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閑話 狂愛の終焉と新たな開花
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「…‥‥ええ、それで良いですわ‥‥‥自らの罪を自覚し、その代償は十分に払えます」
「それなら良いのだが‥‥‥大丈夫か?」
「何がかしら?」
‥‥‥王城内、議会室。
深夜へそろそろ移ろうとしている中で、長時間続いた会議がようやく終わりを迎え、集まっていた者たちは疲れ果てていた。
そんな中で、議題に挙げられ、なんとか作成できた書類にサインする彼女を見て、国王は問いかける。
「目覚めた時からなんというか…‥‥色々と憑きものが落ちたような感じになっているのだが‥‥‥」
「ええ、大丈夫ですわね。これは、そう、私たちは新たなる高みへ至ったからです。意識を失い、川を渡りかけ、そこで再び生を得たことで、悟りを開けたのですわ」
「なんか渡ってはいけないところ、渡ろうとしてないかソレ?」
国王の問いかけも気にせずに、彼女達は…‥‥ゼネの妹及びその仲間たちは、それぞれ慈愛に満ちた聖母のような笑みを浮かべつつ、キラキラと天から光が降り注ぎそうな雰囲気を身にまとい、そう答えた。
「お姉様に関する秘匿情報は同意。元聖女で今は変わってしまいましたが、その細かな情報は、利用されると困りますもの」
「また、その主に関する詳細も、外部に漏らさないようにしつつ、手出しも極力しない‥‥‥この条件も飲みますわ」
「今回の騒動による様々な迷惑料なども、こちらは国庫を開かずに、私財をすべて注ぎますわ。そう、余計な欲望の元はだめですからね」
「‥‥‥‥なんか、怖いのだが」
国王のそのつぶやきに、疲れつつ恐れつつ、なんとか集まっていた者たちは同意して頷く。
報告では、色々とヤヴァイ行為などもしていたらしいのだが、今目の前にいる彼女達はつきものが落ちたどころか、人として何かを失い、代わりに何か尊いものを得たかのような神聖さを醸し出している。
神聖国のトップという立場も聞いているのだが、今の状態はまさにそのトップの座にふさわしいようでありつつも、人ならざる何かへと進化したかのような不気味さも漂わせているのである。
「まぁまぁ、大丈夫ですわよ。きちんと書類にサインを入れ、手続きを済ませ次第帰国いたしますわ」
「手を煩わせることなく、きちんと徒歩で向かいますからね」
「これも、私たちの修行でもあるのですわ」
「う、うむ」
神聖国とこの王国間はそれなりに距離があり、一応送り返す際に馬車の手配ぐらいはしようと考えていたのだが、どうやらその手続きはいらず、自力で歩いて帰るつもりらしい。
色々と穢れが落ちた聖人のような振る舞いに、誰も意見を言えず、その場はそれで終わる。
彼女達が書類を書き終え退出し、出て行った後にその場にいた者たちはほっと何故か安堵の息を吐くのであった。
「‥‥‥ええ、ええ、ええ‥‥‥お姉様への想いは今、変わりましたものね」
「私たちの中にあった、お姉様への身勝手な想いを、見事に砕いてくれましたもの」
歩きながら、ゼネの妹たちは語り合い、都市から出て神聖国へ向けて進む。
「ああ、ああ、聖女の時には見ることが無かった、お姉様のお姉様らしい振る舞い…‥‥あの方の元でなら、ようやくお姉様はお姉様になれるのですね」
「そうですわね。聖女という職業柄、お姉様はお姉様でありつつも、振舞えなかった。聖女という殻があるせいで、破る事もできず、型に当てはめ続けることしかできなかった‥‥‥‥」
‥‥‥昔、ゼネが聖女だったころを彼女達は思い出す。
職業『聖女』。
それは、癒しの能力を持ち、ありとあらゆる奇跡をもたらすことさえもできていた、幻の職業。
この世界で多くの人々が自身の職業でその能力を有し、扱うことができる中でも、聖女という職業は別格な職業の一つ。
その奇跡はまさに神の御業とも言え、他の職業が大勢集まってできるようなことも難なくこなし、その価値は非常に高い。
だが、かつてゼネが生きていたころ…‥‥その当時のデオドラント神聖国は、大腐敗の末期とも言われていた。
国の中枢、外部、末端に至るまでのすべてが腐り果てており、国としてもそもそも終わっているかのような状態。
欲に溺れ、物事を見ず、苦しむ人々をさらに苦しめ、自分達の欲望のために動く者がほとんどな時代。
そんなときに、聖女という稀有な職業が現れればどうなるかという事は、分かり切っていた。
彼らはその力を自分たちのためだけに扱い、より都合よくしていこうと考えていたらしいが…‥‥その分、欲望もたんまりと漏れ出しており、そのおかげでゼネは先に感づき、動くことができた。
飲まれぬためにも国中の各所を転々と動き回り、真に苦しむ者たちのために自ら動く。
何かしでかそうとする輩がいれば、それこそ力の限りやり返し、人々が救われるようにしたのだ。
それも、ただ傍受させるだけでは意味がないという事で、自ら与えられるように施した。
怪我人が多ければ癒し、そして癒すための必要な技術などを他の者たちへ教え込む。
干ばつで全滅しかければ奇跡で雨を降らし、そして貯水池などを作らせ対策できるようにする。
与えつつ、そして今度は他へ自分たちが動けるように、自ら考えられるように彼女はしていき、国内が少しづつ改善されていった。
一応、目立たぬように男装の方をしていたらしいが、むしろその性格ゆえに女性陣からは多くの支持が高まり、職業だけでは得られない、聖女としての在り方を見せたのだ。
‥‥‥でも、それはあくまでも聖女としての在り方であり、彼女自身の素ではない。
一度、聖女としてふるまい続けて、ずっとその奥底ではその本当の彼女というべき部分がくすぶり、隠されていたことに気が付く者たちは多かった。
けれども、それをどうにかすることはできなかった。
癒しを与えようと動くも逆効果になりやすく、むしろ聖女としての在り方を行動で示すことによって、その行為がより彼女を塗りつぶしていく。
何かこう、ダメなのではないかと心配する者たちも続出し、ならば何かをしてあげて、どうにかしたいと考えていた矢先に…‥‥それは起こってしまった。
腐り切り、人気の出始めた聖女が脅威になると思った者たちの手によって。
聖女の救いによって、民から搾り取れるものが減少し、不満や怒りを持った者たちの手によって。
良からぬ企みを持ちつつ、聖女を利用しようと求婚してきたもの手によって。
…‥‥気が付き、阻止しようとしたその時には、もう遅かった。
聖女は捕らえられ、動けなくされ、処刑される様を彼女達は見た。
怒りで何もかも蹂躙し、聖女の敵となるものをたちを葬り去ったのは良いのだが…‥‥もう、聖女は帰ってこない。
それから長い年月が経過し、今、聖女であった彼女達のお姉様を見ることができた。
その狂えるほど愛しい愛ゆえに、自分達の元へ今度こそ置き、本当にどのような敵も近づけることがなく、聖女という職業も外した素を見たかったが、それはもういいだろう。
あの時、ゼネがとった行動を彼女達は見たのだから。
聖女という職業から抜け落ち、本当の意味で自由になったゼネを見たのだから。
色々と押さえつけていた自身の想いを自ら沸き上がらせ…‥‥見せ付けられたのだから。
「…‥‥ああ、振り返れば私たちこそが、お姉様を縛り付けていたのかもしれませんわ」
「一度死にかけ、ゆっくりと考えこむ機会があったからこそ…‥‥本当に、過ちを犯さなくてよかったですわね」
…‥‥狂愛ゆえに怪物になり果て、それを打ち砕かれ、彼女達は自身を振り返り、いかに自分たちがどの様な悪鬼になり果てていたのか、よく理解した。
だからこそ、執着するのはもうやめており、新たに獲得したお姉様像を…‥‥いや、像というものがあるからこそ見ることができなかったその姿を新たに広め、同じように狂愛の鎖に縛られている者たちの解放を目指すことにしたのである。
そしてもうひとつ、今回の件で、彼女達は新たな目標を掲げることにした。
今までは、お姉様…‥‥ゼネを手に入れる事だけに目を向けていたが、それはもうやめることにしようと。
その代わりに、今度こそ、真の意味での幸せを獲得してもらうために、手助けを行おうと。
王国と結んだ書類の中に、極力手を出さないというのもはある。
