憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
258 / 373

250 ある程度の想定でも抜け穴はどこにでも存在しており

しおりを挟む
‥‥‥神聖国内には、数多くの神へ祈りを捧げたり、懺悔を述べたり、あるいは日々の報告をするための神殿が存在している。

 そして、それらの神殿をまとめ上げたような大神殿もいくつか存在しており、その中でも‥‥‥‥



「‥‥‥神聖国内の、一番荘厳なこの神殿にゼネの妹たちがいるのか?」
「いるじゃろうなぁ‥‥‥ここ、トップ専用の神殿の方にな」

 目の前にそびえたつのは、神殿の中でも目立つひときわ装飾が細かに施されている大神殿。

 外壁には美しい絵画やそれらを立体的に表現したかのような石像などが飾られているのだが…‥‥こんなもの、去年は見かけなかったような気がする。


「というか、あの石像のいくつかがゼネさんに似ているのニャけど」
「新築の神殿のようですけれども、既に何となくここが本拠地なのかと納得しそうですよ」

…‥‥どうやら去年の夏の一件以降に新たに作られた大神殿のようだが、いたるところにある石像や絵画の一部にゼネに似た姿のものが多く飾られている。

 他人の空似だと思いたかったのだが…‥神聖国内で生まれて仕えていた聖女の肖像画もいくつか飾られているのに…‥‥


「‥‥‥これが、生前のゼネの肖像画なんだろうけれど‥‥‥明らかにこれだけすごく豪勢に飾られているよな」
「‥‥‥儂としては、こういうのは残してほしくなかったのじゃが」

 内部に入ると長い廊下があったのだが、その廊下の一角に、物凄く大きく描かれた聖女の肖像画があり、物凄く目立っていた。

 しかも、その肖像画はどうやら生前のゼネの姿のようだが…‥‥服装は違うとはいえ、彼女であるというのが良く分かる。

「しかしのぅ、確か儂が処刑された時に全部燃やしてやったぜとか言ったやつがいたはずじゃが…?」
「ああ、そう言えば元は処刑された聖女だっけ?」

 たまに忘れそうになるのだが、ゼネは元々この神聖国の大腐敗時代に冤罪で処刑された聖女。

 冤罪があるという事は、その冤罪をかけるような輩がいたわけで‥‥‥その輩の一人が、処刑前に彼女にそう話したのだとか。

「まぁ、多分全部は無理だったのじゃろうなぁ。当時の時点で妹たちはぶっ飛んだ思考をしておったし、儂のものを収集しまくって‥‥‥その秘蔵品の一つが、これな気がするのじゃよ」

 何か時に喰わないやつに対して、その痕跡を残させないようにする輩もいる。

 だがしかし、ゼネに対してその行為を行おうとした相手で有ろうとも、当時から既にウルトラシスコン狂愛と化していたらしい者たちの前には意味をなさなかったようだ。

…‥‥でも、そうなると気になる点もある。

 あれだけトラウマを残すようなレベルの輩が、ゼネの処刑に黙っているわけもないだろうし、そうなる前に未然防ぐことができたかもしれない。

 それなのに、執行されたという事実があるのだ。

「とはいえ、昔は昔で情報収集手段も結構限られておったし‥‥‥何かと妨害する輩も多く、力不足な事もあったのじゃろう。油断したその隙を突かれて、結果として儂が処刑されたのじゃろうなぁ」
「もしやその反動で、より一層ヤヴァイ集団になったんじゃ?」

 その可能性も無きにそもあらずというかなんというか…‥‥何にしても放置できない集団だろう。

 取りあえず、ここでどうにか潰して今後このようなことがないようにしたい。


 

 そう思いつつ、俺たちは先へ進んだが‥‥‥ちょっとした問題が起きた。

「…‥‥奥の方にいると思って進むのは良いけど‥‥‥なんか濃いな」
「濃いというよりも、狂気が詰まっていると言えないかニャ?」

 ルナティアがそう返答し、納得する。

 というのも、この大神殿…‥‥明らかにゼネの妹たちの本拠地なのは目に見て分かるようになってきたが、その分かる品々が酷い。

 今はまだ夜中であり、明け方までまだ時間があるが暗く‥‥‥それでも、ろうそくや魔道具でライトアップされているのが目に見えるのだが‥‥‥‥

「ゼネの石像に、色々と付け憑け加えている肖像画、台座に置かれた聖女雑誌‥‥‥」
「本かと思えば中身がドロドロの愛でゼネをありありと思わせるような小説」
「本人しか見えない胸像に模型、絶対取らないポーズに着ない服装に‥‥‥」

「‥‥‥新手の精神拷問かのぅ」
「なんというか、俺たちの方もこの狂愛ぶりに恐怖しか感じないのだが」

‥‥‥見え過ぎると困る物も多い。

 ストーカーの部屋というか、拗らせたヤンデレの人の部屋というか、あるいはそれらを全て混ぜ合わせた博物館というべきか‥‥‥神殿なのに祭っているのが神ではなくゼネだが、信奉者が邪神にしか思えない感じしかしない。

 精神的に狂愛の恐怖でゴリゴリと削られるような気がしつつも…‥‥ようやく俺たちは最奥部の部屋前にたどり着いた。

「生命反応確認‥‥‥データ一致。以前遭遇した狂愛の怪物一味もといゼネの妹方と確認しまシタ」

 ぴこぴことアホ毛を動かし、ノインがそう報告してくる。

 ここまでの道のりがやけに静かではあったが、外での騒ぎが伝わっていないはずがない。

 そもそも、あの空間に閉じ込めるような行為をした輩が、脱出に気が付かずに行動を起こさないものだろうか?いや、違うだろう。


 何か手段をもって待ち構えている可能性の方が大きいが‥‥‥先手必勝で一斉攻撃を考えても、直ぐにできない可能性もある。

 何しろ、あの空間自体ノインたちの攻撃に対しての耐性などが存在していたし、この扉の先で耐えうるだけの防壁を張っている可能性もある。

「どうしたものかと言いたいが…‥‥突撃しかないか」

 真正面から向かうのは愚策と言われるかもしれないが、どの様な手段をとっても無駄な気しかしないし、この方法がむしろ一番最善かもしれない。

 ならいっその事、このまま扉を開け、中に入り込めばいいだけの話だろう。


「万が一のために、装備をしておきましょウ」
「というか、しないと恐怖しかないからなぁ…‥‥」

 組織フェイスマスクから技術も強奪しているようだし、それらに対応できる状態にした方が良い。

 洗脳の道具だとか、そういうのを使ってこないともいえないし、対策は十分にすべきだという事で、もう頭の前にしている。

 念のためにルナティアたちもしているし、ノインたちもやっているし、一応万全。

 あとは、相手がどう出るか次第だし…‥‥ここはもう、腹をくくろう。

「それじゃ、入るぞ」

 扉を開き、俺たちは中へ入る。

 中に入って見渡せば、そこは会議室のような造りになっており…‥‥部屋の奥の方に、上から明かりが照らされていた。

 そして、その明りの下には‥‥‥



「‥‥‥ふふふ、ようこそ、お姉様とその他の方々」

 ニヤリと笑みを浮かべたゼネの妹と、その背後には多くのその仲間たちが待ち受けていたのであった…‥‥




しおりを挟む
感想 771

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。 それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。 ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。 彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。 剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。 そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...