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2章 吹く風既に、台風の目に
2-24 知らぬことが無いように、未然に防げるようにデス
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メイド魔剣たるもの、ご主人様のことに関しては詳しくあるべし。いつどこにあっても詳しく把握し、どんな小さな手掛かりであろうともすぐさま駆け付けられるように。
――――――
‥‥‥そんなメイド魔剣としての嗜みを心に持ちつつ、ゼナは調べ物をしていた。
深夜、眠る必要がない彼女は学園内の見回りを行っているのだが、この日はちょっとばかり時間を作って学園にある図書室に籠りつつ、探し求める。
昼間にご主人様であるフィーと友人になったラドールだが、その所作及び魔剣から聞いた情報で怪しい点がいくつかあり、気になったからだ。
魔剣と会話できるとは言え、魔剣にも魔剣なりの矜持があるのか主が聞かれて困るような情報を漏らさないものもいる。一部例外もあったりするのだが、ラドールの魔剣はしっかりとしていたらしく、秘匿すべき部分は話すことはなかった。
だがしかし、ネックレスの時の反応でラドール自身を観察したので、何かしらの目的を持っているらしいことが推察され、気になったのである。
ゆえに、疑問の解消のために色々と調べていたのだが、どうやらここだけでは情報不足のようだ。
流石に学園の図書室にある書籍だけでは、欲しい情報が全て入手できるわけではない。ちょっとばかり本の間に隠されていたいかがわしい本や禁書の類もあったが、それらから得たい情報もない。‥‥‥いかがわしい系統に関しては後で秘密裏に焼却処分するとして、情報が欲しいのに入らない状態。
ならばどうするか?このまま気にせずに放置することもできるのだが、メイド魔剣としての勘が放置すべきではない事だと告げている。告げているのであれば、どうにかしてやらなければならないと考え‥‥‥彼女はある手段を取ることにした。
「…‥‥まぁ、いざとなれば記憶をちょっと読み取る道具もあるのでどうにかなるのですが、ここはまず、冷静に情報を持っていそうな影の方々に尋ねればいいと思いついたのデス」
「待ってくれ、いくつかツッコミたいのだが」
「というか、学園中に気配を潜んでいるはずの、あちこちでの他国の間者もまとめられるとは思わなかったのだが」
「どうなっているんだ、今年度の魔剣士の魔剣。なぜこうもあっさり、全員見つけ出して捕縛出来ているんだよ」
「何か物騒な道具も持っているとか、それはもうメイドなのか?」
「エ?魔剣が道具を使うのもどうかと思う部分は流石にあったりしますが、メイドとしては暗器などの秘密道具の類はいくつか持っておくべきだということで当然の嗜みなのデス。そもそも私か弱いメイドですので、多少の自衛手段は必要ですからネ」
「「「「絶対にか弱いメイドの部分は嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉl!!」」」」
月夜の明かりが照らす中、学園の地下にいつの間にか作られていた秘密の空間内で、あちこちに潜んでいたはずが捕縛されてしまった者たちは心を一つにして叫ぶ。
どこの国の誰の手によるものなのかということはさておき、この時ばかりは全員同じ気持ちになったのだろう。
国が、主が、目的がそれぞれ違うとはいえ、確実に目の前のメイドの放つ言葉の一つ一つに違うところがありすぎるのだ。これでツッコミを入れない人なんて、いないだろう。
「あぁ、安心してくだサイ。ご主人様に対して害をなす気が無ければ、情報を引き出せ次第しっかりと開放して黙っておきマス。学園に到着した当初から存在自体は気が付いていたのですが、何もしなければ無害ですからネ」
「‥‥‥最初から?」
「え?じゃぁ仮に害するような部分があれば?」
ふと嫌な予感を感じ取った一人が質問すると、彼女は少し首をひねって‥‥‥
「良くて消滅、ぐらいですカネ」
「「「「‥‥‥」」」」
その言葉に、全員何も言えなくなる。
いやまぁ、彼らの目的の一つ一つは、この国の新しい魔剣士たちがどのぐらいいるのか、その力はどのようなものかと探るものから、敵対している家の勢力になりそうならどうにか引き込めないか、潰せないか、あるいはもっといいように第三勢力として操れないかなどがあるだろう。
そう考えると、彼女の主に対しては、世にも珍しいメイド魔剣の主という事で注目はするが、身分的にはそうそう関わることが無いはず。
だがしかし、この中で数人ほどは事情が少々異なっており…‥‥
「えっと、一つ質問良いだろうか」
「はい、発言を許可しマス」
「仮にだが‥‥‥現時点で何もなかったとして、報告後にこちらの上の者が、害するとかそう言う類の判断をした場合は、どうなるのだ?」
「そうですね…‥‥良くて、この世からの存在、記録、その他諸々の抹消ですカネ?私だけでは少々厳しいのですが、その類に関しての親戚がいますので、頼めないことも無いのデス」
絶対に「良くて」の使い方を間違っていると思いたい。むしろ良くてそれなら、最悪の場合はどうなるのかが気になるのが、聞いたら聞いたで後悔するような末路しか想像できない。
いや、もしかすると想像できる範囲外の、もっと凄まじい悲惨な結末が待ち構えているのではないだろうかとも思えたが、口に出す勇気もない。
「そう考えると、今回情報を持っている方がいるのならば、持っていない方たちは完全にとばっちりでしたネ。情報を持っていないことがしっかり分かれば、後日改めてお詫びの品を送りましょウ。先に言っておきますが、嘘は通用しませんヨ?メイド魔剣道具の一つ、『嘘発見器2号』があるから、しっかりと吐く方が身のためデス」
「ん、2号?1号は?」
「‥‥‥先日、壊れまシタ。可愛い犬の絵が上手に書けたのでお気に入りでしたが、うっかりメイド服の洗濯に混ざってしまったのデス。メイドたるもの、衣服のポケットの中身も確認するべきでしたのに、迂闊で悔やまれマス‥‥‥‥」
ぐぅぅっと悔しそうに拳を握ってそう力説するゼナに、そこは普通のメイドっぽいんだと全員思った。
だがしかし、数秒後には情報を吐かせるための地獄が待ち受けていたのであった‥‥‥‥
「‥‥‥ふわぁぁぁ。おはようゼナ。寝ていなくても大丈夫なのか?」
「ええ、大丈夫デス。魔剣ですから寝る必要はないですし、昨日はちょっと綺麗な赤い花が月夜に映えましたので楽しかったデス」
――――――
‥‥‥そんなメイド魔剣としての嗜みを心に持ちつつ、ゼナは調べ物をしていた。
深夜、眠る必要がない彼女は学園内の見回りを行っているのだが、この日はちょっとばかり時間を作って学園にある図書室に籠りつつ、探し求める。
昼間にご主人様であるフィーと友人になったラドールだが、その所作及び魔剣から聞いた情報で怪しい点がいくつかあり、気になったからだ。
魔剣と会話できるとは言え、魔剣にも魔剣なりの矜持があるのか主が聞かれて困るような情報を漏らさないものもいる。一部例外もあったりするのだが、ラドールの魔剣はしっかりとしていたらしく、秘匿すべき部分は話すことはなかった。
だがしかし、ネックレスの時の反応でラドール自身を観察したので、何かしらの目的を持っているらしいことが推察され、気になったのである。
ゆえに、疑問の解消のために色々と調べていたのだが、どうやらここだけでは情報不足のようだ。
流石に学園の図書室にある書籍だけでは、欲しい情報が全て入手できるわけではない。ちょっとばかり本の間に隠されていたいかがわしい本や禁書の類もあったが、それらから得たい情報もない。‥‥‥いかがわしい系統に関しては後で秘密裏に焼却処分するとして、情報が欲しいのに入らない状態。
ならばどうするか?このまま気にせずに放置することもできるのだが、メイド魔剣としての勘が放置すべきではない事だと告げている。告げているのであれば、どうにかしてやらなければならないと考え‥‥‥彼女はある手段を取ることにした。
「…‥‥まぁ、いざとなれば記憶をちょっと読み取る道具もあるのでどうにかなるのですが、ここはまず、冷静に情報を持っていそうな影の方々に尋ねればいいと思いついたのデス」
「待ってくれ、いくつかツッコミたいのだが」
「というか、学園中に気配を潜んでいるはずの、あちこちでの他国の間者もまとめられるとは思わなかったのだが」
「どうなっているんだ、今年度の魔剣士の魔剣。なぜこうもあっさり、全員見つけ出して捕縛出来ているんだよ」
「何か物騒な道具も持っているとか、それはもうメイドなのか?」
「エ?魔剣が道具を使うのもどうかと思う部分は流石にあったりしますが、メイドとしては暗器などの秘密道具の類はいくつか持っておくべきだということで当然の嗜みなのデス。そもそも私か弱いメイドですので、多少の自衛手段は必要ですからネ」
「「「「絶対にか弱いメイドの部分は嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉl!!」」」」
月夜の明かりが照らす中、学園の地下にいつの間にか作られていた秘密の空間内で、あちこちに潜んでいたはずが捕縛されてしまった者たちは心を一つにして叫ぶ。
どこの国の誰の手によるものなのかということはさておき、この時ばかりは全員同じ気持ちになったのだろう。
国が、主が、目的がそれぞれ違うとはいえ、確実に目の前のメイドの放つ言葉の一つ一つに違うところがありすぎるのだ。これでツッコミを入れない人なんて、いないだろう。
「あぁ、安心してくだサイ。ご主人様に対して害をなす気が無ければ、情報を引き出せ次第しっかりと開放して黙っておきマス。学園に到着した当初から存在自体は気が付いていたのですが、何もしなければ無害ですからネ」
「‥‥‥最初から?」
「え?じゃぁ仮に害するような部分があれば?」
ふと嫌な予感を感じ取った一人が質問すると、彼女は少し首をひねって‥‥‥
「良くて消滅、ぐらいですカネ」
「「「「‥‥‥」」」」
その言葉に、全員何も言えなくなる。
いやまぁ、彼らの目的の一つ一つは、この国の新しい魔剣士たちがどのぐらいいるのか、その力はどのようなものかと探るものから、敵対している家の勢力になりそうならどうにか引き込めないか、潰せないか、あるいはもっといいように第三勢力として操れないかなどがあるだろう。
そう考えると、彼女の主に対しては、世にも珍しいメイド魔剣の主という事で注目はするが、身分的にはそうそう関わることが無いはず。
だがしかし、この中で数人ほどは事情が少々異なっており…‥‥
「えっと、一つ質問良いだろうか」
「はい、発言を許可しマス」
「仮にだが‥‥‥現時点で何もなかったとして、報告後にこちらの上の者が、害するとかそう言う類の判断をした場合は、どうなるのだ?」
「そうですね…‥‥良くて、この世からの存在、記録、その他諸々の抹消ですカネ?私だけでは少々厳しいのですが、その類に関しての親戚がいますので、頼めないことも無いのデス」
絶対に「良くて」の使い方を間違っていると思いたい。むしろ良くてそれなら、最悪の場合はどうなるのかが気になるのが、聞いたら聞いたで後悔するような末路しか想像できない。
いや、もしかすると想像できる範囲外の、もっと凄まじい悲惨な結末が待ち構えているのではないだろうかとも思えたが、口に出す勇気もない。
「そう考えると、今回情報を持っている方がいるのならば、持っていない方たちは完全にとばっちりでしたネ。情報を持っていないことがしっかり分かれば、後日改めてお詫びの品を送りましょウ。先に言っておきますが、嘘は通用しませんヨ?メイド魔剣道具の一つ、『嘘発見器2号』があるから、しっかりと吐く方が身のためデス」
「ん、2号?1号は?」
「‥‥‥先日、壊れまシタ。可愛い犬の絵が上手に書けたのでお気に入りでしたが、うっかりメイド服の洗濯に混ざってしまったのデス。メイドたるもの、衣服のポケットの中身も確認するべきでしたのに、迂闊で悔やまれマス‥‥‥‥」
ぐぅぅっと悔しそうに拳を握ってそう力説するゼナに、そこは普通のメイドっぽいんだと全員思った。
だがしかし、数秒後には情報を吐かせるための地獄が待ち受けていたのであった‥‥‥‥
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