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海上旅情編

27.管理者権限

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 甲板に戻ると、冒険者たちが武器を手に魔物と応戦していた。
 羽が生えた魚。トビウオか?
 【鑑定】っと。
 フライングサーモン。身は脂が乗って、羽は珍味。
 私の【鑑定】さんは相変わらず情報を端的にくれる。

「サーモンね…醤油もあるし、今日はお刺身パーティーだな!」

 フライングサーモン相手に剣を抜き三枚におろして、鮮度が下がらないようにすぐに【アイテムボックス】直送。
 向こうからお刺し身になりにくるんだから入れ食いだ。

「頑張りなさいリコリスー」
「ふあぁ…」
「いや貴様らも働けよ。一応依頼中なんだが?」

 なにを優雅にジュースキメてんだセレブか。
 お酒飲んでた私が言えたことじゃないけど。

「ただの魚相手に爆薬使ってもいいの?船が沈むわよ?」
「言い分がテロリスト」
「暑くてやる気が起きません」
「お前は自分が一番得意な魔法属性が何か思い出せコノヤロー」

 数が多いだけで手こずることはないけど、何だこの感じ。
 まるで何かから逃げてきてるみたいな。

『主殿』
「どうしたウル…いや、変な感じの正体はこれか。アルティ、ドロシー、その辺に捕まって。船が揺れるよ」

 グラッ
 船の前方で起きた海の隆起に船が傾く。
 波と共に姿を見せたのは、長い触手を何本もくねらせる巨大な魔物だった。

「デ、デビルオクトパスだ!!」
「デカい!」
「急いで巨大弓バリスタを用意しろぉ!!」

 他の冒険者たちは慌てふためいてるけど、でっかいタコ以外の感想が出てこない。
 いやーおいしそうですなぁ。
 たこ刺にしゃぶしゃぶ、たこ飯たこ唐カルパッチョ…何百人前出来んの。
 ん、待てよ……
 
「ハッ!たこパ出来んじゃーん!」
「たこパ?」

 誰にも譲らん!
 私は喜々として甲板を跳んだ。

「どけどけ!私の獲物だァ!」

 なんか墨を吐かれたけど、フハハハ効くかそんなもーん!

「大人しくたこ焼きになれーーーー!!」

 刺突一閃。
 締められたたこは沈黙し、振り上げていた触手を水面に落とした。
 【アイテムボックス】にしまって…ほい、いっちょあがり☆
 サーモンの群れも鎮まったし、一件落着っと。

「デビルオクトパスを一撃で…」
「何者だあの姉ちゃん…」

 ただの超絶天才美少女ですが?

「お前らはギルドであいつを見てなかった組か…あいつには近付くなよ怪我するから(物理的な意味で)」

 怪我させてやろうか(物理的な意味で)
 それはともかく。

「~♪たこ焼きたこ焼き~♡」

 早速たこ焼きソース作ろーっと♡
 私は思わぬ食材の入手に喜び、人の目も気にしないで、だらしない顔で小躍りするのだった。

 

 船での食事は、アンドレアさんお抱えの料理人、ワーグナー=リヒャルトさんという若い男性が腕を振るってくれる。
 素材の味を引き立たせた料理はさすがの一言で、貴族のアルティや千年以上生きた師匠せんせいの舌も唸らせた。

「クハハハ、船上でこれだけの料理を出すとは。いい腕をしておるではないか料理人よ。誇って良いぞ」
「ハッ、恐縮です」
「これからも精進するのじゃ」

 さっきまで船酔いで死んでた分際で。

「お魚おいしいね」
「うんっ、おいしい」

 妹たちも満足している。
 けど…ゴメンなさいワーグナーさん。
 このムニエルも相当おいしいんだ。
 でも私はどうしてもお刺し身でこのサーモンを食べたい。
 というわけで、ちょっと台所を拝借。
 寄生虫とか雑菌は浄化ピュリフィケーションで一発よ。
 うーんキレイな身。

「これは…フライングサーモンのスライス…?」
「美しい盛り付けですね」

 アンドレアさんだけでなく、ワーグナーさんも私のやることに興味津々な様子。
 いや、これに醤油付けて食べるだけだよ?
 こっちの人…っていうか、この世界?王国?にはあまり生食の文化が浸透してないらしくて、魚は基本干物か焼いてムニエル、あとは揚げるくらいの食べ方しかしない。
 流通とか保存の問題で。
 だから私の食べ方はとても異質に映っていることだろう。
 けどなあ…

