憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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339 それは誰かにとばっちりを

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 新入生たちも職業を顕現し終え、学園での生活に慣れてきた頃合い。

 この時期になると、自分たちの持つ職業の力がどの様なものなのか、把握する人も多く、限界を試したくなるものや、もっと研鑽できないかなど、努力をし始める生徒たちが増えてきたりする。

 まぁ、ソレはソレで良いだろう。自己成長が良い方向に伸びるのであれば、ある程度までは黙認できることもある。

「とは言え、流石にやらかすような輩はしっかりと捕まえるがな…‥‥レイア、そっちは?」
「終わったぞ。この二人、騎士の職業を顕現させたのはいいが、その力で無理やり他の生徒たちを叩きのめして手下とかにしようと企んでいたようで…‥‥しっかりと、しばき倒した」

 どさっと地面に投げ出されるのは、簀巻きにされた新入生二名。

 職業の顕現によって得た力に対して、何時しか傲慢さを抱いてしまい、力に溺れたようだが‥‥‥うん、見事にボッコボコになっているようだ。

「こっちの方もいたのじゃよなぁ…‥‥しかもくだらぬ理由で」

 っと、今度は気絶して白目をむいている新入生をゼネが持ってきた。

「くだらない理由?」
「ここで一目惚れした女性生徒がいたようじゃが、その生徒が儂の方に告白してきてな…‥‥丁寧にお断りをしてできるだけ傷つかぬようにしたのじゃが、いらぬ正義感と言うかお世話と言うか、襲ってきたのじゃよ」

 なお、気絶する寸前にこの新入生は告白を試みたそうだが、盛大にフラれたらしい。

‥‥‥ソレはソレで、なんか哀れすぎる気がする。なんか、うちの召喚獣がゴメン。

「ついでにわっちの方にもあったでありんすよ」
「そうそう、あったのだ」

 そう言いながらリザとスルーズが引きずって来たのは…‥‥ぐるぐる巻きに縛られている新入生とその新入生に顔が似たオッサン。

「わっちが元々液体を酒に変えられる話をどこかで耳にしたのか、こやつら酒に興味持っていたようで、強要してきたのでありんすよ。無理やり従わせるぞと言うように意気込んで親共々やってきたようでありんすが‥‥‥」
「わらわも一緒にいたのだ。なので、叩きのめしたのだ」

 親にあらかじめ連絡をして、最初から強盗まがいなことを企んでいた時点で、もうアウトだろう。

 こちらはこちらで教師陣へ連絡して、退学させるようにした方が良いのかもしれない。

「なんで早々に、こうも問題ばかりが起きるのやら…‥‥」


 一部はちょっとこちらの責任と言えるようなところがあるかもしれないが、起きてくる問題。

 慣れて来たからこそ慢心を産み、そこで色々とやらかそうと考える人が出てしまうのかもしれない。

 フェイスマスクはないのに、こうやって出てくる問題児たちへの応対に、頭を悩ませるのであった…‥‥








‥‥‥そして学園でディーたちが出て来た問題に対して溜息を吐きながら対応策をとっていた丁度その頃。

 王城の方では、国王と第1王子ゼノバース第2王子グラディ第1王女ミウが面として向かい合っていた。


「…‥‥それで、本当にやる気なのでしょうか、父上」
「ああ、そうだ。流石にそろそろ歳なのでな‥‥‥隠居を考えている。そして、息子たちよ、お前たちの優秀さはしっかりと確認しており、どちらに王位を継承すべきか迷っていた」
「退位されるのは良いのですが…‥‥迷って『いた』ということは、今はもうないと?」
「そういうことだ」

 真剣な表情でそう口にする国王に対して、緊張して唾をのむ王子たち。

 冬季休暇の時からこの話を聞かされており、色々な課題が密かに出されまくって苦労していたが‥‥‥どうやら国王はついに、自身の退位の最終的な決定を下すらしい。

「でも、それならなぜこうやって集めているのかしら?ディーの元へ嫁ぐ身ですので、王位継承には関係ないのですけれども…‥‥」

 国王たちの重々しい空気の中で、そう問いかけるミウ。

 立場的にはもう王位継承権を確実に逃れて、ディーの元へ行けるはずなので、ここに集まる意味はない。

 第3王子であったエルディムも今は、婚約者と別の所で式を挙げたそうで、現在は新婚ほやほやで世界を巡る新婚旅行を1年がかりでやるらしく、ココへ呼ばれていない。

 それなのに、こうやって集められてしまったのは‥‥‥‥

「‥‥‥ああ、そうだ娘よ。お前は本来ならば彼の元へ嫁ぐことになり、王位継承の話からは既に抜けているはずであった。息子たちが王位についても子に恵まれなければ、お前の子供の方に継承権が移る可能性もあるので、完全にとは言い切れなかったのだが…‥‥少し、事情が変わったのだ」
「事情とは?」

 首をかしげるミウに対して、国王は懐からとある紙の束を出す。

 何だと思い、王子たちも一緒にその内容を確認して…‥‥驚愕して目を見開いた。

「…‥‥え?これ、本当なの?」
「遊び人の職業ゆえに、情報を集めやすいのは知っていたが…‥‥父上、どこまで情報網を広げていたのですか」
「と言うか、これを捜すまでにどれだけのことを‥‥‥」
「いや、そう大したことではないぞ。そうだな…‥‥うむ、彼の元にいるメイドの言葉をちょっと自己流に直して言うのであれば、『国王たるもの、子供たちの未来を願って徹底的に調べ上げるのは普通な事である』ということか」

 どこぞやのメイドと似たような口ぶりで、そう口にする国王。

 それはが本人にバレたら、パクリとか言われそうな気がするのだが‥‥‥‥そんな事すらも気にしていないようだ。

「そもそもだ、国王と言う前に、親の立場…‥‥子供の幸せを願うのであれば、色々と調べておくのはおかしくはないだろう。現に、第3王子であったエルディムの方に婚約した娘に関しても調べ上げ、現在は一応大丈夫だという事も分かっている。ついでに言うのであれば、お前たちに万が一があった場合、遠縁のものなどがいないかなども調べ上げ、更には他国の王族たちの情報すらも得ているのだ」

 遊び人と言う職業を得ながらも、王位つきつつ国王としての立場を考え、この国王は色々と行っていた。

 どこの誰がどの様な人物であり、その趣味嗜好から生誕地、性格、昨日の晩飯は何だったのかまで‥‥‥間諜などに就いている人たちでさえも調べられないような細かい部分まで、頭の中に入れていたのだ。


「‥‥‥その中を捜す中で、この王国が建国される前まで色々とさかのぼり、どの様な人物がいたのかなども調べ上げていたのだが…‥‥行方が分からなくなっていた一族の話も見つかってな‥‥‥」

 国王陛下の話に対して真剣に聞く王子たち。

 この父親が大人しく退任するわけもなく、何か大きな面倒事の爆弾を投げてくる可能性があったのだが、それが現実となったことに対し、今は話の内容を少しでも理解して、驚愕をいかに減らせるのか努めるのであった‥‥‥‥


「…‥‥あれ?考えると、王位継承争いから抜け出せそうだったわたくしに、とばっちりが来たとも言えますよね?」
「「「…‥‥そうかもしれない」」」
「何でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

‥‥‥淑女たるもの、変な声は上げないのだが、こういう時には思わず叫ぶミウであった。
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