百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!

無色

文字の大きさ
18 / 80
王国漫遊編

幕間:アルティ×ドロシー

しおりを挟む
 アルティ=クローバー。
 大賢者の称号を与えられた、国内…否、世界トップクラスの魔法使い。
 そんな国家級戦力が悠々と旅をしていることにも驚きだけど、もっと驚きなのは、そんな大賢者を侍らせている女がいることだ。

「はー…行き交う女の人全員からおっぱい揉んでって懇願されたい…」

 リコリス=ラプラスハート。
 才色兼備の自他共に認める絶世の美少女。
 なのは…まあ認める。
 けどこいつがまあ欲望にはひたすら忠実で、自由が服を着て歩いているみたいな女。
 旅を初めて数日。
 この身でしかと思い知らされている。

「パンツってさ、履いてるのを確認するまでは履いてるか履いてないかわかんないわけよ。つまり今この瞬間、アルティとドロシーがノーパンな可能性も捨てきれないわけで」

 こんな性欲の塊みたいな奴、我ながらよくもまあ好きになったものだわ。 
 惚れた方が負けとはよく言ったものね。



「すやぁ…むにゃむにゃ…。おセッセ参勤交代…すや…」

 ある晩。
 リコリスが眠った後、アタシはアルティに訊いた。

「あんたはなんでリコリスのこと好きになったの?」
「ぷふっ!!けほ、ごほっ!!な、なにを急に!」

 飲んでいた水を盛大に吹き出した。

「いや、見てればわかるわよ。あんたもリコリスのことが好きってことくらい。親友だからとかじゃなくて、ちゃんと恋愛として好きでしょ?」
「それはその…そのとおりですけど」

 焚き火に当てられた熱以上に顔を真っ赤にする。
 可愛いわねこの子。
 
「で、きっかけはなんだったの?」
「そんなの聞いてどうするんですか」
「人間には恋バナっていう文化があるんでしょ?恋バナをすると友情が深まるって姉さんが言ってたわ」
「偏った文化を…。まあ…強いて言うなら、出逢ったときから好きでしたよ。一緒な街に暮らしていたわけではなく、会えるのはたまにで。子どもの頃はしょっちゅう、会いたい会いたいって泣いていました。寂しいのはもちろんでしたが、きっと好きな人と離れ離れになるのが嫌だったんだと思います」

 それからアルティは、リコリスに助けられた話をした。
 魔物の群れに一人立ち向かっていく子どもの話。
 話を聞いているときは、まるで夢物語のように信じられなかったけど。
 話すアルティの顔は、まるで英雄譚を読む子どものようでもあり、恋する乙女のそれでもあった。

「本当に好きなのね。けどいいの?」
「何がですか?」
「アタシも本気で好きなのよ?リコリスのこと」
「はあ…」
「独り占めしたいとか、そういうことは思わないのって訊いてるんだけど」
「リコの寵愛は私一人の身には余りますからね。けど、私が彼女の一番なのだけは譲りません」

 愛人も娼婦も受け入れる。
 しかし正妻は譲らない。
 これは紛れもない王妃の器だ。
 皇族アタシ以上に、上に立つ者の定めと品格を理解している。
 大賢者にまで上った女が飾り物であるはずもないというわけね。
 
「いい女ねあんた」
「どうも」

 あわよくばアタシがリコリスの一番になってやろう、なんて考えてたけど、難しいというより無理ねこれは。
 例えるなら領域のようなもの。
 アルティには許容出来る領域があり、境界線の外なら何をしても咎めない。
 だけど不躾に境界線を越えようものなら……考えただけで恐ろしくなる。
 
「ところで」
「?」
「好きってことはヤりたいってことよね?」
「ぶっふぁ!!げほげほっ!!なななな、なに、バカなこと言ってるんです!!」
「違うの?」
「違ッ……わ、なくはない…です、けど……」
「あんたも18歳なら初心うぶってわけじゃないでしょ?あいつ程じゃないにせよ性欲だってあるわけでしょ?それに好きなら何も問題ないじゃない。ちょっと二人で夜這いしましょ」
「夜這…ッ?!?!」
「リコリスって自分からはあれこれ言うけど、責められると案外弱いじゃない。二人でマウント取ってやったら、さぞいい気分になれると思うんだけど」
「マウント…」
「想像してみなさい」



『ちょいちょいちょい…なーんで腕縛られてんのかなぁ…』
『こうでもしないと、あんた逃げるでしょ。ヘタレだから』
『逃げるわけないじゃん私は全ての女性を愛するために生まれてきたスーパー美少女…ひゃあん!』
『フフ、なにがちょっと触っただけなのにいい声出るじゃない』
『貴様…んァッ!アルティ…』
『こんなに硬くして…まさか喜んでるんですか?顔をだらしなく蕩けさせて…いつもの強気なリコはどこへ行ったんです?』
『ほら、聴こえるでしょ?こんなにピチャピチャ言わせて恥ずかしくないの?変態♡』
『ひッ…!んんぅ…!』
『ビクビクしちゃって可愛いですね。ちゃんとおねだり出来たら、もっと気持ちいいことしてあげますよ。変態さん♡』
『ひゃう…ら、らめぇ…♡』
『自分の口で言いなさい、どうしてほしいのか。ね、ドスケベ淫乱女♡』
『どうしてほしいんですか、リコ♡』
『は、ァァ…め、めちゃくちゃに、して…くだしゃい…♡』



「なーんて事に」
「ぶっふ!!」
「鼻血?!!ちょっと?!アルティ?!!湯水の如く溢れ出てるわよ?!ふざけたアタシが言うのもアレだけど昨今の人間ってこんなに性への耐性低いわけ?!!今第二次性徴始まったの?!!」
「ずびばぜ…刺激が…刺激が強…ぐふっ」
「アルティ?!アル、アルティ――――――――!!!」

 この子はあたたかく見守ってあげよう。
 アタシはそう心に誓ったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

処理中です...