「ちょんちょん、っと。あーむ…んふー♡」

 ねっとり♡
 脂乗っててうますぎりゅ~♡

「リコリスさん、私も一口よろしいですか?」
「わ、私も!」
「どうぞどうぞ。新鮮ですよ」
「パクリ…おお!これは!」
「生魚がこれほど美味く…これが醤油…!シンプルなのになんて奥深いんだ…!」
「こっちのアジとか鯖もおいしいですよ」

 釣りたての魚をそのまま食べれるのいいねぇ。
 あーご飯炊けばよかった。

「ん、この魚のミンチ?味が複雑でおいしいです」
「本当。お酒に合いそうな味」
「なめろうって言うんだよ。叩いた魚に味噌と醤油と薬味を混ぜた料理」
「変った名前じゃな」
「漁師が船の上で作ったのが始まりで、皿を舐め回すくらい美味しいからとか、なんかそんな感じの謂れだったかな。忘れたけど」

 それにつけても…うますんぎ♡
 無限に食べれるわぁ♡

「お姉ちゃんお姉ちゃん!こっちのね!焼いたやつもすごくおいしい!」
「お魚のおいしさがギュッてなってますぅ!」
「さんが焼きね。子どもはそっちのが好きかなって作ってみた」

 子どもはカルシウムを摂らないとね。
 お魚はいっぱい食べな。

「これもまた…いやぁ何度感服させられるかわかりませんね」

 アンドレアさん以上に感動したのが、ワーグナーさんだった。

「すごい…素晴らしすぎる…!リコリスさん!いえ先生!」
「先生とな」
「あなた様の料理に感銘を受けました!ぜひ私をあなたの弟子に!どうか、どうか!!」
「そんな大したもんじゃ…。あーなら、考えられるだけのレシピを書いて渡しときますから、それでおいしい料理を作ってください」
「光栄です先生!!」

 弟子なんてめんどくさいなぁ、って適当なこと言っちゃったけどさ。
 アンドレアさんが囲うくらいだから、この人結構すごい料理人なんじゃないの?
 膝ついて手を組んで涙目になってるけど。

「商業ギルドに売り込めば利益になるんですがね」
「その辺はご自由に」
「ええ、そうさせていただきます」

 軽く言っただけなのに、後にこのレシピが、幻の天才料理人リコリス著書の原本として知られ、複製本が飛ぶように売れて莫大な利益を齎した挙げ句、ワーグナーさんは伝説の後継者として後世にまで名を残す料理人になるんだけど。
 それはまた別の話だ。



 しかし、こんなに騒がしい酒盛りでも、シャーリーは姿を見せなかった。
 船には乗ってるんだろうけど、気配が全然読めない。
 あれ以降、シャーリーは私の前に現れなかった。
 なんとなく気がかりなんだよなぁ。
 それが理由で眠れないわけじゃないけど、深夜の甲板に出て月を見上げていた。
 見張り番が数人いるだけで、さざ波の音以外は聞こえない。

「リコ…?」
「アルティ?」

 暗がりで気付かなかった。
 アルティも一人で月を見上げていたなんて。

「眠れないんですか?」
「まあね。アルティも?」
「気持ちが逸ってしまって。初めての船に浮かれているのかもしれません」

 月明かりを浴びるアルティ…は?女神?
 銀色の髪が艶っぽく光を帯びて色気ここに極まれりなんだが?

「隣、いいですか?」
「え、ああ、うん。もちろん」

 めっちゃピッタリ身体寄せてくる。
 いい匂いだな。

「夜の海って、暗いんじゃなくて黒いんですね」
「怖い?」
「いいえ。隣にリコがいてくれるので」
「おお、そっか…」

 なんだ妙に気恥ずかしいな…
 最近二人きりって無かったもんな。
 何か気の利いたこと…私は取り出した毛布をアルティの肩にかけた。

「リコ…」
「寒いかな、って」
「なら…一緒に…」

 ドキドキが止まらーん!
 心臓の音聞こえちゃってるんじゃないのこれ!
 周り暗すぎて何しても人目に付かんし……え、ナニしちゃいますけど?!
 おっぱいとか触っちゃいますけど?!
 いやいや落ち着けってぇ…
 ステイクールステイクールステイクール…
 獣であるな人間たれリコリス…
 大事にするって決めただろって――――――――

「うおっ!」
「きゃっ!」

 こんな大きな船が揺れるくらいの高い波。
 嵐でも来るのかなとか、そんなの今どうでもいい!
 話にしなきゃいけないのは、よろけた拍子に私の顔がアルティの胸に埋まってしまったこと柔らかぁぁぁぁぁい!!!
 何これェェェしゅきぃぃぃぃぃ!!!
 人生初ラッキースケベありがとう生きてて良かったぁぁぁぁぁん!!!

