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鷹宮家―その、真相
~湖畔の妖精~
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「......どういう事だ?」
「そのまんま。本部がアンタに用があるって」
ギャラリーの視線を受けつつも、淡々と告げる結衣さん。その言葉に俺は困惑するしかない。
「えーっと。簡単に言っちゃえば、診断よ。詳しい話はまた後でね」
「診断......って、おい。結衣さん!どこに―」
......行っちゃった。
え、何?診断って。
「......知らない」
助けを求めようと、これまた傍らにいた雫を見るも、ふりふり。知らないとの事。
「本部が指名したんだから......何か重要な事だと思う」
「重要、か」
本部、異能者組織―診断?
ダメだ。まったく意図が読めない。
「その時になったら、だな」
「―狙撃の腕は学園トップ......ねぇ。無能のくせにやるじゃないの」
「1つでも取り柄がないと困りますしねぇ。色々」
狙撃大会とやらをしていたら、いつの間にかお昼になっていたので。雫とお嬢様を連れて、学園内の食堂に来ている。
ここは和洋中全てが揃っているという事で、外部からも沢山の人がやってくるのだ。
お嬢様は黒毛和牛のステーキを、俺はハンバーグを、雫はうどんを。それぞれで好きなものを食べている。
「......そう言えば、近々修学旅行.Ⅰ
トリップ.ワン
があるらしい。パーティーは?」
雫はいつもの無表情でうどんを啜りながら、呟くように言った。
「あぁ、ありましたね。そんなのも」
「あったわねー」
修学旅行.Ⅰとは。
文字通り、修学旅行である。
但し、半年後のパーティー結成のための、ね。
こういう情報は全て、結衣さんから聞いたのだが。
「私と志津二は確定として......後は優秀なヤツね」
「雫は入れますか?優秀ですよ」
「じゃあ、入れるか。身体強化だっけ?」
学年ごとにそれぞれでパーティーを作り、異常・事件があればそのパーティーで行動する。
そのために何回か修学旅行を結成し、候補メンバーとの善し悪しを考察するのだ。
パーティーは8人まで入れ、ほぼ小隊と変わらない。異能によってはチート軍団と化すワケで。
「バランスも考えないとですよ。近距離・中距離特化と後方支援で」
バランスも問題だ。
近距離特化パーティーにしても敵が遠距離異能を使ってきたらどうする?逆もまた然り。
「私は近・遠距離は対応出来ます。雫は主に遠距離で後方支援、お嬢様は中距離くらいまで対応出来ますよね?」
近距離は拳銃+これから覚えようとしている体術。
遠距離は狙撃銃で。
「そうねぇ。私と志津二で前線を上げつつ、敵を逃したら雫が狙撃......完璧ね」
「......世の中に完璧は存在しない」
マジレスするな。
ごちそうさまでした。あー、美味しかった。
ちょうど食べ終わった雫の分も返却棚に返して......っと。そろそろ人もまばらになってきたね。
「あれ?またまた会いましたねー」
「神な......鈴莉さん。どうしましたか?」
「ご飯食べたついでに、見かけたから会いに来たの」
やっほー、と手を振る鈴莉さん。
それに対して小さく手を振る俺。
さらにそれを冷たい目で見るお嬢様たち。
「そうですか。私たちはもう帰りますが......宜しいでしょうか?どうせやる事ないので」
「あ、じゃあ私も一緒にかーえろ。どうせやる事ないしねぇ」
......あれ?
右から冷気と殺気を感じる。気の所為かなぁ?
「ま、まぁ別に構いませんよ。お嬢様にも確に―」
「気安く了承するなーッ!」
―ババッ!
「うわっ!?」
お嬢様の金切り声と共に、焔の弾幕が飛来してくる。大弾が俺と鈴莉に1発ずつ。避けられない、と当たる事を覚悟したその時―
―ジュッ!
「え......?」
「......?」
―お嬢様の呟き声と共に恐る恐る目を開いていくと、幅1mほどの......水、の壁だ。これが俺と鈴莉の前に展開されている。先ほどの音は弾幕が霧散した音らしい。
「湖畔の妖精。これが私の異能だよ」
鈴莉がお嬢様に向けてそう言い放つと、水の壁は何処と無く消えた。不思議な事に水滴1つ残っていない。
「こ......」
対するお嬢様はと言うと。
拳を握りしめ、顔を俯けて小刻みに震えている。それがどんな理由なのかは分からないが......
