私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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6章 悪意と善意、トラブルメーカーと苦労人

6-17 ひとまずそれは、おいておくとして

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 目が覚めた後に、絶対に問い詰めよう。
 そう思いつつも、ここでゼナを起こすことはできないようだ。

(そもそも、ここからどうやって出るのか…体がでろでろりっちょとかどんな状態なのかとか想像したくないな)
『しないほうがいいと思うよ。これでもまだ、控えめに表現しているからね』

 控えめでこれって、リアルさを追求したらどうなるのか。

 聞くのが怖い状況だが、それでもこのままにしておくわけにもいかない。

 転移が失敗して今の状況になっているようなものなのだが、あのドラゴンのような魔獣のような、わけのわからない化け物が消えたわけではない。

 どこかに飛んで先延ばしになっただけで、放置することはできないだろう。


(だからこそ、すぐに戻って体制を整えたいけど…あのままで勝てそうにないんだよな)

 怪物の強さを考えてみると、ドラゴンの状態になっても勝ち目がいまだに見えない。

 まとめて逃げるので精いっぱいだったし、正面からぶつかるには厳しいところがある。


『ふむふむ…なるほど、これまたやばいものを作ったやつがいるんだね』
(ん?ああ、心を読んでいるのならば、怪物のこともわかるのか)
『その通り。しかし、これまた本当に厄介なものを…むぅ、直接手を出しにくい場所に置かれるとはね』

 声の主が何者かは不明だが、怪物に対しての不快感は抱いている模様。

 話しぶりから察するに、これまた相当面倒な怪物だったんだと認識させられるだろう。

(というか、作ったやつとかいう時点で人為的なものだというのもわかるな)
『その通りなのだろうけれども人間って不思議だよ。なんでこうも醜悪なものをホイホイ思いついて作るのやら』

 そんなことを言われても、作ったやつの意図なんぞ知る由もない。

 あんな怪物を作ったって何をどうする気だったのか、問いただしたいのはこちらのほうである。

 人間を怪物に変える雨を降らせたり、巨大なドラゴンの魔獣にしたり…趣味の悪さには反吐が出そうな感情を抱かされるほどだ。

 とくに後者、ドラゴンの血を引く分、種は違えども同族を利用されたかのような怒りもあるのだ。

 だからこそ、どうにかしたいのだが…魂だけのようなこの状況で手も足も出ない。

(本当に、一体どうしたらいいのやら…)
『…ふーん、なるほど。まぁ、大体の事情なんかも理解したよ』

 と、こちらが考えている間に、ここに至るまでのことをすべて読んだのか、声の主がそう口にする。

『人が作り上げた、最悪の怪物。趣味の悪さには確かに反吐が出そうなのも同情するけど、それ以上にその怪物は君たちの世界にあってはならないもの…世界の理に干渉して作り上げたものとくれば、確かに放置できないものだな』
(世界の理に干渉?)
『そうだよ。…ああ、前にそのメイドから聞いているんだっけ?君たちの世界の魔獣がどうやって生まれてきているのかとかいう話をね』
(魔獣の発生と怪物の関係に…まさか)
『思い当たったようだねぇ?そうだよ、その怪物の情報も読み取ったけど…こいつ、君たちの世界の魔獣を生み出すところを無理やり組み込んだ、最悪のシステムになっているようだ』


……以前、ゼナになぜ魔獣が発生し、魔剣を使って消せるのはなぜかという説明を受けたことがあった。

 まぁ、要は魔獣を生み出す場所があるから魔獣が出るのだが…その魔獣が出る部分を、この怪物を作り上げた何者かが無理やり組み込み、あの怪物を作り上げてしまったようである。

『んー、放置しておけば君たちの世界にいるこちらへいろいろと輸送する人たちにも影響が出るし、世界の理の一部になっているようなものを、人為的に使われるのはいろいろとまずいし…しょうがないか、ここは少し干渉するしかないかな』

 考え込んだような声を出した後、あきらめたようにそう告げる声の主。

 何かさらっと、言っている気がするのだが、そのあたりは聞かなかったことにしておこう。話しぶりからなんとなく余計に面倒でややこしいことに入りかねない。

『ねぇ、一つ聞くけど、あの怪物を倒した後出てくるのがあるけれども、それをささげてくれるのであれば、助けるための手助けをするけどいるかな?』
(…何が出るのかよくわからないが、力を貸してくれるのか?)
『そうだね。その出てくるものという代償付きだけど、特に問題もないだろうし、悪くない話だと思うけど…どうかな?』
(……)

 甘い話には裏があるということもあるが、この感じからして悪いものでもないようだ。

 ならば、ここは素直に機会を得られるのであれば、ありがたく交渉に応じておくのが吉だろう。

(ああ、問題がないなら別にいい。あのやばい怪物を倒せる力があるのならば、ぜひとも貸してほしい)
『うん、いいね。ならば、交渉成立だね』

 パチンっと音がしたかと思えば、ふっとなんとなく力が体に入ったような気がした。

『いまね、君の体を再生したよ。でろでろりっちょになってようが、一部が残っていれば治せるからね』
(…さらりととんでもないことをやってみせるなぁ)
『ははは、義体をいくつも作ることと比べれば、この程度楽勝だね。でも、これで勝つ力を与えるというわけじゃなくて…こっちを、使わせてもらうよ』

 そう言いながら声の主が何かを…、いや、目が見えるようになって状況を把握し、どうしようとしているのか目にする。

「…ゼナを使うのか?」
『そうだね、ちょっとばかりアレの手が入っているけども…少し改造させてもらうよ』

 声の主の姿を見たのだが、残念ながら視覚に干渉でもしているのかはっきり見えない。

 けれども、その手にもったゼナを利用してやらかそうとしていることだけはわかる。

『さてと、では改造を…っと、あ、君はあっち向いていたほうがいいよ。ちょっと精神的に厳しい光景になるからね』
「何する気だよ?」
『軽く(ピー)、改造で(ピー)・・・・まぁ、いろいろと自主規制するような内容が出まくるけど、彼女の尊厳は一応保たれるはずだから、安心してほしい』

 いろいろとまずそうな言葉が聞こえたのだが、何をどう安心してほしいのか。

 まぁ、何をしようが俺に手を出せるわけもなく、ここはおとなしく目を背けて待つしかないようであった……



ギュイイイイイン!!
ガッチョンガッチョン!!
ギチギチボンブルベヨォォン!!

「…おかしい音が聞こえてくるな」
『回路とか外したりいじくったり生体部品をちょ~~っとやらかしていたりするからね』

…これ、目が覚めた後のゼナ大丈夫かな?後で怒られないかな?



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