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学園1年目
35話
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‥‥‥ついに夏休みがやって来た。
グリモワール学園では、終業式が行われ、夏休みの開始の宣言がバルション学園長によって行われた。
「夏休みだーからと言って、遊び惚けーるのはいーけません!!きちーんと宿題をこなし、自身の魔導書の扱いをみなおーし、そーして他人と差をつーけるチャンスでもあーるのです!!」
割とまともなことをバルション学園長が言っていたので、皆は意外に思ったのだが…‥‥
「でーも、もーしもやり切れずに、もしくーは忘れーていた場合は‥‥‥‥ちょっとバキッと、コホンコホン、罰としーて超痛い目にあってもーらいまーす!!」
‥‥‥やっぱりいつものバルション学園長であった。
ごまかしていたけど、「バキッと」ってなんだ。「超痛い目」ってなんだ。
恐怖心をしっかりと忘れないように皆の心に刻まれつつも、この学園の前学期は終了し、あとは皆それぞれ自由解散となる。
馬車に乗って故郷を目指す人もいれば、中には貴族の子息とかもいるので屋敷に戻って報告しに行く人もいるそうだ。
そんな中、ルースはエルゼとスアーンと共に、校門前にて集合していた。
それぞれの荷物は手ぶらだが、これはとある実験を行ったから問題ない。
「じゃ、タキを呼ぶぞ」
「正直言って、あの女狐に頼るのは嫌だけど…‥‥ルース君がたぶらかされるのももっと嫌だし、きちんと一緒に行くから準備は良いわ」
「俺っちはエルゼ様のストッパーだけどな‥‥‥」
まだタキに対して女の子としての対抗意識があるのか黒い笑みを浮かべたエルゼに対して、はぁっとすでにあきらめの境地に達したスアーンの言葉から、一応準備はいいことをルースは感じた。
「『召喚タキ!』」
タキを呼びだし、その場に巨大な九尾の狐のような姿のタキが出現する。
【よし、もうその召喚主殿の故郷であるバルスト村へ向かえばいいのじゃな?】
「ああ、頼むぞ」
事前に説明しており、向かう経路も確認し、いつでもいける状態。
タキの背中にルースたちは搭乗し、しっかりとしがみつく。
すると、タキは器用に毛の中に埋めてあったロープを尻尾で取り出して、ルースたちをしっかりと己の体に結び付けた。
【これで落ちる心配もないじゃろうし、いつでも全速力でいけるのじゃ!】
流石にしがみつくだけでも大変なので、こうやって固定していったほうが楽なのではないかと皆で話し合い決めた結果である。
「よし…‥‥それじゃタキ、発進!!」
【了解!!】
ロープの具合をしっかりと確認し、ルースが合図をすると同時に一気にタキは加速した。
ゴゥッツ!!
「うおっ、やっぱ体に結構くるな‥‥‥」
加速時のGの大きさに、体に負担がかかったが、慣れれば後はどうという事もない。
「ちょっと押されるような気がしたけど、まだまだ平気ね!…‥‥って、ルース君、下僕一号が速攻で落ちたわね」
「あ」
…‥‥ルースとエルゼの場合、普段から学園長の無茶苦茶な訓練を受けているせいか、かなり鍛えられていたようだ。
だがしかし、スアーンは受けておらず、この中では唯一の常識人のようなものであり…‥‥急激なGの負荷によって、白目をむいて気絶していた。
事前に本当に乗る気かと聞き、早く帰れるのならいいと彼が言っていたのをルースは思い出す。
だがしかし、思いと体は一致しなかったようで、スアーンはその後、村につくまでずっと気絶し続けたのであった…‥‥
…‥‥ルースたちが学園から出発し、バルスト村に向かい始めた丁度その頃、村ではあることが起きていた。
「おかしいべ、どうも何かがおかしいべ」
「あら?どうしたのかしらゴエモーンさん」
村にある店からの帰り道、ルースの母である母のアバウト=ラルフは、知り合いの農家のゴエモーンがぶつぶつつぶやいているのを見て、話しかけた。
「おお、アバウトさんかべ。どうしたもこうも、ちょっとした摩訶不思議な事が起きているのだべさ」
「摩訶不思議な事?」
「おらの畑‥‥‥いや、村の畑全体なのだが、どうも異常成長しているのだべさ」
話によると、飢饉とか不作になるようなものではないのだが…‥‥何かがおかしいらしい。
「まるで、作物が巨大化しているかのようになっているのだべさ」
「ふーん‥‥‥それは確かにおかしいわね」
その話しを聞き、アバウトは眉をひそめた。
「‥‥‥不作とかの類ではなく、異常成長か」
とりあえず様子見をしたほうが良いのじゃないかなとアバウトはゴエモーンにそう言い、その場を後にした。
家に戻り、買ってきたものを整理しつつ、アバウトは考える。
「利益になりそうなものだけど…‥‥そんな異常成長って普通ありえないわね。何かが働きかけているのかしら」
そうつぶやき、アバウトはふとあることを思いつく。
「そうだわ、こういう時はアレに頼みましょうかね」
ナイスアイディアと言わんばかりに、彼女はその頼む相手へ手紙を書き始めた。
届くのに時間はかかるであろうが、こういう時にはすぐさま来てくれるであろう彼女の知り合い。
村の皆にも、そして彼女の息子であるルースにも秘密にしてはいるが、彼女はその手の知り合いがいた。
‥‥‥いったいどのような知り合いか、そしてなぜそんな者がいるのかは、彼女とその知り合いの枠組みにいる者たちしか知らないが、とにもかくにもアバウトはその以上について調べてもらうために、今は手紙を書くのであった。
グリモワール学園では、終業式が行われ、夏休みの開始の宣言がバルション学園長によって行われた。
「夏休みだーからと言って、遊び惚けーるのはいーけません!!きちーんと宿題をこなし、自身の魔導書の扱いをみなおーし、そーして他人と差をつーけるチャンスでもあーるのです!!」
割とまともなことをバルション学園長が言っていたので、皆は意外に思ったのだが…‥‥
「でーも、もーしもやり切れずに、もしくーは忘れーていた場合は‥‥‥‥ちょっとバキッと、コホンコホン、罰としーて超痛い目にあってもーらいまーす!!」
‥‥‥やっぱりいつものバルション学園長であった。
ごまかしていたけど、「バキッと」ってなんだ。「超痛い目」ってなんだ。
恐怖心をしっかりと忘れないように皆の心に刻まれつつも、この学園の前学期は終了し、あとは皆それぞれ自由解散となる。
馬車に乗って故郷を目指す人もいれば、中には貴族の子息とかもいるので屋敷に戻って報告しに行く人もいるそうだ。
そんな中、ルースはエルゼとスアーンと共に、校門前にて集合していた。
それぞれの荷物は手ぶらだが、これはとある実験を行ったから問題ない。
「じゃ、タキを呼ぶぞ」
「正直言って、あの女狐に頼るのは嫌だけど…‥‥ルース君がたぶらかされるのももっと嫌だし、きちんと一緒に行くから準備は良いわ」
「俺っちはエルゼ様のストッパーだけどな‥‥‥」
まだタキに対して女の子としての対抗意識があるのか黒い笑みを浮かべたエルゼに対して、はぁっとすでにあきらめの境地に達したスアーンの言葉から、一応準備はいいことをルースは感じた。
「『召喚タキ!』」
タキを呼びだし、その場に巨大な九尾の狐のような姿のタキが出現する。
【よし、もうその召喚主殿の故郷であるバルスト村へ向かえばいいのじゃな?】
「ああ、頼むぞ」
事前に説明しており、向かう経路も確認し、いつでもいける状態。
タキの背中にルースたちは搭乗し、しっかりとしがみつく。
すると、タキは器用に毛の中に埋めてあったロープを尻尾で取り出して、ルースたちをしっかりと己の体に結び付けた。
【これで落ちる心配もないじゃろうし、いつでも全速力でいけるのじゃ!】
流石にしがみつくだけでも大変なので、こうやって固定していったほうが楽なのではないかと皆で話し合い決めた結果である。
「よし…‥‥それじゃタキ、発進!!」
【了解!!】
ロープの具合をしっかりと確認し、ルースが合図をすると同時に一気にタキは加速した。
ゴゥッツ!!
「うおっ、やっぱ体に結構くるな‥‥‥」
加速時のGの大きさに、体に負担がかかったが、慣れれば後はどうという事もない。
「ちょっと押されるような気がしたけど、まだまだ平気ね!…‥‥って、ルース君、下僕一号が速攻で落ちたわね」
「あ」
…‥‥ルースとエルゼの場合、普段から学園長の無茶苦茶な訓練を受けているせいか、かなり鍛えられていたようだ。
だがしかし、スアーンは受けておらず、この中では唯一の常識人のようなものであり…‥‥急激なGの負荷によって、白目をむいて気絶していた。
事前に本当に乗る気かと聞き、早く帰れるのならいいと彼が言っていたのをルースは思い出す。
だがしかし、思いと体は一致しなかったようで、スアーンはその後、村につくまでずっと気絶し続けたのであった…‥‥
…‥‥ルースたちが学園から出発し、バルスト村に向かい始めた丁度その頃、村ではあることが起きていた。
「おかしいべ、どうも何かがおかしいべ」
「あら?どうしたのかしらゴエモーンさん」
村にある店からの帰り道、ルースの母である母のアバウト=ラルフは、知り合いの農家のゴエモーンがぶつぶつつぶやいているのを見て、話しかけた。
「おお、アバウトさんかべ。どうしたもこうも、ちょっとした摩訶不思議な事が起きているのだべさ」
「摩訶不思議な事?」
「おらの畑‥‥‥いや、村の畑全体なのだが、どうも異常成長しているのだべさ」
話によると、飢饉とか不作になるようなものではないのだが…‥‥何かがおかしいらしい。
「まるで、作物が巨大化しているかのようになっているのだべさ」
「ふーん‥‥‥それは確かにおかしいわね」
その話しを聞き、アバウトは眉をひそめた。
「‥‥‥不作とかの類ではなく、異常成長か」
とりあえず様子見をしたほうが良いのじゃないかなとアバウトはゴエモーンにそう言い、その場を後にした。
家に戻り、買ってきたものを整理しつつ、アバウトは考える。
「利益になりそうなものだけど…‥‥そんな異常成長って普通ありえないわね。何かが働きかけているのかしら」
そうつぶやき、アバウトはふとあることを思いつく。
「そうだわ、こういう時はアレに頼みましょうかね」
ナイスアイディアと言わんばかりに、彼女はその頼む相手へ手紙を書き始めた。
届くのに時間はかかるであろうが、こういう時にはすぐさま来てくれるであろう彼女の知り合い。
村の皆にも、そして彼女の息子であるルースにも秘密にしてはいるが、彼女はその手の知り合いがいた。
‥‥‥いったいどのような知り合いか、そしてなぜそんな者がいるのかは、彼女とその知り合いの枠組みにいる者たちしか知らないが、とにもかくにもアバウトはその以上について調べてもらうために、今は手紙を書くのであった。
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