123 / 204
5章 復讐は我にあり
5-46 消臭は役に立つことも、そんなにない
しおりを挟む
‥‥‥そもそも、この公爵領にはかつて青薔薇姫が住んでいた地である。
青薔薇姫が残した逸話は、いくつかは盛られているのではないかと疑われるものもあるらしいが、大半がそれでもまだ過小評価だという事実は彼女が生きていた時を過ごしていた人たちならば、よく理解しているだろう。
そして、その逸話の中には様々なものがあるのだが、目を引くとすればどこからともなく連れ帰って来た獣たちの話もある。
大空を駆け抜ける白馬ペガサス、猛毒を振りまく毒蛇ヒュドラ、風と共に颯爽と現れる巨狼フェンリル、海の覇者リヴァイアサン、大地のベヒーモス…‥‥お前は一体、これだけ集めて何をしようとしていたのかと、誰もがツッコミをいれたくなっただろう。
だがしかし、今の世にそのようなものたちの形跡は存在しておらず、眉唾物の話のように聞こえなくもない。
ある話では、青薔薇姫が帝国からいなくなったと同時に、自らの存在も消して何処かへ飛び去ったと言われているのだが…‥‥そんなものたちが簡単に痕跡を消せるものなのだろうか?
「…‥‥そう思ったことはあったけど‥‥‥まさか、コレか?」
ふよふよと地のない不思議な空間でつぶやき、俺は宙に浮いている玉の一つに目を凝らした。
奥へ奥へと進んでいく中、耳に聞こえてきた小さな声。
あちこちの玉の一つ一つからわずかながらも音が漏れており、何となく見たのだが‥‥‥どうやらこの一つ一つに、様々な生物がいる様子を俺は目にした。
青薔薇姫の話に出てくる、伝説や幻、物語に出る様な数多くの不思議な生物たち。
そんなものが、まさか予想以上に恐ろしく小さな姿で玉の上で過ごしているなどと、誰が想像できたのだろうか?
「いや、小さくなったようにも見えるけど、なんかそうでもないような‥‥‥何をやったんだろうか?」
幸いというべきか、どうやら彼らには俺の姿は見えていないようで、何事もなく過ごしているらしい。
ようはこの玉の一つ一つに小さな世界が内包されているようであり、その世界の外からの目は大きすぎて逆に見えないのかもしれない。
‥‥‥でも、こんなものを普通の人間が用意できるのだろうか?いや、青薔薇姫の話を聞いているとどう考えても人外じみた行為ばかりしかないので、出来そうかもしれない。母さんよ、あなたならばやりかねないと、息子は数多くの逸話を聞いて学ばされました。
とにもかくにも、傷つけたら世界が一つ消える様な事になりかねないと思い、飛翔をもう少し気を配って玉には触れないようにしておく。
それに、こういう玉の中にもしも母さんが色々と残しているのであれば、探し求めている呪いの品関係も同じ様なものの中に入っている可能性もあり‥‥‥うっかりやらかして連鎖的に壊すようなことになったら、それこそ目も当てられない事態になりかねん。
「というか、この一つ一つに大量にいるのならば、まとめて壊れてどばっと出たら‥‥‥」
想像したくないなぁ‥‥‥母ヨ、本当ニ何をシテイルノデショウカ。現実逃避をしたくて、ゼナみたいな口調がちょっと出てしまった。
「っと、気が付くとだいぶ奥まで来たが‥‥‥あ、もしかしてアレかな?」
現実逃避して遠い目になっていたが、どうやら目的地が見えてきたようだ。
明らかにというか、これでもかというほどどす黒く禍々しい玉が奥の方に存在しており、あの中に呪いの品々が詰まっていることが容易に想像できるだろう。
呪いに関して、事前に色々と学んできてもいるのだが…‥‥どうやらゼナから学んだ話によれば、呪具がいくつもあると、お互いの呪いが干渉し合い、より強固な別の呪具が生れることもあるらしい。
「姉妹機の中には、その例を見た人もいるようデス」
「いるのかよ」
そんな会話も思い出したが、そう考えるとあの中により強力な呪具があってもおかしくはない。
邸の方にあったやつは弱い方だったので壊れもしたが、あそこまでヤヴァイ感じが出ているのであれば、もしかすると都合の良いものも存在するかもしれない。
「よし、探ってみるか!!」
とは言え、あの玉の中にあるものをどうやって探ればいいのか考え‥‥ふと、ドラゴンとして使える竜魔法の中で、真っ先に取得出来ている空間系のものでどうにかできないかと思いつくのであった。
それにしても、邸にあったのとは比較にもならないな‥‥‥母さん、どれだけ集めたのだろうか。
‥‥‥そしてフィーが探り始めていたその頃、ゼナは姉妹たちとフィーが入った先を見ていた。
「‥‥‥時間がかかってますネ。ご主人様が大丈夫なのか、不安デス」
「中には入れませんでしたが、全体をスキャンしたところ相当無茶苦茶に空間が弄られていましたネ」
「直線的のようですが、それでもかなり広大ですので、時間がかかるのも仕方がないでしょウ」
そわそわとゼナがせわしなく動く中、他の姉妹たちは今の時点で分かっていることを告げておく。
メイドたるもの、本来は主の側に常にいたいのだが…‥‥こうやってどうしてもそばに入れない時の不安になる気持ちは分かるので、彼女たちなりに励ましているのである。
ただし、一つ違いがあるとすれば、ゼナの場合は正式なご主人様がいる状態であり、他の姉妹機たちはあくまでもここに就職している‥‥‥こっそり入ったメイドたちに過ぎず、主の有無がない。
持つまではある程度統一されているのだが、自分にとっての主を手に入れたという事は、彼女達にとってかなり思うところがあるのだ。
ゆえに、ちゃんと応援しづらく、少しばかりねたむとこともある。
けれども、これはこれで後で弄れそうな予感もしており、色々と迷うのであった‥‥‥‥
青薔薇姫が残した逸話は、いくつかは盛られているのではないかと疑われるものもあるらしいが、大半がそれでもまだ過小評価だという事実は彼女が生きていた時を過ごしていた人たちならば、よく理解しているだろう。
そして、その逸話の中には様々なものがあるのだが、目を引くとすればどこからともなく連れ帰って来た獣たちの話もある。
大空を駆け抜ける白馬ペガサス、猛毒を振りまく毒蛇ヒュドラ、風と共に颯爽と現れる巨狼フェンリル、海の覇者リヴァイアサン、大地のベヒーモス…‥‥お前は一体、これだけ集めて何をしようとしていたのかと、誰もがツッコミをいれたくなっただろう。
だがしかし、今の世にそのようなものたちの形跡は存在しておらず、眉唾物の話のように聞こえなくもない。
ある話では、青薔薇姫が帝国からいなくなったと同時に、自らの存在も消して何処かへ飛び去ったと言われているのだが…‥‥そんなものたちが簡単に痕跡を消せるものなのだろうか?
「…‥‥そう思ったことはあったけど‥‥‥まさか、コレか?」
ふよふよと地のない不思議な空間でつぶやき、俺は宙に浮いている玉の一つに目を凝らした。
奥へ奥へと進んでいく中、耳に聞こえてきた小さな声。
あちこちの玉の一つ一つからわずかながらも音が漏れており、何となく見たのだが‥‥‥どうやらこの一つ一つに、様々な生物がいる様子を俺は目にした。
青薔薇姫の話に出てくる、伝説や幻、物語に出る様な数多くの不思議な生物たち。
そんなものが、まさか予想以上に恐ろしく小さな姿で玉の上で過ごしているなどと、誰が想像できたのだろうか?