確かに彼女達は自分たちの手を出すことはしないが…‥‥誘導し、彼らが動けばいいだけの話だ。
「お姉様はモンスターとなりましたが、ようやく幸せを得ました」
「だからこそ、より幸せになってもらうためにも動かなければなりません」
キスシーンを見たからこそ言える、ゼネにとっての幸せを考え、彼女達はそれのために動く。
他にも色々とライバルという名の障害なども多そうだが…‥‥乗り越えてこそ、いや、むしろ対等になって共に向かえれば別に良いのではないかと思う。
「…‥‥調べたところ、あの召喚士は年齢的にはもう少し足りないですわね」
「やるとすれば、来年か…‥‥いえ、今から布石を巡らせ、自然と向かわせればいいですわね」
「他にも色々と狙っている方も多そうでしたが…‥‥お姉様なら、それは大丈夫のはずですわ」
話し合い、歩きながらその事実を確認し合い、着実に計画を練っていく。
その姿には、もうあの狂愛の怪物となり果てた姿にまであった狂った想いはないだろう。
今はただ、本当に純粋に、ゼネに幸せがあるように彼女達が願っている想いしかない。
…‥‥とは言え、人の性質とは厄介な物。
何かの大義名分を得ると暴走することもあり、狂愛に至るほどの暴走能力はある彼女達は、再び暴走し始めるだろう。
「ああ、でもお姉様も中々もどかしいですし、どうにか後押しできればいいのですが」
「媚薬でも盛ります?」
「いえ、まだ早いわね。できるだけまずはムードの方から…‥‥‥」
今度は害する方向へは向かうことはないだろうが‥‥‥‥まぁ、悪いものではない分、余計にたちが悪くなってしまった可能性は大有りだろう。
何にしても、お姉様への幸せを胸に抱き、国へ彼女達は帰還する。
そしてすべてのお姉様を崇め称えるものたちを説き伏せ、新たなお姉様への想いを抱かせ、協力させていく。
狂った想いが消えうせたことは良いのだが‥‥‥‥代わりにさらなる重い愛が彼女達に芽吹いてしまったようであった…‥‥‥
「みくしょい!!‥‥‥なんかくしゃみが出たのぅ」
「誰かに噂でもされているんじゃないか?」
「そうかのぅ?なーんかこう、悪寒が走ったような気がするのじゃが…‥‥」
「それなら良いのだが‥‥‥大丈夫か?」
「何がかしら?」
‥‥‥王城内、議会室。
深夜へそろそろ移ろうとしている中で、長時間続いた会議がようやく終わりを迎え、集まっていた者たちは疲れ果てていた。
そんな中で、議題に挙げられ、なんとか作成できた書類にサインする彼女を見て、国王は問いかける。
「目覚めた時からなんというか…‥‥色々と憑きものが落ちたような感じになっているのだが‥‥‥」
「ええ、大丈夫ですわね。これは、そう、私たちは新たなる高みへ至ったからです。意識を失い、川を渡りかけ、そこで再び生を得たことで、悟りを開けたのですわ」
「なんか渡ってはいけないところ、渡ろうとしてないかソレ?」
国王の問いかけも気にせずに、彼女達は…‥‥ゼネの妹及びその仲間たちは、それぞれ慈愛に満ちた聖母のような笑みを浮かべつつ、キラキラと天から光が降り注ぎそうな雰囲気を身にまとい、そう答えた。
「お姉様に関する秘匿情報は同意。元聖女で今は変わってしまいましたが、その細かな情報は、利用されると困りますもの」
「また、その主に関する詳細も、外部に漏らさないようにしつつ、手出しも極力しない‥‥‥この条件も飲みますわ」
「今回の騒動による様々な迷惑料なども、こちらは国庫を開かずに、私財をすべて注ぎますわ。そう、余計な欲望の元はだめですからね」
「‥‥‥‥なんか、怖いのだが」
国王のそのつぶやきに、疲れつつ恐れつつ、なんとか集まっていた者たちは同意して頷く。
報告では、色々とヤヴァイ行為などもしていたらしいのだが、今目の前にいる彼女達はつきものが落ちたどころか、人として何かを失い、代わりに何か尊いものを得たかのような神聖さを醸し出している。
神聖国のトップという立場も聞いているのだが、今の状態はまさにそのトップの座にふさわしいようでありつつも、人ならざる何かへと進化したかのような不気味さも漂わせているのである。
「まぁまぁ、大丈夫ですわよ。きちんと書類にサインを入れ、手続きを済ませ次第帰国いたしますわ」
「手を煩わせることなく、きちんと徒歩で向かいますからね」
「これも、私たちの修行でもあるのですわ」
「う、うむ」
神聖国とこの王国間はそれなりに距離があり、一応送り返す際に馬車の手配ぐらいはしようと考えていたのだが、どうやらその手続きはいらず、自力で歩いて帰るつもりらしい。
色々と穢れが落ちた聖人のような振る舞いに、誰も意見を言えず、その場はそれで終わる。
彼女達が書類を書き終え退出し、出て行った後にその場にいた者たちはほっと何故か安堵の息を吐くのであった。
「‥‥‥ええ、ええ、ええ‥‥‥お姉様への想いは今、変わりましたものね」
「私たちの中にあった、お姉様への身勝手な想いを、見事に砕いてくれましたもの」
歩きながら、ゼネの妹たちは語り合い、都市から出て神聖国へ向けて進む。
「ああ、ああ、聖女の時には見ることが無かった、お姉様のお姉様らしい振る舞い…‥‥あの方の元でなら、ようやくお姉様はお姉様になれるのですね」
「そうですわね。聖女という職業柄、お姉様はお姉様でありつつも、振舞えなかった。聖女という殻があるせいで、破る事もできず、型に当てはめ続けることしかできなかった‥‥‥‥」
‥‥‥昔、ゼネが聖女だったころを彼女達は思い出す。
職業『聖女』。
それは、癒しの能力を持ち、ありとあらゆる奇跡をもたらすことさえもできていた、幻の職業。
この世界で多くの人々が自身の職業でその能力を有し、扱うことができる中でも、聖女という職業は別格な職業の一つ。
その奇跡はまさに神の御業とも言え、他の職業が大勢集まってできるようなことも難なくこなし、その価値は非常に高い。
だが、かつてゼネが生きていたころ…‥‥その当時のデオドラント神聖国は、大腐敗の末期とも言われていた。
国の中枢、外部、末端に至るまでのすべてが腐り果てており、国としてもそもそも終わっているかのような状態。
欲に溺れ、物事を見ず、苦しむ人々をさらに苦しめ、自分達の欲望のために動く者がほとんどな時代。
そんなときに、聖女という稀有な職業が現れればどうなるかという事は、分かり切っていた。
彼らはその力を自分たちのためだけに扱い、より都合よくしていこうと考えていたらしいが…‥‥その分、欲望もたんまりと漏れ出しており、そのおかげでゼネは先に感づき、動くことができた。
飲まれぬためにも国中の各所を転々と動き回り、真に苦しむ者たちのために自ら動く。
何かしでかそうとする輩がいれば、それこそ力の限りやり返し、人々が救われるようにしたのだ。
それも、ただ傍受させるだけでは意味がないという事で、自ら与えられるように施した。
怪我人が多ければ癒し、そして癒すための必要な技術などを他の者たちへ教え込む。
干ばつで全滅しかければ奇跡で雨を降らし、そして貯水池などを作らせ対策できるようにする。
与えつつ、そして今度は他へ自分たちが動けるように、自ら考えられるように彼女はしていき、国内が少しづつ改善されていった。
一応、目立たぬように男装の方をしていたらしいが、むしろその性格ゆえに女性陣からは多くの支持が高まり、職業だけでは得られない、聖女としての在り方を見せたのだ。
‥‥‥でも、それはあくまでも聖女としての在り方であり、彼女自身の素ではない。
一度、聖女としてふるまい続けて、ずっとその奥底ではその本当の彼女というべき部分がくすぶり、隠されていたことに気が付く者たちは多かった。
けれども、それをどうにかすることはできなかった。
癒しを与えようと動くも逆効果になりやすく、むしろ聖女としての在り方を行動で示すことによって、その行為がより彼女を塗りつぶしていく。
何かこう、ダメなのではないかと心配する者たちも続出し、ならば何かをしてあげて、どうにかしたいと考えていた矢先に…‥‥それは起こってしまった。
腐り切り、人気の出始めた聖女が脅威になると思った者たちの手によって。
聖女の救いによって、民から搾り取れるものが減少し、不満や怒りを持った者たちの手によって。
良からぬ企みを持ちつつ、聖女を利用しようと求婚してきたもの手によって。
…‥‥気が付き、阻止しようとしたその時には、もう遅かった。
聖女は捕らえられ、動けなくされ、処刑される様を彼女達は見た。
怒りで何もかも蹂躙し、聖女の敵となるものをたちを葬り去ったのは良いのだが…‥‥もう、聖女は帰ってこない。
それから長い年月が経過し、今、聖女であった彼女達のお姉様を見ることができた。
その狂えるほど愛しい愛ゆえに、自分達の元へ今度こそ置き、本当にどのような敵も近づけることがなく、聖女という職業も外した素を見たかったが、それはもういいだろう。
あの時、ゼネがとった行動を彼女達は見たのだから。
聖女という職業から抜け落ち、本当の意味で自由になったゼネを見たのだから。
色々と押さえつけていた自身の想いを自ら沸き上がらせ…‥‥見せ付けられたのだから。
「…‥‥ああ、振り返れば私たちこそが、お姉様を縛り付けていたのかもしれませんわ」
「一度死にかけ、ゆっくりと考えこむ機会があったからこそ…‥‥本当に、過ちを犯さなくてよかったですわね」
…‥‥狂愛ゆえに怪物になり果て、それを打ち砕かれ、彼女達は自身を振り返り、いかに自分たちがどの様な悪鬼になり果てていたのか、よく理解した。
だからこそ、執着するのはもうやめており、新たに獲得したお姉様像を…‥‥いや、像というものがあるからこそ見ることができなかったその姿を新たに広め、同じように狂愛の鎖に縛られている者たちの解放を目指すことにしたのである。
そしてもうひとつ、今回の件で、彼女達は新たな目標を掲げることにした。
今までは、お姉様…‥‥ゼネを手に入れる事だけに目を向けていたが、それはもうやめることにしようと。
その代わりに、今度こそ、真の意味での幸せを獲得してもらうために、手助けを行おうと。
王国と結んだ書類の中に、極力手を出さないというのもはある。
確かに彼女達は自分たちの手を出すことはしないが…‥‥誘導し、彼らが動けばいいだけの話だ。
「お姉様はモンスターとなりましたが、ようやく幸せを得ました」
「だからこそ、より幸せになってもらうためにも動かなければなりません」
キスシーンを見たからこそ言える、ゼネにとっての幸せを考え、彼女達はそれのために動く。
他にも色々とライバルという名の障害なども多そうだが…‥‥乗り越えてこそ、いや、むしろ対等になって共に向かえれば別に良いのではないかと思う。
「…‥‥調べたところ、あの召喚士は年齢的にはもう少し足りないですわね」
「やるとすれば、来年か…‥‥いえ、今から布石を巡らせ、自然と向かわせればいいですわね」
「他にも色々と狙っている方も多そうでしたが…‥‥お姉様なら、それは大丈夫のはずですわ」
話し合い、歩きながらその事実を確認し合い、着実に計画を練っていく。
その姿には、もうあの狂愛の怪物となり果てた姿にまであった狂った想いはないだろう。
今はただ、本当に純粋に、ゼネに幸せがあるように彼女達が願っている想いしかない。
…‥‥とは言え、人の性質とは厄介な物。
何かの大義名分を得ると暴走することもあり、狂愛に至るほどの暴走能力はある彼女達は、再び暴走し始めるだろう。
「ああ、でもお姉様も中々もどかしいですし、どうにか後押しできればいいのですが」
「媚薬でも盛ります?」
「いえ、まだ早いわね。できるだけまずはムードの方から…‥‥‥」
今度は害する方向へは向かうことはないだろうが‥‥‥‥まぁ、悪いものではない分、余計にたちが悪くなってしまった可能性は大有りだろう。
何にしても、お姉様への幸せを胸に抱き、国へ彼女達は帰還する。
そしてすべてのお姉様を崇め称えるものたちを説き伏せ、新たなお姉様への想いを抱かせ、協力させていく。
狂った想いが消えうせたことは良いのだが‥‥‥‥代わりにさらなる重い愛が彼女達に芽吹いてしまったようであった…‥‥‥
「みくしょい!!‥‥‥なんかくしゃみが出たのぅ」
「誰かに噂でもされているんじゃないか?」
「そうかのぅ?なーんかこう、悪寒が走ったような気がするのじゃが…‥‥」
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