうと思う。
とはいえ、何も一人で向かっていたわけではない。
「エルがいないのに、来ちゃっていいのさ?」
「良いんじゃないかのぅ?一応、わっちと組んで登録しておるし、代理でと言うのも可能じゃったはずじゃ」
歩いているタマモの横を、地上を歩くよりも軽くパタパタと羽ばたいて低空飛行しながら、ハーピーのジェリアが問いかけてきたのでタマモはそう返答した。
昨晩、ハクロに連れて帰ってギルドに突き出したつもりだったが…あいにく、都合悪く深夜時間の休業日だったようで、できなかったのである。
そのため、ハクロが家の柱に勝手なことをしないように縛りつけていたらしい。
冒険者が集うギルドだが、流石に二十四時間対応とまではいかなかったようで、深夜帯に休業時間があったのはあまり知らなかったのもあった。
…まぁ、そもそも真夜中にギルドを利用しようという冒険者自体がほぼいないというのもあるらしい。電気で明かりが二十四時間つくようなエルの元居た世界の現代とは違い、魔道具の明かりなどがあるとはいえ、それでも夜遅くまで営業するメリットがさほどないのもあるだろう。
緊急事態のクエストなどもあるだろうが…営業しているのも人なので、しっかり休みを取る必要があったと思われる。
そんなわけで、日が上がってそうそうに突き出そうと思ったが、一晩経って考え、少しだけ変えることにした。
エルを誘拐してそのままどこかへ行こうとしていたことに関しては、正直タマモたち側からすれば万死に値するだろう。突き出してすぐに討伐対象になったら、躊躇なくやることもできたかもしれない。
ただ、ハーピーという種族柄…空を飛べるというアドバンテージに関しては逃しにくいと思ったのもある。
ミモザが空中でも泳げるとは言え、どちらかといえば彼女は水中のほうが専門であり、空中戦が非常に得意というわけではない。エルの将来の目的にスローライフがあるようだが、そういう生活上畑なども耕作すると思われ、作物を狙う鳥などが出てくる可能性もあり…そういった時に対処しやすいような要因がいたほうが、ちょっとは心強いのかもしれない。
そういうわけで、突き出して討伐になるかならないかの部分はいったん保留にして…そもそも見た目が手が翼以外は少女の姿であり、そのまま放置というのも不味いと思われる。
かといって野に逃がしたらまた同じようなことをしでかす可能性もあるため…ならば、対応しやすい様にということで、その身を預かろうという結論に至った。
そのため、だったらどうするべきかということで、この度、彼女をエルの従魔として登録することにしたのである。
誘拐をやらかしたモンスターをそのまま手元に置くのは正気の沙汰かと疑われそうな気がしなくもないが、やった理由としてはその種族の儀礼のようなもの。
否定するわけにいかないだろうし、今後ゆっくりと話し合いを進めていけばいいということでその結論に至ることもできたのだが…正直なところ、彼女たちからすればジェリアを従魔として登録して良いのかは複雑な思いもある。
(…まぁ、エルが賛成したなら、わっちらは否定する気もないしのぅ。目も光らせつつ…ふむ、分散できるならそれはそれでありか)
今すぐにということはないだろう。だが、エルの気質を考えるならば否定することもなく、次第に受け入れていく可能性がある。
ならばここは、賛同しつつ…夜の営みの方面で、本当は水入らずで行いたい部分も対応しきれない可能性もあるので、ちょっと分散用に保存するのはありなのかもしれない。
そう考えると、案外悪くはない方法なのかなとタマモは思うのであった。
そうこうしているうちにギルドに到着し、二人は受付のほうへ向かった。
このまま普通にランクアップの確認と、ジェリアの従魔登録の手続き…主としてはエルのほうに指定しつつ、いくつかの作業だけで済むはずだったが、そううまくはいかなかった。
「はぁ?なんじゃと、あやつらが逃げた?」
「はい、申し訳ございません…どうやら現在逃走中のようです」
手続き中、何やら深刻そうな様子で、タマモに気が付いたギルド職員が蒼い顔をしながら、ある報告をしてきた。
それは、ランクアップ試験時に捕らえた、元王族と思われる愚物の盗賊たちが、何やら行動力は無駄にあったのか、根性で牢から脱獄して逃走したらしいという情報。
捕獲はしていたはずだが…なんと地面に穴を掘って抜け出したというのだ。
「いや、それ普通にそちらの監視責任ミスじゃろ…」
