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学園1年目
26話
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‥‥‥グレイモ王国の王城にて、国王ハイドラ=バルモ=グレイモは、バルション学園長から届けられた報告書を再び読んでいた。
「‥‥‥先日、都市で起きた事件の黒幕に、反魔導書組織『フェイカー』ありか」
ハイドラ国王にとっても、20年前にその組織が起こした事件というのは覚えていた。
魔導書を持てぬ者や、持てたとしても才能がなかったり、才能があっても努力を怠って力がないがゆえに、マジックアイテムに頼り、その力を悪しき方向へ使用した者たちが寄り集まってできた組織。
既に潰せていたとは思っていたのだが、生き残っていた者たちがいる可能性が出てきたのである。
報告書を受け取ってから、王城のほうで調査をしてみたところ、やはりその可能性はほぼ確定であった。
とはいえ、現在その都市での一件以来、目立った動きは見せていない。
まるで、次に動き出すまで不安を与えるかのような、不気味な静寂を保っており、そうすぐに踏み切って王国側から動くことはできない。
「だが、思わぬ方から情報も入ったな…‥‥」
こういった犯罪組織の場合、マジックアイテムを扱うとなるとそれなりの者たちが背後につく。
そこから考えると、どこかの貴族がとハイドラ国王派も持っていたのだが、調査によってとある貴族どころか、国そのものが背後に立っている可能性が出てきたのだ。
もしかすると、戦争を引き起こされる可能性もあるので、慎重に調査を進めさせることに、ハイドラ国王は決めたのであった‥‥‥‥
ちょうどその頃、グリモワール学園では授業が行われていた。
本日、ルースたちが受けるのは歴史の授業である。
とはいっても、国の成り立ちの歴史とかとはまた別の、魔導書に関する歴史の授業であった。
「~~~~~というわけで、この都市にぐへっほぅっつ!!」
「…‥‥あのザンバラン先生、大丈夫ですか?」
「おお、大丈夫大丈夫どぶぅほぅ!!」
(((((まったくそうは見えないな)))))
授業を受けている生徒一同、同じ思いになった。
今回、この魔導書に関する授業を受け持ってくれるのは、ザンバラン先生。
今年いっぱいで定年退職をするようで、最後に受け持つ年ということでやる気に満ち溢れているようである。
だがしかし、やる気はあれども寄る年波には勝てないようだ。
少し動いて息切れし、説明していると喉の働きが弱いのか痰が詰まって咳き込んだり、耳が遠いのか少し大声で話す。
とはいえ、長年務めたベテラン先生でもあるようなので、一応まともにできて‥‥‥いるのかな?なんか途中でぽっくり逝かれそうなんだけど。
「では、ここらへんで質問をしたい。現在、確認されている魔導書の色は7色で、あ、いや、そういえば今年の新入生は金色を顕現させたかな?」
んん?と首をひねっるザンバラン先生。
金色のというところで、視線がルースに集まった。
「まあ、その金色のは別にいいとして、従来のでやるが、ここで皆に質問。魔導書を持つことにより、魔法を扱えるようになるが、その魔法に関して、何処からそれを行使できる力を得ているかわかるかぐぼえっほぅ?ふぁ、いれふぁが飛んじゃっちゃ」
咳き込んだ衝撃で入れ歯が飛んでいった。
しかも、かなりの勢いで窓から外へ行ってしまったのであった。
…‥‥本気で大丈夫だろうか、この爺さん先生。
予備の入れ歯をはめ直し、改めてザンバラン先生は適当な生徒の一人を当てて、質問に答えさせた。
「では、先ほどの質問の答えが分かるか?」
「えっと‥‥‥魔導書からじゃないですかね?」
叡智の儀式を経て、魔導書から魔法に関する力を得て扱えるからというのが理由のようだ。
だがしかし、その回答は違うようで、先生はその回答を待っていたのか、満足げな顔をした。
「半分正解で、半分間違い。確かに、魔法を扱えるようになるきっかけとして魔導書がその力を与える。だがしかし、ぐっほっぶへ!!・・・・・コホン、魔法を行使する際には、どうも異なるのだ」
「異なるとは何でですか?」
「こういう実験があったのだが…‥‥」
過去に、魔導書に関する実験が行われたことがあり、その中で魔法を行使する際に使用される力に関しての実験があったそうだ。
「単純に、魔導書から力を得て魔法を行使できているのであれば、魔導書がない場合は魔法が行使できないという仮定が成り立つ。だがその実験ではここでは詳細に公表できない方法で、魔導書を持っていた者から、強制的にそのつながりを一時的に絶ってから、魔法を行使させた」
この場合、魔導書からはその魔法を行使できる力が来ないから、魔法の使用は不可能と考えられた。
「だがしかし、驚くべきことに絶たれた者が魔法の行使を試みると‥‥‥なんとできたのだ。この件から、魔導書から魔法の行使のための力が来ている‥‥‥という仮説は半分否定されたのである」
「半分?」
そのあやふやな回答に、皆が首を傾げた。
強制的に魔導書とのつながりを消された人はしばらくの間魔法を普通に行使できていた。
だがしかし、そのうち弱いものになっていき、最終的にはか細い魔法にしかならなくなったそうだ。
「つまり、完全に異なるのではなく、おそらくだが魔導書は魔法を扱う者の、その行使のための力を増幅、もしくは補充する位置にある。けれども、魔法を行使する力は魔導書ではなく、魔法を扱う本人に宿っていると結論づけられたのだ」
「先生、では、その力とは結局何なのか分かったのでしょうか?」
生徒の一人が手を揚げて質問する。
「その力とはな‥‥‥‥‥わからん!!」
堂々と言い切ったその言葉に、全員ずっこけた。
人の方にその魔法を行使する力があるのは間違いなさそうだが、やはりその正体は不明。
明確に確かめたくとも、ただの力とでもいうべきか、実体がなく、あやふやすぎて結論づけられないのだとか。
そんなわけで、魔導書に関する本日の歴史の授業は終わった。
「結局何なのかがすっごい気になるな‥‥‥」
「ええ、なんかこう、もやっとしますわね」
ルースのつぶやきに、エルゼが同意する。
こういう授業を行うのは、やはり自分たちで追及しろといっているようなものかもしれない。
ここでふと、ルースは思い出す。
魔導書を得たときに見た、明晰夢とでもいうべき夢を。
あの時、ルースの持つ金色に輝く黄金の魔導書は確かにこういった。
『――――我ト話セルノハ、我ガソウ思ッタ時カ、主ガ強ク望ンダ時ノミ』と。
気になるのであれば、今夜あたり強く望んでみて、直接魔導書本人…‥‥いや、そのものに聞いてみるのが良いだろう。
そう思いつき、今晩試してみようかとルースは思うのであった。
「‥‥‥先日、都市で起きた事件の黒幕に、反魔導書組織『フェイカー』ありか」
ハイドラ国王にとっても、20年前にその組織が起こした事件というのは覚えていた。
魔導書を持てぬ者や、持てたとしても才能がなかったり、才能があっても努力を怠って力がないがゆえに、マジックアイテムに頼り、その力を悪しき方向へ使用した者たちが寄り集まってできた組織。
既に潰せていたとは思っていたのだが、生き残っていた者たちがいる可能性が出てきたのである。
報告書を受け取ってから、王城のほうで調査をしてみたところ、やはりその可能性はほぼ確定であった。
とはいえ、現在その都市での一件以来、目立った動きは見せていない。
まるで、次に動き出すまで不安を与えるかのような、不気味な静寂を保っており、そうすぐに踏み切って王国側から動くことはできない。
「だが、思わぬ方から情報も入ったな…‥‥」
こういった犯罪組織の場合、マジックアイテムを扱うとなるとそれなりの者たちが背後につく。
そこから考えると、どこかの貴族がとハイドラ国王派も持っていたのだが、調査によってとある貴族どころか、国そのものが背後に立っている可能性が出てきたのだ。
もしかすると、戦争を引き起こされる可能性もあるので、慎重に調査を進めさせることに、ハイドラ国王は決めたのであった‥‥‥‥
ちょうどその頃、グリモワール学園では授業が行われていた。
本日、ルースたちが受けるのは歴史の授業である。
とはいっても、国の成り立ちの歴史とかとはまた別の、魔導書に関する歴史の授業であった。
「~~~~~というわけで、この都市にぐへっほぅっつ!!」
「…‥‥あのザンバラン先生、大丈夫ですか?」
「おお、大丈夫大丈夫どぶぅほぅ!!」
(((((まったくそうは見えないな)))))
授業を受けている生徒一同、同じ思いになった。
今回、この魔導書に関する授業を受け持ってくれるのは、ザンバラン先生。
今年いっぱいで定年退職をするようで、最後に受け持つ年ということでやる気に満ち溢れているようである。
