135 / 196
第二部
あなたのために出来ること 10
しおりを挟む繋がった場所を曝け出すみたい、片脚を持ち上げられた。顎を掴まれて後ろへとむけられ、音を立てながら舌に絡められる。
後ろから何度も突きあげられて、二つの乳房がドレス越しに揉みしだかれる。ただでさえ身体全部が性感帯のようになっているのに、同時にそんな風にされたら身体が何度もびくびくと震えてしまう。
「身体が、いやらしく震えてる。そんなに気持ち、いいのか……?」
途絶え途絶えになる創介さんの声に、淫らに口を開く。
「気持ち、いいの……。気持ち、いいっ」
創介さんから贈られたイヤリングが激しく揺れる。
「あぁ……っ」
「はぁ……もう――っ」
もっともっと――。
もうそれしか考えられなくて、欲望のままに身体を振り乱した。そして、二人同時に果て、身体から力が抜ける。ゆるんだ身体に、乱れた呼吸と創介さんの余韻が残って、まだ私を敏感にしたままだ。
「おまえの、感じまくってる顔を見たい」
ドレスのファスナーを下ろされて、身体が露わになっていく。そのままドレスを完全に脱がされた後、バスルームに連れて行かれた。
繋がったばかりの身体は、まだびくびくとしている。それなのに、引き抜かれた途端に、また欲しいと思っている。
「創介さんに、触れたい。たくさん、さわり、たい」
脱衣所で向き合って立ち、熱のこもった視線で見下ろしている創介さんに感情のままに訴えた。まだ、創介さんは服を着たままで。その肌に触れたくてたまらない。肌と肌を合わせたい。
胸に、触れたい。首筋に、腕に、腰に――。
「じゃあ、おまえが脱がせてくれ」
欲情した男の目。創介さんの挑発的で意地悪な目は、私をただ淫らにさせる誘発剤みたいなものだ。
創介さんに手を伸ばす。蝶ネクタイをはずし、ぱりっとした白いシャツのボタンを一つ一つ外していくけれど、それが酷くもどかしくてたまらない。その間にも、意地悪するみたいに、囁きながら耳たぶに指を這わせる。
「手が止まってるぞ」
「だ、だって、創介さんが触れるから――」
「イヤリングを外しているだけだ」
少しずつ視界に入って来る、創介さんの厚い胸板。私の大好きな広い胸に、手のひらを入り込ませると、創介さんが小さく呻いた。
「ん……、おまえに触れられるだけで、ゾクゾクする」
創介さんの感じている顔を、もっと見たい――。
ジャケットから腕を引き抜き、白いシャツのボタンを全部外した後、創介さんの首筋に顔を寄せた。
「おまえに脱がされてるのを見ているだけで、また――」
創介さんの私に向けられる熱く滾った視線と乱れた呼吸を間近で感じるから、私の感情も昂ぶって行く。引き締まった胸板が露わになって、白いシャツが中途半端に着乱れた姿がたまらなく色っぽい。無心に胸の突起を激しく舌で舐める。
「あぁ……はっ、ゆき――っ」
何かにしがみつくかのように、大きな手のひらが私の髪に差し入れられる。
「ゆき、のっ……」
無意識なのか私の名前を呼び続けて、その身体が苦しげに揺れている。
切羽詰まったようにシャツを脱ぎ去ると、私たちはバスルームへと入った。
シャワーのしぶきの中で、創介さんの鎖骨に当てた唇をゆっくりと這わせ、下へ下へと身体を移動させた。
「創介さん、どうして、ほしいです、か……?」
舌を滑らせながら、囁く。
「仕返し、のつもり、か……?」
「ん……。ご褒美、です」
舌を下へ下へと滑らせていく。その度に創介さんが呻くように息を漏らした。私の頭に触れる手のひらに力を入れているくせに、創介さんは答えない。
「言って……?」
「ぁっ。やめろ……」
自分がどんどん自分じゃなくなって行く。創介さんの下半身へと顔を近付けて行く。
「どうしたら、気持ちよく、なる……?」
「雪野……っ」
創介さんは、これまで、一度も自らそれを私に求めたことはない。私が勝手にしていたこと。
でも今日は、言わせたい――。
私をもっと、求めて。
私に溺れて――。
「言って、ください――」
「俺の、口で、してくれ……」
「ん――」
それでもまだ躊躇いがちに吐かれた言葉。私はすぐに、既に張り詰めていたそれを口に含んだ。
「あぁ……っ、雪野、っ」
熱くて硬いものが口いっぱいに広がる。
舌を這わせて、喉の奥まで咥えて口を目一杯動かした。
「お、い、そんなに、激しくするな」
「ひも、ち、いい……?」
「あっ、イク――っ」
創介さんの表情を確かめたくて、口を動かしながら見上げる。
濡れた髪に、眉をしかめて、その恍惚の表情が色っぽい。もう、そんな創介さんを見ているだけで、疼いて疼いてたまらない。その分だけ舌の動きを激しくする。
「ダメだ、イキそうだ。口を、離せ――っ」
「そ、創介さん――?」
突然創介さんが勢いよく私を抱きかかえ、壁を背に立たせた。
