Nationwide Roguelike

原子

文字の大きさ
3 / 4

第3話 宿にて

しおりを挟む
宿につくと、あたりはもう暗くなり始めていた。
あの猫耳が「宿」とか言うものだから、てっきり平屋の古民家とかを想像したのだが、意外にもホテルだった。しかもかなり綺麗。
「高いんだろうね、このホテル」
隣を歩いている美月に言う。
「ホ、テル…?、まぁこの宿は多分高いと思うけど、クロシェイが払ってるからわかんない」
「なるほど」
ホテルはこの世界に存在しないということなのか。そしてこのパーティーのまとめ役があのクロシェイこと黒騎紫陽と言うことなのだろう。他のパーティーメンバーはいないはずだし。
そしてホテルの自動ドアを通るとやけに綺麗なロビーに一人の男がコーヒーらしきものをちびちびと舐めるように飲んでいた。
そこに美月が走っていき、
「あっ、クロシェイ!あれ?コーヒー苦手って言ってなかったっけ?」
するとそいつが振り返って
「いいんだ、頭がスッキリするんだよ」
ちょっと低めの声でそう返した。
多分彼がクロシェイで黒騎紫陽なのだろう。相当強そうなオーラを放っている。
「で、ふたりとも遅かったな。何があったんだ?」
前言撤回、怒ってるだけかもしれない。
「悠樹が『あっ』とか言って砂丘に駆け出していったんだよ」
美月が余計なことを言う。黒騎がこっちを見る。なんの目をしているのだろうか、一応この世界の設定としてはこの三人はずっとパーティーを組んでいることになっているはずだから奇怪の目ではあるまいし。ちなみにコサカンパニー公式サイト情報なので間違いない。
「まぁいいや、こいつの変な行動は今に始まったことじゃない」
黒騎は諦め顔で答える。俺の前任どうなってるんだよ。
「ところでところで!」
美月が笑顔で言う。そして続ける。
「美味しそうなプリン屋さん見つけたの!明日行こ!」
「相変わらず美月は甘いものが好きだな」
コーヒーを啜りながら冷静な返しをする黒騎。美月は頬を膨らまして
「むー、人それぞれじゃんそんなの」
そう正論を返す。
「まぁまぁ、甘いものは美味しいし、どうせ明日暇だしいこうよ」
和解させるべく口を開く。
「仕方ないな、別に暇じゃないけど行くか」
コーヒーを啜りながらそう答える黒騎。
「わーい!」
とても嬉しそうな顔をする美月。楽しそうでいいな。
「じゃあ明日早く出るために早く寝なきゃな」
そう言って黒騎は立ち上がる。
結局コーヒーは半分ほど残った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

年の差にも悪意がみなぎりすぎでは????

頭フェアリータイプ
ファンタジー
乙女ゲームの悪役令嬢?に転生した主人公。でもこんな分かりやすい状況でおとなしく嵌められるはずもなく。。。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

姉から全て奪う妹

明日井 真
ファンタジー
「お姉様!!酷いのよ!!マリーが私の物を奪っていくの!!」 可愛い顔をした悪魔みたいな妹が私に泣きすがってくる。 だから私はこう言うのよ。 「あら、それって貴女が私にしたのと同じじゃない?」 *カテゴリー不明のためファンタジーにお邪魔いたします。

処理中です...