だがしかし、やる気はあれども寄る年波には勝てないようだ。
少し動いて息切れし、説明していると喉の働きが弱いのか痰が詰まって咳き込んだり、耳が遠いのか少し大声で話す。
とはいえ、長年務めたベテラン先生でもあるようなので、一応まともにできて‥‥‥いるのかな?なんか途中でぽっくり逝かれそうなんだけど。
「では、ここらへんで質問をしたい。現在、確認されている魔導書の色は7色で、あ、いや、そういえば今年の新入生は金色を顕現させたかな?」
んん?と首をひねっるザンバラン先生。
金色のというところで、視線がルースに集まった。
「まあ、その金色のは別にいいとして、従来のでやるが、ここで皆に質問。魔導書を持つことにより、魔法を扱えるようになるが、その魔法に関して、何処からそれを行使できる力を得ているかわかるかぐぼえっほぅ?ふぁ、いれふぁが飛んじゃっちゃ」
咳き込んだ衝撃で入れ歯が飛んでいった。
しかも、かなりの勢いで窓から外へ行ってしまったのであった。
…‥‥本気で大丈夫だろうか、この爺さん先生。
予備の入れ歯をはめ直し、改めてザンバラン先生は適当な生徒の一人を当てて、質問に答えさせた。
「では、先ほどの質問の答えが分かるか?」
「えっと‥‥‥魔導書からじゃないですかね?」
叡智の儀式を経て、魔導書から魔法に関する力を得て扱えるからというのが理由のようだ。
だがしかし、その回答は違うようで、先生はその回答を待っていたのか、満足げな顔をした。
「半分正解で、半分間違い。確かに、魔法を扱えるようになるきっかけとして魔導書がその力を与える。だがしかし、ぐっほっぶへ!!・・・・・コホン、魔法を行使する際には、どうも異なるのだ」
「異なるとは何でですか?」
「こういう実験があったのだが…‥‥」
過去に、魔導書に関する実験が行われたことがあり、その中で魔法を行使する際に使用される力に関しての実験があったそうだ。
「単純に、魔導書から力を得て魔法を行使できているのであれば、魔導書がない場合は魔法が行使できないという仮定が成り立つ。だがその実験ではここでは詳細に公表できない方法で、魔導書を持っていた者から、強制的にそのつながりを一時的に絶ってから、魔法を行使させた」
この場合、魔導書からはその魔法を行使できる力が来ないから、魔法の使用は不可能と考えられた。
「だがしかし、驚くべきことに絶たれた者が魔法の行使を試みると‥‥‥なんとできたのだ。この件から、魔導書から魔法の行使のための力が来ている‥‥‥という仮説は半分否定されたのである」
「半分?」
そのあやふやな回答に、皆が首を傾げた。
強制的に魔導書とのつながりを消された人はしばらくの間魔法を普通に行使できていた。
だがしかし、そのうち弱いものになっていき、最終的にはか細い魔法にしかならなくなったそうだ。
「つまり、完全に異なるのではなく、おそらくだが魔導書は魔法を扱う者の、その行使のための力を増幅、もしくは補充する位置にある。けれども、魔法を行使する力は魔導書ではなく、魔法を扱う本人に宿っていると結論づけられたのだ」
「先生、では、その力とは結局何なのか分かったのでしょうか?」
生徒の一人が手を揚げて質問する。
「その力とはな‥‥‥‥‥わからん!!」
堂々と言い切ったその言葉に、全員ずっこけた。
人の方にその魔法を行使する力があるのは間違いなさそうだが、やはりその正体は不明。
明確に確かめたくとも、ただの力とでもいうべきか、実体がなく、あやふやすぎて結論づけられないのだとか。
そんなわけで、魔導書に関する本日の歴史の授業は終わった。
「結局何なのかがすっごい気になるな‥‥‥」
「ええ、なんかこう、もやっとしますわね」
ルースのつぶやきに、エルゼが同意する。
こういう授業を行うのは、やはり自分たちで追及しろといっているようなものかもしれない。
ここでふと、ルースは思い出す。
魔導書を得たときに見た、明晰夢とでもいうべき夢を。
あの時、ルースの持つ金色に輝く黄金の魔導書は確かにこういった。
『――――我ト話セルノハ、我ガソウ思ッタ時カ、主ガ強ク望ンダ時ノミ』と。
気になるのであれば、今夜あたり強く望んでみて、直接魔導書本人…‥‥いや、そのものに聞いてみるのが良いだろう。
そう思いつき、今晩試してみようかとルースは思うのであった。
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