「雪野の顔を見ながら、おまえの中でイキたい」
「……ぁっ!」
もう既に濡れてとろとろになっていた私の秘部に創介さんの先端が当たる。
「俺のを咥えながら、こんなに濡らしてたのか? いやらしいな」
「やっ、あ……」
「これだけ溢れさせてたら、いいな。そのまま入れるぞ」
たまには私が創介さんを気持ちよくさせたいと思ったのに、あっという間にまた主導権を握られてしまう。
悔しいと思うのに、もう私だって限界で。
「創介さんっ」
「雪野……っ」
創介さんの首に腕を回してしがみつき、私の中へと飲み込んでいく。
さきほどとはまた違う角度のせいで、新たな快感が身体を貫いて行った。
「あぁ……っ、深いです、奥まで、届くーーっ」
「肌が濡れて、赤く染まってる……たまらなく、可愛いな」
見つめ合いながら繋がっていると、物理的な刺激だけじゃない感情までもが快感を増幅させる。
「やっぱり、こうして顔を見ながらするが、いいな。感じてるその顔、全部、俺のものだ」
「やぁ……あんっ」
そう囁いたかと思ったら、私の胸の先を唇に含んで、舌でもてあそぶ。繋がったところと、胸と、両方同時に与えられる刺激に、身体を振り乱した。
「そ、創介さんっ」
「ん……?」
私の膣を熱くて硬いものが絶え間なく律動する。
「キス、したい。キスし……て――んっ」
唇を激しく重ね合わせる。自らも腰を激しく振り創介さんの動きに呼応するように、快感を貪って。唇を重ねただけでは足りなくて、舌だけを絡み合わせる官能的なキスをする。身体も心も、嫌と言うほどに溶かされて。
「す、き……っ。創介さん、好きっ――ん」
唇が離れたすきに思わず感情が零れても、創介さんの熱い唇がまた私を溶かしていく。
「一緒に――」
「創介さんっ!」
加速度的に激しくなる腰の動きに、身体が跳ねる。
「あぁぁっ」
「雪野っ」
激しい快感が身体の真ん中を突き抜けて、目の前が真っ白になる。身体がふわっと浮いたような感覚に、思わず膝から崩れ落ちてしまいそうになった。でも、がっしりとした腕が私を受け留めてきつく抱きしめてくれる。
「――おはよう、ございます」
隣に眠る創介さんが、ゆっくりと瞼を開ける。
「ああ、おはよう」
まどろんだ瞳のまま、創介さんが私を抱き寄せた。
「身体、大丈夫か?」
「……はい」
バスローブ合わせ目から見える胸に頬を寄せると、ほのかに香るボディソープの匂いに包まれる。
「昨日の雪野は、最高にエロかったな」
創介さんの指が私の髪を梳きながら、囁いた。
そんな言葉に返事なんて出来るわけない。私は黙ったままでいた。
「――なのに、朝になると、魔法が解けたみたいに、恥ずかしがり屋の雪野に戻る。二人の雪野と過ごしているみたいだな」
そう言って、創介さんが笑った。
「ご、めんなさい……」
本当にその通りだ。どうしてあんな風に全く別の人格が出て来るのだろうと、冷静に考えると自分でだって理解できない。
「謝ることなんてない。俺にとっては、嬉しいことだ」
寝起きの創介さんの、前髪がおろされたラフな姿。私だけが見ることのできるその姿に、いつも懲りずにドキドキとする。
「雪野が二人なんて、最高じゃないか。俺は、どちらの雪野も可愛くてたまらない」
甘い声と甘い甘い瞳が、私に注がれる。
「おまえは、どれだけ俺を狂わせれば気が済むんだ?」
「狂わせているつもりなんて、ありませんっ」
朝の明るい光が部屋いっぱいに広がる。
大好きな人とまどろむ朝は、最高に幸せな時間だ。
「それは、嘘だ。昨日のおまえは、明らかに――」
「もう、昨日の話はやめてください!」
甘えるように創介さんの胸を叩く。この人の胸の中にいると、包み込まれている安心感と愛しさについつい甘えてしまいたくなるのだ。
「分かった、分かった。俺の中でだけ、思い出すことにしよう」
「思い出すのも、ダメ」
「それは、無理だ」
目と目を合わせて、笑い合って。幸せ過ぎて、怖いくらい。人は幸せ過ぎると怖くなると言うけれど、本当のことだ。
幸せの向こうにあるものをつい想像してしまうからだろうか。
それでも、このひと時は、嘘でも夢でもない。私の目の前には、愛しい創介さんがいる。
10
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
花里 美佐
恋愛
榊原財閥に勤める香月菜々は日傘専務の秘書をしていた。
専務は御曹司の元上司。
その専務が社内政争に巻き込まれ退任。
菜々は同じ秘書の彼氏にもフラれてしまう。
居場所がなくなった彼女は退職を希望したが
支社への転勤(左遷)を命じられてしまう。
ところが、ようやく落ち着いた彼女の元に
海外にいたはずの御曹司が現れて?!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる