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そーいちろーと青い鳥

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 おれはタナトフォビアってやつだ。死恐怖症。

 これは十代になってからネットで偶然知った。そりゃあ死ぬのは誰でも怖いだろ、とかつっ込むヤツは正常だ。タナトフォビアはそういうんじゃない。ガチなやつだ。ガチな恐怖症。そしてこれは、おれが唯一ネネちゃんに話してないことだ。

 おれは死が怖い。誰かが死ぬこと、自分が死ぬこと、死ぬかもしれないと思うこと、それによって大きな穴が空いてしまうこと。

 ネネちゃんといるときもいないときも、おれはいつでも意識の数パーセントで死を恐れてる。おれや彼女に何かあったらどうしようなんて想像すると発狂しそうになる。

 ネネちゃんは若くて健康でおれよりずっとタフて賢くて、おれもまぁ若くて健康で死なんてものとは真逆にいるのに、だ。

 おれは乏しい理性をかき集めてそれを表に出さないようにしてるし、あたりまえだけど束縛なんてしない。ネネちゃんがどこに行っても行ってらっしゃい、で片付けるし、たとえば頭痛だとか生理痛だとかそういう普通の体調不良にも普通に対応してがんばってる。

 だけど本当は怖くて仕方ない。おれは死がどんんなものかを知ってて、いまだにそれを乗り越えてないんだ。
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