170 / 373
167 それは何処かでやらかした感じがして
しおりを挟む
「ダニダニダニ、色々と話もあるが、起きたのであれば時間は惜しいダニィ。そちらの召喚獣についての情報も色々ある事だし、さっさと動かないと不味いダニィ」
ダニの体をブルッと震わせ、俺の体を持ち上げ、用意していたらしい台車の上に載せられた。
そのまま台車を引き始め、何処かへ運搬されるようである。
「とはいえ、せっかくまともな人間が来たのだし、ちょっとは施設の案内をしてやるダニィ。この組織のモットーとして、『来訪されたお客様には、丁寧な施設説明を!』とあるからダニィ!!」
‥‥‥秘密裏に地下室を作るなどした組織が、そんなモットーで良いのだろうか。
とはいえ、何かしてくる気のようだし、それでも身動きが取れないし、せっかくなので説明してくれるのであれば聞いておいた方が良い。
無駄に動いて体力を消耗しようないように気を遣いつつ、その説明を俺は聞き始める。
「では術室へ向かう間に色々とあるから、そこを手短に説明するダニィ!」
…‥‥術室とやらが何なのかは嫌な予感しかしないが、俺はその話を聞いていく。
この施設は仮面の組織フェイスマスクの有する怪物製造工場‥‥‥ではなく、その怪物を製造する前に、どの様な物が出来上がるのか、様々な試作品を作り出す研究所らしい。
ここで合格を貰ったモノだけが表にというか、組織で使用され、怪物を生み出すようだ。
「右手に見えるのはぁ、先日生み出しつつも廃棄処分となった怪物『ドモッグ』!!モグラとトカゲ、ヘビーヴァイパーなどを混ぜたやつだったけれども、制御が難しく、職員数名を食べたヤヴァイやつダニィ!!」
示す方向を見れば、天井から吊るされている怪物を黙視する。
ミイラ化しているようだが、アンデッドにはならないように色々と処理はしており、失敗作でありつつも今後の研究の糧として保管するらしい。
「ここの左手には、施設発足時に作成されつつ、何故か大失敗に終わった怪物ダニィ!!あ、名前を付ける前に、自害されたから、名無しダニィ」
そっちの方向をみれば、人間の骨格模型のように見えつつも、色々とあってはいけないような骨が組み合わさった標本があった。
元はとある人間だったようだが、怪物化で心が壊れ、自殺したらしい。
「そしてこっちの上には、大空を舞っていた旧型飛行怪物『ドステラドーン』ダニィ!!ああ、でも今は飛行運搬用にステルス性能が求められて、全部廃棄処分になって、標本のあれしかいないダニィ」
上の方を見れば、天井に骨格標本があった。
ドラゴンのような形状だが、頭の部分が粉々になっており、尻尾の方も骨が変形しまくって、元が異形の怪物であったことが推測できた。
‥‥‥というか今、さらっと飛行運搬とか言っていたけど、堂々と空をもっと別の怪物が飛んでいるのか?嫌な情報を聞いてしまった気がする。
とにもかくにも運ばれる間にも、ダニ怪物もといこの研究所のトップでもあるらしい開発部主任のダニエリーゼとやらは、上機嫌になって説明していく。
うん、色々とこういう施設にいていいのかと言えるような性格をしている気がするが、それでも意気揚々と怪物を作り出していたとか言う話を聞くと、人として大事な物が無くなっているような気がする。
いや、ダニの体になっている時点でおかしいというか…‥‥道中で語ってくれた話によれば、自分自身を実験台にした結果が今の姿らしい。
大抵の怪物化が人格も何も残していないことが多いが、このダニエリーゼは数少ない成功例として、組織の中でも上の方に立っているようだ。
「っと、まだまだサンプルなどがあるのに、もう術室に着いちゃったダニィ。惜しいけれども、時間もないと考えられるし、良いところで切り上げておくダニィ」
ある程度聞き終えたところで、どうやら目的地へ着いたらしい。
時間もないという部分が気になったが、顔に出ていたのを読んだのか、そこも答えてくれた。
「その鎖とか色々と仕掛けがあるのダニィ。そうでもしないと、君の召喚獣ってやばすぎて、ココを見つけた瞬間に暴れまくってしまダニィ。なので、そうなる前にさっさと終わらせようとしているだけダニィ」
この場所を特定して、来ただけで暴れるのは‥‥‥いや、ありえなくもないな。
というか、この状況って既視感があると思えばあれだ。ゲイザーに飲み込まれた時の奴だ。
あの時とも確か、体内で動いている中で、外でノインたちがそれはもう恐ろしい暴れっぷりを見せたとも聞くが‥‥‥もしかして今、彼女達が本気で暴れようとしていないか?
