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2章 光が輝き、空へ上がり始め
2-15 事前準備はしっかりと
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…罠を張るだけならば、小さいものならば早く出来る。
だがしかし、大掛かりなものを作製するには時間がかかり、やろうにも時間が足りない。
やっている間にも、あの巨大な津波のようなスライムがうじゃうじゃと迫って来て、飲み込んできてしまうのだから。
「だったらどうすればいいのか…答えは簡単。ちょっとでも時間稼ぎをすればいい話だ」
相手の目的は、いくら食べても完全にならないからこそ、完全になるために自分をかつて封印した王族の血筋をすべて喰らう事。
食べた後は世界を食べるために動くだろうが、ならばその食べるまでの時間を出来る限り引き延ばすのだ。
スライムゆえに、人間のような五感があるのかは不明だが、依り代として第1王子を手に入れているのであれば、その肉体の感覚も有していると考えられる。
「だから、ちょっと逃げまくって時間を稼いでもらうために…引き付けやすくなるように、たっぷりとおいしそうな匂いを身に纏ってもらったけど、これで効くかな?」
【うーん、魔物基準で言うのであれば…微妙ですね。元々そんなおいしそうって訳でもないですし、多少エディアによって調味料で味付けをしても、人基準ならと考えると…わからないですね】
【グラグラァ】
「ふむ、魔物基準での美味しい香りというのは難しいござるが、今はこれで精いっぱいでござるよ。拙者元々戦闘用に作られている分、料理の腕前までは極めて以内でござるからなぁ」
「とは言え、それでも多少は香るんだろ?だったら、これで十分引き付けられるはずだ」
「喰われたらお終いだが…もとより、国が失われるような事態ならば、何もできない時点で終わりだろう。十分、時間稼ぎぐらいはできるはずだ」
ぷ~んっと何やら妙な香りを漂わせつつ、そう口にする国王。
まぁ、この人が子育てに失敗しなければこんな事態が引き起こされることはなかったと思うのだが、一応これでもこの国の王だけあって、多少は自らを犠牲にしてでもやろうという覚悟ぐらいは決まったらしい。
「とりあえず、作戦はこうだ。アルフレッドさんたちが全力で引き付けて時間を稼いでいる間、僕等はこの周囲一帯に、罠を張りまくる。エディアの電撃をより的確にその核になっているような第1王子を狙いやすくなるよう‥‥穴を掘りまくって、そこに誘導するんだ」
スライム全体にダメージを与えるのは、厳しいところがある。
だが、そのスライムが現在依り代にしているような核になっているような人物だけに集中させれば、もしかするとこの状況の改善が出来るはずだろう。
しかしながら、あの大量の黒い津波のような肉体相手に、其の一点だけをどうやって狙うのかと考えた結果‥‥全体がすっぽりと嵌るような落とし穴しかないと、結論付けたのである。
もちろん、ただの落とし穴にはしない。それだと意味がないし、這い上がってこられたら何の意味もないだろう。
「だからこそ、多少は飛び散らせて特定しやすくなるように、落とし穴の底に大量の爆薬を仕掛けるよ。落ちると同時に爆破して、全体を一気に爆散。そうすれば、千切れまくって、核となっているような第1王子とやらを見つけやすくなるだろう」
落とし穴に落とすだけではなく、爆発させて一気に全体を調べ、爆散したところで狙い撃ちにする。
幸い、爆薬の作り方に関しては昔爺ちゃんに習っていたので、材料さえあれば何とか作れるのだ。
なお、なんでそんなものを習っていたのかと言えば、爺ちゃんが森に出ていた巨大蛙の魔物にムカついて、ケツ爆竹とやらを実行するために、作るのを手伝わされたことがあるからである。結局、やる前に逃げられてしまったので、後日に花火というものに転用されたが…それでも、やろうと思えばできるのだ。
「というわけで、穴掘りにはラナの収納と、ハクロのハクロボンバーで作りまくる。一からシャベルで掘っていたら時間もかかるし、荒っぽいがその方法でボッコボコにするんだ」
【わかりました!!】
【グラ!!】
「エディアは100%の力を瞬時に出すために所定の場所で待機。タイミングを見計らって、狙える瞬間に全力で一撃をかませ!」
「了解でござる!全力チャージして、その時を待つでござるよ!!」
「そしてアルフレッドさんと国王には、罠づくりの間の時間稼ぎをお願いします。食べられたら終わるけど、あのスライムを仕留められなければ、全部終わってしまいますからね」
「ああ、任せろ。短い間だったが、愛馬も十分休めたし、多少の時間も稼げるはずだ」
「何やら気になる本音も聞こえた気がするが、この方法しかないのであれば、この国の王として身を投げ出すことにしよう。これで成功し、国を救えた暁には褒美を上げたいが…」
「そんなものよりも、今はあのやばい奴を止めるのが先で良いです。まぁ、倒したところで全部が元通りになるとは限らないし、既に滅亡レベルっていいかもしれないですが…今やれるのは、僕等しかいないのですからね」
逃げるだけならば、誰でもできるだろう。
しかし、あの怪物を放置し続ければいつか全てを呑み込み、逃げたこと自体意味を成さなくなってしまう。
だからこそ、ここで今、確実に仕留めなければいけない。爺ちゃんの遺言でもある世界を見て回るためにも、世界を呑み込みかねない怪物を、倒さなければいけないのだ。
「それじゃ、皆準備は良いね。全力で、あの国滅ぼしをやっつけよう!!」
「「【「おおおおおおおお!」】」」
【グラグラァ!!】
魔物も人間も関係なく、ここは一致団結して仕留めるために動き出す。
やれることをやるだけやって、確実にできればいいが‥‥不安はあるが、それでも賭けるしかない。
