憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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閑話 本人の知らぬ間に練られてはいる

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「…‥‥ご主人様の昼寝を確認。すやすやと寝息を立て始め、30分は確実に目を覚まさないでしょウ」
「であれば、今話し合うのが良さそうですわね」

‥‥‥ギラリギラリと太陽が辺りを照らしつつも、その木蔭は日光から守りつつ、さわやかな風を通して穏やかな眠りを誘う。

 その木蔭でディーが少し遊びづかれて昼寝をし始めたタイミングで、召喚獣たちにルナティア、アリスが集まって、話をし始めた。


「今回の騒動によって、海洋王国にもご主人様の名が知られまシタ。現状、被害からの復興で触れる機会は無いのですが…‥‥復興後に、アプローチをされる可能性があるのデス」

 海洋王国モルゼでの騒動。

 この騒動によって、海洋王国の第8王女の目にディーがつけられた可能性があり、今後何かしらの接触がある可能性が出てきた。

 何しろ、ディーの召喚獣である彼女達は強力な存在でありつつ、ノインの作り出す道具の技術力も高いので、各国すれば喉から手が出るほど欲しいのは間違いないだろう。

 ゆえに、情報が広まれば広まるほど、狙われる可能性が高くなることは理解しており…‥‥今回の一件で、更に情報が広まる可能性が出てきた。


 というのも、騒動があったのは海洋王国であり、ここは他国との海での交易が盛んであった国。

 騒動のせいでしばらくは復興の方に力を注ぐのだろうが、そこで出てくるのはこうなった経緯の話であり‥‥‥そのせいで、ディーに関しての話が更に他の国へ伝わる可能性が出てくるのだ。

「まぁ、現状はそこまで表立って接触してくるような輩はいないがのぅ。儂ら自身が御前様の害になるようなものを排除しているし…‥‥」
「たまーに入りこんでくる間者、きちんと捕縛、引き渡しなど、作業はしている」

 とはいえ、彼女達が防げるのは悪意程度であり、ディーに対してのアプローチを完全に防げるわけではない。

 彼と関わり、その存在の重要性を確認している国々であれば扱いに関してもある程度注意深くしているのは理解しているのだが…‥‥

「ご主人様の精神面が成長しつつ、そろそろ年頃の男子としての興味などが出てきているようデス。精神を鍛えており、そうたやすく引っかかることはないはずですガ‥‥‥」
「マスター/身を固めてもらう/その方が/安全度高い」



‥‥‥ある程度防げるとはいえ、そろそろディーも年頃の男子。

 ノインとの船上での会話もあったが、好意をそろそろより深く受け止めたり、考えることができる状態に成長してきており、召喚獣であるノインたちから言うのであれば、番を捜す頃合いになりそうなのだ。

「まぁ、それは分かるニャね。それで、その事をわざわざ話すという事は‥‥‥」
「もしかして、全員‥‥‥」

「話が早いですネ。お二人には、出来ればご主人様へそろそろ積極的になってほしいのデス。いえ、私達も積極的になりたいと言えばそうなのですが…‥‥」
「グゲェグゲェ、グゲェ」
「そうだな。召喚獣の身ゆえに、出にくいんだ…‥‥」

 リリスとレイアの言葉に同意して頷く召喚獣たち。



…‥‥この場にいる全員が、ディーに対して深い好意を抱いているのは変わらないだろう。

 忠誠を捧げるだけではなく、身も心もすべてディーに上げたいという想いは同じだ。

 けれども、ここで問題になるのが召喚獣という立場。


 愛さえあれば関係ないと言いたくはなるが、現実はそう簡単な物ではなく、むしろ迂闊に突破してしまえばそれこそ危険があるのだ。

「というか、単純に拙者たちだと繁殖期があるからのう…‥‥迂闊にまともに番になるというのが、不味いというのがあるのじゃよ」
「ん?それって獣人の発情期と似たようなものじゃないのかニャ?」
「似てはいるのでござるが…‥‥いや、生々しい話しになるのでやめておくのでござる」

 とにもかくにも、色々な壁がありつつも、一応突破は不可能ではない。

 けれども、突破した先の問題を考えると、妾だとか愛人の立場の方が彼女達にとって都合が良いというのもあり…‥‥だからこそ、ディーにとっての番をしっかりと厳選したいという想いが、召喚獣たちにあるのだ。

 ゆえに、その想いによって色々と厳選しつつ、双方の意思などを考えた結果…‥‥ルナティアとアリスの二人が選ばれたのだ。

 気持ちとしては、彼女達にとっても悪くはないどころか、非常に良い話し。

 けれども、それはそれで問題もあったりするので、そうたやすく動けない。




‥‥‥だが、今回の騒動を経て、そう悠長なことができなくなったとノインは語る。

「海洋王国での騒動があったからこそ、話はより広まるでしょウ。そうなれば当然、更に遠方の国々からも色々と仕掛けられる可能性があり…‥‥危険度が増しマス。だからこそ、早くご主人様に番が欲しいというのもあるのデス」

 現状、美女と言える召喚獣たちに囲まれているディーではあるが、相手がいない人というのもある。

 ゆえに、その相手さえ用意すればどうにかなると考えるような馬鹿者がいるだろうし、余計に話を拗らせたくない。

 だからこそ、できるだけ積極的に出て、ディーとの仲を親密にしてもらいたいと彼女達は思ったのである。


「…‥‥それはそれでいいけどニャ」
「問題としては…‥‥」

 話自体は悪くはないし、必要性があるのは分かるだろう。

 ディーに立場は城伯であり、愛人だとか妾がいてもおかしくはないとも言えるだろう。

 けれども、その中で一つ、譲れないような物があるとすれば…‥‥

「「正妻という立場‥‥‥‥それはどっち?」」
「「「「「‥‥‥」」」」」

‥‥‥愛し、愛される関係になるのは良い事だろう。

 けれども、その愛情の中でもより相手より優位になりたいという想いを考えると、その部分が出てしまう。

 いや、互いの身分も立場も違うとはいえ…‥‥そこに、どうしても譲れないようなところが出てしまうのだ。


 彼女達の問いかけに対して、召喚獣たちは答えることが出来ない。

 召喚獣たちも、愛人や妾という立場は納得しつつも、それでもやはり、その正妻という立場は甘い蜜のようなものであり、逃したくはないのである。

 頭では理解しているのに、本能的には譲りたくないような矛盾を抱え‥‥‥‥どうしようもないのだ。




‥‥‥それでも今は、とりあえずディーとの仲を進展しようということで、協力し合う。

 けれども、納得する自分がいるのに優位になりたいというか、より深くディーの大事な人になりたいという想いは全員同じであり…‥‥その部分に関しては、決着が付くまでは譲り合うことはないだろう。

 とにもかくにも、その話し合いを終え、ひとまずは平和的な協定を結び合うのであった。


「‥‥‥まぁ、ご主人様が誰と結ばれるのかも大事ですが、問題がまだありますネ」
「む?何かあったかのぅ?」
「私やゼネ、ルンには問題ないとは思いますガ…‥‥繁殖期、種族によっては発情期とも言えるのがありまして…‥‥全員、その時期が来たら理性持てますかネ?」
「むぅ、その件もあるといえばあるのぅ。‥‥‥しかしじゃ、ノイン、お主の隙あらば密かに収まろうと自然に動いてしまう部分に関しては儂らも警戒しているぞ」
「…‥‥」

…‥‥メイドたるもの、主への忠誠を誓いつつ、メイドとしての立場を忘れないようにする。

 けれども、メイドゴーレムとは言え心が成長している彼女にとっては、時折そのメイドとしての嗜みを忘れそうになり、一人の女性となってしまう。

 その想いを見透かされてしまい、ノインは何も言えなくなるのであった…‥‥






「…‥‥私だって、時々メイドでなければどうなっていたのか、と想像する時ぐらいありますヨ」
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