考えていると、ダニエリーゼがいったん外に出て、その場に俺は置かれる。
何かをするらしいが、その何かがろくでも無い事ぐらい、理解している。
なので、どうにかして反撃の糸口を見つけたいのだが…‥‥
じゃらじゃらぎりぃ!!
(‥‥‥全然ほどけないし、鎖を外す方面は無理か)
ノインの装備を付けていれば、簡単に外せただろうが、この状況で付けているわけもない。
ならば、彼女達を召喚できればいいのだが、口の方は口枷があり‥‥‥これをどうにかしないといけないだろう。
「もぐが‥‥‥もぐがあああ!!」
舌だけは自由に動いたので、なんとか外せないかと試行錯誤してはいる。
運ばれている最中に、その情報を聞きながらも、挑戦していたのだが、まだ外れる気配はない。
どうにかしないと手遅れになりそうだし、なんとかできればいいのだが‥‥‥
「おっまったせぇダニィ!!」
‥‥‥うん、短い抵抗の時間であった。相手の方が早かった。
「もぐぐぁ?」
「あ、これかダニィ?」
俺の目線を追って、何を言いたいのかダニエリーゼは理解したようで、それを高らかに持ち上げる。
「これぞ、出来立てほやほや新鮮な怪物化薬『オーガニック0235』!!計算上、撃たれた人間は命令通りに動くだけの、怪力の怪物になってしまうはずの薬ダニィ!!」
巨大な注射器を持ち上げ、誇らしげに言うダニエリーゼ。
ちょっと説明を聞くと、人に物凄い怪力を与える代わりに、自我を奪い、命じられて動くだけの人形に変えてしまう怪物化の薬らしい。
「もがぁ!?」
「あ、自我を奪うといっても、どうなるのかまでは良く分かっていないところもあるダニィ。まぁ、君はどうやら組織にとってのお邪魔虫でもあるし、この薬の拒絶反応で亡くなっても、生き延びて人形になっても、どっちに転んでも美味しいので問題はないダニィ!!」
「もっがもがぁぁあ!!」
問題大有りだと叫びたいのに、口枷が外れないので全然言えない。
そうこうしているうちに、背後に回り込まれ、背中の部分にヒヤッとした感触を感じ取った。
「さてと、大概は経口摂取とか、腕にぶすりとやるけれども、今回は初の試みの脊椎投与!!背中からゆっくりと薬を味わってもらうダニィ!!」
「もっがぁぁぁ!?」
何を考えているんだとか、打たれたくもないので暴れようとするが、鎖でぐるぐる巻きにされているうえに、だてにダニの体をしていないのか、全然答える気配もない。
「さぁ、いくダニィ!!」
ぶぉんっと大きく素振りをした後、一気にその針が背中に突き刺さった。
「もっがぁあああああああああああああああああああああ!!」
物凄く極太な針ゆえか、強烈な激痛が背中に走り、何かの液体が注入される感触を味わってしまう。
「っと、効果が出るまで、安全のために隔離するダニィ!!」
注射器の液体を空っぽにした後、ダニエリーゼはすたこらさっさと退出し、ガチャリと重い鍵の音が響き渡る。
『あー、結果が出るまで、計算上あと3時間程度ダニィ。薬の効果自体は出始めるだろうけれども、それまで死ぬか自我が失せるか、どっちかになると思うので、それまで別の方で動くことにするから、ちょっとさらばダニィ!!』
何処からかそんな声も響き渡り、ダニエリーゼの気配が消えうせる。
「も、もぐ…‥‥がはっ、があああああああああ!!」
それと同時に、薬の影響なのか全身に強烈な激痛が走り始めた。
どうやら怪物化か、それとも死亡かのどちらかが起きるようで、この痛みはその前の段階にあるのだろう。
針を刺されるような、切り裂かれるような、骨を砕かれるような‥‥‥想像しうる限りのありとあらゆる痛みが全身に走り、鎖で固められながらもびったんばったんっと体が動き、物凄く苦しくなっていく。
「がっはあああああああああ!!」
