あやかし観光専属絵師

紺青くじら

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第4章 神社とご老人

石の上に

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「すごい人が多いわね~」

 母さんの言葉に、俺はマフラーに顔を埋めながら頷く。今日は一月二日。年が明け、家族と初詣に来ている。
 家から一番近い神社で、初詣は毎年ここだ。山の中にある小さい神社で、参拝するのは近所の人が多い。はずだが、今年は例年より人が多い気がする。

「やっぱり三日に来た方が良かったんじゃないか」
「そうね~」

 父さんがぼやく中、俺は前に並ぶ人の列を見る。まだ自分たちの出番は当分来そうにない。石段の長い階段を、ゆっくり上がっている状態だ。

 列に並んでる間、する事もないので周りを見る。お守りを買う場所も人だかりができていて、おみくじはその隣に置かれている。くじの種類も豊富になっていて、お守りがついてくるクジもあれば、置物がついてくる物もある。自分はいつもお金を入れて自分でおみくじを取るだけの、シンプルなものを買っている。今年は、できたら大吉を引きたい。そうしたら、面接も自信をもって臨めそうだ。
 そんな中、ふと一人の人物に目がとまった。紺色の着物を着た、白い髭をたくわえたお爺さんだ。
 その人物は、少し大きな石の置物に座っている。その石は何か書かれていて神聖な物のはずだ。それなのに、誰も注意しない。もっと言うと、見向きもしない。

「ねぇ、あの石のやつさ」
「? 石がどうかした?」

 親も、何も見えていないようだ。という事は。

 お爺さんをじっと見つめる。
 すると、お爺さんがゆっくりこちらに目を向けた。びっくりして、思わず目を逸らしてしまう。
 恐る恐るもう一度見ると、その人の姿はなくなっていた。

「いない……」

 見間違いか。いや、違う。あれは。

「懐かしいわねぇ」

 母さんの言葉に、俺は首を傾げる。

「タカヒロ、昔も岩の方を見て、不思議そうにしてたわよね」
「ああ、あったなぁ。そんな事も」
「昔も……」
「そうそう。またなんか見えた?」

 俺はその問いに、マフラーに埋めてたかおをあげた。
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