オレンジ色の春

猫山くれは

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彩りの冬

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リビングにはアングレカムという名の花が咲いている。
緑の葉に白い花、空は薄暗く、見え隠れする雪、弱々しくそれでいて力強く燃える暖炉の火、世界は色に溢れている。
コートを着て、手袋もマフラーも身につけているが身震いするほどの寒さ。手にかかる息が白い、鼻は寒さでトナカイのようになっている。
今日はクリスマスイブの日、なつと街のイルミネーションを見に行く予定だ。
今は昼の3時、待ち合わせは6時だから少し早い。でもこの時間に出なければいけない理由がある。街にある花屋に寄るのだ。
買う花は「バラ」それぞれ色の違うものだ。
………待ち合わせの時間になった。
なつはいつも通り5分後に来る。普通はあっという間と言えるぐらいに早く経つ時間のはずだが永遠とも思えるぐらいの時間があった。
「おまたせ~!」
後ろから声がした。振り返ってみると、一瞬息を忘れてしまうかのような錯覚に陥った。
肩の下ぐらいまであるであろう黒髪がなびく、走ってきたからか白い息が絶えず吐かれている。
その姿がなんとも美しすぎた。
「ちょっと休憩していこうか。」
「ごめんね、ちょっと休ませて」
5分くらい経っただろうか。
「さ!どこから回る?」
元気になったみたいだ。ここは丁度真ん中に位置している。
「じゃあ、時計回りに行こうか」
そう言うと頷きいつもの笑顔を見せる。
時々夫婦らしき人達に声を掛け写真を撮ってもらった。
その時彼女さん?と聞かれた。その度に恥ずかしがりながら幼馴染です。と答えた。
写真を沢山撮った。思い出になるように、記憶に残るように、今この瞬間を忘れないように…
駅に着いた。
なつにちょっとまっててと言い、コインロッカーへ向かった。
背中に背負うように持ちなつの前に立つ。
「あ…あのさ。ずっと好きだったんだ。付き合って貰えませんか?」
バラを渡す。
「………………なんのドッキリ?」
「いやドッキリじゃない」
「……………」
「……………」
お互いに黙ってしまった。
時間が凍りついたかのように瞬き1つ出来なかった。
するとなつが口を開いた。
「わたしもふゆのこと…好き…いいよ」
凄く小さな咳が聞こえた。
なつに背を向け思わずガッツポーズをした。今が人生で1番幸せかもしれない。今日は最高な1日だ。この幸せが長く続きますように………
最後に写真を1枚だけ撮った。

また明日!と言い家に入った。自分でも気持ち悪いと思うぐらい顔がにやけているのが分かる。
お風呂に入り、ベッドに沈むように飛び込む。にやけて、ふと我に返り、思い出してはまたにやける。
明日も明後日も来年もいい年になりますようにと神に祈り、深い眠りについた。
バラの花言葉は「愛」
7本の意味は「密かな愛」
日本では虹色と言うと7色、藍色がなかったため白で代用した。
赤、白、青、黄、オレンジ、緑、紫の色とりどりのバラ。それぞれの色にも意味があるのだが、ここはあえて虹色の意味を紹介しよう。
虹色のバラの意味は「無限の可能性」
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