ゼロから始める魔法の島

甘井ふたば

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プロローグ

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「部長...しっかり歩いてくださいよ...!」

「んだ~?よぉ聞こえなんだ~...。」

 部長...飲み会終わりいつもこれだからなぁ。お酒弱いなら控えればいいのに。会社ではきつく当たるくせに、飲み会の後は俺に家まで送らせて...。しかも「タクシーは金が掛かるから使うな! 歩け!」とか。クソ上司か! 

 まぁ部長の面倒見ることで評価が上がって給料良くなるんだったら話は別だが、給料上がるどころか下がるばかり。不景気だからといわれれば仕方ないんだけどね...。こんなこと考えてたらイライラしてきた。





「部長、家に着きましたよ。起きてください」

「あぁ...」

 部長は鍵を出し、鍵穴に差し込み、手首を捻る。そしてドアを開けた。そして、扉を開けた音に気が付いた部長の奥さんが玄関にやってくる。奥さんは少しぽっちゃりしたふくよかな体型。髪形はミディアムで、黒髪。最近白髪が増えてきたっぽい。いつも家では割烹着姿で居る。少なくとも俺が家にお邪魔した時はいつも割烹着だ。そして今も。

「あら~いつも主人が悪いわねぇ」

「帰り道が同じだからいいんですよ。気にしないでください。それでは」

そう言い、俺は踵を返した。




 寒い。物凄く寒い。目の前の歩道橋を渡れば家はすぐ。家に帰れば温かい家庭が...なんてのも無い。家に帰ったら暖房のきいてない寒い家。暖房で部屋が温まるまで時間がかかるから、家に帰っても寒い時間は続く。今腕時計を見たところ、今は12時だ。この時間から暖房付けるのももったないよなぁ...。帰ったら風呂に入ってすぐ寝よう。布団に入ってしまえばあったかい。

......温かい南国の島で仕事もせずスローライフしたいよぉ!

 こんな事を考えている間に歩道橋の端まで来てしまった。そこからは階段を一段一段降りるだけだ。

「わぁっ!」

 
 足を踏み外した。
 
 こんな高さから落ちたら死ぬぞ俺。助けて。
 
 心の中で誰かを読んでも返事をしてもらえる訳が無い。そしてこんな時間の歩道橋に人が来るわけもない。
 
 母さん、父さん。親より先に死ぬかもしれない事をここに謝罪する。









 体が痛い。そして、じめじめしてる。俺はそっと目を開けた。あたり一面石の壁。地面は土。ここは...洞窟? でも何故?
 俺は確か歩道橋から落ちて...。じゃあ俺助かったのか!? 母さん、父さん! 俺生きてた! でも何故洞窟に? 
 幸い光が近い。少し歩いてみよう。外に出れば何かわかるかもしれない。
 それにしても何故俺は洞窟なんかに居たんだ? もし、助かったとすれば今頃病院のベットに寝てるはず。体に怪我も見当たらない。それどころかかすり傷一つついてない。体が痛いのは、固い地面の上に寝ていたからだろう。
 外が見えてきた。なんか水の音も聞こえるぞ。




 なんだここは!? 広く青い海、白い砂浜。後ろにはさっき居た洞窟。そして、見たこともない木が沢山生えている。種類も様々だ。俺はいったいどこへ来てしまったんだ。ここはどこなんだ。あたりを散策してみるしかなさそうだな...。
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