憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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351 まだ先のことだけど

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‥‥‥褒美としてもらってしまった国。

 一応、表向きとしてはロクデモナシな輩に任せたり、奪い合うようなことをしないように考えて、できる限りのパワーバランスを考慮して国を与えたようなことになっているらしい。

 というのも、各国共同の諜報となる身なのは決定していたが、それでも召喚獣たちの力や技術力を考えると、まだまだ脅威として考える国々や輩も出てきて、完全に押さえつけにくいらしい。

 そこでいっその事、一国の主として立たせつつ、国の取り決めとして侵略を行わないようにとか同盟を結ぶとか、国家レベルでの契約を結ぶなどさせたほうがより一層安全だとかアピールしていけばいいという考えにも至ったようだが…‥‥


「そこまでしっかりと話し終えても、埋まっているのか?」
「ええ、そうね。お父様は説明が少々足りないところがあるので、その反省をしてもらうためにお兄様方が埋めているのよ」

 国王陛下が退任前に公開お仕置き埋め立てを喰らっているらしいが、そんな事はどうでもいい。

 とりあえず今はまだ学生の身分という事で、その与えられた国に対する政治的義務などは完全に行う必要はないらしいが‥‥‥それでも、一国一城の主にさせられた事実は変わらない。

「そもそも、距離的にもこの周辺諸国より遠めなのだが…‥‥それは考えていないのか」
「移動手段だけを考えるならば、かなり早いのが多いですからネ」

 俺のつぶやきに対して、ノインがそう答えてくる。

 まぁ、確かに言われてみれば、普通の馬車や魔道具の移動手段に比べて、俺たちが使える移動手段の速度は桁外れに速い。

 どんなに遠くあろうとも、陸を駆け抜け大地を斬りさき、海を‥‥‥‥いや、そっちはまだ未熟な部分も多いので空陸程度しか進めないとは思うが、それでも距離は関係ないだろう。

「それよりも問題としては、国を与えられても政治を行えるのか、そもそもどういう国にするのか、中身にどれだけの国民が‥‥‥‥っと、色々な課題が多すぎる点が大問題なんだよなぁ」

 どこの世界に、素人に国を与えるような輩がいるのか。

「お父様ですわね」
「そうなるよな」

 第1王女でもあるミウの言葉に、物凄く納得させられるのだが…‥‥うん、そんな輩がいる事実にツッコミどころがあると思う。

 学生の間はまだまだ収めるわけにもいかないのだが…‥‥終わった後に治めることが確定事項になるのは、頭が痛い問題になりそうだ。

「と言っても、国政に関して知っている面子がいるのは幸いか。アリスにミウ、二人とも王族でもあるからな‥‥‥」
「復興中だけど、大分知っている」
「嫁ぐ身となっても、王族としての知識はしっかりと持っているのよね」

 うん、身内に王族が二名いるだけでも、安心感はある。

 でも、やはり不安もあるのだが、そのあたりはどうにかなってくれないかなぁ。

「一応聞くけどノイン、メイドの嗜みで『国王になった方に仕えても、助言できるようにしておくのがメイドデス』とかって言わないかな?」
「…‥‥先に言われるとは思わなかったのですが、当然可能にしておきまシタ」
「‥‥‥おおぅ」

 困った時のメイド頼みと思ってつい頼ったが、どうやらしっかりと用意していたらしい。

 ただ、『当然可能にしておきまシタ』ってことは、国を与えられる前後のどこかでまだ可能じゃなかったのだろうか?そう考えると、どうやって可能にしたのかという部分が気になるのだが…‥‥うん、まぁ、気にしないほうが良いかもしれない。

 とにもかくにも、まさかの国を任せられてしまうという事態に頭を悩ませつつも、頼もしいアドバイザーがいるような状態になっているのであれば、なんとかできるかもしれない。

 そう考えると、希望の灯が灯されたような気がするのであった…‥‥‥






「…‥‥ところで一つ聞きたいのだけれども、この場合私はどうなるのー?」

 希望の光を見出しつつ、とりあえずその他にも国政関係の資料がないのかと思い立って学園の図書室へディーが向かったころ、未だに邸で滞在していたディーの妹であるセラがそうつぶやいた。

「ふむ、御前様の妹となると、立場としては…‥‥王妹ということになるのかのぅ?」

 そしてそのつぶやきに対して、邸内にいたゼネがそう答える。

 いつもならば他の面子と共にゼネもディーと共に居るが、今日はちょっと事情が合って邸の方に留守番をしていた。

 事情と言っても、先日の亡者の大量湧きだしによって死霊や怨霊の類で面倒事のきっかけになりかねないので、それが起きないように色々と清めるために、魔法だけではなく道具も駆使して広範囲の作業ができるようにする準備を行っていたのだが…‥‥いったん手を休め、セラのつぶやきに答えてあげた。

「王妹?」
「そうじゃの。国王になるのであれば、その王の妹‥‥‥あ、これはこれで、もしかして結構不味い問題を引き起こしかねないかもしれん」
「え?」
 
 セラの疑問に答える中で、ふとゼネはある事に気が付いて面倒そうな顔になる。


「良いかのぅ、御前様の妹よ。王妹というのは立場的には文字通り国王の妹であり、国内での立場としても二番目ほどじゃ。国王に何かがあれば、その血縁者として立つ可能性が大きいともいえる。‥‥‥まぁ、そうなると国母という意味では母君の方がより立場が上かもしれぬが…‥‥それはさておき、その立場に対して、何か良からぬことを考える輩が来そうなのは分からぬかのぅ?」
「‥‥‥あの、つまり兄ちゃんに対して私が近い立場にあって、私を利用して兄ちゃんに近づこうとしたり、その与えられた国を乗っ取ろうと考えるような輩が出るって言いたいのー?」
「そういうことじゃ。呑み込みが早くて良いのぅ」
「その想定自体が全然よくないんだけど!?」

…‥‥兄に国が与えられていたが、どうやら他人事では済まないらしい。

 というかそもそも、血縁者である以上関わりを否応なくさせられる可能性があったが…‥‥人にこうやって言われてみれば、非常に厄介な事態になりかねないことに気が付く。

 兄の頭が悩む前に、まず自分の頭が非常に痛くなるような問題が迫ってきていることを、改めて実感させられてしまうセラであった…‥‥‥

「酷いとばっちりなの――――――――!!」
「同情するのぅ…‥‥儂も昔、聖女じゃった時に‥‥‥いや、あの時儂の妹は嬉々として厄介になりそうな類を潰すために表立っておったかもしれぬ‥‥‥ああ、なんか今、初めて儂の妹に感謝したかも…‥‥」

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