財閥のご令嬢の専属執事なんだが、その家系が異能者軍団な件について

水無月彩椰

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学園都市と高等学校

~コラボ回後編―異世界からの訪問者~

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―瞬きをした、次の瞬間。
まさに、一瞬。

着いた先は先程までの道路ではなく、鬱蒼と木が生い茂る林の中。太陽の光が隙間から地面を照らしている。

......しかし。
1つ、おかしな点がある。

なぜなら、前方に。
その場にいるには不自然なまでの、多くの男たちがいたからだ。
その数―およそ20人。
全員ガタイが良く、ひと目で見ても只者じゃない雰囲気を醸し出している。

「な、何でアイツらがこんな所に......!?」

それを見たジグロが、目を見開いて呟く。

「ジグロさん、知っているのですか?」

「あぁ。ヤツらが―精霊狩り。そして......間違いない。あれが、探していた精霊だ」

......コイツらが、か。そして、お嬢様の勘はサラッと当たっていたと言うね。 

見れば、ヤツらは盗賊のような汚らしい身なりをしており、荒々しいとでも言おうか。そんな感じがする。お嬢様ではないが、直感的に。

「オメェら―何だ?俺たちに用があるってんなら、断らせてもらう。急いでるんでな」

不意に、精霊狩りのリーダー......的な存在のヤツが、地に響くような低い声を出してこちらに話しかけてきた。そして、ソイツの片手には精霊が握られている。

「ふむ。......見たところ、あなたが精霊狩りのリーダーですね?私はあなた達では無く、その精霊に用があるんですが 」

俺は臆する事無く、1歩。また1歩とリーダー格の男の方へと進んでいく。

途中で下っ端らしき男たちに棍棒や刀を向けられたが、攻撃する勇気が無いのか。ただ突っ立っているだけである。

「その精霊を―どうするつもりで?」

「決まってんだろ。捕まえて、売りさばく......それだけだ」

「まぁ、何とも。慈悲がないと言うか、外道と言うか―愚かな人たちです。可哀想に」

その言葉に、精霊狩りたちは俺を睨みつける。
おぉ、怖い怖い。

「お前......もう一度言ってみろ!次は首が飛ぶぞ」

リーダー格の男は、精霊を他の仲間に渡した後、怒りに我を任せるように怒鳴る。そして長さ1.5mはある剣を鞘から抜いて、俺の喉元に突きつけた。

「聞こえませんでしたか?......愚かな、と言ったんです、よッ!」

俺は話の途中でホルスターからクイックドローしたガバメントを取り出した。そして、男の眉間を狙い撃つ。

―パンッ!

林に、乾いた音が響く。
銃口から射出された非殺傷弾ゴムスタンは、 真っ直ぐ、直線に進んでいく。いくらゴム弾と言えど、大きさは.45ACP弾と変わらない。かなりの威力を持つハズだ。

そして、その予想は的中した。
ゴム弾が眉間に当たったことにより、男は脳震盪を起こして転倒。その光景に、残りの下っ端がざわめく。

「良いですか。集団戦の場合―まずは敵の大将を狙うんです。そうすれば残った者たちは動揺し、いつも通りの力を発揮出来なくなる。さぁ、大人しく精霊を渡しなさい」

「......ッ。野郎ども、相手はたかが子供だ!かかれぇッ!!」

精霊を渡された男が、残りの精霊狩りたちに指示をした。その命令により、7割がこちらに向かって来て―残りの3割は精霊を守るように立ちはだかっている。

「舐められたモノね......行くわよ!!」

お嬢様は既に魔法陣を展開し、戦闘する気満々のようだ。だが、ジグロは......どうするつもりだ?

「樹符・樹海」

お嬢様がスペルを唱えると、地面各地に魔法陣が浮かび上がる。直後、

―ズオォォォォォォッ!!!

大量の樹が生えてきた。まさに樹海。
だが、

「お嬢様......林に樹を生やしてどうするんですか!草に草生やすのと変わりませんよ!」

アイツらの足止めは出来てるみたいですが。

「ごめん......選択ミスった。じゃあ無くせば良いんでしょ?」

そう言ってお嬢様が唱えたスペルは、『焔符・焔円陣』。先ほどと同じ技だ。

魔法陣が広範囲に広がり、紅く光る。
そして、ブワッ!
竜巻が発生し、熱風が広がる。それと同時に、樹も消え去った。

―うあッッ......!!!

「おい、お嬢様。樹が消えたのはいいが、このままじゃあ山火事が起こるぞ」

「えっ!?」

ジグロが呆れた顔で、辺りの木々を指さす。
精霊狩りの呻き声なんてどこ吹く風だ。

水銃ウォーターガン!」

お嬢様は最早スペルを無視し、技名を叫ぶだけになった。スペルを唱えないと威力は激減しますが。
......何とか鎮火し終えた。

そして精霊狩りたちはお嬢様の異能を恐れて、迂闊に前に出れない様子。精霊を守るように囲んでいるだけだ。

「ジグロ、精霊私たちを呼んデ!みんな呼ばれるのを待ってるワ!」

不意にウンディーネが精霊狩りを睨みつつ、ジグロに叫ぶ。ジグロはその言葉に「さも当然だ」と言う顔をして、こう叫んだ。

「みんな来い!」

と。
その言葉により、3体の精霊が現れた。

「「「お待ちしておりました、愛し子よ」」」

「力を貸してくれないか?」

「いえ、我らにお任せを。こいつらのせいで仲間は......!」

「どんな目にあわせてやろうかしラネン 」

呼び出された精霊たちはやる気満々だ。
......まぁ、仲間がやられたんだからそれも当然。

「「「愛し子は精霊の救出を!!」」」

どうやらジグロは精霊救出係になったらしい。


さて。先ほどの精霊ではないが、

―どういたぶってあげますかね。


「志津二。特攻するわよ」

「お嬢様もそう言ってるし、行くぞ」

せっかく精霊狩りの調理方法を考えていた所なのに。......まぁ、いいか。どうせ俺の武器はガバメントだけだからな。

「えぇ、やりますか。『精霊狩り』狩りに」

先頭は俺。
左右にはお嬢様とジグロ+精霊たちがいる。
そして、目の前にいる精霊狩りたちは13人。 
圧倒的人数不利。

俺は腕を垂直に上げ、銃の引き金を引く。 
パンッ!という乾いた音が、闘いの合図だ。

「殺れぇッ!!!」

男の1人が叫び、こちらに向かってくる。それについてくるようにして、残りの連中もやって来た。

こういう時はただ闇雲に闘えばいいわけじゃない。
しっかりと今の状況、優劣を判断し、常に最善手を打つ。

相手の陣形は3人1組スリーマンセル
3人で1つの隊を作って、1人1人に襲いかかろうって魂胆か。悪党でも考えるくらいの頭はあるんだな。

「死ねッ!」

3人の内の1人が、棍棒を大きく振りかぶってくる。この軌道は―袈裟斬り。
そして、他の2人は俺の側面に回っていた。 

......1人で3人を相手にすると言うのは、難しい事だろう。力量差があり過ぎる。だが、頭脳戦なら?
頭脳戦と言わずとも、少し頭を使って動きを誘導すれば―異能者でない俺でも、多少は闘えるハズだ。

棍棒が顔面に当たる直前、俺はガバメントを右にいた敵めがけて発砲する。発砲音に多少驚いたものの、弾は避けられた。

―だが、本命はそこじゃない。

どちらにせよ、敵は避ける事になる。俺の後ろ側にな。
そうすれば俺は空いたスペースへと棍棒から逃げこめば、棍棒は後ろ側に避けた敵の顔に当たる。

木々が生い茂っていて、狭いフィールドだからこそ出来る事だ。広い場所ではこうはいかない。

「クッ......!」

「わ、悪い!わざとじゃないんだ!」

明らかに、動揺している。
戦場(という程でもないが)では、僅かな油断と動揺が命取りなのですよ。

俺はその僅かな隙を逃さず、顔に棍棒が当たった方の的に掌底を叩き込む。はい、1人脳震盪でダウン。
......さて、残りは2人。棍棒を持っているヤツと、刀を持っているヤツだ。

うわ、刀って。闘いたくないんですが。怖いですもん。

何て事も言ってられず、 すぐ様2人で畳み掛けてきた。相手は刀と、棍棒。こちらは銃。

手を撃って武器を落とせればいいのだろうが、今の俺にそんなAIM力はない。

チラッとジグロの方を見ると―自身の精霊を精霊狩りと戦わせ、本人は精霊を救出しようと歩を進めている。
......心配は無さそうだ。

俺はまた、目の前の敵に意識を集中させる。振りかぶってきた軌道は、先ほどと同じ袈裟斬り。
既にヤツらの間合いだ。

「ッ......!」

俺は既のところでバックステップをし、何とか刃から逃れた。戦闘訓練を全く受けていない俺からすれば、こんなもの恐怖以外の何物でもない。

ヤツらが、俺が避けた事により体制を前屈みに大きく崩す。よし、動きが止まった。今なら―

パパンッ!

―撃てる。
発砲音と共に、弾丸は2人の手へと飛来していく。そして、着弾。ヤツらは痛みで手を離し、武器を落とした。

そして。
その2人は投降しました、という意味で両手を上げた。そして、こう聞いてきたのだ。

「お前、何者だ......ただの人間じゃなかろう?」

と。

「普通の16歳ですよ。ただ―ちょっと変わった一族の執事をしていますがね」

精霊狩りの問いかけに、俺は微笑で返してやった。

お嬢様を見れば、全員異能で殲滅したらしい。
何か焦げ臭いもん。ヤツらの服も焦げたり濡れたり。

「ジグロ。そっちは終わったかしら?」

「お嬢様じゃねえか。そっちはもう終わったようだな」

お嬢様がジグロにそう言う。
それに対し、ジグロも答えた。
ジグロの傍らには精霊がいて、精霊を持っていた男は気絶している。......何をされた?





―精霊狩りも無事に殲滅し。
精霊もジグロの元へ 戻ってきた......という事で、無事に事は収まった。

「手伝ってくれてありがとな」

「いえ。困っている人を助けるのは当然の行為ですので」

「うん。志津二の言う通りね」

傍らにいる精霊をチラッと見つつ、ジグロがお礼を言ってきた。それに対し、俺たちも答える。

「本当に感謝している。お前らとまだこうしていたいが、そろそろ戻らなきゃいけないんだ。じゃなきゃ、元の世界へ戻れなくなっちまう」

「......そうなの」

お嬢様が寂しそうに落ち込む。
そして、ウンディーネがジグロに言った。

「ジグロ、そろそろ良いかしら?」

「あぁ。お嬢様、志津二―またな」

ジグロの体が夕日に照らされる。
その顔は......まぁ、そうだよな。それが普通だ。

「えぇ。また」

「またね」

ジグロがウンディーネの手をとったと思ったら―一瞬で、瞬く間にいなくなった。

「......行ってしまいましたねぇ」

「そうね」

少ない時間でしか関わっていない人相手でも、やはり寂しいとは思うんだな。今回でよく分かった。

「......ほら、志津二。何ボーッとしてんのよ。帰るわよ!」

「ちょ、ちょっと!」

お嬢様が俺の手を引き、走る。


―異世界からの訪問者、ジグロ。
異能のみならず、異世界や精霊まで存在するとは......世界は広い。
そんな事を思った、1日でした。


~This story is end.
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