呆れるというかなんというか、管理状況が鳴っていない。
人々が住まう場所近くの罪人を収容する牢で、そんな簡単に抜け出されるのは流石に監視体制が甘すぎるだろうとツッコミを入れたくなる。
ただ、どうやら話を聞けば、一応あの愚物たちは席が抜かれていたとはいえ、一応は元王子なのも確認されており、そうたやすく罰を与えていいのかという議論が盛り上がってしまったらしい。
色々と思うところがある者たちもおり、どういう処分を下すべきかと徹底的に討論されてしまい…その隙を狙って抜け出したそうだ。
そんな理由を聞いても先方のミスであり、確実に賊たちよりもそっちの担当していた人たちの首が飛ぶのが目に見えるだろう。
「しかしのぅ、逃げた場合は、盗賊討伐の依頼は失敗扱いになるかのぅ?」
「いえ、それは大丈夫です。タマモさんと、えっと今いないエルさんのギルドカードに記入いたしますが、『Hランク』から、無事にランクアップを認定。ギルド長も確認し、今回はいったん『Dランク』にランクアップとなります」
「ふむ、盗賊討伐ゆえに、命のやり取りの危険性もあったからCランクになれる可能性もあったと思うのじゃが」
「実力だけを見るならば、もっと上にしたいところもありました。ただ、初回のランク登録時にスキップ申請をしなかったことや、急激なランクの情報が不自然にみられる可能性…それと容姿のほうで少しごたごたがありまして、面倒ごとにならないように、ちょっと抑えたのです」
「む?どういうことなんじゃよ?」
前者はランクスキップを最初に行わなかったゆえの勉強料みたいなものだからわかるといえば分かるが、後者のほうは何なのか。
かくかくしかじかと話を聞いたところ…タマモ、ハクロ、カトレア、ミモザ…獣人とモンスター側の容姿が優れているのもあり、目立っている状態。
そんな中で、急激にランクアップを行えば色仕掛けをしたのではないかという悪意ある噂が流される可能性や、注目度がさらに上がることでより面倒なところから目を付けられる可能性なども考量し、ちょっとだけ抑えられるようにということで決められたらしい。
そこはギルドがもっとしっかり責任を持って対応してほしいが…残念ながらギルドの責任だけでも厳しい部分もあり、妥協をせざるを得なかったようだ。
「ふむ、まぁ別にいいかのぅ」
説明を聞いたが、高ランクになることに関しては興味を持っていない。
もともと他国へも移動しやすくするために冒険者登録をしただけなので、ランクに関してはさほど気にしていないのもあるし、面倒ごとが来る可能性を考慮してくれたというのも偽りがないようなので、理解を示すことはできるだろう。
この場にいないエルも納得できるだろうし、妥当なところであると判断できたので、特に文句を言うこともなかった。
「それはそうとして、逃げた盗賊たちの行方は依頼扱いというよりも賞金首として扱う事になりました。一度捕縛して人相書きが手早く作られましたので、より確保まで早くなるように、そこそこの値段になっています」
そう言ってギルド職員が持ってきたのは、逃亡した盗賊たちの人相書きであった。
「生死を問わずと書いておるのぅ」
「半殺しでもいいのさ?」
「いえ、できるだけ生かして捕まえて欲しいところですね。生死を問わずと書いていますが、一応死なれてしまいますと、それはそれで面倒なことになりますので」
この世界では死体がアンデッド系のモンスターになったりすることがある。
きちんと処分を行えば問題ないのだが…手順を踏んでも実は、欲望が強かったりするとそれでも根性で蘇ってくる可能性があり、素人の手ではなく専門家のほうに引き渡す必要が出るようだ。
今回の賊どもも、万が一の可能性を考えると…できれば、生け捕りのほうが色々と手間を省けるので、生きていたほうが都合が良いのである。恨みがある人たちが手を下すためにも生きていたほうが良いという可能性もあるが…そこはまぁ、相手の自業自得な部分もあるだろう。
ゆえに、死体に関しての処理は適切に行うようにされており、生死を問わずと
なにはともあれ、盗賊共が逃げたということ以外は特に支障はなく、従魔登録も無事に終了し、ジェリアが加わることになった。
そのあと、ギルドから出て、タマモたちは帰ることにしたが…賊たちに関して、気にしていた。
「それにしてものぅ、全然反省しておらぬというか、腐っていそうな予感しかしないのぅ」
