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1 邂逅
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5大先明国の西側にある西明海と呼ばれる大きなこの海域ではアフリカ大陸程度の大きさの島があった。そこはオルナ・マルタ王国と呼ばれ、王制の国家だった。
マルタ・オルナ王国は全人口の約3分の1が亜人と呼ばれる獣人やエルフ・ドワーフなどが占めていた。食糧・資源ともに裕福であり、いい国ではあったものの、亜人の排除を唱えている5大先明国の一つグラム・ムハベート帝国により長年圧力を受けており、国外製品・国外技術などが入ってこず、他の国々と比べ産業・技術ともに遅れてしまっていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 邂逅
マグナ暦1941年12月7日
オルタ・マルタ王国空軍第10偵察飛竜隊
その日の空は一面曇りで、視界が悪かった。地面にいる地竜とは違い、空を飛ぶ飛竜に乗り、飛竜隊隊長であるローガン空軍曹長は王国東側の警戒任務に就いていた。王国東側は5大先明国まで海続きで、圧力をかけてきているグラム・ムハベート帝国がいつ戦争を仕掛けてきてもおかしくない為、常に警戒任務を行っていた。しかし反対側の西側はずっと海続きではあるものの、その先は定かではない。数々の探検家が先を探して行ったものの、帰ってきた人は一人もいなかった。そのため、西側を哨戒する意味はあるのかとローガンは思いつつもいつもどうり哨戒を行っていた。
その時だった、西の空、自分の真上を飛ぶ飛行物体を見つけた。
「何だあれは・・・」
ローガンは思わず言った。今までこんな飛行物体を見たことが無かった。そもそも、西には何もないはずなのだ。なのに上の飛行物体は優々と空を飛んでいる。ローガンは急いで風の魔法に乗せて司令部に連絡をする。
「我、未確認飛行物体を発見。これより迎撃し、確認する。なお、敵は飛竜ではない。繰り返す、敵は飛竜ではない。5大先明国の可能性有」
緊張が走る。遠めから確認すると、赤い丸の中にJGATaFと書いてあった。
「何だこのマークと文字は?こんな国は見たことが無い。5大先明国のどれにも当てはまらない・・・ 5大先明国の庇護下にある新興国か?」
ローガンは司令部にこのことを報告した。
とにかく接近しよう。ローガンはそう思い接近しようと試みた。しかし、どんどん引き離されていく。この飛竜の最高速度は250㎞。なのに全く追いつけない。
「何なんだあいつは!?羽ばたいていないのに全く追いつけない!」
ローガンは驚き、その後固まった。なぜなら未確認飛行物体の行先は我々の首都オルタであったから。
「司令部!我、敵未飛行物体を補足するも速度が違いすぎて追いつけず!敵未確認飛行物体は首都オルタに向け高高度を高速で移動!繰り返す!敵未確認飛行物体は首都オルタに向け高高度を高速で移動!」
報告を受けたオルタ・マルタ空軍司令部はパニックに陥っていた。我々の首都に向かい敵が来ているというのだ!しかも、我が飛竜で追いつけないという。軍の将校たちは混乱に陥った。しかし、迎撃しなければ軍の威厳に関わる。オルタ・マルタ空軍司令部は風の魔法で指令を出した。
「敵未確認飛行隊が首都オルタに接近!第10戦闘飛竜隊はただちに出動せよ!繰り返す、第10戦闘飛竜隊はただちに出動せよ!なお、敵未確認飛行物体を見つけ次第撃墜せよ!」
地上の滑走路から20騎の飛竜がこの暗い空に飛び立った。
迎撃に上がった20騎の飛竜は首都オルタの手前10kmのところで未確認飛行物体を発見した。迎撃を行おうとそれぞれが攻撃態勢に入る。そして、攻撃を開始しようとした瞬間敵機が急上昇をし、あり得ない速度で離脱して行った。これは予想外で、追跡することが出来なかった。
「我、未確認飛行物体を発見、迎撃するも直前で回避され敵機は離脱、首都オルタ方向に進行!繰り返す、迎撃するも直前で回避され敵機は離脱、首都オルタ方向に進行!」
報告を受けたオルタ・マルタ空軍王国元帥マルタ・イヴレーアはすぐさま空を見あげた。少しすると、キーンと聞いたことのない甲高い音が聞こえてきたと同時に敵機が見えた。飛竜より大きな機体、羽ばたかずに飛んでいて、赤い丸のなかにJGATaFと書いてある。明らかな領空侵犯だが、何も打つ手立てがない。何度かチカッチカッと光らせた後、西の方に去って行った。
オルタ・マルタ王国臨時会議
オルタ・マルタ王国の代表が集まるこの会議で国王のオルタ・トスカーナは頭を悩ませていた。少し前
にオルタ・マルタの軍の総司令官である軍務元帥から2時間ほど前、正体不明の飛行物体がこの首都上空を旋回し、去ったという報告を受けた。国籍不明で赤い丸に何か文字が書いてあったという。しかし、そんな国はこの世界には存在しない・・・
誰もが頭を抱えていたその時、会議室に情報長官が駆け込んできた。
「オルタ国王!我が国から西に約50kmの海域に250m級の不明艦を発見致しました!」
またも会議室がざわめきだす。
「静まれ!それで、情報長官続きは?」
「は!発見後、我がオルタ・マルタ海軍第10戦闘艦隊が検閲を行ったところ、ニホンという国の船であることが判明いたしました。なおその船はニホンの使節を乗せており、我が国に謝罪と会談を望んでいるということです。」
オルタ・トスカーナはどうするか迷っていた。が、
「国王!どの国かもわからぬのに我が国に招くおつもりですか!?」
と反対の声も上がる。しかし、国王は
「使節が来て会談を望んでいるのだ、無下には出来ん。使節を送ってきて会談を望むあたり、礼儀の無い国ではないだろう。」
とりあえずニホンの使節とやらに会ってみることにしよう。
マルタ・オルナ王国は全人口の約3分の1が亜人と呼ばれる獣人やエルフ・ドワーフなどが占めていた。食糧・資源ともに裕福であり、いい国ではあったものの、亜人の排除を唱えている5大先明国の一つグラム・ムハベート帝国により長年圧力を受けており、国外製品・国外技術などが入ってこず、他の国々と比べ産業・技術ともに遅れてしまっていた。
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1 邂逅
マグナ暦1941年12月7日
オルタ・マルタ王国空軍第10偵察飛竜隊
その日の空は一面曇りで、視界が悪かった。地面にいる地竜とは違い、空を飛ぶ飛竜に乗り、飛竜隊隊長であるローガン空軍曹長は王国東側の警戒任務に就いていた。王国東側は5大先明国まで海続きで、圧力をかけてきているグラム・ムハベート帝国がいつ戦争を仕掛けてきてもおかしくない為、常に警戒任務を行っていた。しかし反対側の西側はずっと海続きではあるものの、その先は定かではない。数々の探検家が先を探して行ったものの、帰ってきた人は一人もいなかった。そのため、西側を哨戒する意味はあるのかとローガンは思いつつもいつもどうり哨戒を行っていた。
その時だった、西の空、自分の真上を飛ぶ飛行物体を見つけた。
「何だあれは・・・」
ローガンは思わず言った。今までこんな飛行物体を見たことが無かった。そもそも、西には何もないはずなのだ。なのに上の飛行物体は優々と空を飛んでいる。ローガンは急いで風の魔法に乗せて司令部に連絡をする。
「我、未確認飛行物体を発見。これより迎撃し、確認する。なお、敵は飛竜ではない。繰り返す、敵は飛竜ではない。5大先明国の可能性有」
緊張が走る。遠めから確認すると、赤い丸の中にJGATaFと書いてあった。
「何だこのマークと文字は?こんな国は見たことが無い。5大先明国のどれにも当てはまらない・・・ 5大先明国の庇護下にある新興国か?」
ローガンは司令部にこのことを報告した。
とにかく接近しよう。ローガンはそう思い接近しようと試みた。しかし、どんどん引き離されていく。この飛竜の最高速度は250㎞。なのに全く追いつけない。
「何なんだあいつは!?羽ばたいていないのに全く追いつけない!」
ローガンは驚き、その後固まった。なぜなら未確認飛行物体の行先は我々の首都オルタであったから。
「司令部!我、敵未飛行物体を補足するも速度が違いすぎて追いつけず!敵未確認飛行物体は首都オルタに向け高高度を高速で移動!繰り返す!敵未確認飛行物体は首都オルタに向け高高度を高速で移動!」
報告を受けたオルタ・マルタ空軍司令部はパニックに陥っていた。我々の首都に向かい敵が来ているというのだ!しかも、我が飛竜で追いつけないという。軍の将校たちは混乱に陥った。しかし、迎撃しなければ軍の威厳に関わる。オルタ・マルタ空軍司令部は風の魔法で指令を出した。
「敵未確認飛行隊が首都オルタに接近!第10戦闘飛竜隊はただちに出動せよ!繰り返す、第10戦闘飛竜隊はただちに出動せよ!なお、敵未確認飛行物体を見つけ次第撃墜せよ!」
地上の滑走路から20騎の飛竜がこの暗い空に飛び立った。
迎撃に上がった20騎の飛竜は首都オルタの手前10kmのところで未確認飛行物体を発見した。迎撃を行おうとそれぞれが攻撃態勢に入る。そして、攻撃を開始しようとした瞬間敵機が急上昇をし、あり得ない速度で離脱して行った。これは予想外で、追跡することが出来なかった。
「我、未確認飛行物体を発見、迎撃するも直前で回避され敵機は離脱、首都オルタ方向に進行!繰り返す、迎撃するも直前で回避され敵機は離脱、首都オルタ方向に進行!」
報告を受けたオルタ・マルタ空軍王国元帥マルタ・イヴレーアはすぐさま空を見あげた。少しすると、キーンと聞いたことのない甲高い音が聞こえてきたと同時に敵機が見えた。飛竜より大きな機体、羽ばたかずに飛んでいて、赤い丸のなかにJGATaFと書いてある。明らかな領空侵犯だが、何も打つ手立てがない。何度かチカッチカッと光らせた後、西の方に去って行った。
オルタ・マルタ王国臨時会議
オルタ・マルタ王国の代表が集まるこの会議で国王のオルタ・トスカーナは頭を悩ませていた。少し前
にオルタ・マルタの軍の総司令官である軍務元帥から2時間ほど前、正体不明の飛行物体がこの首都上空を旋回し、去ったという報告を受けた。国籍不明で赤い丸に何か文字が書いてあったという。しかし、そんな国はこの世界には存在しない・・・
誰もが頭を抱えていたその時、会議室に情報長官が駆け込んできた。
「オルタ国王!我が国から西に約50kmの海域に250m級の不明艦を発見致しました!」
またも会議室がざわめきだす。
「静まれ!それで、情報長官続きは?」
「は!発見後、我がオルタ・マルタ海軍第10戦闘艦隊が検閲を行ったところ、ニホンという国の船であることが判明いたしました。なおその船はニホンの使節を乗せており、我が国に謝罪と会談を望んでいるということです。」
オルタ・トスカーナはどうするか迷っていた。が、
「国王!どの国かもわからぬのに我が国に招くおつもりですか!?」
と反対の声も上がる。しかし、国王は
「使節が来て会談を望んでいるのだ、無下には出来ん。使節を送ってきて会談を望むあたり、礼儀の無い国ではないだろう。」
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