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49 おかしいなぁ、ゴリゴリと削れるような
しおりを挟む‥‥‥森の方に出来たダンジョン調査。
その内部構造及び一部抜けているが、ディーたちの脱出によって深い階層までの情報が入り、適正学園の授業の一環として、ダンジョンでの授業も組み込まれることになった。
ダンジョンでモンスターが出る分、実践に挑みたい人はそこで腕前を鍛え、出てくるお宝などを国で買い取って経済的にも還元され、賑わいを見せていく。
召喚士たちはダンジョンで出るモンスターを新しい召喚獣に加えようと挑む者たちも多いのだが…‥
「ふぉぉぉぉぉぉぉ!!美女出てこいやぁぁぁぁぁ!!」
「出来れば良い感じのやつだぁぁぁ!!百歩譲ってかなり面白い類でもこぉぉぉぉい!!」
「お姉さま風な人が欲しいので、そっちが来て欲しいわぁぁぁぁあ!!」
「‥‥‥何と言うか、混沌の極み?」
本日の授業はダンジョン探索。
召喚士たちの召喚獣確保のために来ているのだが、正直俺は周囲のその異様なテンションについていけなかった。
「人間の欲望はいつも変わらぬのぅ…‥‥というか、凄まじいのじゃ」
「アレはアレで、行動力溢れる行動ですので、授業態度としては正しいものになるでしょウ」
その光景を見て、ノインやゼネたちがつぶやき合うけど、原因の一角に彼女達がいるような気がする。
というか、結構な人数の女子生徒たちがおかしくなってない?いや、男子の方はまだわかるが‥‥‥
‥‥‥この異様なテンションの原因は、はっきりわかりたくもないのだが、否応なく理解させられる。
先日の調査で帰還した後、新たな召喚獣としてナイトメア・ワイトのゼネが加わった。
彼女の場合、ノインたちとは違って男装の令嬢という風をしており、流石に男子の嫉妬の目線などは向けられないとは思っていたのだが‥‥‥人間の性に対する欲望をなめていた。
たった数日で、ゼネの場合は男子たちではなく、女子たちを魅了し、そっちの方から怨嗟の視線が追加されちゃったのである。
どうも彼女の行動が、女性だというのに男装の令嬢でその辺の男子以上にイケメン風に見えてしまい、イケているお姉さま風に捉えられてしまったらしい。
しかも、今までの場合男子たちの欲望丸だしな視線に対しては軽蔑の目線などで抑止をしていたのだが…‥今回、ゼネが加わったことで、彼女に心酔する女子たちによる、使役に対する嫉妬・怨嗟へと変更されてしまったのであった。
そのせいで、どうも彼女のようなイケメンっぽいような召喚獣を求める召喚士の女性の方が増えてしまい、男子はまぁそのままだとして、女子の方でも同じ様な行動に走る人が増え、今の混沌状態へと変わったのであった。
なお、このダンジョンでの新しい召喚獣を増やす意味もないので、俺たちの場合は単純に実践による戦闘経験を積むことだけに専念できるのだが…‥‥
「‥‥‥浅い階層だと、やっぱりいま一つか」
「実験にはちょうどいいですが、いま一つやりにくいですネ」
「加減の練習にはなりますわね」
戦闘経験を積むはずが、加減方法を学んでいる状態に近い。
いやまぁ、将来的に召喚士として諜報のほうへ進む予定なので、戦闘能力を鍛える必要は特にないのだが‥‥‥何と言うか、手ごたえがない。
「むぅ、少々設定を甘めにし過ぎたかのぅ。ダンジョンコアの場所まで行って、再設定し直すべきか?」
「いや、他の学科だと今がちょうどいいらしいし、俺たちの都合で左右するのは不味いかな」
ここのダンジョンコア、破壊後の再構築で、ゼネが設定を弄れるようにしたらしいが、その設定に問題があるようだ。
とはいえ、現在このダンジョンは手が入り始めたばかりだし、むやみにやらかしても不味いだろう。
…‥‥まぁ、長年正体不明のナイトメア・ワイトを召喚獣にした上に、ここのダンジョンコアを掌握させた時点で色々やらかしているような気がしなくもない。
俺のせいじゃなくて、あのコアの性格の悪さが招いた悲劇だという処理をして欲しい。
「今も何か、ゼネに声援送る女子多いなぁ‥‥‥」
「うーむ、儂ノーマルなんじゃが‥‥‥なんか、この肉体の生前記憶にも似たようなことがあったのぅ……」
「生前のというと、聖女だった時のものでしょうカ?」
「それじゃな。ワイトという種族上、悪霊が憑りついているのじゃが、儂の場合は融合‥‥‥まぁ、受け入れ、互に混ざった物でもあるので、その生前の記憶も割と詳細に覚えているのじゃが‥」
ゼネいわく、生前、モンスターになる前の人間だったころの記憶でも、今のような女性陣からの人気はあったらしい。
「あれはあれで大変じゃったなぁ‥‥‥聖女という身分ゆえに、神に仕える自覚を持ち、身を捧げていたような物なのじゃが…‥‥色々と性的な意味で襲われそうになったことが多かったのぅ。何故か異性よりも同性の方が多かったのじゃが‥」
「凄い苦労しているなぁ‥‥‥」
生前の話に関しては、何やら込み入った事情などもあるのでそこまで深くは聞くことはない。
けれども、とりあえず物凄く苦労していたらしいことだけは十分理解できた。
「風呂に一緒なのは分かるのじゃが、寝る際に何も身に付けぬ娘がベッドへ潜り込もうとしたり、いきなり突撃してきて引きずり込まれかけたり、挙句の果てには薬を仕込み‥‥‥ううっ、今思い出しても寒気がするのじゃ」
「‥‥‥苦労しているわね」
「元人間故の、苦労が出ているのでござろうなぁ」
ノインは造られたモノだし、カトレアとルビーは自然発生に近い。
でも、ゼネの場合は元人間という事もあり、生前の思い出が非常に残っているのだろう…‥‥聞いていると同情したくなるけどね。
男装の令嬢故に、他の女性に人気が出るけれども、生前から似たような態度を取っていたのが原因なんだろうなぁ‥‥‥。
「まぁ、過去は過去、現在は現在として割り切れ。お前は今は俺の召喚獣だし、場合によっては迎撃も許可するぞ」
「そうしてくれるとありがたいのぅ…‥‥あ、御前様、ついでに一つお願いできぬか?」
「なんだ?」
「寝床に関しては部屋で守れるが、風呂場の方はそうもいかぬ。いっその事、御前様と同じ風呂に入らせてくれぬか?男子風呂ならば流石に突撃されることも、」
「無理」
「即答なのじゃ!?」
ゴメン、流石にそれは無理。
男装の令嬢という装いでも、ゼネ、女性だからな‥‥目のやりどころに困る。
「あー‥‥‥仲間でも、ご主人様との風呂は許されまセン。私たちは許可をもらって女風呂に入らせてもらえているのデス。突撃を避けたいのであれば、召喚獣用の風呂の方へ移動なさるのはどうでしょうカ?」
「それ、既に儂実行したやつじゃよね?そして昨日半壊したやつじゃよね」
「あ、そう言えば聞いたでござるな‥‥‥他の召喚獣たちもパニックを起こし、風呂場で暴れてしまい、ほぼ全壊したやつでござったか」
「そう言えばそうだったか‥‥‥生徒会の方で、それ説教を喰らったんだよなぁ‥‥‥」
「なんか、面目ないのじゃ‥‥‥」
まぁ、流石に覗きどころか突撃だったので、正当防衛が成り立ったから良いのだが、召喚獣用の風呂が壊れたせいで、復旧まで他の召喚獣たちは風呂が入れない状態。
ゆえに、ゼネは強制的に女湯送りとなってしまい、風呂の復旧までは他の風呂好きらしい召喚獣たちに睨まれているんだよなぁ‥‥‥
何にしても、風呂云々は考えない方が良いだろう。
工事費用はやらかした人々に払ってもらうことになり、負担はそうかからないが‥‥‥精神的な意味合いであれば、相当かかっているんだよね。
「はぁ‥‥‥あ、そう言えばここクラウドシープも出るんだったか。できればあれを召喚獣にして、何時でもモフモフに埋もれて癒せればなぁ」
「ご主人様に悲報ですが、出現しなくなったようデス。今はもうデスポーンでしたか、そういう理由などでいなくなったようデス」
「設定を弄った代償で、一部モンスターが変更されてしまったようじゃな。しかもその辺は直せぬようじゃ」
「なん‥‥‥だと…‥!?」
あの、沈み込むような、永遠の眠りにつけそうな、極上のモフモフフワフワモンスターが出現しなくなっただと!?
本日、最大の精神的衝撃にディーは唖然とする。
できればあれも召喚獣にしたかった、いや、あの出合った時に契約できないかどうか試しておくべきであったと後悔する羽目になった。
ああ、できれば次に、また出会う機会があれば、今度は群れ丸ごと召喚獣にできれば良いなぁ‥‥‥ノインたちのように美女とかではなく、きちんとそのままでいて欲しいが。
ゼネのように種族変更で別物になるのもやめて欲しい。そのあたりはどうにかならないだろうか‥‥?
「御前様‥‥‥そこまで、ショックじゃったか?」
「うん‥‥‥結構」
「‥‥‥すまぬのぅ」
申し訳ないと思っているのか、そっと俺の肩にゼネが手を置く。
慰めてくれるのは良いんだけど…‥‥あれ、ちょっと待って?
なんかすっごい怨嗟の視線が増加したような‥‥‥あ、そう言えば、今ここ他にも同級生いるか。
他の女子生徒たちからの視線が、物理的な痛さを伴い始めたぞ。卒業までに、無事でいられるだろうか…?
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