「不意打ちで捕えられたことに関して、まだ怒っているのさ!見つけたら蹴りを食らわせるのさ!」
バサバサと翼をはばたかせ、力強いことをいうジェリア。ぐっすり寝て囚われていたようだが、番探しの邪魔をされたようなものでもあったので、賊たちに対して思うとこともあるようだ。
ハーピーは飛行能力だけではなく、人を軽々とつかんで飛んでみせる脚力もあるので、手加減無しで思いっきり蹴られた場合は逝ってしまう可能性もあるのだが…しぶとい生命力を相手に期待したいところだろう。
「まぁまぁ、どうせそういうやつらほど馬鹿な自爆をするものじゃ。放っておくのがよかろぅ」
「でもでも、許せないのさ!」
「そうかのぅ…あ、そうじゃジェリア。お主飛べるじゃろ?空を飛んで、上空から探すのはどうじゃ?」
「その手があったのさ!」
タマモのその提案に、ジェリアは目を輝かせて乗ることにした。
わざわざ相手が逃亡したのであれば、この機会に憂さ晴らしも兼ねて、この手で捕まえさせた方が良いかもしれないと考えたからである。
とはいえ、馬鹿ほど予想外の事をしてくる可能性があるので、タマモは彼女に自分勝手な行動をしないようにして、見つけたら皆に連絡をするように言い聞かせた。また眠らされて囚われたら意味がないし。今回は本当に偵察だけの任務を行ってもらうのだ。
よく言い聞かせつつ、飛び立ってから一時間後…無事に、賊発見の一方が届けられたのであった。
「見つけたのさー!!まだ都市の外に出ていなくて、路地裏に潜んでいたのさー!!」
「ふむ、外に逃げたと思わせて、ほとぼりが冷めるまで隠れるつもりだったのじゃろうか?」
微妙に頭が回るような相手だったかもしれないが、上空からの監視の目までは気にしていなかった模様で、さっそくジェリアが役に立ったようであった……
…一夜明け、タマモはギルドに訪れていた。
本日はランクアップの確認のために来ているのだが、エルは本日授業のため、日中の子の時間にギルドに訪れることはできなかった。
いや、そもそも昨晩の時間制限ありきの中でそうとやったので無理をさせるわけにもいかないだろ言う満場一致の意見で、彼女が代表として向かうことにしたのだ。
放課後の時間を待って向かうのもありだが、こういうのは早めに済ました方が良いだろうと思い、やってきたが…正直なところ、昨晩の余韻が肉体にちょっと残っていた。
動けないことはなかったのだが、そのせいで、色気というか、妖艶さが出ていたので道行く人たちが振り向いたりして、中には彼氏が振り向いたので金的をくらわす彼女の人がいたのは気にしないでおこうと思う。
とはいえ、何も一人で向かっていたわけではない。
「エルがいないのに、来ちゃっていいのさ?」
「良いんじゃないかのぅ?一応、わっちと組んで登録しておるし、代理でと言うのも可能じゃったはずじゃ」
歩いているタマモの横を、地上を歩くよりも軽くパタパタと羽ばたいて低空飛行しながら、ハーピーのジェリアが問いかけてきたのでタマモはそう返答した。
昨晩、ハクロに連れて帰ってギルドに突き出したつもりだったが…あいにく、都合悪く深夜時間の休業日だったようで、できなかったのである。
そのため、ハクロが家の柱に勝手なことをしないように縛りつけていたらしい。
冒険者が集うギルドだが、流石に二十四時間対応とまではいかなかったようで、深夜帯に休業時間があったのはあまり知らなかったのもあった。
…まぁ、そもそも真夜中にギルドを利用しようという冒険者自体がほぼいないというのもあるらしい。電気で明かりが二十四時間つくようなエルの元居た世界の現代とは違い、魔道具の明かりなどがあるとはいえ、それでも夜遅くまで営業するメリットがさほどないのもあるだろう。
緊急事態のクエストなどもあるだろうが…営業しているのも人なので、しっかり休みを取る必要があったと思われる。
そんなわけで、日が上がってそうそうに突き出そうと思ったが、一晩経って考え、少しだけ変えることにした。
エルを誘拐してそのままどこかへ行こうとしていたことに関しては、正直タマモたち側からすれば万死に値するだろう。突き出してすぐに討伐対象になったら、躊躇なくやることもできたかもしれない。
ただ、ハーピーという種族柄…空を飛べるというアドバンテージに関しては逃しにくいと思ったのもある。