「リコ」
「ひゃはいしゅみません事故ですゴメンなさい!!」
 
 めっちゃいい経験した…
 もうビンタされても全てを受け入れられ――――

「スるなら…ベッドがいい…」
「はへあ……」

 月の淡い光源でもわかる顔の赤み。
 触れた手が熱すぎる。
 は?マジ…?マジで?!
 ヤバいヤバいヤバいヤバい!!
 イメトレは何回もしてきたけど本番てどうやったらいいの教えて神様ァ!!
 前世から処女拗らせてる私にはキッツい…けど、も!!
 めっっっっちゃ興奮するな!!
 けれど、私はむしろ心を落ち着かせた。
 自分を受け入れようとするアルティに失礼が無いように。
 真摯に。真剣に。
 ここでヘタレて、何がハーレムかと腹を括った。

「おいで」

 ソッコーで部屋に戻って熱烈なキス。からのベッド押し倒し。
 
「リコ…あっ」
「静かにしてろ」

 首を甘噛みして痕をつける。
 左手は頬に。右手は胸に。

「んっ…」
「誘ったのはそっちだろ。アルティ」

 ボタンを開けて、汗ばんだ鎖骨に舌を這わせる。
 しょっぱい、アルティの味がする。
 顔にかかる髪が鬱陶しくて、馬乗りになったまま髪を掻き上げた。

「あっつ…髪ウザ…」
「…………!!」

 潤んだ瞳。
 上気した頬。
 火照った身体。
 アルティは見たことがない私を見るように全身を震わせた。

「怖い?」

 プルプルと首を振る。

「カッコいい…好き…」
「なら、黙って抱かれてろ」

 これは、私も知らない私だ。
 たとえこれが夢だとしても。
 この思いは。この欲望は。
 止まらない。

「そなたらよ」
「「――――?!!!」」
「若さにかまけて情事をするなとは言わぬがのう…場所くらいは選んだ方がいいと思うのじゃ」

 師匠せんせい
 そういえば、私たち全員同じ部屋…

「本当…マリアとジャンヌが起きちゃうじゃない…」
「ドロ、シ…!いつから…!」
「あんだけドタバタ余裕無さげにしてたら嫌でも起きるわよ。見てるこっちが恥ずかしかったわ。静かにしてろだの、黙って抱かれてろだの」
「まあ続けるのならもう止めはせぬが。声は出さぬようにの。薄い壁の向こうで誰が聞き耳を立てておるかわからぬ。妾たちも邪魔するのは吝かではない故な」
「じゃあおやすみなさい。終わったらちゃんと身体を洗うのよ」
「「~~~~~~~~!!」」

 二人にやり場のない怒りをぶつけるのはお門違いで。
 我に返った私たちは、顔から火が出る思いで、眠れないまま朝を迎えることになるのだった。



「おはようございます。今朝は波が穏やかで気持ちがいいですね。おや、お二方は顔色が優れないようですが。寝付けませんでしたか?」
「ええ、まあ…」
「大したことじゃないんです…」

 アンドレアさんの心配が痛い。
 ほんっと、何でもないんです…

「お姉ちゃん、気分悪い?」
「大丈夫ですか?」
「気にかけることはない、マリア、ジャンヌよ。こやつらの自己管理が甘かっただけじゃ」

 ブチッ

「あァ?!おいコラ何つったのじゃロリ!!そっちが出歯亀してきたんだろーがよぉ!めっちゃいい感じだったのに!は?!マジキレそうなんだけど!もうお前たちの今日のおやつは無しだからな!」
「横暴じゃ横暴じゃ!そんなに怒るなら魔法でも覚えればよかろう!異界なり別次元なり創って好きなだけ乳繰り合っとるがよいわ生娘どもが!」
「覚えられるもんなら覚えとんじゃあー!!!」

 ギャーギャーギャーギャー。
 取り立てて不毛な平行線で朝から白熱してしまった。

「悪いと思ってる上で訊くわ。どうだった?」
「ほとんど何もされてませんが…………最高でした……」

 嬉しいけどね…恥ずかしすぎりゅ…



 いたたまれなくて、一人でマストの上まで登ってきてしまった。
 風気持ちいい。

「はぁ、落ち着く…。そうだ、落ち着いたついでに師匠せんせいからもらったスキルを試してみるか」

 ウミネコの声を聞きながら、私はスキルを発動させた。

「【管理者権限アドミニストレートスキル】」

 師匠せんせいの【全知全能】のように、半透明のウィンドウがマルチタスクで開かれる。

「おお…こっちが私のスキルで、こっちはみんなのスキルか…。【百合の姫】の影響を受けてる人のスキルが見られるんだな」

 とりあえず色々試してみるか。
 操作はタブレットと変わらない感じ。
 スキルをタップして…ん??

「コピー、カット、ペースト…」

 …………この文字の羅列がそのままの意味だとしたら。
 おいおいあの吸血鬼ヴァンパイア…とんでもないもん創ったんじゃないの…

「リルム、ちょっとおいで」
『なーにー?』

 【念話】でリルムを呼び出して、ちょっと実験に付き合ってもらう。

「まず私の【剣術】スキルをコピー…んでスワイプでこう…」

 リルムのステータスに【剣術】をペーストして…

「リルム、ちょっと試してみて」

 剣を渡してみると、リルムは触手状に変化させた腕?で達人のような剣捌きを見せた。

『リーリー、リルム剣上手になったー』
「んじゃあ、今度はコピーしたスキルを切り取って…これは?」
『あれー?さっきみたいに上手じゃないよー?』
「じゃあ次。【聖魔法】を…どう?」
浄化ピュリフィケーション…出来たー』
「消しといて…と」

 私は深く呼吸して、なんてもん創ったんだと師匠せんせいに対し焦燥にも似た疲弊を覚えた。
 これは、加護持ち関係無くスキルの概念変わるぞ。
 私だけじゃなくて、みんなのスキルもいじり放題ってことじゃん。
 対象は【百合の姫】の影響を受けた人に限るっぽいけど。
 まさかユニークスキルまで?と思ったけど、さすがにそれは影響外だった。
 【百合の姫】自体がリベルタスが創ったスキルのためかはわからないけれど。



 【管理者権限アドミニストレートスキル】の権能は、大まかに六つに分類されていた。
 スキルの複製。消去。貼付てんぷ。解析。
 そして、統合と分解。
 複製、消去、貼付についてはさっきのとおり。
 解析はスキルをより深く理解するための能力。
 残った権能二つが、たぶんこのスキルの核心だ。



 スキル
 【鑑定】【短刀術】【毒無効】【麻痺耐性】【精神異常無効】【毒生成】【悪食】【薬生成】【剣術】【格闘術】【菓子作り】【念話】【木工】【採掘】【鍛冶】【彫金】【槍術】【双剣術】【投擲術】【防御術】【熟成】【発酵】【悪臭無効】【腐蝕無効】【釣り】【誘惑】【前戯】【散髪】

 フレンドリースキル
 アルティ=クローバー(人間)
 【七大魔法】【魔導書グリモワール】【魔眼】【耐寒】【氷結無効】
 ドロシー(ハーフエルフ)
 【月魔法】【調合】【採取】【交渉術】【商人】【金の恵み】
 マリア(獣人族)
 【炎魔法】【電光石火】【天駆】【神速】
【直感】【言語理解】
 ジャンヌ(獣人族)
 【水魔法】【術理】【並列思考】【見えざる手】【執筆】【描写】【言語理解】
 テルナ=ローグ=ブラッドメアリー(吸血鬼ヴァンパイア)
 【隠蔽】【鑑定阻害】
 フィーナ=ローレンス(人間)
 【花の神の加護】【指揮】【宮廷作法】【生け花】
 ミオ=ホウヅキ(???)
 【???】

 コントラクトスキル
 リルム(イータースライム)
 【自己再生】【痛覚無効】【家事】【消化】【胃袋】【食欲増加】【アイテムボックス】
 シロン(スリープラビット)
 【跳躍】【睡眠】【誘眠】【快眠】【惰眠】
 ルドナ(テンペストホーク)
 【風魔法】【鷹の眼】【空気抵抗軽減】【夜目】【奇襲】【威嚇】
 ウル(ダークナイトウルフ)
 【闇魔法】【五感強化】【高速移動】【危機感知】【隠密】【身体強化】【威圧】【索敵】

 エクストラスキル
 【聖魔法】

 ユニークスキル
 【百合の姫】【管理者権限アドミニストレートスキル



 と、これが【百合の姫】の共有を含めた今の私のスキル構成。

「耐性系のスキルは全部統合しちゃえばいいか。【剣術】とかそこらへんもまとめてっと。【鑑定】とアルティの【魔眼】…ルドナの【鷹の眼】と【夜目】も混ぜちゃうか」

 【管理者権限アドミニストレートスキル】を使ったら…



 スキル
 【毒生成】【薬生成】【悪食】【菓子作り】【念話】【鍛冶】【熟成】【発酵】【誘惑】【前戯】

 フレンドリースキル
 アルティ=クローバー(人間)
 【七大魔法】【魔導書グリモワール】【耐寒】
 ドロシー(ハーフエルフ)
 【月魔法】【調合】【採取】【交渉術】【商人】【金の恵み】
 マリア(獣人族)
 【炎魔法】【電光石火】【天駆】【神速】
【直感】【言語理解】
 ジャンヌ(獣人族)
 【水魔法】【術理】【並列思考】【見えざる手】【言語理解】
 テルナ=ローグ=ブラッドメアリー(吸血鬼ヴァンパイア)
 【隠蔽】【鑑定阻害】
 フィーナ=ローレンス(人間)
 【花の神の加護】【指揮】【宮廷作法】
 ミオ=ホウヅキ(???)
 【???】

 コントラクトスキル
 リルム(イータースライム)
 【自己再生】【痛覚無効】【家事】【消化】【胃袋】【食欲増加】【アイテムボックス】
 シロン(スリープラビット)
 【睡眠】【誘眠】【快眠】【惰眠】
 ルドナ(テンペストホーク)
 【風魔法】【空気抵抗軽減】【奇襲】
 ウル(ダークナイトウルフ)
 【闇魔法】【危機感知】【隠密】【索敵】

 エクストラスキル
 【聖魔法】【神眼】【武神の恩寵】【技術神の恩寵】【状態異常無効】【覇気】

 ユニークスキル
 【百合の姫】【管理者権限アドミニストレートスキル



 とまあ、こんな感じ。
 めっちゃスッキリしたな…主に私のスキルが。
 同じ系統のスキルを統合することで、より強力なスキルに進化すると。
 共有してるスキルをいじっても、本来の所有者に影響は無い。
 にしても、エクストラスキルが5個も増えたのは予想外だったな。
 【鑑定】と【魔眼】などをベースにした【神眼】。
 より精密な鑑定が可能になり、魔力マナの流れを読むのと同時に、視力に由来する能力が大幅に上昇されている。
 【剣術】や【格闘術】などを統合した【武神の恩寵】。
 技の精練さに加えて肉体の強化、体力の増加を齎すスキルだ。
 【木工】や【彫金】、他幾つかの技術的スキルを統合して出来たのが【技術神の恩寵】。
 神って名前が付いてるけど、これは加護とは違うのかな。
 今度リベルタスに訊いてみよう。
 それから【状態異常無効】。
 これはシンプルにありがたい。
 そして【覇気】。
 威圧感を与えて相手の行動を不能にするスキルらしい。

「ハッハッハ。チートだなぁ……」

 運営にナーフ報告するくらいチート。
 俺TUEEEも限度があろうて。

「何を考えてこんなスキル創ったんだ師匠せんせいは」

 私のこと好きすぎかよ可愛いな。
 後でよしよししてやろ。
 アルティとのイチャイチャタイムを邪魔したのは別の話だがな!!
 【管理者権限アドミニストレートスキル】。今後も大いに役立ちそうだ。



 日がな一日釣りをして、魔物が現れたら倒して。
 読書にゲームにお昼寝三昧。
 そんな波の少ない日々を四日。

「なんだか暑くなってきたわね」
「発情期?」
「鼻から刺激物突っ込むわよ」

 どうやら気候帯が変わったみたい。
 亜熱帯特有の程よく湿り気を帯びた乾いた空気。 
 肌を焼く太陽の光
 そして、マリンブルーの海に浮かぶ島々。

「見えてきましたよ皆さん。あれが十の島々から成る島嶼国とうしょこく。常夏の楽園、アイナモアナ公国です」

 まだ見ぬ出逢いの予感に、私の胸は静かに高鳴った。
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