リアルな恐怖体験(実体験を基に)

もず

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夜のベビーカー

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 引き続き中学3年生の頃の話で、塾の帰りに自転車で帰っている時の体験を書きます。

 その日も塾が夜8時に終わり自転車で家に帰る準備をした。
 他の友人達は両親が車で迎えに来ていたが、僕は両親が共働きの為一人で自転車で帰っていた。

 塾までの行きは下り坂が多く約20分で塾に到着するが、帰りは上り坂が多くスピードを出してペダルを漕いでも家までは倍の40分が掛かってしまっていた。
 また、帰りはライトの点灯が必要であり、当時はライトをタイヤに当てて光らせるタイプの【ダイナモライト】を装備している自転車だった為、抵抗がかかり遅くなる原因にもなってしまっていた。

 その日もいつも通り車通りのある大通り沿いを通り、途中から抜け道で使っている田圃道を通り、車通りがほとんどない神社裏を通るルートで帰っていた。

 しばらく走り、神社裏ルートに着いた。神社裏ルートは家まで後10分の距離のため、この場所に来る頃には(やっと地元に帰ってきた。家まであと少しだ。腹減った~。今日のご飯は何かな?)など自転車の運転に集中せず、別の事を考えながら運転していた。

 すると二百メートルぐらい先に神社裏の人通りがない暗い道をベビーカーを押し、こちらに向かって歩いて来ている女性の姿が見えた。女性の姿を見たときにギョッとしてしまい異常を感じてしまった。

 髪が茶髪で腰のあたりまで長く、同じく前髪も顔が隠れるように長く【テレビから這い出て来るホラー映画の女性】のような髪型をした、ほっそりとした女性がベビーカーを押してくるのだ。街中ならこの時間にベビーカーを押しているのは普通だが、暗い夜道で遭遇した為、恐怖を感じてしまった。

 僕は、(やばい。幽霊を見てしまったかもしれない。どうしよう。ダッシュで通り過ぎるしかない)と思い自転車を飛ばして漕いだ。

 様子を見ているとベビーカーを覗き込み赤ちゃんに話しかけながら歩いているので、絶対幽霊ではない。大丈夫だと自分に言い聞かせた。

そして通り過ぎ際に怖いもの見たさで女性の姿をもう一度確認したところ、生きている女性の方だった。

 ただ、ベビーカーには赤ちゃんではなく、赤ちゃんの人形が乗っていた。ここで僕は心臓が飛び出しそうになり、完全にビビってしまった。

 夜の神社前という状況も怖さを後押しした為、猛ダッシュで自転車を漕ぎ逃げた。

 特に女性とは目も合わず、何もされる事はなかったが、夜に遭遇してしまった事と、人形を見てしまった事で怖いと感じてしまったのだった。

 家に帰り慌てて母にこの事を話ししたら、「それは子育て中に赤ちゃんを亡くしてしまった人かもしれないよ。心に傷が残り赤ちゃんを忘れられないから一緒に乳母車を引いて散歩しているのかもよ。」と言われ
 「私だって子育て中に赤ちゃんを亡くしてしまったら悲しくて同じようになってしまうかもしれない。世の中には色々な事情を抱えている人がいるから特に気にしない事。」と諭されてしまった。

 当時の僕は怖いという思いが残ってしまった為、塾の帰りルートを変更して帰る事にして解決しました。

 今は母が言っていた事はごもっともでありよく理解できる自分がいます。


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