ミモザが空中でも泳げるとは言え、どちらかといえば彼女は水中のほうが専門であり、空中戦が非常に得意というわけではない。エルの将来の目的にスローライフがあるようだが、そういう生活上畑なども耕作すると思われ、作物を狙う鳥などが出てくる可能性もあり…そういった時に対処しやすいような要因がいたほうが、ちょっとは心強いのかもしれない。
そういうわけで、突き出して討伐になるかならないかの部分はいったん保留にして…そもそも見た目が手が翼以外は少女の姿であり、そのまま放置というのも不味いと思われる。
かといって野に逃がしたらまた同じようなことをしでかす可能性もあるため…ならば、対応しやすい様にということで、その身を預かろうという結論に至った。
そのため、だったらどうするべきかということで、この度、彼女をエルの従魔として登録することにしたのである。
誘拐をやらかしたモンスターをそのまま手元に置くのは正気の沙汰かと疑われそうな気がしなくもないが、やった理由としてはその種族の儀礼のようなもの。
否定するわけにいかないだろうし、今後ゆっくりと話し合いを進めていけばいいということでその結論に至ることもできたのだが…正直なところ、彼女たちからすればジェリアを従魔として登録して良いのかは複雑な思いもある。
(…まぁ、エルが賛成したなら、わっちらは否定する気もないしのぅ。目も光らせつつ…ふむ、分散できるならそれはそれでありか)
今すぐにということはないだろう。だが、エルの気質を考えるならば否定することもなく、次第に受け入れていく可能性がある。
ならばここは、賛同しつつ…夜の営みの方面で、本当は水入らずで行いたい部分も対応しきれない可能性もあるので、ちょっと分散用に保存するのはありなのかもしれない。
そう考えると、案外悪くはない方法なのかなとタマモは思うのであった。
そうこうしているうちにギルドに到着し、二人は受付のほうへ向かった。
このまま普通にランクアップの確認と、ジェリアの従魔登録の手続き…主としてはエルのほうに指定しつつ、いくつかの作業だけで済むはずだったが、そううまくはいかなかった。
「はぁ?なんじゃと、あやつらが逃げた?」
「はい、申し訳ございません…どうやら現在逃走中のようです」
手続き中、何やら深刻そうな様子で、タマモに気が付いたギルド職員が蒼い顔をしながら、ある報告をしてきた。
それは、ランクアップ試験時に捕らえた、元王族と思われる愚物の盗賊たちが、何やら行動力は無駄にあったのか、根性で牢から脱獄して逃走したらしいという情報。
捕獲はしていたはずだが…なんと地面に穴を掘って抜け出したというのだ。
「いや、それ普通にそちらの監視責任ミスじゃろ…」
呆れるというかなんというか、管理状況が鳴っていない。
人々が住まう場所近くの罪人を収容する牢で、そんな簡単に抜け出されるのは流石に監視体制が甘すぎるだろうとツッコミを入れたくなる。
ただ、どうやら話を聞けば、一応あの愚物たちは席が抜かれていたとはいえ、一応は元王子なのも確認されており、そうたやすく罰を与えていいのかという議論が盛り上がってしまったらしい。
色々と思うところがある者たちもおり、どういう処分を下すべきかと徹底的に討論されてしまい…その隙を狙って抜け出したそうだ。
そんな理由を聞いても先方のミスであり、確実に賊たちよりもそっちの担当していた人たちの首が飛ぶのが目に見えるだろう。
「しかしのぅ、逃げた場合は、盗賊討伐の依頼は失敗扱いになるかのぅ?」
「いえ、それは大丈夫です。タマモさんと、えっと今いないエルさんのギルドカードに記入いたしますが、『Hランク』から、無事にランクアップを認定。ギルド長も確認し、今回はいったん『Dランク』にランクアップとなります」
「ふむ、盗賊討伐ゆえに、命のやり取りの危険性もあったからCランクになれる可能性もあったと思うのじゃが」
「実力だけを見るならば、もっと上にしたいところもありました。ただ、初回のランク登録時にスキップ申請をしなかったことや、急激なランクの情報が不自然にみられる可能性…それと容姿のほうで少しごたごたがありまして、面倒ごとにならないように、ちょっと抑えたのです」
「む?どういうことなんじゃよ?」
前者はランクスキップを最初に行わなかったゆえの勉強料みたいなものだからわかるといえば分かるが、後者のほうは何なのか。
かくかくしかじかと話を聞いたところ…タマモ、ハクロ、カトレア、ミモザ…獣人とモンスター側の容姿が優れているのもあり、目立っている状態。
