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第4章 神社とご老人
気をつけなさい
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「そんな事、あったっけ……」
母さんたちが見えない物を、俺は見えると言っていた。そんな記憶、自分にはない。
「本当に小さい時よ。ほら、よく言うじゃない。小さい子は、大人に見えないものが見えるって」
母さんはなんて事ないように言う。でも俺は、衝撃だった。だが考えてみたらそうだ。俺は小さい時、ツバキさんに出会った。それは、そういう存在が見えていたからだ。
でも、そうなると疑問が残る。それは、年末から気になってた事だ。
「ばあちゃんは……」
「え?」
「おばあちゃんは、そういうのが見える人だったのかな」
その問いに、お母さんは空の方を見る。おばあちゃんが死んだ時、お母さんはわんわん泣いた。父方の祖父母は両方元気で、母方の祖父は俺が生まれて間もなく死んだ。
だから俺にとって、身近な人が死んだのはおばあちゃんがはじめてだった。あの時の空虚感は、今でも言葉に表せられない。
そのままあの地を離れてしまい、ツバキさんに会えずにいた。だから、妖怪だったという事も気づかないままだった。
でも、おばあちゃんは?
おばあちゃんは、ツバキさんの事が見えていた。それに、会話もしていた。
妖怪だって、知ってたんだろうか。
「タカヒロ、なにボーっとしてるんだ、順番来るぞ!」
「えっわわっ」
いのつまにか前に人がいなくなっていた。俺は何を願うかも忘れ、ただ一年穏やかに過ごせる事を願った。
「大吉……!!」
おみくじの結果は、まさかの大吉だった。小吉や末吉が多い自分にとっては、すごい嬉しい。これは幸先良さそうだ。
母さんたちは縁起物つきのおみくじを買うようで、並んでいる。俺はおみくじを買う場所から少し離れ、邪魔にならないよう壁の端に立つ。
「さっき、目が合いましたね」
優しそうなお爺さんの声が聞こえた。見ると、隣にさっきのお爺さんがいた。
「えっ! あ、えっと……」
「貴方の年齢では、珍しいですよ」
たじろぐ俺に対し、お爺さんはのんびりと落ち着いた印象で話す。
「貴方は……あやかしの類ですか?」
「そうですねぇ。広義では一緒です」
なんとも微妙な返事だ。普通の人間のように見えるし、もしかして幽霊だろうか。お爺さんは俺を見て、微笑みながら告げる。
「貴方は、あやかしたちと仲が良いようですね」
「! なんで……」
「貴方のまわりから、違う者の妖気を感じますからね」
そんなものがついてるのか。俺はつい、自分のダウンジャケットを嗅いでみる。お爺さんはその行動に楽しそうに笑った。
「タカヒロー! ごめん、おまたせ~」
母さんたちが駆け寄ってくる。俺がお爺さんの方を見ると、「どうぞ行きなさい」と言い手を振った。俺はそれに礼をする。
「気をつけなさい。あの者たちは、貴方が思うより複雑ですから」
背中にそう声をかけられ、急いで振り返る。しかしそこに、お爺さんの姿はなかった。
母さんたちが見えない物を、俺は見えると言っていた。そんな記憶、自分にはない。
「本当に小さい時よ。ほら、よく言うじゃない。小さい子は、大人に見えないものが見えるって」
母さんはなんて事ないように言う。でも俺は、衝撃だった。だが考えてみたらそうだ。俺は小さい時、ツバキさんに出会った。それは、そういう存在が見えていたからだ。
でも、そうなると疑問が残る。それは、年末から気になってた事だ。
「ばあちゃんは……」
「え?」
「おばあちゃんは、そういうのが見える人だったのかな」
その問いに、お母さんは空の方を見る。おばあちゃんが死んだ時、お母さんはわんわん泣いた。父方の祖父母は両方元気で、母方の祖父は俺が生まれて間もなく死んだ。
だから俺にとって、身近な人が死んだのはおばあちゃんがはじめてだった。あの時の空虚感は、今でも言葉に表せられない。
そのままあの地を離れてしまい、ツバキさんに会えずにいた。だから、妖怪だったという事も気づかないままだった。
でも、おばあちゃんは?
おばあちゃんは、ツバキさんの事が見えていた。それに、会話もしていた。
妖怪だって、知ってたんだろうか。
「タカヒロ、なにボーっとしてるんだ、順番来るぞ!」
「えっわわっ」
いのつまにか前に人がいなくなっていた。俺は何を願うかも忘れ、ただ一年穏やかに過ごせる事を願った。
「大吉……!!」
おみくじの結果は、まさかの大吉だった。小吉や末吉が多い自分にとっては、すごい嬉しい。これは幸先良さそうだ。
母さんたちは縁起物つきのおみくじを買うようで、並んでいる。俺はおみくじを買う場所から少し離れ、邪魔にならないよう壁の端に立つ。
「さっき、目が合いましたね」
優しそうなお爺さんの声が聞こえた。見ると、隣にさっきのお爺さんがいた。
「えっ! あ、えっと……」
「貴方の年齢では、珍しいですよ」
たじろぐ俺に対し、お爺さんはのんびりと落ち着いた印象で話す。
「貴方は……あやかしの類ですか?」
「そうですねぇ。広義では一緒です」
なんとも微妙な返事だ。普通の人間のように見えるし、もしかして幽霊だろうか。お爺さんは俺を見て、微笑みながら告げる。
「貴方は、あやかしたちと仲が良いようですね」
「! なんで……」
「貴方のまわりから、違う者の妖気を感じますからね」
そんなものがついてるのか。俺はつい、自分のダウンジャケットを嗅いでみる。お爺さんはその行動に楽しそうに笑った。
「タカヒロー! ごめん、おまたせ~」
母さんたちが駆け寄ってくる。俺がお爺さんの方を見ると、「どうぞ行きなさい」と言い手を振った。俺はそれに礼をする。
「気をつけなさい。あの者たちは、貴方が思うより複雑ですから」
背中にそう声をかけられ、急いで振り返る。しかしそこに、お爺さんの姿はなかった。
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