龍悲

再開 2

喧嘩

　さて、3人は闇の中をさまよい始めて、もう、半日は過ぎようとしているようだ。何故か？それは、空も白み始めてもうすぐに、夜も開けようとしているのだった。
　「ガサガサッ…」「ウォーン…」「ギャーギャー…」夜明けを知らせるように、森の生き物たちも活動を始める。
　武「そうか、夜のうちは獣たちも休んでいるんだな。」アキラは、面白くなさそうに、いや
、面倒くさそうなのか？目を閉じたまま首を振った。「いや、そうではない。生き物の種類が変わるだけだ。」そういえば、アキラは目を閉じたまま歩いていたのだろうか、ずっと、首をあげずにいたようだが？
　みゆき「もうすぐ森を抜けるわ。でも…」アキラ「あぁ…」
　やがて、森を抜けようとする3人を、あまりこの森は歓迎していないようだった。空が再び暗くなる。ゆみこには、親子2代にわたる二度目の不吉な雷鳴、そして、落ちてくる雨はすぐに三人を、そう、むしろ森ごと飲み込むような嵐になるのだった。武「まいったな…」アキラは、すぐに険しい顔を作ると、機嫌が悪そうに答える。アキラ「いちいち、うるさいやつだな。」
　ゆみこも、アキラと同じ思いでいた。
　再びアキラ「お前は、何をしにこの森に入ったんだ。死にに来たのか？」
　武はうつむき、黙り込んでしまう。
　アキラ「だいたい、剣の振り方も知らないくせに、そんなもんぶら下げて意味があるのか。」武は、しばらくしてアキラを睨むのだが、アキラには、さして効果はないようだ。
　武「俺は、好きでここに来たわけじゃない。何もわからないくせに、いちいち、鬱陶しいんだよ！」
　嵐もより強まり、二人の神経を逆なでしているようだ。
　ゆみこ「もう、やめて！」
　ゆみこが、止めようとした時には、すでに二人とも殴り合っていた。