焼かれるよりも熱く、それでいて電撃で痺れるよりも痺れ、あまりの苦痛に狂いそうになるのだが、狂う事も許されないのか、意識がはっきりしたまま。
けれども作用は出ているのか、自我を消そうとしているのか、自分が自分で無くなるような感覚を味わいかけるも、まだ何とか息はある。
「うっがぁぁぁぁぁぁぐっつ!!」
ばっきぃぃぃぃ!!
っと、あまりの激痛故の火事場の馬鹿力なのか、口枷をかみ砕いた。
口の中に血の味が広がるが、なんとか意識が消えるのをこらえつつ、まだ何とかできる舌で言葉を紡ぐ。
‥‥‥この既にやられてしまった状態で、正常にできるのかも怪しいだろう。
この世のありとあらゆる苦痛を受けているが‥‥‥それでも、召喚獣たちを頼るだけの…‥‥力はある。
「し、しょうか、があぐっぐぁあああああああああ!!」
頭の中にも激痛が走り、もはやまともには考えられない。
自分の意識が砕かれるような状態になるが‥‥‥‥それでも、何とか、‥‥‥呼ばないといけないのだ!!
「し、っぎわああががっつ!!あああ、AAAAAAAGAHHHA!!」
もはや、まともに発音できるかも怪しい。
けれども、やらねばいけないし、このまま人ならざる状態になったとしても‥‥‥‥自分は失いたくない!!
「ぎfagaaaaaAAAAAAA、ぐっつ、っがは、『召喚!!ノイン、カトレア、ルビー、ゼネ、リリス、リザ、アナスタシア、レイア!!』今すぐここへこぉおおおおおおおい!!」
何とか自分が自分である隙に、一気にまとめて全員の名前を上げる。
それと同時に魔法陣が浮かび上がり、彼女達を呼びだすが…‥‥もう、この時点で、自分の自我はあやふやになり、苦痛で考えられなくもなるが‥‥‥それでも、呼びだすまではできた。
「今すぐに、できる限り対応をしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおががああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
彼女達の言葉を聞く前に、完全に自分が喰われかける。
猛烈な激痛にやられ、ぶつりと意識が飛んだその瞬間、最後に見たのは彼女達の姿。
全員を呼びだせたようだが、目も痛く視界もぼやけていく中、それでもはっきりと全員の声を耳にした。
了解、っといつものように、俺の命令を聞いたときの言葉が。
それでいてその顔は、この状況を瞬時に読み取ったのか、戸惑いつつも周囲へ怒りを向ける顔があった。
‥‥‥ああ、こういう表情をすることもあるのか。そりゃ、ゲイザーの時に恐れる奴も出るだろう。
でも、そう言う表情は似合わないだろうな…‥‥彼女達に合うのは…‥そう、皆で楽しみ合っていた時の‥‥‥あの笑顔ぐらいで…‥‥で…‥‥
「…‥‥私の召喚主に」
「わたくしの召喚主に」
「拙者の召喚主に」
「儂の召喚主に」
「グゲェ」
「わっちの召喚主に」
「「私たちの召喚主に」」
「「「「「「「「何をしたぁぁああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」
‥‥‥あ、ちょっと被って‥‥‥ああ、誰、だっ‥‥‥け‥‥‥
ダニの体をブルッと震わせ、俺の体を持ち上げ、用意していたらしい台車の上に載せられた。
そのまま台車を引き始め、何処かへ運搬されるようである。
「とはいえ、せっかくまともな人間が来たのだし、ちょっとは施設の案内をしてやるダニィ。この組織のモットーとして、『来訪されたお客様には、丁寧な施設説明を!』とあるからダニィ!!」
‥‥‥秘密裏に地下室を作るなどした組織が、そんなモットーで良いのだろうか。