「いや、小さくなったようにも見えるけど、なんかそうでもないような‥‥‥何をやったんだろうか?」
幸いというべきか、どうやら彼らには俺の姿は見えていないようで、何事もなく過ごしているらしい。
ようはこの玉の一つ一つに小さな世界が内包されているようであり、その世界の外からの目は大きすぎて逆に見えないのかもしれない。
‥‥‥でも、こんなものを普通の人間が用意できるのだろうか?いや、青薔薇姫の話を聞いているとどう考えても人外じみた行為ばかりしかないので、出来そうかもしれない。母さんよ、あなたならばやりかねないと、息子は数多くの逸話を聞いて学ばされました。
とにもかくにも、傷つけたら世界が一つ消える様な事になりかねないと思い、飛翔をもう少し気を配って玉には触れないようにしておく。
それに、こういう玉の中にもしも母さんが色々と残しているのであれば、探し求めている呪いの品関係も同じ様なものの中に入っている可能性もあり‥‥‥うっかりやらかして連鎖的に壊すようなことになったら、それこそ目も当てられない事態になりかねん。
「というか、この一つ一つに大量にいるのならば、まとめて壊れてどばっと出たら‥‥‥」
想像したくないなぁ‥‥‥母ヨ、本当ニ何をシテイルノデショウカ。現実逃避をしたくて、ゼナみたいな口調がちょっと出てしまった。
「っと、気が付くとだいぶ奥まで来たが‥‥‥あ、もしかしてアレかな?」
現実逃避して遠い目になっていたが、どうやら目的地が見えてきたようだ。
明らかにというか、これでもかというほどどす黒く禍々しい玉が奥の方に存在しており、あの中に呪いの品々が詰まっていることが容易に想像できるだろう。
呪いに関して、事前に色々と学んできてもいるのだが…‥‥どうやらゼナから学んだ話によれば、呪具がいくつもあると、お互いの呪いが干渉し合い、より強固な別の呪具が生れることもあるらしい。
「姉妹機の中には、その例を見た人もいるようデス」
「いるのかよ」
そんな会話も思い出したが、そう考えるとあの中により強力な呪具があってもおかしくはない。
邸の方にあったやつは弱い方だったので壊れもしたが、あそこまでヤヴァイ感じが出ているのであれば、もしかすると都合の良いものも存在するかもしれない。
「よし、探ってみるか!!」
とは言え、あの玉の中にあるものをどうやって探ればいいのか考え‥‥ふと、ドラゴンとして使える竜魔法の中で、真っ先に取得出来ている空間系のものでどうにかできないかと思いつくのであった。
それにしても、邸にあったのとは比較にもならないな‥‥‥母さん、どれだけ集めたのだろうか。
‥‥‥そしてフィーが探り始めていたその頃、ゼナは姉妹たちとフィーが入った先を見ていた。
「‥‥‥時間がかかってますネ。ご主人様が大丈夫なのか、不安デス」
「中には入れませんでしたが、全体をスキャンしたところ相当無茶苦茶に空間が弄られていましたネ」
「直線的のようですが、それでもかなり広大ですので、時間がかかるのも仕方がないでしょウ」
そわそわとゼナがせわしなく動く中、他の姉妹たちは今の時点で分かっていることを告げておく。
メイドたるもの、本来は主の側に常にいたいのだが…‥‥こうやってどうしてもそばに入れない時の不安になる気持ちは分かるので、彼女たちなりに励ましているのである。
ただし、一つ違いがあるとすれば、ゼナの場合は正式なご主人様がいる状態であり、他の姉妹機たちはあくまでもここに就職している‥‥‥こっそり入ったメイドたちに過ぎず、主の有無がない。
持つまではある程度統一されているのだが、自分にとっての主を手に入れたという事は、彼女達にとってかなり思うところがあるのだ。
ゆえに、ちゃんと応援しづらく、少しばかりねたむとこともある。
けれども、これはこれで後で弄れそうな予感もしており、色々と迷うのであった‥‥‥‥
0
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」
Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。
しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。
彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。
それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。
無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。
【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。
一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。
なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。
これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる