龍悲

再開 3

新景

　やがて、完全に夜も開けて光の渦に包まれた時には二人とも泥まみれで傷だらけだった。
　みゆき「全くもう、やめてよね。こんな時に。ちょっとは状況を考えてほしいわ！」
　流石に、この状況では怒るのも無理は無い。これは、私でも怒る。二人とも肩を落として、みゆきの顔を見ることが出来なかった。
　アキラと武「すまない」
　「ふぅ～」ため息をつくみゆきのため息にさえ耳を塞ぎたかった、二人。
　やがて、薄暗い森の風景が白んできた。
　「もうすぐ、出るぞ」アキラが顔をあげると。武も、安堵の表情が作れた。「やれやれだわ。やっとね」
　みゆき「二人ともありがとう」
　「？」
アキラ「どうしたんだ、急に？」
　みゆきも少しは笑顔を作る。そして、武たちを待つのは、………。
　
　ザァー…　「ここは？！」武の目の前に開けた光景は、断崖、そして、崖の下は果てしなく下だが、急流の河だった。「飲み込まれたら、二度と浮かばんぞ。」アキラは満面の笑みで武を見るのだが、今度はすぐに、「やめなさいよね！」みゆきが水をさした。
　
　武「森を抜けても、これじゃ…」
　「大丈夫よ。」みゆきは鋭い口笛を吹くと、えらく、巨大な鷹が3人を迎えに来るのを、武は、あんぐりと開け放った口でただ見ているのだった。
　
　　　　　　　　空
　
　「フフフ…ありがとう。ピースケ。」みゆきは、鷹に話しかけているのだろうか？二人は、始めて、空から地上を眺めるのだった。「なぁ、だったら、最初から呼べなかったのか？」武の、最もな疑問にもみゆきは当然よと言う顔で「だめよ。あんな危険なところにピースケを呼べるわけがないじゃない。」武「ピースケって言うのか…」
　そして、3人を乗せたピースケは森の脇を滑空して、河の上流へと羽ばたくのだった。