そんな中で、急激にランクアップを行えば色仕掛けをしたのではないかという悪意ある噂が流される可能性や、注目度がさらに上がることでより面倒なところから目を付けられる可能性なども考量し、ちょっとだけ抑えられるようにということで決められたらしい。
そこはギルドがもっとしっかり責任を持って対応してほしいが…残念ながらギルドの責任だけでも厳しい部分もあり、妥協をせざるを得なかったようだ。
「ふむ、まぁ別にいいかのぅ」
説明を聞いたが、高ランクになることに関しては興味を持っていない。
もともと他国へも移動しやすくするために冒険者登録をしただけなので、ランクに関してはさほど気にしていないのもあるし、面倒ごとが来る可能性を考慮してくれたというのも偽りがないようなので、理解を示すことはできるだろう。
この場にいないエルも納得できるだろうし、妥当なところであると判断できたので、特に文句を言うこともなかった。
「それはそうとして、逃げた盗賊たちの行方は依頼扱いというよりも賞金首として扱う事になりました。一度捕縛して人相書きが手早く作られましたので、より確保まで早くなるように、そこそこの値段になっています」
そう言ってギルド職員が持ってきたのは、逃亡した盗賊たちの人相書きであった。
「生死を問わずと書いておるのぅ」
「半殺しでもいいのさ?」
「いえ、できるだけ生かして捕まえて欲しいところですね。生死を問わずと書いていますが、一応死なれてしまいますと、それはそれで面倒なことになりますので」
この世界では死体がアンデッド系のモンスターになったりすることがある。
きちんと処分を行えば問題ないのだが…手順を踏んでも実は、欲望が強かったりするとそれでも根性で蘇ってくる可能性があり、素人の手ではなく専門家のほうに引き渡す必要が出るようだ。
今回の賊どもも、万が一の可能性を考えると…できれば、生け捕りのほうが色々と手間を省けるので、生きていたほうが都合が良いのである。恨みがある人たちが手を下すためにも生きていたほうが良いという可能性もあるが…そこはまぁ、相手の自業自得な部分もあるだろう。
ゆえに、死体に関しての処理は適切に行うようにされており、生死を問わずと
なにはともあれ、盗賊共が逃げたということ以外は特に支障はなく、従魔登録も無事に終了し、ジェリアが加わることになった。
そのあと、ギルドから出て、タマモたちは帰ることにしたが…賊たちに関して、気にしていた。
「それにしてものぅ、全然反省しておらぬというか、腐っていそうな予感しかしないのぅ」
「不意打ちで捕えられたことに関して、まだ怒っているのさ!見つけたら蹴りを食らわせるのさ!」
バサバサと翼をはばたかせ、力強いことをいうジェリア。ぐっすり寝て囚われていたようだが、番探しの邪魔をされたようなものでもあったので、賊たちに対して思うとこともあるようだ。
ハーピーは飛行能力だけではなく、人を軽々とつかんで飛んでみせる脚力もあるので、手加減無しで思いっきり蹴られた場合は逝ってしまう可能性もあるのだが…しぶとい生命力を相手に期待したいところだろう。
「まぁまぁ、どうせそういうやつらほど馬鹿な自爆をするものじゃ。放っておくのがよかろぅ」
「でもでも、許せないのさ!」
「そうかのぅ…あ、そうじゃジェリア。お主飛べるじゃろ?空を飛んで、上空から探すのはどうじゃ?」
「その手があったのさ!」
タマモのその提案に、ジェリアは目を輝かせて乗ることにした。
わざわざ相手が逃亡したのであれば、この機会に憂さ晴らしも兼ねて、この手で捕まえさせた方が良いかもしれないと考えたからである。
とはいえ、馬鹿ほど予想外の事をしてくる可能性があるので、タマモは彼女に自分勝手な行動をしないようにして、見つけたら皆に連絡をするように言い聞かせた。また眠らされて囚われたら意味がないし。今回は本当に偵察だけの任務を行ってもらうのだ。
よく言い聞かせつつ、飛び立ってから一時間後…無事に、賊発見の一方が届けられたのであった。
「見つけたのさー!!まだ都市の外に出ていなくて、路地裏に潜んでいたのさー!!」
「ふむ、外に逃げたと思わせて、ほとぼりが冷めるまで隠れるつもりだったのじゃろうか?」
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