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第四章
針音
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武とみゆきはリュック・サックを背負って村から旅立った。二人は村を出て草原を歩いている。空を翔けるコンドルを大きくしたような怪鳥。草原を駆けゆく馬たち。すべてが、武にとって新鮮だった。しかし、武にとってはこの新鮮はあまり嬉しくなかった。一週間前までは、中学校に通っていたのが、少し懐かしかった。麻美の顔が頭をよぎる。「バイバイ」あのシーンを思い出し、少し切ない。
みゆきは右手の人差し指に小さなテープを巻いている。武は時折、視界のはしにその指を見つけていた。あの時、どこかで、それを見ていたのかもしれない。「ねッ。どこかでご飯にしよっ。」
怪鳥の豪鳴にその声はかき消されたが、武もお腹が空いてたので、二人はご飯の休憩を取ることにした。(ガサッ)リュックに手を入れると、大きなパンを2つ手にした。
武「うまい。これは何が入っているんだ?」
みゆき「パン屋さんでお魚を入れてくれたの。」
お喋りしながら、二人で食事をしているのが時の流れと疲れを紛らわせてくれる。そして、食べ終わり少し休み再び二人はあるきはじめる。
武「で、どこに行く?」
みゆき「この先」
みゆきの指さした先には大きな崖が見える。ここからは、2、3キロ先だろうか。
武「まだ、少しあるな。」
どれくらい歩いただろうか?今日も日が落ち始めてしまっている。武は、空を見上げた。
武「今日はもう暗くなるな。このあとどうする?」
みゆきは小さく深呼吸をする。
みゆき「行くよ。行く。」
武は正面の崖を見上げた。
武「大丈夫か?危なくない?」
みゆきは振り返らずに、崖沿いに細い道を登り始めた。あのときの、麻美の後ろ姿がダブる。武は、首を左右に大きく振り、みゆきの後を急いで追った。辺りは、すっかり暗く、足下も見えにくい。足元に細心の気を払いながら、登って行く。
みゆきは右手の人差し指に小さなテープを巻いている。武は時折、視界のはしにその指を見つけていた。あの時、どこかで、それを見ていたのかもしれない。「ねッ。どこかでご飯にしよっ。」
怪鳥の豪鳴にその声はかき消されたが、武もお腹が空いてたので、二人はご飯の休憩を取ることにした。(ガサッ)リュックに手を入れると、大きなパンを2つ手にした。
武「うまい。これは何が入っているんだ?」
みゆき「パン屋さんでお魚を入れてくれたの。」
お喋りしながら、二人で食事をしているのが時の流れと疲れを紛らわせてくれる。そして、食べ終わり少し休み再び二人はあるきはじめる。
武「で、どこに行く?」
みゆき「この先」
みゆきの指さした先には大きな崖が見える。ここからは、2、3キロ先だろうか。
武「まだ、少しあるな。」
どれくらい歩いただろうか?今日も日が落ち始めてしまっている。武は、空を見上げた。
武「今日はもう暗くなるな。このあとどうする?」
みゆきは小さく深呼吸をする。
みゆき「行くよ。行く。」
武は正面の崖を見上げた。
武「大丈夫か?危なくない?」
みゆきは振り返らずに、崖沿いに細い道を登り始めた。あのときの、麻美の後ろ姿がダブる。武は、首を左右に大きく振り、みゆきの後を急いで追った。辺りは、すっかり暗く、足下も見えにくい。足元に細心の気を払いながら、登って行く。
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