とはいえ、何かしてくる気のようだし、それでも身動きが取れないし、せっかくなので説明してくれるのであれば聞いておいた方が良い。
無駄に動いて体力を消耗しようないように気を遣いつつ、その説明を俺は聞き始める。
「では術室へ向かう間に色々とあるから、そこを手短に説明するダニィ!」
…‥‥術室とやらが何なのかは嫌な予感しかしないが、俺はその話を聞いていく。
この施設は仮面の組織フェイスマスクの有する怪物製造工場‥‥‥ではなく、その怪物を製造する前に、どの様な物が出来上がるのか、様々な試作品を作り出す研究所らしい。
ここで合格を貰ったモノだけが表にというか、組織で使用され、怪物を生み出すようだ。
「右手に見えるのはぁ、先日生み出しつつも廃棄処分となった怪物『ドモッグ』!!モグラとトカゲ、ヘビーヴァイパーなどを混ぜたやつだったけれども、制御が難しく、職員数名を食べたヤヴァイやつダニィ!!」
示す方向を見れば、天井から吊るされている怪物を黙視する。
ミイラ化しているようだが、アンデッドにはならないように色々と処理はしており、失敗作でありつつも今後の研究の糧として保管するらしい。
「ここの左手には、施設発足時に作成されつつ、何故か大失敗に終わった怪物ダニィ!!あ、名前を付ける前に、自害されたから、名無しダニィ」
そっちの方向をみれば、人間の骨格模型のように見えつつも、色々とあってはいけないような骨が組み合わさった標本があった。
元はとある人間だったようだが、怪物化で心が壊れ、自殺したらしい。
「そしてこっちの上には、大空を舞っていた旧型飛行怪物『ドステラドーン』ダニィ!!ああ、でも今は飛行運搬用にステルス性能が求められて、全部廃棄処分になって、標本のあれしかいないダニィ」
上の方を見れば、天井に骨格標本があった。
ドラゴンのような形状だが、頭の部分が粉々になっており、尻尾の方も骨が変形しまくって、元が異形の怪物であったことが推測できた。
‥‥‥というか今、さらっと飛行運搬とか言っていたけど、堂々と空をもっと別の怪物が飛んでいるのか?嫌な情報を聞いてしまった気がする。
とにもかくにも運ばれる間にも、ダニ怪物もといこの研究所のトップでもあるらしい開発部主任のダニエリーゼとやらは、上機嫌になって説明していく。
うん、色々とこういう施設にいていいのかと言えるような性格をしている気がするが、それでも意気揚々と怪物を作り出していたとか言う話を聞くと、人として大事な物が無くなっているような気がする。
いや、ダニの体になっている時点でおかしいというか…‥‥道中で語ってくれた話によれば、自分自身を実験台にした結果が今の姿らしい。
大抵の怪物化が人格も何も残していないことが多いが、このダニエリーゼは数少ない成功例として、組織の中でも上の方に立っているようだ。
「っと、まだまだサンプルなどがあるのに、もう術室に着いちゃったダニィ。惜しいけれども、時間もないと考えられるし、良いところで切り上げておくダニィ」
ある程度聞き終えたところで、どうやら目的地へ着いたらしい。
時間もないという部分が気になったが、顔に出ていたのを読んだのか、そこも答えてくれた。
「その鎖とか色々と仕掛けがあるのダニィ。そうでもしないと、君の召喚獣ってやばすぎて、ココを見つけた瞬間に暴れまくってしまダニィ。なので、そうなる前にさっさと終わらせようとしているだけダニィ」
この場所を特定して、来ただけで暴れるのは‥‥‥いや、ありえなくもないな。
というか、この状況って既視感があると思えばあれだ。ゲイザーに飲み込まれた時の奴だ。
あの時とも確か、体内で動いている中で、外でノインたちがそれはもう恐ろしい暴れっぷりを見せたとも聞くが‥‥‥もしかして今、彼女達が本気で暴れようとしていないか?
