39 / 94
第4章 神社とご老人
石の上に
しおりを挟む
「すごい人が多いわね~」
母さんの言葉に、俺はマフラーに顔を埋めながら頷く。今日は一月二日。年が明け、家族と初詣に来ている。
家から一番近い神社で、初詣は毎年ここだ。山の中にある小さい神社で、参拝するのは近所の人が多い。はずだが、今年は例年より人が多い気がする。
「やっぱり三日に来た方が良かったんじゃないか」
「そうね~」
父さんがぼやく中、俺は前に並ぶ人の列を見る。まだ自分たちの出番は当分来そうにない。石段の長い階段を、ゆっくり上がっている状態だ。
列に並んでる間、する事もないので周りを見る。お守りを買う場所も人だかりができていて、おみくじはその隣に置かれている。くじの種類も豊富になっていて、お守りがついてくるクジもあれば、置物がついてくる物もある。自分はいつもお金を入れて自分でおみくじを取るだけの、シンプルなものを買っている。今年は、できたら大吉を引きたい。そうしたら、面接も自信をもって臨めそうだ。
そんな中、ふと一人の人物に目がとまった。紺色の着物を着た、白い髭をたくわえたお爺さんだ。
その人物は、少し大きな石の置物に座っている。その石は何か書かれていて神聖な物のはずだ。それなのに、誰も注意しない。もっと言うと、見向きもしない。
「ねぇ、あの石のやつさ」
「? 石がどうかした?」
親も、何も見えていないようだ。という事は。
お爺さんをじっと見つめる。
すると、お爺さんがゆっくりこちらに目を向けた。びっくりして、思わず目を逸らしてしまう。
恐る恐るもう一度見ると、その人の姿はなくなっていた。
「いない……」
見間違いか。いや、違う。あれは。
「懐かしいわねぇ」
母さんの言葉に、俺は首を傾げる。
「タカヒロ、昔も岩の方を見て、不思議そうにしてたわよね」
「ああ、あったなぁ。そんな事も」
「昔も……」
「そうそう。またなんか見えた?」
俺はその問いに、マフラーに埋めてたかおをあげた。
母さんの言葉に、俺はマフラーに顔を埋めながら頷く。今日は一月二日。年が明け、家族と初詣に来ている。
家から一番近い神社で、初詣は毎年ここだ。山の中にある小さい神社で、参拝するのは近所の人が多い。はずだが、今年は例年より人が多い気がする。
「やっぱり三日に来た方が良かったんじゃないか」
「そうね~」
父さんがぼやく中、俺は前に並ぶ人の列を見る。まだ自分たちの出番は当分来そうにない。石段の長い階段を、ゆっくり上がっている状態だ。
列に並んでる間、する事もないので周りを見る。お守りを買う場所も人だかりができていて、おみくじはその隣に置かれている。くじの種類も豊富になっていて、お守りがついてくるクジもあれば、置物がついてくる物もある。自分はいつもお金を入れて自分でおみくじを取るだけの、シンプルなものを買っている。今年は、できたら大吉を引きたい。そうしたら、面接も自信をもって臨めそうだ。
そんな中、ふと一人の人物に目がとまった。紺色の着物を着た、白い髭をたくわえたお爺さんだ。
その人物は、少し大きな石の置物に座っている。その石は何か書かれていて神聖な物のはずだ。それなのに、誰も注意しない。もっと言うと、見向きもしない。
「ねぇ、あの石のやつさ」
「? 石がどうかした?」
親も、何も見えていないようだ。という事は。
お爺さんをじっと見つめる。
すると、お爺さんがゆっくりこちらに目を向けた。びっくりして、思わず目を逸らしてしまう。
恐る恐るもう一度見ると、その人の姿はなくなっていた。
「いない……」
見間違いか。いや、違う。あれは。
「懐かしいわねぇ」
母さんの言葉に、俺は首を傾げる。
「タカヒロ、昔も岩の方を見て、不思議そうにしてたわよね」
「ああ、あったなぁ。そんな事も」
「昔も……」
「そうそう。またなんか見えた?」
俺はその問いに、マフラーに埋めてたかおをあげた。
0
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる