私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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5章 復讐は我にあり

5-60 お得なのは、中の人です

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「‥‥‥‥こういう時は、入りにくいデス」
「入りにくいですわね」

‥‥‥フィーとペルシャが話していた丁度その時、扉の隙間からゼナとルルシアは中をうかがってそうつぶやいていた。

 ゼナの方は教員への報告が終わり、ルルシアの方はフィーの体調不良を聞いて婚約者としても心配なので見に来たわけなのだが、丁度タイミングが悪かったらしい。

「というか、知り合いの違う姿を見ると動揺させられますネ。生徒会長としての姿などを見ていますが、別人のようなふるまいは流石に驚かさせられマス」
「同じ気持ちですわ。わたくしとしても、あのような彼女の姿は慣れないですわね」

 記憶喪失な姿を見てまだ日も浅く、普段の姿を知っている者たちからすれば、今のペルシャの姿は驚かされるものだ。

 特に、生徒会に所属していた面々や国としての付き合いで関わっていた者達が見れば同じような気持ちを抱くのは間違いないだろうし、記憶を失っただけでこうも性格が変わり果てるのはどういうことだとツッコミをいれたくなるだろう。

 なお、魔剣ボンバードに関しては、こちらはこちらで現在機能を停止していた。

 自身を忘れ去られているのがショックだったようで、記憶を思い出してもらうまで動かぬふりをするらしい。
 
 同じ魔剣としては、ゼナは少々同情をしたが…‥‥自分だったらどうなるのか、考えたくもなかった。

「とは言え、あれがおそらくは、昔の彼女なのでしょウ。失っているからこそ、出たのかもしれまセン」
「え?わたくしは昔から知り合ってますけれども‥‥‥あんな姿は見たことが無いですわよ?」
「ええ、そうかもしれませんが、おそらくあれは会うよりも前のことでしょウ。メイドたるもの、主が人間関係で問題を起こすことが無いように関わることがある相手の過去をしっかりと調査しているのですガ、実はあの状態のデータはあるのデス」

 ドルマリア王国の第3王女。爆裂姫だとかいろいろ言われているペルシャだが、産まれた時からそんな性格ではなかったことは、既に調査によって判明していた。

 おそらくは王宮生活の中での貴族間の争い事や企み、謀、、その他色々と厳しい貴族としての世界を見てきたことで、本能的に自己防衛としてきちんと対応が出来るように性格を変えていったのだろう。

 一応他にも調べると、第1、第2王女やその他王子たちも対外というか、こちらはこちらでまっくろくろすけの様な善人の類なのだろうけれどもどう考えても笑顔で血みどろの舞踏会を開きかけない性格をしているようだが、似ることはなかったらしい。いや、もしもそっち方面で性格が矯正されたのであれば‥‥‥それはそれで、惨劇が起こりかねないような気がしなくもない。

 とにもかくにも、そんな生活を送っていたがゆえに、今のペルシャという人格で統合されたようだ。

 だが、そんな作り上げてきた記憶が失われた今、本来の彼女の性格が表に出ているのだと推測はできる。

「‥‥‥これ、録画しておいて後で見せたら悶えそうですネ」
「知らない間に自分がやらかしていたら、それはそれで嫌ですものね」
「普段何かと立派そうな方なのですガ」
「これはこれで、面白そうな気がしますわね」
がしぃ!!

 お互いに握手を握り交わし、余計な手を出さないようにしておく。

 個人的なそれぞれの思いとしては、この状況は複雑なものが無いわけでもないのだが、普段のペルシャの姿を知る者同士としては好奇心の方が勝った様だ。

 今ここに「乙女心があるけれども愉悦の方がちょっとだけ勝ってしまった同盟」が組まれたのであった。

「…‥‥とは言え、それでもご主人様の体調を考えるときちんとしないといけないメイドの性も出ますけれどネ。メイド魔剣たるもの、しっかりと治るように治療も施しましょウ」
「わたくしも、婚約者なのですから付き合っておきますわ」

‥‥‥まぁ、同盟が組まれたところで、それぞれしっかりとした事情もあるので、完全不干渉とまではいかないのであった。


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