家から追い出されました!?

ハル

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人助けしたら、変な外人に気に入られました!あれ?

 家を追い出されて両手に荷物(大量の本が入った袋)を抱えて字のごとく、私、郁美は路頭に迷っていた。
実子が見つかった途端、華麗な手のひら返しを両親に披露され、行く当てもなく彷徨っていた。

 ホテルは泊まれないこともないけど、現金で諭吉が入っていたから。。。
 でも、今後のことを考えたら少しでも節約したいのだ。どこか住み込みでこれからでも働ける場所がないかと、
夜の街に繰り出す心構えをして駅方面に歩いた。

 時刻はすでに20時を回っていて、いくら真夏で日の出ている時間が長くなったとはいえ、この時間にはすでにお月様が主人公の空だった。

 しかし、驚いたのはこの時間になってもビル街、飲み屋が立ち並んでいる通りなんかが近いからか、私のバイト先も目と鼻の先にあるが、会社帰りだろうかという人もいれば、今の私のように制服姿の人もいて、その人の数にも驚いた。
 眠らない街のようだった。

 多くの人とすれ違いながらも、まずはお風呂が入れるような、いや、この場合はそんな贅沢言わないからシャワーだけでも浴びられるような場所をキャッチしようと目を動かしていた。

 すでにあの16年育った家を出て2時間は経過しており、その間歩きっぱなしだったのでさすがに腕がしびれてきていた。どこか休める場所をとキョロキョロしながら、裏道に入ってしまったようでビルの間の狭い通りだったからか、一気に人気が無くなり静まり返っていた。その空間が少しだけ怖く感じたが、それも最初だけで、地面に腰を下ろして思い荷物を手放すことができてやっと一息ついた。

 安心したからか、お腹の虫が声を上げた。
「あ、そういえばジュースとお菓子あったんだ。」

 誰も聞いていないので、羞恥心などなく鞄に入れていたジュースとお菓子を取り出して、お腹に入れた。
 小袋になっているパウンドケーキとバウムクーヘンで、少し良いお店のものだったからかスーパーで買って食べる油っこいものとは違い、抹茶だったからか甘すぎずペロリと食べられた。

 お腹を満たした後は、汗でべたつく体が気になりつつも何もすることがなくぼうっと空を見上げていた。

「Wait!!***!!」

 近くから英語だろう響きの外国語が飛んできた。
 ゆっくり休めていた体が即座に反応してしまった。

 運よく自分の前を走り去ろうとする帽子をかぶり両手で鞄を抱える人の足を引っかけると、その人はそのままきれいに引かれたカエルのような姿で地面に転がった。
 アニメのようなその光景に思わず噴き出した。

「テメエ、何しやがるんだ!!」

 その人、男性だったようで、しかも結構柄悪いタイプだった。

 後のことなど考えずに行動してしまったから、相手が逆上して襲い掛かってきた場合の対処法など持っているはずがなかった。ここで、漫画なら私は護身術なるもので倒すのだろうが、あいにく、小学校から今までそんなものに出会ったことなどないので、振りかぶった相手の大きな拳は受け入れるしかなく衝撃に備えて目を瞑った。

 しかし、どういうわけか、その痛みは飛んでこなかった。

 数秒しても痛みはないので、ゆっくりと目をあけて前を見ると、すでにあの柄悪い男性は気絶して横に倒れていた。その男の両手を縄で縛っているのはスーツの男性だった。まだ、20代ぐらいだろうか。
 漫画ではヒーローポジション間違いなしの容姿だった。後ろ姿のみなので、本当にそうかは分からないけど、私には分かる。彼の背後から出るオーラはただ者ではないと。いや、普通の人かもしれないけど、その普通の基準は私の中での基準とは大きくかけ離れているだろう。

「Lady,are you ok?」

 そして、私は今まで気付かなかったが、私の隣には目線を合わせるように片膝を付いた、金髪碧眼のザ・外国人の容姿をした美男子イケメンが声をかけてきた。
 今度は聞き取れるほどの英語だったので、何度も頷いておいた。だが、私の成績はちょっと背伸びをして中の下だ。ここで流暢に会話できる英語力など備わっていない。

「オーケー。」

 日本人独特のカタカナ英語で返答した。までは良かったけれど、ちょっと、気分的にもおかしかったのか、調子に乗って指を立ててしまったのだ。よく海外映画で見るシーンのように。
 ただ、ここで、ミスったのが立てる指だった。調子に乗り過ぎた私が立てた指は親指ではなく、中指だった。
 それに気づかず満面の笑みで立てたこの時の私は未来の私がいたら殴っていただろう。
 そして、それを見たおそらくそこにいた外国人数人は嫌悪感を抱いただろう。
 
 ただ、私の目には目の前の金髪碧眼、美男子外国人しか映っていなかったし、その人は笑みを浮かべたまま、立ち上がって私に手を差し出してきた。

「Can you stand?」

 彼は私があの男性とぶつかって倒れていると思ったのだろうけど、その優しさは疲れている私には余計なお世話だった。

「結構です。私はただ、ここで休んでいただけですから。あの男性にぶつかったわけではありません。」

 もう英語を話すのは面倒・・・いや、正直付いていけなくなり、バリバリ日本語で答えた。
 そうすれば、言葉が通じないと思ってすぐに立ち去るだろうと考えたからでもあった。
 いや、そうであってくれと思っていた。

 しかし、事態は思わぬ方向に動いた。

「そうですか。それは失礼。」

 立ち上がった彼はわざわざ私の隣に座って、次は日本語で話してきた。

 クソ!顔の良い男は頭もいいのか!!神様は不公平だ!!

 すでに女子らしい言葉など皆無で悪態を吐いていた。

「なぜ座るんですか?大丈夫なんですか?」

「まだ、君と話したいからだよ。時間のこと?大丈夫だよ。」

「いや」

 そうじゃない、断じてあなたの時間なんて私にはどうでもいい。
 私が気にしているのはその身に着けている高級そうなビジネススーツの方だ。
 ここは地面で、都会でありゴミ拾いなどほとんどされていないからか、たばこやビールの空き缶が散乱していた。
そんな場所がきれいであるはずはなく、私の制服はまあ、今後着ることはほぼないだろうからいいけど、この男は違うだろう。

 思わず彼のスーツとその整った巨匠の彫刻のような男性の顔を往復してしまった。

 クスクス

 それを見ていた男性の漏れでる声を無理やり抑えたような笑いが起こった。

「このスーツはクリーニングに出すから問題ないよ。君はどうしてここにいるの?学生じゃないの?
もしかして、そういうフリ?客待ち?家出中?」

 次から次へと人のことを深掘りしようと質問の嵐だった。
 そんな風に赤の他人に訊かれるのは、はっきり言って不快だった。

「ほっといてください!あなたには関係ないでしょ!」

 だから、いつもなら決してでない荒んだ声が出た。それに驚いた顔をして瞬きをした彼を見て私自身も驚いた。
 あの家から出て私は一皮むけたのかもしれない。

「いいから放っておいてください。私は別にあなたが気にするような人じゃありません。」

 生きてる世界が違うと遠回しに言った。
 いくらなんでも、ここまで言えばあきらめるだろうと思ったのだが、全く違う反応が返って来た。

 彼はいきなり私の両肩に手を置いて自分の方を向かせたのだ。

 キラキラと自分の宝物ができた少年のような笑顔を浮かべていた。

「君、気に入った。うちにおいで。いや、連れて帰る!!これ決定!」

 その美男子外人はそうのたまった。
 どういうこと??
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