考えていると、ダニエリーゼがいったん外に出て、その場に俺は置かれる。
何かをするらしいが、その何かがろくでも無い事ぐらい、理解している。
なので、どうにかして反撃の糸口を見つけたいのだが…‥‥
じゃらじゃらぎりぃ!!
(‥‥‥全然ほどけないし、鎖を外す方面は無理か)
ノインの装備を付けていれば、簡単に外せただろうが、この状況で付けているわけもない。
ならば、彼女達を召喚できればいいのだが、口の方は口枷があり‥‥‥これをどうにかしないといけないだろう。
「もぐが‥‥‥もぐがあああ!!」
舌だけは自由に動いたので、なんとか外せないかと試行錯誤してはいる。
運ばれている最中に、その情報を聞きながらも、挑戦していたのだが、まだ外れる気配はない。
どうにかしないと手遅れになりそうだし、なんとかできればいいのだが‥‥‥
「おっまったせぇダニィ!!」
‥‥‥うん、短い抵抗の時間であった。相手の方が早かった。
「もぐぐぁ?」
「あ、これかダニィ?」
俺の目線を追って、何を言いたいのかダニエリーゼは理解したようで、それを高らかに持ち上げる。
「これぞ、出来立てほやほや新鮮な怪物化薬『オーガニック0235』!!計算上、撃たれた人間は命令通りに動くだけの、怪力の怪物になってしまうはずの薬ダニィ!!」
巨大な注射器を持ち上げ、誇らしげに言うダニエリーゼ。
ちょっと説明を聞くと、人に物凄い怪力を与える代わりに、自我を奪い、命じられて動くだけの人形に変えてしまう怪物化の薬らしい。
「もがぁ!?」
「あ、自我を奪うといっても、どうなるのかまでは良く分かっていないところもあるダニィ。まぁ、君はどうやら組織にとってのお邪魔虫でもあるし、この薬の拒絶反応で亡くなっても、生き延びて人形になっても、どっちに転んでも美味しいので問題はないダニィ!!」
「もっがもがぁぁあ!!」
問題大有りだと叫びたいのに、口枷が外れないので全然言えない。
そうこうしているうちに、背後に回り込まれ、背中の部分にヒヤッとした感触を感じ取った。
「さてと、大概は経口摂取とか、腕にぶすりとやるけれども、今回は初の試みの脊椎投与!!背中からゆっくりと薬を味わってもらうダニィ!!」
「もっがぁぁぁ!?」
何を考えているんだとか、打たれたくもないので暴れようとするが、鎖でぐるぐる巻きにされているうえに、だてにダニの体をしていないのか、全然答える気配もない。
「さぁ、いくダニィ!!」
ぶぉんっと大きく素振りをした後、一気にその針が背中に突き刺さった。
「もっがぁあああああああああああああああああああああ!!」
物凄く極太な針ゆえか、強烈な激痛が背中に走り、何かの液体が注入される感触を味わってしまう。
「っと、効果が出るまで、安全のために隔離するダニィ!!」
注射器の液体を空っぽにした後、ダニエリーゼはすたこらさっさと退出し、ガチャリと重い鍵の音が響き渡る。
『あー、結果が出るまで、計算上あと3時間程度ダニィ。薬の効果自体は出始めるだろうけれども、それまで死ぬか自我が失せるか、どっちかになると思うので、それまで別の方で動くことにするから、ちょっとさらばダニィ!!』
何処からかそんな声も響き渡り、ダニエリーゼの気配が消えうせる。
「も、もぐ…‥‥がはっ、があああああああああ!!」
それと同時に、薬の影響なのか全身に強烈な激痛が走り始めた。
どうやら怪物化か、それとも死亡かのどちらかが起きるようで、この痛みはその前の段階にあるのだろう。
針を刺されるような、切り裂かれるような、骨を砕かれるような‥‥‥想像しうる限りのありとあらゆる痛みが全身に走り、鎖で固められながらもびったんばったんっと体が動き、物凄く苦しくなっていく。
「がっはあああああああああ!!」
焼かれるよりも熱く、それでいて電撃で痺れるよりも痺れ、あまりの苦痛に狂いそうになるのだが、狂う事も許されないのか、意識がはっきりしたまま。
けれども作用は出ているのか、自我を消そうとしているのか、自分が自分で無くなるような感覚を味わいかけるも、まだ何とか息はある。
「うっがぁぁぁぁぁぁぐっつ!!」
ばっきぃぃぃぃ!!
っと、あまりの激痛故の火事場の馬鹿力なのか、口枷をかみ砕いた。
口の中に血の味が広がるが、なんとか意識が消えるのをこらえつつ、まだ何とかできる舌で言葉を紡ぐ。
‥‥‥この既にやられてしまった状態で、正常にできるのかも怪しいだろう。
この世のありとあらゆる苦痛を受けているが‥‥‥それでも、召喚獣たちを頼るだけの…‥‥力はある。
「し、しょうか、があぐっぐぁあああああああああ!!」
頭の中にも激痛が走り、もはやまともには考えられない。
自分の意識が砕かれるような状態になるが‥‥‥‥それでも、何とか、‥‥‥呼ばないといけないのだ!!
「し、っぎわああががっつ!!あああ、AAAAAAAGAHHHA!!」
もはや、まともに発音できるかも怪しい。
けれども、やらねばいけないし、このまま人ならざる状態になったとしても‥‥‥‥自分は失いたくない!!
「ぎfagaaaaaAAAAAAA、ぐっつ、っがは、『召喚!!ノイン、カトレア、ルビー、ゼネ、リリス、リザ、アナスタシア、レイア!!』今すぐここへこぉおおおおおおおい!!」
何とか自分が自分である隙に、一気にまとめて全員の名前を上げる。
それと同時に魔法陣が浮かび上がり、彼女達を呼びだすが…‥‥もう、この時点で、自分の自我はあやふやになり、苦痛で考えられなくもなるが‥‥‥それでも、呼びだすまではできた。
「今すぐに、できる限り対応をしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおががああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
彼女達の言葉を聞く前に、完全に自分が喰われかける。
猛烈な激痛にやられ、ぶつりと意識が飛んだその瞬間、最後に見たのは彼女達の姿。
全員を呼びだせたようだが、目も痛く視界もぼやけていく中、それでもはっきりと全員の声を耳にした。
了解、っといつものように、俺の命令を聞いたときの言葉が。
それでいてその顔は、この状況を瞬時に読み取ったのか、戸惑いつつも周囲へ怒りを向ける顔があった。
‥‥‥ああ、こういう表情をすることもあるのか。そりゃ、ゲイザーの時に恐れる奴も出るだろう。
でも、そう言う表情は似合わないだろうな…‥‥彼女達に合うのは…‥そう、皆で楽しみ合っていた時の‥‥‥あの笑顔ぐらいで…‥‥で…‥‥
「…‥‥私の召喚主に」
「わたくしの召喚主に」
「拙者の召喚主に」
「儂の召喚主に」
「グゲェ」
「わっちの召喚主に」
「「私たちの召喚主に」」
「「「「「「「「何をしたぁぁああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」
‥‥‥あ、ちょっと被って‥‥‥ああ、誰、だっ‥‥‥け‥‥‥
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる