EGOIST

*18*

　ソファの上で譲の身体はうつ伏せに反転させられる。
　膝立ちになり背凭れに手をついた譲は、不安になって振り向こうとした。
　背に俊の手を感じる。腰から下へと降りた手は、太腿を撫で内側へと移動する。
　なだらかな丸みを撫でた手が狭間を割り開く。
　驚いて跳ねた腰を掴まれ、一方の指先が閉じた秘腔を擽った。
「あ……！」
　実際に触れられると、予期していなかった感覚に譲は背を震わせる。
　不安を募らせた譲が逃げを打つ前に、俊は双丘の狭間に顔を埋めた。
「ダメ……ッ、……俊ニイ…………そ……なとこ……ッ」
　ビクビクと腰を引き攣らせ、譲は悲鳴じみた泣き声をあげる。
　逃げることはできなかった。
　襞を撫でた舌が蕾の中へクチクチと穿たれる。
「あ……あ……、ああぁ……」
　感じきってしまうのが怖くて、譲はソファの背凭れに爪を立てた。
　ゾクゾクとした痺れが脊椎を突き抜けていく。
　舌が押し込まれるたび、濡れた感触に頭の中がどうにかなりそうだった。
「アッ、……ん…………」
　後ろを舐められているだけでトロリと全身が蕩けていく。
　きつく窄まった蕾を抉じ開け、指が１本中に挿し入れられた。
「ク……ッ……、ん……、あ……ッ…………ああぁぁ……！」
　力ばかりで支配しようとしたあの男とは違う。
　俊の指は強引でいながら優しく、譲の感じるポイントを探っては焦らすように掠めていく。
「あうっ……、……あ」
　指の数が増やされた。唾液にしっとりと濡れた裡襞が、指の動きにうねりをおび絡みつくのが分かる。
　指の動きにあわせ洩れる声には喘ぎが混じっていた。
　身体の変化を俊に知られてしまうのではと思うと、恥ずかしくてやりきれない。けれど譲の身体には力が入らず、中の蠢きを止める術はなかった。
「あ……あ……」
　指が抜き挿しを始めると身の奥底が疼いて堪らなくなる。
「俊……ニイ……、俊ニイ……」
　甘い呼びかけに限界を感じ取った俊が、譲の裡から指を引き抜いた。代わりに熱い昂ぶりが押し当てられる。
「ん……、俊ニ…………」
　譲は息を詰めた。
　突き入ってくる存在感は指などと比べ物にならない。
「ヒッ……、……んう……ッ」
　熱く身の裡を焦がす雄の気配。
　灼熱の楔に身体の奥底を抉られる。
「ン……ッ……、ああぁぁぁ―――！」
　譲は大きく背を撓らせた。
　衝撃の強さに目が眩む。
　緩く突かれるだけで、どうにかなりそうだった。
　中のモノをきつく喰い絞めてしまい、俊が小さく息を詰めるのが分かる。
「俊……ニイ……」
「息を吐いてみろ譲。ゆっくりでいいから」
　背後から囁かれ、譲は素直に息を吐く。
　中が僅かに緩んだ隙を見計らって、俊が腰を打ちつけてきた。とたんに目の前が真っ白になり、悦楽に背が反り返る。
　ビクビクとのたうつ腰を押さえつけ、俊が早い動きで腰を遣い始める。
「あああぁぁ―――！」
　譲の下肢がガクガクと揺れた。
　哀しみからではない涙が溢れ続ける。
　全身で荒れ狂う快感が渦巻くのに、譲はどうしても達することができない。
「あう……ッ」
　俊の手が前にまわされた。
　ビクつく腰を捕らえたまま、片方の手が譲の半身を握りこむ。
「ヤ……ッ、……俊二……触ら……ないで…………」
「後ろだけじゃイケないだろ？　感じさせてやりたいだけだから、怖がるなよ」
「あ……あ……俊ニイ……」
　先端を指先で擽られ、堪らない刺激に譲は首を打ち振った。
　昂ぶりを包む俊の手は、譲を簡単に追い上げていく。
　突き上げる動きも止まることなく、リズミカルに最奥を抉られた。
「あ……あ……あ……」
　腰を揺らされ総毛立つほどの快感に譲は昇りつめていく。
　手に擦られる半身が頂点を目指し熱く張り詰める。
　ゆっくり抜き出され追うように締めつけてしまう中を、強引に割り開き突き上げられた。
「ひ……！……あ……ッ」
　感じる部分を擦りながら、激しい動きで灼熱の楔が身体の奥深くを貫く。
「ああぁぁぁ―――！」
　叩きつけられる快感に耐えていられなかった。
　仰け反り嬌声をあげて、譲は精の全てを吐き出していた。