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第7章 破滅の足音
黒
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天狗の姿を見て、思い出す。
一番最初に絵を描いた、烏の妖怪である烏杜さん。彼の祖父は、偉大な烏天狗だと言っていた。彼は、元気にしてるだろうか。
目の前の天狗は麺を茹で切ると、黒いスープの中に入れる。
「お嬢ちゃん、できたよ!」
「ありがとう」
出されたドンブリを、目の前に現れた着物姿の少女が受け取る。彼女の首は、長くクネクネしている。ろくろ首だ。はじめて見る光景に、もはや思考が追いつかない。
「あんちゃん、食べるかい」
「へっ」
言われ、顔をあげる。天狗がこちらを見て笑っている。商売人の顔だ。
「うちのあやかし麺は美味いよ。食べたら妖力百倍だ! あんさんは新規さんだから、今ならドングリ一個か、柏の葉一枚で売ろう!」
「えっと」
「タカ! 何道草してる」
ノラさんに腕を掴まれ、ホッと一息つく。彼は天狗の店主に詫びた。
「すまない、店主。俺たちちょっと急いでて」
「そうかい、また今度来てくれよ」
「ああ」
腕を引っ張られながら、店を離れる。ろくろ首の彼女は、この間に食べ終わっていた。
「何やってる。ここは城下の一番はしっこ。寄り道してる暇なんてないんだぞ」
「すみません、つい見いっちゃって」
だって、信じられない。
目の前の光景は、見たことがあるような景色だけど、一度も見た事がない景色だ。遠くから、笛や琴の音が聴こえる。これも、付喪神が弾いてるんだろうか。
「まだこの辺りは何も起こってないようだ。だがそれも時間の問題。お前は観光でなく、ヤイを止めに来たんだろ」
「は、はい! すみません!」
浮足だっていた自分に反省する。そうして彼についていく間、左右に並ぶ店、すれ違う妖怪を横目で見つつ、必要以上には見ないように気をつける。だが空が少し、暗くなった気がした。
「ノラさん、あれ」
「お前なぁ、寄り道はしないって」
「違うんです、空が、黒く」
「今は夜だ。暗いのは当たり前ー……黒?」
ノラは言いかけた言葉を止める。遠い空から、黒い煙のような大きなものが、こちらに近づいてきていた。
一番最初に絵を描いた、烏の妖怪である烏杜さん。彼の祖父は、偉大な烏天狗だと言っていた。彼は、元気にしてるだろうか。
目の前の天狗は麺を茹で切ると、黒いスープの中に入れる。
「お嬢ちゃん、できたよ!」
「ありがとう」
出されたドンブリを、目の前に現れた着物姿の少女が受け取る。彼女の首は、長くクネクネしている。ろくろ首だ。はじめて見る光景に、もはや思考が追いつかない。
「あんちゃん、食べるかい」
「へっ」
言われ、顔をあげる。天狗がこちらを見て笑っている。商売人の顔だ。
「うちのあやかし麺は美味いよ。食べたら妖力百倍だ! あんさんは新規さんだから、今ならドングリ一個か、柏の葉一枚で売ろう!」
「えっと」
「タカ! 何道草してる」
ノラさんに腕を掴まれ、ホッと一息つく。彼は天狗の店主に詫びた。
「すまない、店主。俺たちちょっと急いでて」
「そうかい、また今度来てくれよ」
「ああ」
腕を引っ張られながら、店を離れる。ろくろ首の彼女は、この間に食べ終わっていた。
「何やってる。ここは城下の一番はしっこ。寄り道してる暇なんてないんだぞ」
「すみません、つい見いっちゃって」
だって、信じられない。
目の前の光景は、見たことがあるような景色だけど、一度も見た事がない景色だ。遠くから、笛や琴の音が聴こえる。これも、付喪神が弾いてるんだろうか。
「まだこの辺りは何も起こってないようだ。だがそれも時間の問題。お前は観光でなく、ヤイを止めに来たんだろ」
「は、はい! すみません!」
浮足だっていた自分に反省する。そうして彼についていく間、左右に並ぶ店、すれ違う妖怪を横目で見つつ、必要以上には見ないように気をつける。だが空が少し、暗くなった気がした。
「ノラさん、あれ」
「お前なぁ、寄り道はしないって」
「違うんです、空が、黒く」
「今は夜だ。暗いのは当たり前ー……黒?」
ノラは言いかけた言葉を止める。遠い空から、黒い煙のような大きなものが、こちらに近づいてきていた。
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