198 / 238
選択は人次第
log-181 将を射んとする者はまず馬を射よとはいうが
しおりを挟む
…帝都の外に見られた、怪しい影。
はるか上空から捉えることでその動きを察し、最低限の護衛として一名この場にいないながらも、皆が素早く集い、相手を確認することができたのは良いことだろう。
【…ですが、どこかで見たことがあるなと思ったら…確か、知識と強欲のゲラト…でしたっけ?】
【やけに、ズタボロだが…いや、ガワとやらがもう限界なのか】
『げらげひゃは瑯݆、褵えて筄てくれて光栄だねぇሁ呻しき蟲に凄쌋ぴせたいォンスター~』
ゲラゲラと笑いつつも、その言葉は支離滅裂であり、うまく聞き取ることができない。
初めて出会った時に比べて、ゲラトの肉体はだいぶ腐っているかのように崩れ落ちており、いくつか欠損部分を蠢く蟲たちが補っているが、それでもまともに動けていること自体が不思議な状態だった。
『は垦ソは、ચえていてくれて冝䜄蕠ねぇ〱翦しま蟲䁫寄৶〰たい』
【本当に何を言っているのか、よくわからないなの】
【頭の大事な部分までもが、変なことになっているの‥?】
その話の内容が理解できない。
何かを口にしているとは思うのだが、言語が完全に何かバグを起こしているかのように滅茶苦茶であり、言いたいことが理解できないのだ。
それでも、身振り手振りのその様子から、何かを仕掛けようとしているのは明白なもの。
そのため、いつでもすぐに攻撃をできるようにと、臨戦態勢を取っていた…その時だった。
『youfbcouaouxjgyごyoulooooo!!』
【っ!!急に大きく膨らんだ!?】
【まさか、こういうのは典型的な自爆の構、】
ドッゴォオオオオオオオオオオオンン!!
突如として大きく膨れ上がり、大爆発を引き起こしたゲラトの身体。
その異様な姿に危険を感じ取り、素早くハクロが糸の防衛網を張り巡らし、カトレアが気の壁を多く作り上げ、どうにかその爆発に対して、彼女たちは怪我を負わずに済んだ。
【ひぇえ、危ないところでした】
【今の、肝を冷やした…ふみゅ…】
【自爆で、ミーたちを巻き添えにでもする気だったのなの?でも、それにしては不自然な動きだったような】
中身の蟲たちが周囲に飛び散って寄生したりする二次災害も警戒したが、その様子もない。
だが、何の意味もなく自爆するとは考えにくい。
何か他の仕掛けでもしていたのかと、周囲を見渡し…そこでふと、あることに気が付いた。
【ん?…これは、魔法陣の類か?】
ルトライトが見つけ出したのは、地面に作られた魔法陣のようなもの。
うっすらと目立ちにくいものになっており、それが自爆したゲラトの肉片とつながっているようだ。
いや、これは肉だけではなく…
【魔力も…いや、これはまさか!!】
【どうしたの、ルトライト?】
【不味い、奴の自爆はオレたちを傷つけるものじゃない!!この魔法陣を起動させるために、魔力をぶち込むためのモノだ!!】
魔法に長けたものだからこそ、理解してしまう相手の狙い。
あの自爆攻撃は特攻でも道連れでもなんでもなく、自爆による暴走した魔力…膨大なエネルギーを利用して、この魔法陣を発動させるもの。
自分たちの目をここまで引き付けるだけではなく、この目立ちにくいものを仕掛けておくことで、より一層目をそらして気づ付きにくくさせるものだったのだ。
【なのっつ!?じゃぁ、何か発動しているのなの!?】
【読む感じだとこれは…対象を指定した、転移の魔法陣!!何かを長距離移動させるための、一方通行かつ一度きりのみの仕掛けのようだが…】
あとから他の者たちが利用してくることを防ぐためか、発動後は仕掛けが焼き切れるようになっており、修復はできない模様。
一体何を、どこへ転移させるのかその中身を知るよりも先に…彼女たちの元へ、全速力で決闘場から吹っ飛んできたファイが、残酷な事実を告げに来るのであった…
はるか上空から捉えることでその動きを察し、最低限の護衛として一名この場にいないながらも、皆が素早く集い、相手を確認することができたのは良いことだろう。
【…ですが、どこかで見たことがあるなと思ったら…確か、知識と強欲のゲラト…でしたっけ?】
【やけに、ズタボロだが…いや、ガワとやらがもう限界なのか】
『げらげひゃは瑯݆、褵えて筄てくれて光栄だねぇሁ呻しき蟲に凄쌋ぴせたいォンスター~』
ゲラゲラと笑いつつも、その言葉は支離滅裂であり、うまく聞き取ることができない。
初めて出会った時に比べて、ゲラトの肉体はだいぶ腐っているかのように崩れ落ちており、いくつか欠損部分を蠢く蟲たちが補っているが、それでもまともに動けていること自体が不思議な状態だった。
『は垦ソは、ચえていてくれて冝䜄蕠ねぇ〱翦しま蟲䁫寄৶〰たい』
【本当に何を言っているのか、よくわからないなの】
【頭の大事な部分までもが、変なことになっているの‥?】
その話の内容が理解できない。
何かを口にしているとは思うのだが、言語が完全に何かバグを起こしているかのように滅茶苦茶であり、言いたいことが理解できないのだ。
それでも、身振り手振りのその様子から、何かを仕掛けようとしているのは明白なもの。
そのため、いつでもすぐに攻撃をできるようにと、臨戦態勢を取っていた…その時だった。
『youfbcouaouxjgyごyoulooooo!!』
【っ!!急に大きく膨らんだ!?】
【まさか、こういうのは典型的な自爆の構、】
ドッゴォオオオオオオオオオオオンン!!
突如として大きく膨れ上がり、大爆発を引き起こしたゲラトの身体。
その異様な姿に危険を感じ取り、素早くハクロが糸の防衛網を張り巡らし、カトレアが気の壁を多く作り上げ、どうにかその爆発に対して、彼女たちは怪我を負わずに済んだ。
【ひぇえ、危ないところでした】
【今の、肝を冷やした…ふみゅ…】
【自爆で、ミーたちを巻き添えにでもする気だったのなの?でも、それにしては不自然な動きだったような】
中身の蟲たちが周囲に飛び散って寄生したりする二次災害も警戒したが、その様子もない。
だが、何の意味もなく自爆するとは考えにくい。
何か他の仕掛けでもしていたのかと、周囲を見渡し…そこでふと、あることに気が付いた。
【ん?…これは、魔法陣の類か?】
ルトライトが見つけ出したのは、地面に作られた魔法陣のようなもの。
うっすらと目立ちにくいものになっており、それが自爆したゲラトの肉片とつながっているようだ。
いや、これは肉だけではなく…
【魔力も…いや、これはまさか!!】
【どうしたの、ルトライト?】
【不味い、奴の自爆はオレたちを傷つけるものじゃない!!この魔法陣を起動させるために、魔力をぶち込むためのモノだ!!】
魔法に長けたものだからこそ、理解してしまう相手の狙い。
あの自爆攻撃は特攻でも道連れでもなんでもなく、自爆による暴走した魔力…膨大なエネルギーを利用して、この魔法陣を発動させるもの。
自分たちの目をここまで引き付けるだけではなく、この目立ちにくいものを仕掛けておくことで、より一層目をそらして気づ付きにくくさせるものだったのだ。
【なのっつ!?じゃぁ、何か発動しているのなの!?】
【読む感じだとこれは…対象を指定した、転移の魔法陣!!何かを長距離移動させるための、一方通行かつ一度きりのみの仕掛けのようだが…】
あとから他の者たちが利用してくることを防ぐためか、発動後は仕掛けが焼き切れるようになっており、修復はできない模様。
一体何を、どこへ転移させるのかその中身を知るよりも先に…彼女たちの元へ、全速力で決闘場から吹っ飛んできたファイが、残酷な事実を告げに来るのであった…
41
あなたにおすすめの小説
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される
秋.水
ファンタジー
記憶を無くした主人公は魔法使い。しかし目立つ事や面倒な事が嫌い。それでも次々増える家族を守るため、必死にトラブルを回避して、目立たないようにあの手この手を使っているうちに、自分がかなりヤバい立場に立たされている事を知ってしまう。しかも異種族ハーレムの主人公なのにDTでEDだったりして大変な生活が続いていく。最後には世界が・・・・。まったり系異種族ハーレムもの?です。
転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~
志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。
自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。
しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。
身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。
しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた!
第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。
側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。
厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。
後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる