私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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5章 復讐は我にあり

5-41 救助までに、3日かかった

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‥‥‥帝都内に植物が生い茂ったが、それらはすべて駆除された。

 その代わりに地盤のあちこちから蒸気が噴き出すようになり、一部では温泉が出来上がっていた。

「今はきちんと噴き出している場所はふさがれ、沸き上がった温泉によるブームができてますわね」
「溶岩、全部冷えたはずなんだけどなぁ‥‥‥何で、温泉が出来上がっているのやら」
「溶岩の量がやや多く、さらに地下水も流れ込んだ結果のようですネ。表面だけ固まっても内部の溶岩の熱が残っており、自然とお湯となっているのでしょウ」

 しょりしょりと果物の皮をむきながら、そう告げるゼナ。

 彼女はもう修復が済んでいるようで、怪我も何もなく自由に歩き回れるようだ。

 だがしかし、俺はそうもいかなかった。


「…‥‥温泉、浸かりたいけどまだ火傷が治らないんだよなぁ…‥‥流石にマグマはきつかった」
「それでも、命に別状なく生きていること自体がすごいと思いますわよ」

 包帯で全身ぐるぐる巻きにされている俺を見て、そうつぶやくルルシア。





 そう、現在俺たちは帝都内にある病院にいるのだが、俺だけ全身包帯の状態で入院していた。

 ゼナが回復して俺を持って地上にでるまで3日かかり、その間溶岩に浸かったり岩場に挟まれたりとしていたせいで結構ボロボロになっていたのである。

 それでも治療を受け、全治1週間程度になったのは不幸中の幸いというべきなのだろうか。

「ご主人様の治癒力はどうやら高いようで、本来であればこれだけの火傷は死に至る可能性がありましたが、皮膚移植など無しで綺麗に治ると思われマス」
「そうなのか…‥‥」

 大火傷の状態ではあったが、火傷の痕は残ることがないらしい。

 全身凄まじい状態から、よくそうなったなと俺自身も思えてしまう。

「それにしても、温泉も湧き出るようになったのもありますけれども、今回の事件はお父様‥‥‥皇帝陛下も感謝していますわよ。魔剣士の学び舎を守り、帝都が地に沈むことも防いだ功績を称えてまた褒賞がありそうですわね」
「またか…‥‥今度は何があるのやら」

 この間のはルルシアの婚約者候補になる事だったし、それ以外のものだとすると何があるのか。

 帝都を一つ救ったような状況だが、元凶があの外道分裂学者だと思うと釈然としない。せめて1000発以上殴らせてもらえれば、一番良い褒賞になっただろう。

「ですが、二度と会うこともないでしょウ。いたという存在自体を消し飛ばしたようなものですからネ」
「一体だけでも、殴るように残せばよかったか‥‥‥いや、残したらまた増えるから意味がないのか」

 地下空間でのゼナの力を解放した後に起きたことは、結構はっきりと覚えていたりする。

 今までのものだとあやふやなことが多かったが、彼女と混ざるようなことが起きたせいで今回は詳細まで記憶されているのだろう。


‥‥‥感情を失う代償の感覚も覚えており、無いあの感じが内心自分でも怖かったりする。人から感情って失ったら不味いんだなぁ。



 何にしても、ここでうだうだ言っても今後の憂いを無くせたことを、素直に喜んだほうが良いだろう。

 他にも色々と面倒事の種を残している可能性が十分にあるが、考えないほうが幸せではある。

「とりあえず今は、治療に専念するか。気を抜いたらまた・・眠く…‥‥ふわぁぁ‥‥‥」
「ええ、それではお休みなさいご主人様」

 治療を受けてから、最近やけに眠いのだが、ゼナの説明によるとどうやら体が治るために力を割いているらしく、そのために眠気が襲うようになっているのだとか。

 だからこそ、ゆっくり眠れば眠るだけ早く治るそうである。

 そんなことを思いつつも、俺はすぐに夢の中へ意識を落すのであった‥‥‥‥








「‥‥‥寝ましたネ」
「寝ましたわね‥‥‥ねぇ、ゼナ。フィーのこの眠りに関して、実は隠していることがありますわね?」

 フィーがすやすやと寝息を立て始め、布団を丁寧にゼナがかけ直していると、ルルシアはそう尋ねた。

「ええ、とは言え問題ありまセン。ご主人様にとってプラスになる事ですし、わからずとも自然と理解なさるでしょウ。この眠り、確かに体の回復によるものでもあるのですが…‥‥今、ご主人様は成長しているせいでもあるのデス」
「え?そうなの?」
「ハイ。と言っても、人としての成長ではなく、ドラゴンとしての成長デス。ご主人様、実はあのドラゴンの姿って基準だと幼体なのデス」
「へぇ、幼体‥‥‥え!?あのサイズで幼体!?」


 ゼナの回答に対して、驚愕するルルシア。

 無理もない。フィーの完全竜化したあの姿は、てっきりそれで完成しているかのような姿だと思っていたのだ。

 それがまさかの幼体扱い‥‥‥赤子だとか子供だとか、そんな基準のものだとは思わなかったのである。

「この世界でのドラゴンに関する記録は、詳しい生体部分がだいぶ失われているので、驚かれても無理はないのデス。大体物語などで伝わる方が分かりやすいので、そっちの方が残されやすかったのでしょウ」

 誰かが記していたとしても、その記録はずっと残るわけではない。

 長い年月を経て自然と失われ、その中でも濃く残ったものが後世に伝わりやすいのである。

 ゆえに、ドラゴンの生態に関しての記録はほとんどなかったのだが…‥‥それでも、ゼナには色々と伝手があったので、どういう風になるのか確認できていたのである。

「大怪我を負い、自己回復をなさってますが、危機的状況を生き延びるために体の中の力が活性化して、成長を促したようデス。とは言え、ドラゴンとしての存在自体が相当なエネルギーを取りますので、成長が終わるまで眠気が来るようですネ」
「終わったらどうなりますの?」
「幼体の次として、青年の竜扱いになりますネ。とは言えまだまだ成長し続けるので、ドラゴンとしての終わりが見えないのデス。そもそもドラゴン自体が、何もしなくても成長し続けますからネ…‥‥」

 寿命が来るまでずっと成長し続けるからこそ、この世界のかつていたドラゴンたちは強大な存在へとなる事が出来た。

 それでも、魔獣に対抗する手段を持たなかったがゆえに失われていったが…‥‥今、フィーは魔剣を持っているからこそ、より大きく成長する可能性を手に入れているのだ。

「とりあえず、ちょうど治療完了予定の日に幼体から脱しますネ。回復祝いついでに、ご主人様の成長祝いも兼ねての贈り物も用意しましょうカ」
「それ、良いですわね。わたくしも何か送るべきかしら?」

 ドラゴンの成長に関して驚かされたとはいえ、直ぐに慣れてルルシアも考え始める。

 非日常的な滅茶苦茶なことが多かったがゆえに、適応力がついたのだろう。

 ひとまず今は、寝ているフィーを起こさないようにして話し合うのであった‥‥‥


「でも、難しいんですよネ。ご主人様、何かを欲しがることがそんなにないですしネ」
「あー、確かにそうかもしれないですわね。ドラゴンと言えば宝を蓄える話もありますし、そこそこ欲望がありそうだと思っていたのだけれども、そうでもないようですわね」



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