「お、お嬢様?」
「彩乃ちゃん......?」
これには流石の俺たちも心配せざるを得ない。
大暴れされてドッカーン!されても困るからなぁ。
「これだっ!!」
「え、私っ!?」
突然に、お嬢様は大声で叫びながら目の前の鈴莉を指さす。その光景に食堂にいる全員がこちらを向いた。......いや、何で異能発動した時点で注目しないの?感覚麻痺ってるの?
「志津二、パーティーにコイツを編入よ!特攻兼防御役の優秀キャラ見つけたぁー!」
「......えぇ?」
なるほどなるほど。そういう事ねー。
それにしても。
「お嬢様の焔弾で水の壁が蒸発しないとは―かなりの力量者ですね?鈴莉さん」
「あなたがそれを言えるかな?学園トップの狙撃手さん」
お互いに嫌味ったらしく言いつつも―その顔は、笑っている。いやー、いいお友達が出来そうだ。......さて。編入決定、っと。
「じゃあ、帰りましょうか。私とお嬢様に雫。そして、鈴莉さんも一緒にね」
「いぇーい!」
「ちょうど良いわね。だったらさ、みんなでお茶会でもする?こないだ茶葉仕入れたし」
飛び跳ねる鈴莉さんに、お茶会に誘うお嬢様。そしてそれを無表情で見つめている雫。
そんなメンバーで館へと帰る事になったのだが―まさか、帰り道であんな事が起こるとはねぇ......
「―お前が、鷹宮志津二か?」
「......えぇ。そうですが」
雫とほぼ変わらない無機質な声で話しかけてきた若い男。身長は......小柄だな。155ってとこか。そして、声に似て表情も無表情と来た。
俺たちがワイワイと話している最中、何処からかコイツは現れた。そして、第一声。
『お前が鷹宮志津二か?』
と言った。
どうやら俺が目的らしいが......
「何の用で―」
―すか?
と続けようとした俺の口が塞がる。目の前にいる男が取り出した、ナイフで。
―カチャッ。
そんな音を立てて、ナイフの刃が出される。
そして刃先を俺に向けて。
「消えろ」
と呟いた。
~Prease to the next time!
「そのまんま。本部がアンタに用があるって」
ギャラリーの視線を受けつつも、淡々と告げる結衣さん。その言葉に俺は困惑するしかない。
「えーっと。簡単に言っちゃえば、診断よ。詳しい話はまた後でね」
「診断......って、おい。結衣さん!どこに―」
......行っちゃった。
え、何?診断って。
「......知らない」
助けを求めようと、これまた傍らにいた雫を見るも、ふりふり。知らないとの事。
「本部が指名したんだから......何か重要な事だと思う」
「重要、か」
本部、異能者組織―診断?
ダメだ。まったく意図が読めない。
「その時になったら、だな」
「―狙撃の腕は学園トップ......ねぇ。無能のくせにやるじゃないの」
「1つでも取り柄がないと困りますしねぇ。色々」
狙撃大会とやらをしていたら、いつの間にかお昼になっていたので。雫とお嬢様を連れて、学園内の食堂に来ている。
ここは和洋中全てが揃っているという事で、外部からも沢山の人がやってくるのだ。
お嬢様は黒毛和牛のステーキを、俺はハンバーグを、雫はうどんを。それぞれで好きなものを食べている。
「......そう言えば、近々修学旅行.Ⅰ
トリップ.ワン
があるらしい。パーティーは?」
雫はいつもの無表情でうどんを啜りながら、呟くように言った。
「あぁ、ありましたね。そんなのも」
「あったわねー」
修学旅行.Ⅰとは。
文字通り、修学旅行である。
但し、半年後のパーティー結成のための、ね。
こういう情報は全て、結衣さんから聞いたのだが。
「私と志津二は確定として......後は優秀なヤツね」
「雫は入れますか?優秀ですよ」
「じゃあ、入れるか。身体強化だっけ?」
学年ごとにそれぞれでパーティーを作り、異常・事件があればそのパーティーで行動する。
そのために何回か修学旅行を結成し、候補メンバーとの善し悪しを考察するのだ。
パーティーは8人まで入れ、ほぼ小隊と変わらない。異能によってはチート軍団と化すワケで。
「バランスも考えないとですよ。近距離・中距離特化と後方支援で」
バランスも問題だ。
近距離特化パーティーにしても敵が遠距離異能を使ってきたらどうする?逆もまた然り。
「私は近・遠距離は対応出来ます。雫は主に遠距離で後方支援、お嬢様は中距離くらいまで対応出来ますよね?」
近距離は拳銃+これから覚えようとしている体術。
遠距離は狙撃銃で。
「そうねぇ。私と志津二で前線を上げつつ、敵を逃したら雫が狙撃......完璧ね」
「......世の中に完璧は存在しない」
マジレスするな。
ごちそうさまでした。あー、美味しかった。
ちょうど食べ終わった雫の分も返却棚に返して......っと。そろそろ人もまばらになってきたね。
「あれ?またまた会いましたねー」
「神な......鈴莉さん。どうしましたか?」
「ご飯食べたついでに、見かけたから会いに来たの」
やっほー、と手を振る鈴莉さん。
それに対して小さく手を振る俺。
さらにそれを冷たい目で見るお嬢様たち。
「そうですか。私たちはもう帰りますが......宜しいでしょうか?どうせやる事ないので」
「あ、じゃあ私も一緒にかーえろ。どうせやる事ないしねぇ」
......あれ?
