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最終章

あとがき

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この文章を読んでいる読者のあなたへ。『バーン・ホワイトウェイブ』を最終話まで追っていただき、ありがとうございます。作者の水無月彩椰です。 

本作のテーマは、実在するネットワーク技術、“ブロックチェーン”や“スマートコントラクト”を活かした、ややSFチックなストーリーを描くことでした。 

 スマートコントラクトについては、本作の冒頭で白波ちゃんが言ってましたね! 

『改変や改竄が不可能な、ネットワーク上の絶対契約』のことです。

その基盤となる技術がブロックチェーンなのですが、説明が難しいので本編では触れてない。でも実在する。凄いよね。ブロックチェーン、響きがかっこいい。 

 そんなよく分からない凄い技術、あと何年かしたら、知らないうちに私たちの生活インフラとして使われるかもしれないんですって。これは先進的。未来の可能性を物語の題材として描けるの、時代を先取りしてる感があっていいよね~! 実現するかどうかは分からないけど。(SF作家さんに怒られそう) 

そうした技術を題材にしたうえで、本作を書く際に意識したことがあります。それは『この先きっと起こり得る可能性』というリアリティを、作品のなかに取り入れること。いま私たちが生きているパンデミック後の世界をベースにして、科学技術は急発展。

先進国も新興国も栄えていきますが、弊害として引き起こされたものもあります。それが国家間のパワーバランスの乱れ、世界規模の環境問題。そんな背景のもとに、娯楽も進化していきます。 

 それが、バーチャル・ヒューマノイド。もともとは3Dアバターなどのネットコンテンツでした。また、現実でのAI✕youtuber、AItuberの登場。ネットコンテンツがより身近になり、いまやVtuberのガチ恋勢も存在しています。

こうした事実から、コンテンツとの恋愛模様を描くのも、なかなか時代性があり面白いかなと考えました。そのなかでテーマであるブロックチェーン要素を活かすため、”スマートコントラクト”の絶対的な特性を利用して、白波ちゃんとの出会いの結末に制約を設けたわけです。 

 いわば既定路線ですが、そこで夏月くんと白波ちゃんがお互いに向ける感情、それをどのように育まれていくのか……。バーチャル・ヒューマノイドというコンテンツとの恋愛。そうした価値観が一般化していないなかで、自分たちの理想を追い求める……。

いろいろな感情も、葛藤も、後悔も、あると思います。それを『近い将来に実現するかもしれない可能性』として、一種の期待とともに書き上げました。平たく言えば、多様性? こんな世界が来るかもですね。 

 あなたが、あなたに構ってくれるコンテンツに恋をしてしまった。でも、所詮はコンテンツ。一緒にいられる時間には限りがある。そうなった場合、あなたは自分の欲望を果たしますか? それとも諦めますか? 恐らく正解はなくて、繋がった縁による結果を受け入れられるのなら、個人の自由なんですよね。 

 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、この作品、書籍化が決まりました。既に発売されております。

たくさんの方々と縁ができました。創作仲間やファンの人たちはもちろん、制作に携わってくれた担当編集さん、校正さん、書籍のデザイナーさん、表紙のデザイナーさん。そして、本作を読んでくれたあなた。皆さんには本当に頭が上がりません。ありがとうございます! 

 いつしか、可愛い女の子のアバターとイチャイチャできる日が来ることを願って。科学技術の発展を心待ちにしながら、結びの言葉とします。 
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