黒き津波のような巨大な怪物相手に、戦いを挑み始めるのであった…‥‥
だがしかし、大掛かりなものを作製するには時間がかかり、やろうにも時間が足りない。
やっている間にも、あの巨大な津波のようなスライムがうじゃうじゃと迫って来て、飲み込んできてしまうのだから。
「だったらどうすればいいのか…答えは簡単。ちょっとでも時間稼ぎをすればいい話だ」
相手の目的は、いくら食べても完全にならないからこそ、完全になるために自分をかつて封印した王族の血筋をすべて喰らう事。
食べた後は世界を食べるために動くだろうが、ならばその食べるまでの時間を出来る限り引き延ばすのだ。
スライムゆえに、人間のような五感があるのかは不明だが、依り代として第1王子を手に入れているのであれば、その肉体の感覚も有していると考えられる。
「だから、ちょっと逃げまくって時間を稼いでもらうために…引き付けやすくなるように、たっぷりとおいしそうな匂いを身に纏ってもらったけど、これで効くかな?」
【うーん、魔物基準で言うのであれば…微妙ですね。元々そんなおいしそうって訳でもないですし、多少エディアによって調味料で味付けをしても、人基準ならと考えると…わからないですね】
【グラグラァ】
「ふむ、魔物基準での美味しい香りというのは難しいござるが、今はこれで精いっぱいでござるよ。拙者元々戦闘用に作られている分、料理の腕前までは極めて以内でござるからなぁ」
「とは言え、それでも多少は香るんだろ?だったら、これで十分引き付けられるはずだ」
「喰われたらお終いだが…もとより、国が失われるような事態ならば、何もできない時点で終わりだろう。十分、時間稼ぎぐらいはできるはずだ」
ぷ~んっと何やら妙な香りを漂わせつつ、そう口にする国王。
まぁ、この人が子育てに失敗しなければこんな事態が引き起こされることはなかったと思うのだが、一応これでもこの国の王だけあって、多少は自らを犠牲にしてでもやろうという覚悟ぐらいは決まったらしい。
「とりあえず、作戦はこうだ。アルフレッドさんたちが全力で引き付けて時間を稼いでいる間、僕等はこの周囲一帯に、罠を張りまくる。エディアの電撃をより的確にその核になっているような第1王子を狙いやすくなるよう‥‥穴を掘りまくって、そこに誘導するんだ」
スライム全体にダメージを与えるのは、厳しいところがある。
だが、そのスライムが現在依り代にしているような核になっているような人物だけに集中させれば、もしかするとこの状況の改善が出来るはずだろう。
しかしながら、あの大量の黒い津波のような肉体相手に、其の一点だけをどうやって狙うのかと考えた結果‥‥全体がすっぽりと嵌るような落とし穴しかないと、結論付けたのである。
もちろん、ただの落とし穴にはしない。それだと意味がないし、這い上がってこられたら何の意味もないだろう。
「だからこそ、多少は飛び散らせて特定しやすくなるように、落とし穴の底に大量の爆薬を仕掛けるよ。落ちると同時に爆破して、全体を一気に爆散。そうすれば、千切れまくって、核となっているような第1王子とやらを見つけやすくなるだろう」
落とし穴に落とすだけではなく、爆発させて一気に全体を調べ、爆散したところで狙い撃ちにする。
幸い、爆薬の作り方に関しては昔爺ちゃんに習っていたので、材料さえあれば何とか作れるのだ。
なお、なんでそんなものを習っていたのかと言えば、爺ちゃんが森に出ていた巨大蛙の魔物にムカついて、ケツ爆竹とやらを実行するために、作るのを手伝わされたことがあるからである。結局、やる前に逃げられてしまったので、後日に花火というものに転用されたが…それでも、やろうと思えばできるのだ。
「というわけで、穴掘りにはラナの収納と、ハクロのハクロボンバーで作りまくる。一からシャベルで掘っていたら時間もかかるし、荒っぽいがその方法でボッコボコにするんだ」
【わかりました!!】
【グラ!!】
「エディアは100%の力を瞬時に出すために所定の場所で待機。タイミングを見計らって、狙える瞬間に全力で一撃をかませ!」
「了解でござる!全力チャージして、その時を待つでござるよ!!」
「そしてアルフレッドさんと国王には、罠づくりの間の時間稼ぎをお願いします。食べられたら終わるけど、あのスライムを仕留められなければ、全部終わってしまいますからね」
「ああ、任せろ。短い間だったが、愛馬も十分休めたし、多少の時間も稼げるはずだ」
「何やら気になる本音も聞こえた気がするが、この方法しかないのであれば、この国の王として身を投げ出すことにしよう。これで成功し、国を救えた暁には褒美を上げたいが…」
「そんなものよりも、今はあのやばい奴を止めるのが先で良いです。まぁ、倒したところで全部が元通りになるとは限らないし、既に滅亡レベルっていいかもしれないですが…今やれるのは、僕等しかいないのですからね」
逃げるだけならば、誰でもできるだろう。
しかし、あの怪物を放置し続ければいつか全てを呑み込み、逃げたこと自体意味を成さなくなってしまう。
だからこそ、ここで今、確実に仕留めなければいけない。爺ちゃんの遺言でもある世界を見て回るためにも、世界を呑み込みかねない怪物を、倒さなければいけないのだ。
「それじゃ、皆準備は良いね。全力で、あの国滅ぼしをやっつけよう!!」
「「【「おおおおおおおお!」】」」
【グラグラァ!!】
魔物も人間も関係なく、ここは一致団結して仕留めるために動き出す。
やれることをやるだけやって、確実にできればいいが‥‥不安はあるが、それでも賭けるしかない。
黒き津波のような巨大な怪物相手に、戦いを挑み始めるのであった…‥‥
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