右から冷気と殺気を感じる。気の所為かなぁ?
「ま、まぁ別に構いませんよ。お嬢様にも確に―」
「気安く了承するなーッ!」
―ババッ!
「うわっ!?」
お嬢様の金切り声と共に、焔の弾幕が飛来してくる。大弾が俺と鈴莉に1発ずつ。避けられない、と当たる事を覚悟したその時―
―ジュッ!
「え......?」
「......?」
―お嬢様の呟き声と共に恐る恐る目を開いていくと、幅1mほどの......水、の壁だ。これが俺と鈴莉の前に展開されている。先ほどの音は弾幕が霧散した音らしい。
「湖畔の妖精。これが私の異能だよ」
鈴莉がお嬢様に向けてそう言い放つと、水の壁は何処と無く消えた。不思議な事に水滴1つ残っていない。
「こ......」
対するお嬢様はと言うと。
拳を握りしめ、顔を俯けて小刻みに震えている。それがどんな理由なのかは分からないが......
「お、お嬢様?」
「彩乃ちゃん......?」
これには流石の俺たちも心配せざるを得ない。
大暴れされてドッカーン!されても困るからなぁ。
「これだっ!!」
「え、私っ!?」
突然に、お嬢様は大声で叫びながら目の前の鈴莉を指さす。その光景に食堂にいる全員がこちらを向いた。......いや、何で異能発動した時点で注目しないの?感覚麻痺ってるの?
「志津二、パーティーにコイツを編入よ!特攻兼防御役の優秀キャラ見つけたぁー!」
「......えぇ?」
なるほどなるほど。そういう事ねー。
それにしても。
「お嬢様の焔弾で水の壁が蒸発しないとは―かなりの力量者ですね?鈴莉さん」
「あなたがそれを言えるかな?学園トップの狙撃手さん」
お互いに嫌味ったらしく言いつつも―その顔は、笑っている。いやー、いいお友達が出来そうだ。......さて。編入決定、っと。
「じゃあ、帰りましょうか。私とお嬢様に雫。そして、鈴莉さんも一緒にね」
「いぇーい!」
「ちょうど良いわね。だったらさ、みんなでお茶会でもする?こないだ茶葉仕入れたし」
飛び跳ねる鈴莉さんに、お茶会に誘うお嬢様。そしてそれを無表情で見つめている雫。
そんなメンバーで館へと帰る事になったのだが―まさか、帰り道であんな事が起こるとはねぇ......
「―お前が、鷹宮志津二か?」
「......えぇ。そうですが」
雫とほぼ変わらない無機質な声で話しかけてきた若い男。身長は......小柄だな。155ってとこか。そして、声に似て表情も無表情と来た。
俺たちがワイワイと話している最中、何処からかコイツは現れた。そして、第一声。
『お前が鷹宮志津二か?』
と言った。
どうやら俺が目的らしいが......
「何の用で―」
―すか?
と続けようとした俺の口が塞がる。目の前にいる男が取り出した、ナイフで。
―カチャッ。
そんな音を立てて、ナイフの刃が出される。
そして刃先を俺に向けて。
「消えろ」
と呟いた。
~Prease to the next time!
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