私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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5章 復讐は我にあり

5-46 消臭は役に立つことも、そんなにない

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‥‥‥そもそも、この公爵領にはかつて青薔薇姫が住んでいた地である。

 青薔薇姫が残した逸話は、いくつかは盛られているのではないかと疑われるものもあるらしいが、大半がそれでもまだ過小評価だという事実は彼女が生きていた時を過ごしていた人たちならば、よく理解しているだろう。

 そして、その逸話の中には様々なものがあるのだが、目を引くとすればどこからともなく連れ帰って来た獣たちの話もある。

 大空を駆け抜ける白馬ペガサス、猛毒を振りまく毒蛇ヒュドラ、風と共に颯爽と現れる巨狼フェンリル、海の覇者リヴァイアサン、大地のベヒーモス…‥‥お前は一体、これだけ集めて何をしようとしていたのかと、誰もがツッコミをいれたくなっただろう。

 だがしかし、今の世にそのようなものたちの形跡は存在しておらず、眉唾物の話のように聞こえなくもない。

 ある話では、青薔薇姫が帝国からいなくなったと同時に、自らの存在も消して何処かへ飛び去ったと言われているのだが…‥‥そんなものたちが簡単に痕跡を消せるものなのだろうか?




「…‥‥そう思ったことはあったけど‥‥‥まさか、コレか?」

 ふよふよと地のない不思議な空間でつぶやき、俺は宙に浮いている玉の一つに目を凝らした。

 奥へ奥へと進んでいく中、耳に聞こえてきた小さな声。

 あちこちの玉の一つ一つからわずかながらも音が漏れており、何となく見たのだが‥‥‥どうやらこの一つ一つに、様々な生物がいる様子を俺は目にした。

 青薔薇姫の話に出てくる、伝説や幻、物語に出る様な数多くの不思議な生物たち。

 そんなものが、まさか予想以上に恐ろしく小さな姿で玉の上で過ごしているなどと、誰が想像できたのだろうか?

「いや、小さくなったようにも見えるけど、なんかそうでもないような‥‥‥何をやったんだろうか?」

 幸いというべきか、どうやら彼らには俺の姿は見えていないようで、何事もなく過ごしているらしい。

 ようはこの玉の一つ一つに小さな世界が内包されているようであり、その世界の外からの目は大きすぎて逆に見えないのかもしれない。

‥‥‥でも、こんなものを普通の人間が用意できるのだろうか?いや、青薔薇姫の話を聞いているとどう考えても人外じみた行為ばかりしかないので、出来そうかもしれない。母さんよ、あなたならばやりかねないと、息子は数多くの逸話を聞いて学ばされました。



 とにもかくにも、傷つけたら世界が一つ消える様な事になりかねないと思い、飛翔をもう少し気を配って玉には触れないようにしておく。

 それに、こういう玉の中にもしも母さんが色々と残しているのであれば、探し求めている呪いの品関係も同じ様なものの中に入っている可能性もあり‥‥‥うっかりやらかして連鎖的に壊すようなことになったら、それこそ目も当てられない事態になりかねん。


「というか、この一つ一つに大量にいるのならば、まとめて壊れてどばっと出たら‥‥‥」

 想像したくないなぁ‥‥‥母ヨ、本当ニ何をシテイルノデショウカ。現実逃避をしたくて、ゼナみたいな口調がちょっと出てしまった。


 
「っと、気が付くとだいぶ奥まで来たが‥‥‥あ、もしかしてアレかな?」

 現実逃避して遠い目になっていたが、どうやら目的地が見えてきたようだ。

 明らかにというか、これでもかというほどどす黒く禍々しい玉が奥の方に存在しており、あの中に呪いの品々が詰まっていることが容易に想像できるだろう。

 呪いに関して、事前に色々と学んできてもいるのだが…‥‥どうやらゼナから学んだ話によれば、呪具がいくつもあると、お互いの呪いが干渉し合い、より強固な別の呪具が生れることもあるらしい。

「姉妹機の中には、その例を見た人もいるようデス」
「いるのかよ」

 そんな会話も思い出したが、そう考えるとあの中により強力な呪具があってもおかしくはない。

 邸の方にあったやつは弱い方だったので壊れもしたが、あそこまでヤヴァイ感じが出ているのであれば、もしかすると都合の良いものも存在するかもしれない。

「よし、探ってみるか!!」

 とは言え、あの玉の中にあるものをどうやって探ればいいのか考え‥‥ふと、ドラゴンとして使える竜魔法の中で、真っ先に取得出来ている空間系のものでどうにかできないかと思いつくのであった。

 それにしても、邸にあったのとは比較にもならないな‥‥‥母さん、どれだけ集めたのだろうか。








‥‥‥そしてフィーが探り始めていたその頃、ゼナは姉妹たちとフィーが入った先を見ていた。

「‥‥‥時間がかかってますネ。ご主人様が大丈夫なのか、不安デス」
「中には入れませんでしたが、全体をスキャンしたところ相当無茶苦茶に空間が弄られていましたネ」
「直線的のようですが、それでもかなり広大ですので、時間がかかるのも仕方がないでしょウ」

 そわそわとゼナがせわしなく動く中、他の姉妹たちは今の時点で分かっていることを告げておく。

 メイドたるもの、本来は主の側に常にいたいのだが…‥‥こうやってどうしてもそばに入れない時の不安になる気持ちは分かるので、彼女たちなりに励ましているのである。

 ただし、一つ違いがあるとすれば、ゼナの場合は正式なご主人様がいる状態であり、他の姉妹機たちはあくまでもここに就職している‥‥‥こっそり入ったメイドたちに過ぎず、主の有無がない。

 持つまではある程度統一されているのだが、自分にとっての主を手に入れたという事は、彼女達にとってかなり思うところがあるのだ。


 ゆえに、ちゃんと応援しづらく、少しばかりねたむとこともある。

 けれども、これはこれで後で弄れそうな予感もしており、色々と迷うのであった‥‥‥‥

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